AO3で人気の『Oni no Hanabira』は英語圏の作者による作品ですが、酒呑と星熊童子の関係性を深掘りした佳作です。鬼同士の絆を通した癒しがテーマで、酒呑が人間に襲われた夜に星熊が彼を抱きしめるシーンでは、鬼の体温が通常より高いという設定を逆手に取った表現が光ってました。作中で繰り返される「鬼もまた泣く」という台詞が、最後の食事シーンで全く違う意味を持って返ってくる構成は見事。Fate/Grand Orderの設定を下敷きにしつつ、独自の解釈を加えています。
酒呑童子をめぐるファンフィクションで特に胸を打つのは、人間との禁忌の恋を描く際の葛藤の深さだ。例えば、彼が京の都で出会った巫女との関係を描いた作品では、鬼としての本性と人間らしい感情の狭間で揺れる様子が圧倒的にリアルだった。
巫女が彼の鬼の姿を知りながらも惹かれていく過程は、恐怖と愛の境界線を曖昧にする。『酒呑童子』の伝承を下敷きにしつつ、現代的な感性で『禁忌』を再定義している点が秀逸で、最後の別れのシーンでは涙なしでは読めない。
鬼と人間の恋は物理的な別れ以上に、存在そのものの違いが悲劇を際立たせる。そういう作品を探すなら、AO3の『Oni no Kokoro』タグがおすすめだ。