銃弾が飛び交わないアクションシーンには、むしろ生々しい緊張感が宿る。『ジョン・ウィック』の鉛筆殺法や『オールド・ボーイ』のハンマー戦闘シーンを見ると、日常品が凶器へと変貌する瞬間のクリエイティビティに震える。
銃に頼らない戦闘はキャラクターの身体能力や知性を引き立てる。『マトリックス』のドージュファイトが示すように、拳や棍棒の一撃には使用者の個性が滲み出る。観客は単なる暴力ではなく、ダンスのような美学を感じ取れるのだ。
何より、代替
武器を使う戦闘は物語にリアリティを与える。銃社会でない設定なら尚更、包丁や農具を使う『ノー・カントリー・フォー・オールドメン』のような描写が、世界観を深く印象付ける。