『君の名は。』の主題歌『なんでもないや』の英語版タイトルが『Nothing Left to Lose』と訳されたように、単語の選択は背景にある感情や概念をどう伝えるかが鍵です。『純然たる興味』なら『genuine interest』、『純然たる偶然』なら『mere coincidence』と、微妙に表現が変わってくるんですよね。
『純然たる』の英語訳で迷ったら、まずは『mere』を思い浮かべます。『純然たる形式主義』なら『mere formalism』みたいに。でも『pure and simple』って言い回しもよく使いますね。『それは純然たる詐欺だ』と言いたい時は『It's fraud, pure and simple』って感じで。
面白いのは、『鬼滅の刃』の英語版で『純然たる悪意』が『nothing but malice』と訳されてたこと。直訳じゃないけど、こっちの方が英語圏の人には伝わりやすいんですよね。翻訳って本当に奥が深い。
「忸怩たる思い」という言葉、日本語ならではの複雑な感情を表す表現ですね。英語で一番近いのはおそらく"a pang of conscience"とか"a twinge of guilt"あたりでしょう。
でも実は、このニュアンスを完全に伝えるのは結構難しいです。"Remorse"や"Regret"は後悔の意味が強すぎるし、"Shame"はもっと外向きの恥ずかしさ。日本語の「忸怩」には、自分の中でもやもやと煮詰まるような感覚が含まれていますよね。
個人的には、"I felt a creeping sense of unease about what I'd done"なんて言い回しがしっくりくる気がします。特に『ノルウェイの森』を読んだ後、この感情を英語でどう表現するかずっと考えていたんです。翻訳版では"a deep-seated awkwardness"と訳されている部分もありました。