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(改訂版)夜勤族の妄想物語
(改訂版)夜勤族の妄想物語
Penulis: 佐行 院

1. 「私の秘密」

Penulis: 佐行 院
last update Terakhir Diperbarui: 2025-01-21 11:28:41

 独身、童貞、実家暮らし、そして包茎。男としてのダメ要素が4つも揃ってしまっている俺。

 元いじめられっ子の会社員として昼夜逆転生活をしているが故に生まれてしまった「退屈」という感情をなんとかしようと始めたのが「妄想」だ。

 これなら誰にも邪魔されず、文句も言われることも無い。そして、迷惑を掛ける事も無い。正直言って何よりも自由な世界だと思った。

 そんな俺の妄想は、湖とくねくねとした峠道のある山の近くの風光明媚な街を舞台に始まる。

 さて、そろそろ俺が自由に思い浮かべた妄想の世界に皆さんを誘おう。

夜勤族の妄想物語 1.「私の秘密-赤鬼-」

佐行 院

 仕事に追われ1日1日が過ぎてゆき、一般では「花金」と呼ばれる週末。明日からの土日という楽しい2日間をどう過ごそうか、それとも今夜どう楽しもうかを沢山の人たちが考えているこの時間帯、開いている店と言えば飲み屋やコンビニ、そして最近増えてきた24時間営業のスーパーぐらい。他には夜勤で働く人たちがいる工場などがちらほらとあり建物から明かりが漏れている場所がほとんどなく電灯の明かりが優しく照らされる夜の街で独身の冴えない眼鏡女子の会社員、赤江 渚(あかえ なぎさ)は家路を急いでいた。

毎日朝の9時から出社しての8時間勤務、1時間休憩を含め18時が定時での退勤なのだがそういう訳にも行かない、金曜日は特になのだが帰り際に上司の取口(とりぐち)部長から必ずと言って良いほど呼び止められて書類を押し付けられ毎日の様に残業が加算されすぎており毎月60時間以上の計算となりため息の日々。正直三六協定はどこへやら・・・。

ある週の金曜日、毎度の様に帰り際の渚を取口が呼び止めた。

取口「渚ちゃーん、今週も頼むよ、うちのチーム書類が立て込んでいるから進めておかないとね。」

渚「はーい・・・。」

 正直言ってしまうと原因は取口による書類の記入ミスや漏れによるものなのだが、本人は早々と定時に上がり気の合う仲間と逃げる様に近くの繁華街へ呑みに行ってしまう。今週に至っては残業はタイムカードを切ってから行うようにとも言いだした。何て卑怯な奴なんだと、やはりブラック企業の従業員の扱いは酷いなと身をもって学んだ今日この頃。

 そんな中、最近巷で噂になっている事があった。特に地元の暴走族や走り屋を中心になのだが『赤いエボⅢに見つかると警察に捕まる』との事だ。通称『赤鬼』。毎週金曜日の夜に県内の暴走族や走り屋のスポットとなっている山に4WD車1台で行っては暴走行為、走り屋行為をしている奴らを一掃しているらしい。正体は未だ不明で年齢や性別など諸々全てが分かっていない。一部の人間には『赤鬼は警察の人間だ』とも言われている。

 会社でもその噂で持ちきりだった。丁度よく今日は金曜日。

取口「皆聞いたか、先週の金曜日にまた『赤鬼』が出たらしいぞ。今夜も出るかもな。」

女性「怖い、今夜は私も早く家に帰ろう。」

渚「何言ってんの、今日も残業でしょ・・・。」

女性「噂なんだけどさ、『赤鬼』って本当はとっても綺麗な女子なんだって。あんたとはかけ離れているね。」

渚「何馬鹿なこと言ってんの、早く仕事終わらせようよ、帰ってドラマ見たいもん。」

その頃警察署長の宇治(うじ)に連絡が入った。M山に暴走族と走り屋の集団が今夜集まろうとしているらしい。走り屋の集団には住民に迷惑を掛ける人間達のチームと掛けない人間達のチームに分かれていて今夜集まるのは迷惑を掛けない方のチームらしい。このチームのリーダーはかなり真面目で休日はボランティア活動に勤しみ警察にも協力的だ。

しかし問題は暴走族の方だ、近所での暴走行為、騒音によるトラブル、暴力沙汰と迷惑のオンパレードだ。対策を練る必要があると思い宇治は走り屋チームのリーダーである阿久津(あくつ)に連絡を入れ救済を求めた。

阿久津「そうですか、僕たちに出来る事なら何でも仰ってください。」

宇治「助かりますよ、あなたがいてくれてよかった。さてと・・・。」

阿久津「どうしたんですか?」

宇治「いや、何でもないです。では、ご協力をお願いします。」

押し付けられた書類を21時頃に済ませ渚は自宅に着いてすぐに衣服を着替えメイクを直し愛車に乗り込み隣町の山へと向かう。自分には似合わないなと思いながら学生の頃から憧れていたこの車に今自分が乗っていると思うとぞくぞくする。エンジンを付けようとした時に電話が鳴った。

渚「・・・分かりました。お任せください。」

 愛車は赤いエボⅢ、そう、実は渚が通称『赤鬼』なのだ。先程の電話は宇治からの物で協力を求めてきた。阿久津のチームと協力して暴走族を止めておいて欲しい、山の反対側の出口でパトカーを集めて防衛線を張っておくからとの事だった。

 山頂で阿久津のチームを見つけ車を止めると阿久津が近づいて来た。出来るだけ顔を見られたくないので窓を少しだけ開けて目だけを出した。度入りのカラコンを使用しているのでよくある事なのだが・・・。

阿久津「初めまして、地元で走り屋のチームをしてます阿久津と言います・・・、外人さん?!英語喋れるかな・・・。Nice to mee…」

渚「日本語で大丈夫、初めまして、『ナギ』と呼んでください。」

 『ナギ』って・・・、自分でもセンスのないネーミングだと思いながらため息をついた。普段とは違いクールなキャラを保っていた。

阿久津「今夜の作戦は聞いてますか?」

渚「山の向こう側の出入口にパトカーで防衛線を張ってるから私たちで暴走族を追い込む・・・、ですよね?」

阿久津「その通り、そして後ろからも数台警察の人たちが俺たちに紛れて追いかけて来るから挟み撃ちにしていく作戦だ。宇治署長に言って一応障害物として廃車になっている車を数台置かせて貰っているからうまく避けて欲しい。」

渚「私たち避けれるかしら。」

阿久津「ナギさんはそこまで下手じゃないでしょ。」

渚「それはお互い様でしょ。」

阿久津「ははは、この無線機を付けておいて欲しい、話せると助かる。それと暴走族が来るまでは目立たないように車にこの黒いカバーをしておいて。」

 渚は言われた通りにカバーをして車の陰で息をひそめていた。しばらくしてけたたましい排気音(エキゾースト)を轟かせ暴走族のバイク集団が現れた。車線なんてお構いなしだと言わんばかりに横一線に広がっている。彼らは阿久津や渚の車に気付くことなく向こう側の出入口に向かって山道を降りていった。

 走り屋たちはカバーを取り静かに車を走らせた、排気音を少しでも出すと作戦がバレてしまう。

 数か所のコーナーというコーナーをドリフトでクリアしていく。ガードレールに取り付けられたライトで道路が明るく照らされていたため本当はいけないのだがヘッドライトを切ってでも走れる状態だったので暴走族のバイクには簡単に近づけた。

暴走族「んだぁ、こいつらぁ!!」

暴走族「ざけんじゃねぇ、撒くぞごるぁ!!」

 暴走族がスピードを上げる。山の中腹に差し掛かる。無線機から阿久津の声がした。

阿久津「ナギ、そろそろ障害物の廃車が見えてくるから上手く避けてくれ。」

渚「了解・・・。」

 そこから数キロ走ったところにある廃車に数台のバイクが引っかかっていた。後ろから追いかけてきた警官が暴走族を逮捕していき、バイクをトラックの荷台に乗せていく。

 そして最終コーナーを回り阿久津と渚の前にはバイクが2台・・・、多分総長クラスだろう。出入口に差し掛かりパトカーや交通機動隊の白バイで張られた防衛線で2台を止めようとしたので暴走族は引き返して逃げようとした。そこを阿久津と渚が息をピッタリと合わせ車を横に向け通せんぼうをする、諦めてバイクを乗り捨てた暴走族は横から逃げようとしたが駐車場付近の茂みに落ちて警察の用意した深めのマットに落ち込んで逮捕された。

暴走族「こん畜生!!!」

暴走族「覚えてろ!!!」

 パトカーに押し込まれる暴走族を横目に宇治が渚と阿久津に近づいてお礼を言おうとしたが車は2台とも消えていた。電話を掛けたが2人共繋がらなかった上に走り屋たちの無線機にも反応がない。

宇治「まぁ、いいか。」

新人警官「よろしいのですか?」

宇治「ああ、君もいずれは分かるだろうさ。撤収だ、帰って呑むぞ!!!」

月曜の朝まで2人を見た者はいなかったという・・・。

月夜が照らす海を背景にただスキール音が響き渡っていた・・・。

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