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まっど↑きみはる
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Novels by まっど↑きみはる

別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」  一人の女が赤面しながら男を指差し言う。  そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。
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Chapter: 焼肉食べたい
「スフィン将軍。何か必要なものは……」 二人きりの気まずさから、ラミッタはスフィンに声を掛けてみる。「そうだな、防具が欲しいが、今の持ち合わせでは無理だろう」 ヒビや穴だらけの白い鎧を見せつけ、スフィンは返した。会話が終わる。 元の世界でもスフィンとラミッタは二人きりになる事があったが、何だか今はよそよそしい。「イーヌの騎士と街を歩けなくて残念か?」「い、いえ!? そんな事ありませんが!?」 ラミッタは手を振って必死に否定した。「まぁいい。そろそろ集合の時間だな」 宿場町を見て回った各々は集合場所である時計塔の前へと集まる。「お、スフィンさんとラミッタさんも来たみたいですぜ」 そこには先にマッサとマルクエンが待っていた。 マルクエンは呑気に手を振っている。「宿は良い感じに取れましたぜ。しかも全員個室! 久しぶりに気兼ねなくゆっくりしてくださいや」「そうか」 スフィンは短く返すだけだった。「あ、そうだ。みんなの分も買っておいたんですよ。この街名物、くるみのせんべい焼き」 大きなせんべいをマッサとラミッタに渡すマルクエン。その流れで恐る恐るスフィンにも手渡そうとした。 意外にもスフィンは手を出して受け取ってくれ、マルクエンは優しく笑う。「それじゃ! 食べながら宿屋にでも向かいますかー」 宿屋に荷物を預け、4人は飯屋を探す。「今日は何食べたいっすか?」 マッサの言葉にマルクエンはうーんと考える。「肉料理が食べたい気分ですね」「私は任せる」 興味なさげにスフィンが言う。「私も適当でいいわ」「それじゃ、マルクエンさんのリクエストで肉料理っつーことで!」 飲食店街に行くと、香ばしい肉と香辛料の匂いに誘われ、足がそちらへ向いた。「お、ここ良さそうっすね!!」 マッサが指さすのは焼肉屋だ。「肉を炭火で焼いて、ご飯とモリモリと。最高じゃないっすか!!」「えぇ、そうですね。行きましょうか」 マッサの言葉を聞いてマルクエンも腹がすく。「いらっしゃいませー!!!」 威勢の良い店員の声が出迎えてくれ、4人は席に案内された。「とりあえず焼肉セット4人前と、後はビール3つとリンゴジュース1つで!」 しばらくして持ち運ばれる肉の山と飲み物。ジョッキを手に取りマッサは掲げる。「はい、かんぱーい!」 乾杯の音頭に乗ったのは
Last Updated: 2026-10-29
Chapter: 出発の朝
 酔ったスフィンから軍への勧誘を受けていたマッサだったが、二人ともいつの間にか眠っていたらしい。 隣のベッドで無防備にもスヤスヤ眠る美人に一瞬、良からぬ事を考えたが、ダメだダメだと頭を振る。「何か朝飯でも作っておくかー」 独り言をしてから、マッサは朝食の準備に取り掛かった。 一通りの調理器具と食材はあったので、簡単なスープと目玉焼き。パンを用意して朝食を|拵《こしら》える。 その間に目覚めたらしいスフィンが居間へやって来た。長い金髪がボサボサに乱れている。「あぁ……。おはよう」 昨日のあやふやな記憶のままスフィンはマッサに挨拶をした。「おはようございまーす! 朝飯出来てますぜ」「あ、あぁ。すまないな……」 何だかやけに素直なスフィンにマッサは調子が崩される。 二人は向かい合って椅子に腰かけ、スフィンは目の前の朝食をまじまじと見つめた。「それじゃイタダキマス!」 マッサは元気よく言ってからフォークを持ち、スフィンは無言のまま食器に手を伸ばす。 スプーンでスープを|掬《すく》い、柔らかそうな|唇《くちびる》へと運んで味わった。「美味いな……」「でしょ?」 マッサは得意げに言う。スフィンは黙々とパンや目玉焼きを食べていた。「何かこうして二人で飯食べると、出会った時の事を思い出しませんか?」「あぁ、そうだな」 何だか元気のないスフィンとの会話が耐えられず。無理して|饒舌《じょうぜつ》になるマッサ。「昔のような、最近のような、何だか不思議な感じっすよね」「まぁな」 そこで初めてスフィンは微笑む。思わずその笑顔にマッサはドキリとしてしまった。 その後は特に会話もなく、朝食が終わる。「さーて、あのツンデレカップル勇者様を探しに行きますかね」 マッサは伸びをしてから立ち上がった。「そうだな、行くか」 否定も肯定もせずにスフィンも腰を上げてマッサと共に家を出た。「ほーら高い高いー」 子供を抱きかかえて空を飛ぶラミッタ。「すごーい!!」 目を輝かせて地上を見る子供。別の子供達も早く飛びたいと|羨望《せんぼう》のまなざしを向けていた。「あら、楽しそうですねい」 マッサが笑いながら言うと、スフィンは一瞬だけゆっくりと目を閉じた。「王都へ向かう準備は私達で済まそう」「将軍様もお優しい事で」「黙れ」 マッサは「へいへ
Last Updated: 2026-10-28
Chapter: 迷信?
「あのさ、祭り一緒に踊った男女は結ばれるなんて言ってたけど、くだらないわよね?」「そうか? 村の伝統なのだから否定しすぎるのも良くないんじゃないのか?」 マルクエンからの思いがけない言葉に、ラミッタは小さく声を漏らして顔を赤くする。「なっ、し、信じているの!?」「いや……、ははっ、どうだろうな」 的を射ない回答にラミッタはじれったそうに毛布をぎゅっと握った。「くだらないわ。私たちは敵。今は休戦中だけどね」「敵同士だったら、ダメなのか?」「な、何言ってんのよ!?」 しばらく沈黙が続き、ラミッタが意を決して声を出す。「あ、あんたは、仮に、仮にだけど!! 敵と結ばれるなんてアリだと思っているの?」 答えは無い。その間がラミッタにはとても長く感じられた。「何よ、何か言いなさいよ!!」 まだ答えは無い。ラミッタは心臓の鼓動が高鳴っているのを感じている。 だが、あまりに沈黙が長いので、ラミッタはもしかしてと思い話す。「宿敵、もしかして寝てる?」 返事が無かった。むぅーっとラミッタはむくれて小さく言った。「このド変態卑猥野郎……」 朝になり、マルクエンは目が覚めた。「ふわーあっと」 ベッドの端てすぅすぅ寝ているラミッタを見てマルクエンは微笑んだ。 起こさないように部屋を出て、着替えをし、外へ向かい太陽の光を浴びた。 スフィン将軍とマッサを探すも、まだ寝ているらしい。「勇者様、おはようごぜぇます」 村人の小さな娘から声を掛けられ、笑顔でマルクエンは挨拶を返した。「勇者様、朝ごはん食べたの?」「いや、まだだよ」「私の家で食べていこーよー!!」「いやいや、お嬢ちゃん。それは迷惑だよ?」 マルクエンはしゃがんで娘の目線に合わせて話す。「お願いお願い!! おとーもおかーも勇者様にありがとうって言ってるから!」「それじゃお言葉に甘えて……」 腹が空いていたマルクエンだったので、その誘いに乗ることにした。 家にまで案内され、戸を開けてもらう。「おとー! おかー! 勇者様連れてきたべ!!」 それを聞いて娘の父は飯を吹き出し、母親はスプーンを落とした。「なっ、なっ、ゆ、勇者様!?」「あ、どうも……」 娘の親たちは立ち上がり、頭を下げる。「勇者様!! 本当に村が世話になりまして……」「い、いえ、やめて下さい!!」 マ
Last Updated: 2026-10-27
Chapter: 男女男女
 スフィンによって連れ戻されたマッサはマルクエン達と共に居た。「勇者様方も踊りをどうですか?」 そこへ村人が声を掛ける。「踊りか、楽しそうだな。行こうラミッタ!」「楽しそうだなって楽しんでいる場合じゃないわよ!!」「たまには息抜きも必要だろう?」 ラミッタはチラリとスフィンを見る。「まぁ、どのみち明日までは村の世話になる。暇つぶしにはなるか」「えっ、えぇ、そうですね」 その回答に思わずラミッタは意表を突かれる。「じゃあ行こうラミッタ!」 マルクエンに手を引かれて焚火の前までやってきてしまったラミッタ。 彼の金髪は赤い光に照らされてキラキラと輝いていた。「村の人たちの真似をしてみよう」 そう言ってマルクエンはラミッタと片手を繋ぎ、くるくると回ったり、手を放してから繋いだり。「ちょっ、距離が近いわよ!!」「そうか?」 ラミッタはその長い髪が踊りの軌道を描くようにサラサラと動いていた。「スフィンさん。俺らも踊っちゃったりして?」「お前とか?」 スフィンはじーっとマッサを見つめる。 ダメ元の冗談で言ったので、マッサは笑いながら酒を飲んでいた。「まぁいいだろう」 その言葉にマッサは酒を吹き出しそうになる。「は、はぁ!?」「何だ、自分から言ったのに嫌なのか?」「い、いえ、そんな事は……」「なら行くぞ」 酒が入っているからか、いつもより上機嫌のスフィン。 スラっと長い四肢が可憐に踊り始めた。 しばらくして、踊りが終わると、アザミヤが話掛けてくる。「皆様、踊りは楽しんで頂けたでしょうか?」 そんな問いかけにマルクエンは答えた。「えぇ、楽しめました」「良かったぁ……。あ、そうだ! この踊りに参加した男女は……」 そこまで言いかけて、頬を赤らめもじもじしてから言う。「男女は……。永遠に結ばれるそうです!」 その言葉に固まるマルクエン一同。「なっ!? わ、私!! このド変態卑猥野郎と踊っちゃったわよ!? ハメたわね!? このド変態卑猥野郎!!」「いや、私も知らなかったぞ!?」 見渡せば、周りの男女は良い雰囲気だ。「あちゃー、スフィンさん俺と踊っちゃいましたね?」「フン、そんなの迷信だろう」「冷たっ!!」 マッサはがっくりとしている。「まぁまぁ。そうだ!! 今日は空き家を二つご用意できますので!!」
Last Updated: 2026-10-13
Chapter: 肉食べたい
「心地良いな」 スフィンは満足気な顔をし、目を閉じて湯を感じていた。「えぇ、とても……」 ラミッタもそう返してふぅーっと息を吐く。 そんな、|束《つか》の間の緩やかな時間を邪魔しようとする者が居た。「よし、そろそろ良い頃合いかな?」 湯に浸かって体も温まり、マッサはそろそろ出るのかと思ったマルクエン。「もう出ますか?」「えぇ、そうしましょうか」 そう言ってザバッと湯から上がり、マッサは野風呂を隔てている竹壁へ歩き始めた。「ま、マッサさん? 出口はあっち……」「シー、静かにっす」 マッサは竹壁をくまなく見て回り、ガックリと肩を落とし小声で言う。「女性陣がお風呂を上がるのを待つのは竹壁の前で待つのがベストですぜ!」「な、何を……」「その間……。竹壁の隙間に目を近づけるのはいけないことっすかねぇ!?」「な、何を言っているんですか!?」「だって、隣には美女!! これが覗かずにいられるかってんですぜ!!」 マルクエンは思わず呆れていた。「ダメですよ、マッサさん」「でもマルクエンさんは覗いた事があるんでしょ?」「い、いや、あれは事故で……」「随分と騒がしいな」 隣から突然聞こえるスフィンの声に、マッサとマルクエンはドキリとし、固まる。「あ、あー。スフィンさん?」「貴様らのやろうとしている事など大体|見当《けんとう》がつく。この竹を超えてみろ、命は無い」「そ、そんなことねぇ、するわけないでしょうねぇ!? ねぇマルクエンさん!?」「あっ、あぁ、えぇ!! まさかそんな事……」 男湯から聞こえる声に、ラミッタは赤い顔を湯船に沈めて『ド変態卑猥野郎』と呟いた。 先に湯から上がったマルクエンとマッサは女湯の二人を待つ。 村人から渡された地酒をマッサは飲み、マルクエンは牛乳を飲んでいた。「待たせたな」 スフィンとラミッタが風呂から上がり、男どもの元へと歩く。「命拾いしたな」「し……、失礼ですね覗きの証拠は? 覗き? 命拾い? 何の事です?」「私は何もそこまで言っていないのだが。まったく」 呆れるスフィン。そんな四人に村人から声が掛かる。「皆様、宴の準備ができましたんで、ご案内しますべ」「おぉ、かたじけない」 腹が減っていたマルクエンは笑顔でそう言いながら、村人の後を付いていく。「ほ、ほら、宴ですって! 行きまし
Last Updated: 2026-10-12
Chapter: アザミヤの本音
「あら、死んだかしら?」 これぐらいで魔人が死ぬわけない事を知っているラミッタは、わざとらしく言う。「死ぬわけないじゃーん! どう? 脱出ショーだよ?」「1エンの価値も無いわね」「言ってくれるねー」 ミネスは球を取り出してジャグリングを始めた。「まぁ今日はこの辺でー」 水色と赤色の球をぶつけると、ボンっと大きな音がして一気に煙が辺りを包み込む。 ラミッタが風魔法で煙を吹き飛ばすが、それより早く飛んで逃げて行ってしまった。「またアイツ、厄介な物作ってくれたわね」 剣を仕舞うと、ラミッタは片目を閉じて、ふぅっとため息を漏らした。「アザミヤ……。無事で良かった……」 彼女の上半身を抱きかかえながらタカセは言う。「タカセ、私は……。私はっ……」 自分でもどんな感情なのか分からないが、アザミヤは泣いてしまっていた。「事件が片付いたなら行くぞ。魔物を狩らねばならん」 そう言ってスフィンはタカセとアザミヤに背を向けて歩き始める。「そうですね、将軍」「あのお二人は良いのか!?」 マルクエンは心配そうに横目で見ていたが。「良いから来なさい」 ラミッタに言われ、後ろ髪を引かれる思いでその場を後にする。 勇者も聖女も消え、残された二人は言葉を交わす。「タカセ、私の本音聞いちゃったよね。私、最低だよね」「そんな事はない。お前はずっと足を失った俺の世話をしてくれた」「その原因だって……。私たちを守ろうとして、それで……」 アザミヤは目に一杯の涙を貯めて言う。「違う。俺が不甲斐ないだけだった」「だけどっ!!」 アザミヤの言いかけた言葉は、タカセによって遮られた。「お前の気持ち、聞けて嬉しかったよ」「だけど、だけど!! 私にタカセを好きになる資格なんてないっ!!」「アザミヤ。俺も自分の気持ちに嘘はつかない。俺は多分……。いや、お前の事が好きだ」 思わぬ言葉に固まるアザミヤ。「でもな。俺は冒険者の夢も諦めきれない。だから、答えはもう少し先延ばししてもいいか?」 笑顔を向けてタカセは言った。色々と言いたい言葉があったが、詰まってしまったアザミヤは一言だけ頷いて返す。「うん!!」 村長に事の|経緯《いきさつ》を説明し、魔人がらみの事に巻き込んでしまったことを詫びるマルクエン。「私達が訪れた事でご迷惑をお掛けしました」「いえ
Last Updated: 2026-10-01
裏庭が裏ダンジョンでした

裏庭が裏ダンジョンでした

 結界で隔離されたど田舎に住んでいる『ムツヤ』。彼は裏庭の塔が裏ダンジョンだと知らずに子供の頃から遊び場にしていた。  裏ダンジョンで鍛えた力とチート級のアイテムと、アホのムツヤは夢を見て外の世界へと飛び立つが、早速オークに捕らえられてしまう。  そこで知る憧れの世界の厳しくも残酷な現実とは……?
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Chapter: 災厄の壺 2
 ムツヤが走る先には、またキエーウの連中がいた。剣を抜いて応戦をする。 1人あたり3秒もかからず次々にムツヤは敵を倒す。だがそこに、鎖とトゲ付きの鉄球が飛んできた。 ムツヤはこの攻撃を知っている。バッとその飛んできた方向を見ると本を開いた女が1人。 モモの持つ無力化の盾と同じものを構えて鉄球に備える。 飛んでくる鉄球を受け止めようとした瞬間、それは急上昇し、螺旋を描きながら落ちてきた。「ぐっ」 その軌道はムツヤの動体視力を持っても受け止めるので精一杯だ。体に直撃はしなかったが、危ない所だった。 あの鉄球使いの女は前に会った時よりも確実に成長をしている。一気に距離を縮めるのは危険だ。 ムツヤがどうしようかと考えている所にアシノ達が到着をした。 モモを見るなり、鉄球使いの女は激昂する。「醜い豚め、また会ったな。今度こそ殺してやる!!」 挑発に乗らずに冷静にモモは言葉を返す。その間も女は鉄球を生き物のように目の前でブンブンと振り回している。「何故お前はそこまでオークを憎む」「ハッ、他のキエーウのメンバーと同じよ、私の家族は醜い豚の盗賊団に殺されたわ!!」 その生い立ちを聞いてモモの頭にリースの姿が思い浮かんだ。 オークは人間からの差別が未だに酷く、盗賊や強盗といった犯罪に走る者も少なくない。「それは本当に気の毒だと思うし、申し訳ないと思う。だが亜人を皆殺しにするのは間違っている!!」「黙れ!! お前達は皆殺しだ!!」 そう言って女は鉄球をモモの元まで飛ばす。隙きができたとムツヤは女に飛びかかろうとするが、なんと鉄球がもう1つ飛び出してきた。 モモもムツヤも無力化の盾でそれを受け止めた、早く倒さなければキエーウに取り囲まれてしまう。「私がムツヤ殿の背中を守ります」「それしか無いか……」 モモが言うとアシノも苦渋の決断をする。危険だが、確かにあの2つの鉄球相手にはそれしか方法が無いだろう。 ムツヤの元へ走るとまた鉄球が飛んできたが、盾で防ぎ、ムツヤと背中合わせになる。「モモさん! ありがとうございまず!!」「いえ、私の命に変えてもムツヤ殿はお守りします」 モモは一度だけ振り返りムツヤに言った。「ふざけるな!! 糞豚がァァァァ!!!!」 2人は遅い来る鉄球を無力化の盾で防ぐ、しゃがみ込んで盾に身を隠し、ジリジリと女のもと
Last Updated: 2026-10-29
Chapter: 災厄の壺 1
 最後の訓練が終わった翌日、ムツヤ達はエルフの村を出る。 出発の前に全員でリースの墓参りを済まし、村のエルフ達にも礼を言った。「皆さん、どうかご武運を」「あぁ、世話になったなカノイ」「また来るわよ!!」 ルーはそう言って親指を立てる。「お世話になりまじだ!」「カノイさん、また!」 ムツヤとユモトも別れの挨拶を済ましたのを見てアシノは言う。「それじゃ出発するぞ」 その言葉を聞いてモモは馬車を走らせる。後ろではたくさんのエルフと冒険者達が手を振ってくれていた。 あのエルフ達を守るためにも災厄の壺を叩き壊さなければならない。 ここから北西に約50キロメートル。そこに災厄の壺がある。 馬車の中ではムツヤが探知スキルを使って裏の道具を持たない敵への警戒をしていた。 意外にも敵は1人も現れずに1日が終わった。いつも通り野営の準備を進める。「妙だな、まだ敵地から遠いからか……」 アシノは何か胸のざわめきを覚える。キエーウは足止めよりも本拠地を守ることを優先しているのだろうか。「アシノー、ごはんよーごはん!」「わかった、今行く」 そんなアシノを遠くから見つめる影があることを、誰も気づけていなかった。 腹が減っては戦はできぬとは言ったものだが、逆に腹がいっぱいでも戦はできない。 人間、食べた直後は動きが鈍るのだ。「ごちそうさまでした」 皆がユモトの手料理を堪能した後、ムツヤはハッと気がついた。「誰かが、いや、たくさんこちらに向かってきていまず!!」「やっぱりか」 アシノの嫌な予感は当たってしまう。探知盤にも裏の道具の反応が四方から集まりだす。「ムツヤ!! 北西から時計回りに敵の数を減らしていってくれ!!」「わがりまじだ!!」 そう言い残すと次の瞬間ムツヤは風のように消えた。「私達は馬車に乗ってムツヤの後を追うぞ!!」「はい!!」 モモが返事をして馬車に乗り込む。このままここに残れば四方から攻撃を受けてしまう。 移動しながら戦ったほうが安全だとアシノは判断する。「ルー!! 弱いやつでいい、精霊をここに残していってくれ」「任せて!」 牽制と偵察用の精霊をルーは召喚した。そして馬車を走らせる。 その頃、早くもムツヤは接敵していた。 キエーウの仮面をかぶる者達が次々と押し寄せ、ムツヤを見るなり剣や槍を構えて襲いかか
Last Updated: 2026-10-28
Chapter: 修行生活 4
 そんな飲み会があった次の日の朝、モモはいつもの様に皆よりも早く起きた。 日課となっているリースの墓参りだ。村外れの墓地まで長い髪を揺らしながら歩く。「おはようございます、モモさん」「あぁ、おはよう」 宿屋の娘カノイと出会った。手には花を持っている。 カノイはこうしてたまに、先祖の墓と一緒にリースの墓にまで花を添えてくれていた。「いつもありがとうな、カノイ」「いいえ、私に出来るのはこれぐらいですから」 そう言ってカノイはフフッと笑う。モモはリースの墓の前で両手を組んで祈りを捧げた。「いつも訓練お疲れさまです、きっとリースさんも見ていてくれてますよ」「……あぁ、そうだな」 目を開けるとモモは返事をした。そのまま訓練をしている平原へ行って素振りをする。 一刻も早く強くならなければならない、守られるのではなく守るようになれるようにと。 しばらくすると仲間たちがやってくる。「いつも感心だなモモ」「やる気がみなぎっちゃってますねー、若いって良いわー…… って誰が若くないじゃ!!」「お前は黙ってろ」 ルーのノリツッコミをアシノは適当に流す。「おはようございます、モモさん」「おはようございまずー!」「おはよう、モモお姉ちゃん」  ぞろぞろと朝の挨拶をする仲間たちを見てモモも挨拶を返した。「えぇ、おはようございます」 今日も訓練が始まる、残された日はあと10日だ。 災厄の壺が発動するまで8日間になった。今日は最後の訓練である。 アシノが最初言ったように付け焼き刃ではあるが、モモもユモトもだいぶ成長していた。「今日は本気出しちゃうから怪我したらごめんね!!」 ルーはいつもより強めの精霊を召喚する。今日はルーも訓練する側ではなく、精霊を操ることに専念した。 3体の精霊がモモに襲いかかるが、まず1体を斜めに切り上げて倒し、剣を振り上げたまま走り次の1体を倒した。(一撃一撃の威力が重くなっているな) アシノは感心してモモを見つめる。最後の1体は真横に斬り捨てた。 エルフ衆の矢がモモを狙って飛んでくる。すかさずユモトは防御壁を張った。 始めは目の前にしか張れなかったそれも、10メートルぐらい先になら展開できるようになっている。 自身とモモを防御壁で守りながら、ユモトも魔法の氷柱で精霊を貫き、数を減らしていく。 20分ほど戦
Last Updated: 2026-10-27
Chapter: 修行生活 3
 そんな訓練を朝から夕方までやった。皆ヘトヘトになって宿屋へ戻る。 そして、とある問題がもう1つ起きていた。エルフの若い衆と冒険者が飲み屋で話をしている。「さて、第2回勇者様パーティーの推しを語る回を始めたいと思います」 湧き上がる拍手。そう、ファンが出来てしまっていたのだ。「はい、やっぱり小さい背丈と大きな胸がギャップのルーさんが最強だと思います!」 エルフが手を上げて高らかに宣言する。「お前、本当ロリ巨乳好きだよな」「いやいや、あの身長であの胸は反則だろ!! しかも子供っぽい性格がまた良い!!」 頷く者たちがチラホラと居た。そこでまた別の冒険者が話し始める。「やっぱり僕は、王道を往くモモさんだな。礼儀正しく、強く、美しく、健康的な体!! 冒険者の鑑だろう」「それは一理ある」 またウンウンと男たちは頷く。「俺はアシノ様だな、勇者だってのに偉そうにしないし、たまに笑う時があるんだけどそれが可愛いんだ」「なにそれ俺も見たい!!!」 羨ましがる声が上がった。そこでまた手が上がる。「ヨーリィちゃんも良くない? 何か不思議な感じとお人形さんみたいな完成された可愛さが!!」「わかる」 っとそこで、酒を飲んでいたエルフがふと声を出した。「おいおいおい、お前らユモトさんの事を忘れてねーか?」 そこでどよめきが起きる。「お前知らねーのか? ユモトさんは男だぞ!?」「男だったら何か問題でもあるのかよ!?」 それは…… と言い掛けて声が止まってしまった。「可愛いけど男、男だけど可愛い、その脳を混乱させる所が良いんじゃねえか」「そりゃあ、分からないことも無いけどよ……」 確かにユモトは可愛い。 奥ゆかしいし、顔も可愛いし、いい匂いもする。「愛があれば種族も性別も関係ない、そうじゃねーのかよ!!」 そう熱く語るエルフ。それを聞いて男たちは感動で涙を流していた。「そうだ、大事なのは愛だ、俺達が間違っていたよ……」「分かれば良いんだ……」 その話題の勇者アシノ達は羽根を伸ばそうとして飲み屋の外に居たが。「今日ここに入るのはやめておこう」「え、えぇそうね、他のお店にしましょう!!」 先頭で騒ぎを聞いていたアシノとルーはそう提案をする。それをユモトは不思議そうに首を傾げて聞いていた。 もう1軒ある飲み屋へとやってきたムツヤ達は
Last Updated: 2026-10-13
Chapter: 修行生活 2
 エルフの素朴な村を夕焼けが赤く照らしている。ムツヤ達はまだ外で訓練をしていた。「よし、そろそろ今日は良いだろう」 やっと終わったとモモは深く深呼吸する。 ユモトはその場にへたり込んでしまう。「よーし、帰るわよ!! 宿屋でお風呂に入ってご飯とワインで優勝していくことにするわよ!!」「ま、待って下さい」 ユモトは座り込んだまま動けなくなっていた。あちゃーとルーは額に手を当てる。「魔力切れね、ムツヤっちー背負ってユモトちゃん運んだげてー」「わかりまじだ」 疲れの1つも見せずにムツヤはユモトをヒョイッと背負って歩く。「すみません」「いえ、良いんですよ」 その様子をじっと見るモモに向かってルーはにやりと笑い。「モモちゃんも動けなくなるぐらい修行頑張ればムツヤっちにおんぶして貰えるかもねー」「な、何を言ってるんですか!!?」 そんなやり取りを見てアシノは笑っていた。それが珍しくて思わずモモは振り返る。「ま、何事も頑張ってみることだな。やらなきゃ分からないんだ。やるしかない」「アシノ殿まで……」 先に行って歩いているムツヤの背中でユモトが話をする。「なんだか僕ムツヤさんにおんぶされてばっかりですね……」「そんな事ありませんよ」 そうは言われても今だっておぶさっていた。いつかこの背中を僕が守るんだとユモトは固く決意をする。 翌日、皆は見事に筋肉痛だった。「もうマヂ無理…… 腰痛い、足痛い、腕痛い、フラフラするー!!!」 ルーは喚いていたが、アシノに飲めと言われてムツヤの薬を飲まされる。言ってしまえばドーピング的な修行方法だった。「確かに体は楽になったけど!! メンタル面が!! メンタル面が辛いのよ!!」「うるさい、ギルドの幹部になったからって修行をサボってたツケだ」 皆で仲良く昨日行った訓練をまた最初からやる。走って素振りして実戦訓練をして。 そして、あっという間の10日間だった。「モモ、だいぶ攻防戦が良くなってきているな」「はい、ありがとうございます!」 アシノが指導しているモモは中々に上達をしていたようだ。「ユモトちゃん、だいぶ魔力の加減が分かってきたわね」「はい、ルーさんのおかげです!」 ユモトも、午後訓練をしても動けなくなる事は無くなった。 体力が上がって基礎魔力が上がったのもあるが、魔力の無駄遣い
Last Updated: 2026-10-12
Chapter: 修行生活 1
 エルフの村へしばらく滞在させてもらうことを村長と宿屋の主に報告すると、快く受け入れてくれた。 早速アシノとルーの指導の元で特訓が始まる。「まずは自分自身が強くなることが第一だ。その後に仲間同士での連携を取る練習をする」「はい!」「基礎体力づくりと言ったら相場は決まっている」 皆は動きやすい格好に着替えて村外れに集合していた。「走るぞ!」「ちょ、ちょーっと待ったアシノ! なんで私まで走るの!?」 ルーはここまで着いてきて待ったをかける。「ルー、お前も研究だーって言って運動不足だろう?」「いや、確かにそうかもしれないけど!」「研究はギルスに任せておけ、苦楽は共にしよう。私達、仲間だろう?」 アシノが笑顔で言うとルーはガタガタと震えていた。 走り込みをすると、案の定最初に音を上げたのはルーだ。「もうらめぇ…… 死んじゃう……」「お前なぁ……、最近まで寝たきりだったユモトでさえまだ頑張ってるんだぞ!」 ユモトも苦しかったがハァハァ言いながら走っている。「だって疲れるし胸も痛いんだもん、アシノと違って大きいんだもん!! 邪魔なのよ!!」 瞬間、アシノの何かが切れる音がした気がして、皆はピューッと走って逃げていった。「え、アシノ? ちょっ、ワインボトルは駄目、ワインボトルは駄目だって!! ちょっと皆!? ヘルプミー!!!」「ずびまぜんでじだ!!」 泣きながらルーはアシノに謝っていた。その間も皆は走り続ける。 ムツヤは汗の1つも流さずに先頭を走り、次にヨーリィも表情1つ変えずに走っていた。 この2人は走り込みをする意味があるのかと疑問に思うモモとユモトだったが、それぞれ精一杯ムツヤに着いて行く。 モモは体力があるので余裕があったが、ユモトは遅れ気味だった。その後を涙と鼻水を垂らしながらルーが走っている。「よーし、走り込みはここまで」 そろそろ良いだろうという頃合いでアシノが号令をかける。 助かったーとルーは倒れ込んでハァハァ言っていた。「次は武器の素振りだ」 それを聞いてまた絶望した表情になるルー。プルプル震える足で逃げようとするがアシノに襟首を掴まれてしまう。「私は召喚術師だから!! 素振りとか無いから!!」「敵が接近してきたとっさの時に必要だろう? 師匠から習わなかったのか?」 アシノの笑顔にひいぃと悲鳴を上
Last Updated: 2026-10-01
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