登場人物の評価を考えるとき、まず感情の揺れがどこから来るのかを追うのが有効だと思う。表面的な善悪だけで片付けず、行為の動機や背景、その選択が物語全体にどう影響するかを見ていくと、キャラクターの厚みが見えてくる。
麝香揚羽の登場人物は、矛盾や欠点が重要な役割を果たしていると感じる。私が惹かれるのは、決して完全でない点――信念と利害のせめぎ合い、過去の傷が現在の行動にどうつながるか、という細部だ。ここを無視して「いい奴」「悪い奴」で分類するのはもったいない。
行動と描写の一貫性も見逃せない。時系列や視点が変わる作品では、同じ言動でも解釈が変わることがあるから、テキスト全体を参照して評価する。こうして読むと、キャラクターは単なる役割以上の存在になり、物語が提示するテーマと結びついて胸に残る。最後に、自分がどの登場人物と感情的に共鳴したかを素直に受け止めることで、評価はより豊かになると思う。