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貯めたお金で最初に手に入れたのは『スター・ウォーズ』の全ブルーレイBOXだった。学生時代からレンタルで何度も見返していたけど、自分だけのコレクションが欲しくてバイトを続けた。
特典ディスクのメイキング映像を見ると、なぜか涙が出そうになる。特にアナキンの成長と転落を描いたエピソードIIIの特典は、20代前半の自分と重なって見えた。給料日の度に少しずつ貯金箱へ入れ、最後に秋葉原のショップで箱を抱えた時の達成感は今でも忘れられない。
最近では4Kリマスター版も発売されたけど、あの頃の興奮を超える出会いはまだない。
貯金通帳の残高を見て決断した。フランス語講座の初級コースに申し込み、『Le Petit Prince』の原書を買うために夜間配送のアルバイトを始めた。
毎朝4時に配達を終えた後、喫茶店で単語帳を広げる日々。2年かけて星の王子様が狐に語りかける章を原語で読めた瞬間、言葉の壁が溶けるような感覚があった。あの頃のノートには、配達先のマンション番号と動詞の活用表が同居している。
今では翻訳された絵本を眺める度、あの冷たい自転車のハンドルを握りしめた冬の朝を思い出す。
漫画『SLAM DUNK』の湘北高校モデルのユニフォーム代を稼ぐため、夏休み中ずっとアイスキャンデーの配達をやった。汗だくで自転車を漕いでいる最中、三井寿の「諦めたらそこで試合終了だ」の台詞が頭を駆け巡っていた。
完成品を着て近所のコートに立った時、背中の4番の文字が少し斜めだったのが妙に可笑しくて。あのユニフォームは今でもクローゼットの奥に大切にしまってある。
新宿のゲームショップで中古のPS2を見つけた時は、震えるほど嬉しかった。高校卒業後、建設現場で働きながら3ヶ月分の給料を全部つぎ込んだ。『ファイナルファンタジーX』のティーダがスクリーンで躍動する様子を見て、寮の布団の上で跳びはねたことを覚えている。
実家にはゲーム機が買えなかったから、初めての据え置き機は特別な存在。今でも時々起動すると、当時の砂埃っぽい作業着の匂いを思い出す。仲間と分け合ったカップ麺の味と、ユウナの笑顔が不思議とリンクする。