崩れゆく秩序をパズルみたいに組み立てるやり方も楽しい。断片的な場面を時系列バラバラで並べ、読む側が因果をつなぎ合わせる形式だ。
導入で印象的な一枚絵を提示し、以降は複数視点の短章を交互に配る。各章は
一見些末な出来事に見えて、後半で一つの事件に収束するように設計する。信頼できない語り手を置けば、混乱の核心は常に曖昧なまま観客を翻弄できる。中間あたりで“本当の事件”の断片を提示し、読者の仮説を何度も裏切る。
この手法はテンポと回収の計算が命だ。章ごとにモチーフ(壊れた時計、古い写真など)を繰り返すと、バラバラ感に繋がる手がかりが生まれる。映像でいうと『メメント』の逆再生的な驚きが得られるが、書き物ならではの心理描写で混沌の重みを出すことを私は意識している。