観ながら考えていたのは、最後に回収されるのが“信頼の成立過程”だということだった。序盤の小さな裏切りや隠し事は単なる悪意ではなく、信頼を測る試験石として散りばめられている。俺は特に中盤で頻出した「ある場所にだけ見える傷跡」の描写が伏線になっていることに唸った。あれは単なる演出ではなく、人物の過去と現在を繋ぐ物理的証拠で、最終話の対峙で真実を暴く仕掛けになる。
加えて、言葉遣いや口癖も重要だった。たとえば副長的な人物がとっさに放つ短い台詞が、終盤で別の登場人物の動機を変えるトリガーになっている。『進撃の巨人』ほどのスケール感はないが、人間関係の微妙な揺らぎを丁寧に回収する構造は共通している。最終回は単に謎を解くだけでなく、誰が何のために
面従腹背を選んだのかを人間的に説得力ある形で示してくれた。