翻訳者は『ずっと好きだったんだぜ』のニュアンスをどう再現しますか?

2025-10-24 08:54:43 108

5 Answers

Emma
Emma
2025-10-27 19:04:48
翻訳という仕事でしばしばぶつかるのは、言葉の重さと話者の個性をどう同時に伝えるかだ。ここでのキーは『ずっと』『好きだった』『んだぜ』という三つの成分を別々に扱いながら、元の一体感を損なわないことだと僕は考えている。

まず『ずっと』は英語だと時間の持続を示す副詞で、訳語の候補は "always" や "all this time"、あるいは詩的に "for as long as I can remember" など幅がある。次に『好きだった』の過去形は単純な過去とは違って、“今もそうだ”という含みを残す場合があるから、"I've loved you"(現在完了)と訳すか、明確に過去を示す "I loved you" にするかは文脈次第だ。

最後に『んだぜ』のラフな語尾をどう再現するかで、キャラ像が決まる。男っぽさを出したければ "...you know?" を避けて "...ya" や粗い短縮形を使うこともあるし、品のある訳にしたければ極力省く。『君の名は。』のような作品での告白なら、控えめな "I've always loved you" が自然だと僕は思う。
Uriah
Uriah
2025-10-28 23:24:02
口語のノリを重視すると、訳はかなり自由に遊べる面白さがある。自分は時々キャラの年齢や関係性を優先して訳語を選ぶことにしている。高校生同士のくだけた会話なら "I've always liked you" や "I've always loved you, seriously" といったカジュアルさを出すのが合うし、対等な友人関係なら "I liked you all along" のように軽くすることもある。

『ジョジョの奇妙な冒険』のようにキャラが強い個性を持つ作品では、『ぜ』をそのまま英語の粗野な語尾に移すために "...you know?" ではなく "...ya" や "...dude" 的表現を使うことがある。重要なのは、単に単語を置き換えるのではなく、声のトーンや相手への距離感を台詞全体で再現することだと感じている。
Yara
Yara
2025-10-29 15:19:01
詩的に、あるいは内省的なテクストだと、過去形の微妙な響きをどう扱うかで訳の印象ががらりと変わる。自分は写実的な描写と感情の時間軸を両方考慮して訳す傾向がある。『秒速5センチメートル』のような作品では、 "好きだった" が回想を意味するのか、依然として有効な感情を示すのかが不明瞭であるから、訳に曖昧さを残す手法が有効だ。

具体的には、"I've loved you for so long" や "I loved you even then" のように時制と語調の二重奏を用いる。また、句読点や間の取り方を工夫することで、英語でも戸惑いや切なさを表せる。行間を活かす訳出は、直訳よりも情緒を再現してくれるから、自分はいつもそこに神経を使っている。
Quincy
Quincy
2025-10-30 13:12:29
字幕の制約下では、簡潔さと即時の理解が第一だという現実がある。画面に出る時間や文字数制限を考えると、"I've always loved you" は視聴者に違和感なく入る良い選択になることが多い。自分は余計な修飾を削りつつ、元の口調を暗示する短い工夫を加えることを心がけている。

例えば『新世紀エヴァンゲリオン』のようにテンポが重要な作品では、あえて過度なニュアンスを省いて "I loved you all this time" として瞬時に意味を伝え、その場の緊張感を壊さないようにする。字幕は読む速さに依存するので、音声のトーンを別の手段(フォントや表示時間)でサポートすることも考える。
Xena
Xena
2025-10-30 15:53:27
ゲームローカライズだと分岐や音声の事情が絡んで、同じ台詞でも場面ごとに訳語を変える必要が出てくる。自分は選択肢の分岐やキャラクターの声色を踏まえて、複数の訳案を用意することが多い。例えば重要な告白シーンなら、プレイヤーの感情を直接刺激する "I've loved you forever" を使うことがあるし、冷たさや未練を出したい場面では "I loved you" を選ぶ。

『ファイナルファンタジーVII』のようなキャラ重視のタイトルでは、一貫した語尾の扱い(荒っぽい語尾を何で表すか)をプロジェクト全体で統一することが大事だ。ボイスとテキストの調和も忘れずに、台詞がプレイヤーの期待に応えるかを常に気にしている。
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