見落としがちだけど、声のトーンや語り口を変えるだけでも“めちゃくちゃさ”の受け取り方は大きく変わると思う。俺は昔、乱暴で過激な行動を取るキャラに対して、淡々とした独白を被せることでかえって怖さと魅力が増すのを何度も見てきた。
その手法は、感情の起伏をあえて抑え、読者に空白を渡すことで想像力を刺激させる。行動自体は破滅的でも、内的独白に自己合理化やユーモアが混ざると読者はそのキャラに肩入れしてしまうことがある。物語の他の人物がその存在にどう反応するかを丁寧に描くことも忘れない。共感を促す小さな要素──幼少期の断片や失われた関係の記憶──を散らしておくと、破天荒な言動が“単なる悪”で終わらず奥行きを持つ。
例として、狂気とカリスマが同居する描写の巧みさに心を打たれたのが'ジョーカー'だ。
狂乱の根拠を断片的に見せることで人物像が不気味に魅力化される好例だと思う。