高校を舞台にしたヴォア作品で心に残っているのは、『食らう彼女と喰べられる僕』というちょっと変わったラブストーリーです。主人公が
クラスメートの女子に「食べられたい」という願望を抱き、彼女の食欲と向き合いながら絆を深める様子が描かれています。
最初はフェティシズム的な要素が目立つのですが、次第に二人の関係性の深まりに焦点が移っていきます。彼女の衝動を抑えきれない苦悩や、主人公の自己犠牲的な愛情が交錯するシーンは胸を打ちます。特に文化祭の夜、屋上で交わされる「たとえ体が消えても心は繋がっている」という台詞には鳥肌が立ちました。
この作品の素晴らしい点は、特殊な嗜好を単なるネタにせず、人間関係の本質を問いかけているところ。最終的に「受け入れること」と「受け入れられること」の両方が愛の形として描かれる展開は、ジャンルの枠を超えた普遍性を持っています。