伏線を丁寧に手繰り寄せるタイプの解き方が思い浮かぶ。物語の中で散らばっていた小さな描写や台詞が、続編で意図的に再配置され、読者が「あれはこういう意味だったのか」と確信する瞬間を演出するはずだと感じる。僕は過去作の細部を掘り返す作業が好きなので、原作者が古い章の背景描写や地名、登場人物の癖を手がかりにして、
麝香揚羽に関する手がかりを再び読者の前に差し出す流れを想像する。
具体的には、いくつかの視点人物を交互に配し、過去と現在を行き来させることで真相を徐々に浮かび上がらせる構成が有効だ。断片的な証言や古文書、あるいは主人公が長年避けてきた場所の描写が結びついて、最終的に麝香揚羽という存在が単なる事件ではなく、もっと根の深い文化的・感情的な要因に起因していることを示す――そういった丁寧な積み重ねを期待している。
手法の参考例として構造的な伏線回収を巧みに見せた作品、例えば『ゲーム・オブ・スローンズ』のように、読者の記憶を呼び覚ます再提示が効果的だ。結末は必ずしも全てを論理的に説明し尽くすのではなく、余韻を残しつつ核心に触れる形で締めるのが作者らしい気がする。そうすることで謎は「解かれた」だけでなく、物語のテーマと重なり合って新しい意味を帯びるはずだ。