主人公の譫言は、しばしば物語の隠された真実への入り口となる。一見支離滅裂な言葉の裏には、作者が仕込んだ重要な手がかりが散りばめられていることが多い。『BERSERK』のガッツが悪夢の中でつぶやく言葉や、『NieR:Automata』の2Bが発する断片的な独白は、プレイヤーに深い示唆を与える。
こうした描写を読み解くコツは、言葉そのものよりも文脈に注目することだ。繰り返されるモチーフや、特定の状況で現れるフレーズをメモしておくと、後々の展開と驚くほど繋がることがある。『鋼の錬金術師』の
エドワードが無意識に口にする「等価交換」という概念は、物語全体のテーマを体現していた。
色彩や音響効果も重要なヒントになる。現実と幻想の境目が曖昧なシーンでは、背景の色調が急変したり、BGMが歪んだりすることがある。『ペルソナ5』の認知世界での会話は、現実世界の事件を暗示的に反映していた。
最も大切なのは、登場人物の心理状態を考慮しながら解釈することだ。トラウマや記憶の欠落が反映された言葉は、文字通りの意味よりも情感に重点を置いて受け止める必要がある。『エヴァンゲリオン』の碇シンジのモノローグは、単なる台詞ではなく少年の心の叫びだった。