狂気と現実の境界が曖昧になる瞬間を描くのに、譫言は非常に強力な表現手段になるよね。『ベルセルク』の蝕の章で、グリフィスが犠牲を捧げる選択をした後のカスカの精神
崩壊シーンは、痛々しいほどに彼女の心の亀裂を浮き彫りにする。断片的な記憶と現実逃避が入り混じった言葉の連なりが、読者にも彼女の苦悩を直感させる。
『東京喰種』の金木研が半喰種化した直後の独白も印象的だ。自分の中に渦巻く複数の声が、彼のアイデンティティの崩壊を劇的に演出している。特にアリーナ戦での「千の刃」のモノローグは、狂気と覚醒が交錯するクライマックスとして記憶に残る。
『DEATH NOTE』の夜神月が敗北を悟った際の「バカな!こんな馬鹿な!」という叫びは、それまでの冷静沈着なイメージを打ち破る譫言の効用が光る。天才の転落を際立たせるこのシーンは、キャラクターの本質を一瞬で逆転させる力を見事に発揮している。