映画を見返すたびに、映像化の誠実さについて考え込んでしまうことがある。そんな僕がまず真っ先に挙げるのは、やはり'The Call of Cthulhu'(2005)だ。
この作品はサイレント映画風の手法を意図的に採用しており、原作の断片的・書簡体の語りをフィルム化する苦労を見事に回避している。資料の断片をつなぐ編集や古い映像の質感、さらに模型や特殊効果の使い方が、原作にある「古文書をめくるような」不安感を生んでいる点が特に評価されている。
もう一作、同じグループによる'The Whisperer in Darkness'(2011)を挙げたい。こちらはラヴクラフトの「書簡と記録」に忠実に寄せ、科学と奇怪な存在との接触という核心を崩さずに映像化している。どちらの作品も細部へのこだわりが光っていて、ファンの間で“忠実”と評される理由がよく分かる。僕にとっては、原作の語り口を映像に置き換える誠実さが何よりの魅力だ。