Chapter: 第9話 カフェデートの続きは、玄関で♡ ① ボクは初デートから智也くんと近所へ買い物や出掛けたりするようになった。楽しいことが沢山増えていくこととは別に、最近気付いてしまったことがある。 今は一緒にカフェに来ていた。 夜に似合う落とした暖かみのある照明に、リラックス感ある二人掛けソファーに深く座って、智也くんは白いカップに入ったコーヒーをゆっくり口に運んだ。 こういう場所でボクは飲み物も食べ物も頼まないことにした。ボクが口にして、周りからどう見えるのか分からないからだ。気味悪く思われることもあるのかもしれないし、もしかしたら智也くんがおかしい人と思われてしまっても困ると思った。 智也くんも気を使ってくれてか、コーヒー一杯だけにしたり、帰りがてらボクの分をテイクアウトしてくれたりする。 こういうお店に2人で入ってみたいと言ってるのは大抵はボクだった。デートらしい場所に憧れがあったんだと思う。 でもたまに、今起こっているようなことがある。 「あのぅ、お一人ですよね…。僕と少しお話ししませんか?」 小柄で可愛らしい男の人が智也くんに話しかけ、返事も待たずに智也くんの隣に座った。ボクの上に座られそうになってボクは思わず立ち上がった。 その人は間髪入れずに話を続けた。 「この前もこのお店で見かけて、今日またお見かけしてやっぱり、どうしてもお友達になりたくて…」 そう言って、智也くんの手に触れようとした。 智也くんはさっと手をどけ、小さな声だが、威圧した低い声を出した。 「ナンパ?セクハラ?どっちにしろ興味無いから他あたって。気分悪いわ」 その男の人は青い
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-20
Chapter: 第8話 愛とカラダで越える境界線♡ ⑤ 「気持ちいいね、智也…。でも、まだ終わらせないよ。そんな顔して…智也の中でイクからね…」 そう言って、イったばかりの智也を容赦なく突いた。 「ッッ!!トラッ!ダメ!中イッてるから、あああっっ!こんなのムリっ!ッッ!おかしくなるッッ!はぁーーんッッ…ンッッ!!」 「あっあっ、智也、ボクでおかしくなって…、壊れていいんだよ…」 ボクはそのまま智也の中で強く脈打ち、昂《たかぶ》りの全てを最奥に放った。 痙攣させた智也の身体にキスを何度も落とし、お互いに荒い息遣いのまま深く唇を重ねては、甘い余韻に浸った──。 その後、眠そうな智也くんを腕枕しながらゆっくり髪を撫でる。 「…智也くん気絶しなかったね、物足りなかった…?」 「バッカ、アレで物足りないとかヤバいだろ!それに、今までも1回で気絶した覚えは無いからな」 「智也くん、最近どんどん感度が上がってるから、きっともうすぐ1回でも気を失っちゃうかもね。…それにしてもさ、ボクに抱かれてる時の智也くん、仕草も喘ぎ声も何であんなにいやらしくてカワイイの!」 「ははっ、カワイイかは知らないが、そりゃ好きな男に抱かれてんだからさ、そうもなるし、そう見えるんじゃねぇの」 智也くんは頬を赤らめてボソボソと話した。 「赤くなっちゃってかわいい!また抱きたくなっちゃうな…」 そっと肩をなぞるとピクリと小さく跳ねたのが分かった。 「少し休んでからならな」 「そしたらさ、昨日届いた『インキュバス』の格好して!絶対似合うから!淫紋のタトゥーシールと、シッポも付いててね、シッポはオシリに刺すんだよ!」 「今日のトラの目的はインキュバスだったな?」 「目的じゃないよー。だって、猫ちゃんのコスプレもあるし、逆バニーもあるし、メイドさんに、チャイナドレスに、他も選べるよ!」 「お、オマエいつの間にそんなに買い込んでんだ」 「智也くんが着てるの想像したら止まらなくなっちゃった!へへへっ」 「『へへへっっ』じゃないわ!」 「じゃ、先ずはインキュバスからね!」 「順番あるんか!?」 「インキュバスの次は、メイドさんかなぁ…!今夜は耐久戦だ!」 智也くんはやれやれなんて顔をしながらも、楽しそうに笑ってくれる。 運命みたいに出逢ってしまったボクたちは、ただ笑って幸せであってもいいよね? そう智也
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-19
Chapter: 第8話 愛とカラダで越える境界線♡ ④***** お互いの体温を確認するみたいに素肌を重ね、触れていく。 ただ優しさだけで出来てるみたいに求め合い、唇を重ねる。 そしてボクは、智也くんの筋肉質な胸や腹に、数え切れないほどのキスを落とす。 「トラ、オレはガラス細工なんかじゃないぜ。オマエがどんな風に抱こうが、オレは受け止めるからな」 「…智也くん…」 ボクはその言葉に、智也くんを強く抱き締めた。 身体の芯がじわりと熱を帯び、抑えていたものがほどけるような感覚がした。 「…どんなボクでもいいんだね…」 智也くんの顎を指先でゆっくりと上向きにした。 急に鋭くなったボクの眼光に、智也くんは甘く蕩けるような目を向けた。 「すぐそんな顔しちゃうんだね、智也可愛い…。舌出してごらん」 智也は素直に舌を差し出す。絡めて吸ってやるだけで、身体が小さく震えた。 そのまま口の中に数本指先を突っ込むと、必死に舌を絡めてくる。 唇を首筋から胸へと這わせ、乳首を甘噛みしては舌先でなぞるたび、切ない声を零す。 苦しさも痛みも快感も、全てを拾う智也が愛おしい。 ボクは夢中でその肌に、赤紫の痕を刻んでいく。 「…ボクだけの智也…」 「…全てオマエだけのために、オレは存在してるから…」 その言葉にもう止まれなかった。 気付けば、智也の奥まで深く求めていた。 「…トラっ、ああっんっっ、トラ…」 ボクが奥を突く度に顔を歪ませ小刻みに震えながら悶えている。 「…あっあっ、ボクの仔猫ちゃん、こんなに震えて…ほんと分かりやすい子…。もっとぐちゃぐちゃにしてあげるよ…」 智也の両手を押さえつけ、激しさを増すと、声にならない呻きが漏れる。 「……ボクでイク顔、ちゃんと全部見てあげる」 「ンッンッッ!トラ、イク、イッちゃうッッ!!」 「教えてくれて偉いね。ほら、いいよ、イケ!」 強く押し込むと、智也の全身に力がぐっと入った。 「あっあっ!ンッンッンッッ…」 智也は白濁を吐き出し、腰を揺らしたまま快感を何度も反芻するみたいに震えている。
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-18
Chapter: 第8話 愛とカラダで越える境界線♡ ③「オレはオマエのモンだし、オマエはオレのモンだ。『境界』なんてありはしないし、あったとしても、そんなのクソ喰らえだっ」 「…だって、よく分からないけど、でもその感覚を感じる…。智也くんに何かあったら怖いよ…」 「ふははっ、そんなん、一緒に燃えて灰になろうが、虎と少年の話みたいに、トラとオレが溶け合って、バターになったっていいぜ」 ボクは小さくうなづいた。 「何度オマエとオレは死んでも一緒だって言えば分かるんだよ。オレの愛しのメンヘラちゃんよぉ」 わざとおちょくるみたいに笑って言って、ワシワシと撫で回された。 「でもね…、もしもボクが智也くんの命を奪ってしまうなんていうのはイヤだ。色情霊が精気を奪っていくなんて話もある…。智也くんが大事だから…」 「オレからしたら、心も体も、生気奪われて死ぬなんてほどヤワには出来てねぇ!なんなら、トラの作る栄養バランスの良い飯食うようになってすこぶる調子いいぜ。潰れるほどエッチして筋肉マシマシになったまである」 「え…?ええ!?そ、そうなの…?」 「そ!そんなスーパーマンみたいなヤツとトラは付き合ってるってワケ!」 「ボクたち幽霊とスーパーマンのカップル?ゴジラvs《たい》メカゴジラみたいな感じ?」 「オマエ響きだけで言ってみたよな?それになカップル表記としては『vs』じゃなく『×』だな。この場合メカゴジラが受けやな」 「智也くん、ボクの適当な言葉分析しすぎ、ふふふ」 「はい、トラの笑顔ゲットだぜっ!」 「今度はポケモン?ふふふふ」 「…まぁ、何度だって教えてやるよ。トラとオレの間に境界も壁もなんも無いってこと、忘れんなよ。赤線引っ張っとけ!」 智也くんにかかったら、幽霊であることなんて本当に何でもないことなんだと思う。 ボクの不安も心配も小さな埃のように払われてしまう。 「ここまで男らしい人が恋人だと、ボクが智也くんに抱かれてもいいかも…」 「オマエは何を血迷ったこと言ってんだ。オレの辞書に突っ込むという文字は無いからな」 「幽霊さえも超越してるのに、そこはしないんだね。ボケにはすごい突っ込むけどね、ふふふ」 「オレが苦節何年突っ込まれたいと願ってきたことか…っ。まだネコを超越するほど突っ込まれて無いわ!まだリバの境地には辿り着かんね。一生その境地には辿り着かんかも…。一生どネコ宣
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-17
Chapter: 第8話 愛とカラダで越える境界線♡ ② その後もボクは智也くんが取り付く島もないくらいに、忙しく食卓の準備をした。 触れられそうな瞬間瞬間にヒラリと方向転換する。 それでも智也くんはキッチンに立つボクに何度も纏わりつこうと、ボクの周りでウロウロしていた。 「智也くん仕事疲れたでしょ。座って待ってて」 「なぁ、トラ、どうした?」 テーブルに箸を置いたその手を智也くんが掴んだ。 「…な、何が…」 「何がじゃねぇよ。オレのこと避けてるよな。それも今日だけじゃない」 真っ直ぐな眼差しが痛いくらいだった。 「そ、そんなことないっ…」 「オレの目は、随分と節穴だと思われてんだな。一昨日の影山くんと会った後からだ」 「……そうかな……」 ただ、ボクを真っ直ぐに見つめる目をボクは見れなかった。 「トラ、こっち見ろ」 強く握られた手から逃げられなかった。ボクを繋ぎ止めようとするその手は、ボクだけを求めているのを知ってるから…。 「……」 「オマエなぁ〜、オレを差し置いて、誰の言葉を信じてるんだよ。ほら、ここに来い」 智也くんは座っている脚を開いて、脚の間のラグを掌でダンダンと叩いた。 握られた手を引っ張られ、ボクは子供みたいに膝を抱えてそこに座った。 背後から優しく包まれるように抱き留められた。温かさが背中に沁みてくる。
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-16
Chapter: 第8話 愛とカラダで越える境界線♡ ① ボクはあの影山さんが言っていた言葉が心に引っ掛かっていた。 『境界が曖昧になる』 この意味は感覚としてだけれど、分かる気がした。 ただそれがあることで、ボクは智也くんの前に存在しているのではないかとも思えた。 でも、それが智也くんにとって危険になりうることなのか?正直分からない。 そんなことをぼんやりと考えながら夕飯を作っていると、玄関が開いた。 「ただいま〜、トラちゃん」 「おかえり、智也くん」 「お?いつもみたくワンコの如く飛びついて来ないのか?どした?」 そう言って、不思議そうにボクを見た。 「ひっくり返さないと焦げちゃうから」 ボクは目を合わせないまま、フライ返しでハンバーグを返した。 「おーー!ハンバーグじゃん!最高!」 智也くんは背後からボクの腰に手を回してフライパンの中を覗き込んだ。 「そんなに顔近づけたら危ないよ。もう少しで出来るから、手洗っといで」 「その前に、おかえりのチュー」 智也くんは目を瞑ってキス待ち顔になった。 「手洗いうがいしてからね」 ボクは智也くんの体をグイッと押して促した。 「えー!なんだよー、いつもならそんなことお構い無しにチュッチュッするくせにー」 「か、風邪流行ってるんだって」 「へぇー、幽霊も風邪とかひくんかね?今日は焦らす気かな
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-15
Chapter: karte 3 : 一緒に歩もう・後編(最終話)3 ボクはその後目指していた大学の獣医学部に合格した。いつか颯真さんと動物病院を開くための、夢の第一歩だった。 そして高校卒業のお祝いにと、颯真さんが卒業旅行をプレゼントしてくれた。 雲ひとつない青い空に青い海、ボクたちを乗せたフェリーは白い波を立たせながら佐久島へ向かった。 春の太陽に、颯真さんの笑顔が眩しかった。 港へ降り立つと解き放たれた心地良さに二人して深呼吸をした。穏やかな潮の香りが心をくすぐった。 すると颯真さんはご機嫌に口を開いた。 「ほ〜らね、どうよ、この天気!」 「…自分の手柄にしないでください。ボクも晴れ男です」 ボクも調子に乗って得意気にふふんと返した。 この自然豊かな小さな島は徒歩でも半日もあれば回れてしまう。その至る所にアート作品が点在していて、それも楽しみだった。 港から少し歩くと〈おひるねハウス〉が見えた。それは9マスで仕切られた黒い額縁のような造形物でハシゴで登れるようになっていて、ボクははしゃいでするりと潜り込んだ。 「颯真さんも来て!」 そう声をかけると、ニコニコしながら颯真さんはやってきて、その小さな四角に二人でゴロリと横になった。 目の前はブルーの海と空だけ、颯真さんとボクだけだった。息を飲む美しい景色に見とれながら、ボクたちの存在も溶けて同化しているような、そんな場所だった。ひっそりと重なるボクたちの鼓動と波音だけがうるさいみたいだった。 お互いの体温に動けなくなっていた。限界だと思った。 「誰か来たらやばいですね」 「うん…男同士ここで密着してるの、結構ハイリスク」 二人して苦笑いをしてその場を後にした。 島の小道を探索するように並んで歩く。木々のトンネルに古民家の集落。不思議なくらいにボクたちだけだった。時折出会うのはお昼寝中の猫や石垣の間をすり抜けていく猫たちくらいだった。僕たちだけの島みたいで、贅沢な時間だった。 颯真さんは猫や風景に気を取られていたけれど、ボクは颯真さんと二人きりのデートだと思うと胸の高鳴りが抑えられなかった。時々肩を寄せては、ボクのこの空いている掌に気付かないかと一人ドキドキしていた。 いつまで経ってもボクの右手に気付かない颯真さんに痺れを切らして、ボクは小さなため息とともにそっと颯真さんの手を握った。 やっと
Zuletzt aktualisiert: 2026-06-29
Chapter: karte 3 : 一緒に歩もう ・前編1 穏やかな青い海、波の音と潮風が通る道。僕らの毎日がここにある——。 ここは『あおぎり動物病院』。兄弟二人で開業している。 マスク越しのキスを思いっきり目撃されてしまった院長・|颯真《そうま》と副院長・|碧玖《りく》は、もう誤魔化せないと思い看護師・ユリちゃんに事情を話したのだった。 「──で、入籍されていて|夫夫《ふうふ》としての義兄弟だったんですか!?」 ユリちゃんは院長・副院長と膝を突合せ冷静に話を聞いていた。 「そうなんですよ、ユリちゃん…」 院長は少し心配そうな顔をしていた。 「………」 マスクから見える副院長の目は、そこだけでも充分に分かるほど落ち込んでいた。どんな捉えられ方をするのかと、怖さを滲ませていた。 「……事情は分かりました。お話していただいてありがとうございます。……あの、一つ言うなら、デキているのはとっくのとうにバレていましたよ!!」 ばーーんっ!! これでもかという力強い答えが返ってきたのだった。 院長も副院長も驚きのあまり目をぱちくりさせ言葉が出なかった。 「…安心してください。私も、ナミちゃんもアイちゃんも、ここの看護士全員腐ってるんで!あ、もとい、恋愛に性別は関係無いと思っているので、|無問題《モーマンタイ》です」 「え、えーと、腐ってる?モーマンタイ…受け入れてくれてるってこと」 「はい。受けれるも何も、幸せな人の恋愛に意見するなんておかしいですよね?」 「良かったです。ほっとしました」 碧玖は胸をなで下ろした。 「ありがとう、ユリちゃん」 颯真もほっとして緊張が緩んだ。 「さ、先生方、患者さんがお待ちです」 ユリちゃんは颯爽と受付に向かった。 「…ふぅー、どうなるかと思ったけど良かった」 「本当に。ほっとしました」 二人は支え合うように、力が抜けたお互いの身体を抱き留めた。 ──ほんの一歩だけれど、ボクたちが夫夫として当たり前に受け止められた温かい場所は、ボクたちのすぐそこにあった。 不安に枕を濡らしたあの頃のボクに教えてあげたい。 君の未来は幸せに溢れているよって。 2 「おおー!お帰り、朝帰りの碧玖クン!ハジメテどうでした〜??」 颯真さんとの初デートでそのまま一泊して寮の部屋に戻った時、先輩が冷やか
Zuletzt aktualisiert: 2026-06-29
Chapter: karte 2 : 秘密は、休憩時間に ④4 掛けていたアラームが鳴り、ボクと先生は眠い目を擦り少し|微睡《まどろ》む。 先生はボクを抱き寄せて、唇を重ねる。 「…あ、先生、今日はもうあと3回しかキス出来なくなっちゃいました…」 ボクと先生は、あのファーストキスの日から守っているジンクスがある。 「…え〜、キミちゃんと数えてたの?」 「当たり前です。先生に教えてもらった大事なジンクスですから」 「……教えるんじゃなかったなー、こんな真面目さんに…」 先生はちょっとおどけながら困った顔をしていた。 「…付き合った最初の年は、キスは1日10回。次の年は11回。…先生とボクは今年で1日23回です。これを守ってると、絶対にお別れしないんですよね?」 「…うーん、でもさ、守らなくても、キミとボクなら別れるなんてことあるわけないでしょ?」 「………そうですけど……」 ボクの不服そうな様子を見て、先生は提案した。 「…わかった。いい方法がある。今は、あと1回だけキスをしよう。じゃあ、僕に任せて」 そう言うと先生はボクにキスをした。 ボクを深く強く求める長いキスに頭の芯が蕩け、身体が熱かった。 長い間唇を重ね名残惜しく唇を離した。 とても長い1回のキスだった。 二人して息が上がっていた。 どれだけ深く求めてもキスだけでは切なくもどかしさが募る…。 すると先生がその先も求めるように、ボクの首筋にキスをした。 「……唇意外なら、数には入らないでしょ?」 そう言うとボクの身体に何度も優しくキスを落とした。 それからボクたちは、お互いの身体の隅々まで慈しむようにキスを贈りあった───。 午後の診察時間に間に合うギリギリにセットした最後通告のアラームが鳴った。 「この続きは今夜しようね、碧玖…」 そう言って先生はボクの唇にキスをした。 「あぁ!先生、今日はもうあと1回しか出来ないです…」 「大丈夫、夜中の12時を回ればまた一から数え直しでしょ?」 先生と顔を見合せて笑いあった。 「……先生、ボク、キスを数えるのやめようかな…」 「うん、随分前から僕達にジンクスなんていらないでしょ?僕と碧玖で叶えていけばいいだけだよ」 「…はい、一緒に叶えていきます」 「よし、碧玖おいで」 そう言って、ボクを抱き締
Zuletzt aktualisiert: 2026-06-29
Chapter: karte 2 : 秘密は、休憩時間に ③*** そして日曜日、お見合いから2ヶ月以上経って初めてのデートだった。 ボクは高校の正門前で颯真さんの迎えを待っていた。 ボクは首の開いたTシャツに黒スキニー、髪型はウルフカット。ちゃんとその頃の流行りを抑えていた。 待っている間落ち着かず、もしかしたら連絡が来てるかもしれないと思い、何度も携帯電話を確認する。空港から車で迎えに来てくれると言っていた。 間もなく、颯真さんが迎えにきてくれた。ボクは嬉しくなって手を振った。 促されて車の助手席に乗ると挨拶半分で言われた。 「お見合いの日は袴だったけど年相応でいいね」 「…それ、子供っぽいってことですか?」 ボクなりに背伸びをしたつもりだったのに、年相応と言われるのはちょとがっかりした。 ボクの頑張りは伝わっていないのかもしれない…。 でも、颯真さんは微笑んで嬉しそうだった。 「音楽何が好き?」 「ボクより、颯真さんが好きなの知りたいです」 「じゃあクラッシックね」 「えっ…」 ボクは一瞬困惑した。 クラッシックなんて聴いたりしていない…。やっぱり大人って違うのだろうか? すると颯真さんはニコニコ笑いながらボクを見た。 「なーんて、ほんとはGRe〇〇eNだよ!」と言ってボクの困惑顔を笑った。 ボクは颯真さんの笑顔が嬉しくて笑った。 颯真さんはドライブデートらしく、流行りの曲を用意してくれていた。 窓から入る爽やかかな夏の北海道の風はボクの緊張を解き、軽やかな笑顔を引き出してくれた。 目指すは札幌から約2時間、北海道のデートの定番であり、獣医師を志す彼らしく旭山動物園だった。ボクも生き物が好きで、とても楽しみだった。 そして、運転する姿がやっぱり大人で格好良くて、ドキドキした。 運転する横顔を見ては隣に居ることだけでも夢みたいだった。そして、この現実を噛み締めた。何度でも嬉しかった。 やっぱりもう憧れとしてではなく、颯真さんを一人の男性として好きだと実感した。 動物園は本当に楽しかった。 どうぶつ達のこと、自分はどんな獣医師を目指しているのかを熱く語る颯真さんは生き生きとして楽しそうで、優しさに溢れていた。 ボクは人間のお医者さんになりたいと常々思っていたけれど、颯真さんの心に触れて同じ獣医を目指す気持ちが
Zuletzt aktualisiert: 2026-06-29
Chapter: karte 2 : 秘密は、休憩時間に ②2 休憩時間、自宅へ帰った二人は慣れた手つきで残ったご飯をチャーハンにし、昨晩残しておいた野菜たっぷりのスープを添えた。 チャーハンの香ばしい香りが食欲をそそる。 「いただきます」 二人はいつものように軽く手を合わせて言った。 「うん、やっぱり先生の味付けは最高です」 碧玖はにこやかにチャーハンを口に運ぶ。 「碧玖ちゃんの、お口に合って何よりです♡」 颯真は嬉しそうに、パクパクと美味しそうに食べている碧玖を見つめた。 午前の疲れた様子の碧玖が元気を取り戻したのを見て安心した。 「食べ終わったら、少し昼寝しようか」 「そうですね。寝不足解消しないと、午後の診察に影響しては困りますね」 昼食後、手早く食器を洗って片付けを終わらせ、歯を磨いて二人はベッドルームへ向かった。昼間でも仮眠がとりやすいように遮光カーテンを付けていた。 二人の身長に合わせて選んだベッドは海外製の大きいベッドだった。 190cm近い二人でもゆったりと横になれる。 颯真が腕を広げると当たり前に碧玖はすっぽりとそこに入り込んだ。パズルのピースが|嵌《はま》るように居心地のいい、一番安心するこの場所でまた元気を取り戻す。 二人微笑みあってキスを交わした。颯真の男らしい落ち着いた香りに包まれ碧玖は眠りに就く。 ボクがまだ高校生で寮に住んでいた頃は、シングルベッドから足がはみ出さないように身体を小さく折り曲げて横になっていた。ボクはまだこんな落ち着く場所を知らなかった。寝むれない夜はそのままベッドから見える窓の外を眺めていたのを思い出す。 先生を想ったあの頃の夜空は、ボクの一番切ない想い出かもしれない…。 あの頃、ボクは——。 3 お見合いから数週間経っていた。 消灯の終えた部屋でボクには小さいベッドに寝転がり、カーテンを少し開けて夜空を眺めながら颯真さんを想い出していた。今となってはお見合いで逢えた時間は幻になりつつあった。しかし、あれからボクの心には颯真さんが想い出されてならなかった。 ずっと憧れていたあの人と、ボクは結婚の約束をした。その現実をまだ受け止めきれていないかもしれないが、明らかにボクの心は恋というものを知ってしまった。 彼を想い出す度に胸の奥が熱くなりキュッと苦しくなる。苦しく切ないのに、嬉しさと
Zuletzt aktualisiert: 2026-06-29
Chapter: karte 2 : 秘密は、休憩時間に ①1 穏やかな青い海、波の音と潮風が通る道。僕らの毎日がここにある——。 ここは『あおぎり動物病院』。兄弟二人で開業している。 「|碧玖《りく》の縫合は本当にいつも綺麗だね。これならたまちゃんの傷跡も残らないんじゃないかな」 「上手く出来て良かったです。最近先生が教えてくれたことがしっかり身に付いたと思います」 「碧玖謙遜しすぎだよ。前からキミは上手だったよ。もっと自信持って、ね?」 |颯真《そうま》が碧玖の背中をポンと優しく叩きニコリとすると、碧玖もニコリと返した。 「…、碧玖喉乾いたんじゃない?良かったらこれ飲んで」 そう言って颯真は自分の飲みかけのコーヒーを手渡した。なんの躊躇も無く碧玖はコーヒーを口にした。 目の前で当たり前に繰り広げられるそのやり取りを、片付けをしながら看護士ユリちゃんは空気の如く目にしていた。ユリちゃんは、猫のたまちゃんの術後チェックに部屋を出た。そして「一体何を見せられてるのかな」と、呆れたように小さく溜息をついた。 ユリちゃんは副院長があんな風に自然な可愛い笑顔を向けるのは、院長しかいない事に気付いていた。それに当たり前に飲み物をシェアするのもだ。 部屋に二人きりになると、急に甘い空気に包まれた。 「碧玖お疲れ」 そう言って颯真は碧玖を優しく抱擁した。 「うん、ちょっと疲れました…」 「昨夜は夜更かししてしまったし、寝不足もあるかな…?」 「はい、それもあると思います…」 碧玖は身体を預けるように颯真に寄り掛かった。 *** 「怪しい!!断じて怪しい !!」 「どうしたんですか?ユリちゃん先輩?」 動物病院休憩室にて、看護士ユリちゃんとその後輩看護士ナミちゃんはお昼休憩中だった。 「院長と副院長!私のセンサーにめちゃくちゃ引っ掛かるの!」 「センサーですか?」 「そう、この腐女子センサーにっ!」 「先輩BL好きですよねー」 「ナミちゃんは何とも思わないの?あの二人を見ていて!」 「…あー、とっても仲良いなぁって思ってますよ。距離近いなーとか…??」 「ナミちゃんは先ず勉強のためにこれを読んで!」 そう言ってマンガ本を手渡した。 「…兄弟BL…」 「そう!」 ナミちゃんはパラパラとお弁当片手にその場で読み出し
Zuletzt aktualisiert: 2026-06-29
Chapter: 第5話 天の川を越えて ④最終話夕真は星の腰を引き寄せ、自分の昂《たかぶ》ったモノを星の窄まりにあてた。 気持ちを抑えながら慎重に星の中を押し広げ、挿《はいっ》ていく。 星は内蔵を押し上げられるような苦しさと、夕真の全てを受け入れるこの瞬間に喜びを感じていた。 「あああぁっっ…!!」 「セイ、大丈夫?痛くない?」 星は苦しそうな、でも、それでいて嬉しそうな表情でコクコクと頷いた。 「…セイ、痛いんじゃ…」 夕真はそう言って、腰を引こうとした。すると星は頭を横に振りながら、夕真の腰に脚を巻き付け、しがみつくように抱きついた。 「わかったよ、セイ」 夕真はそのままゆっくりと星の奥へと力を込めた。 「あぁっっ…、ユウ…、あんンッッ…っ」 「…ん、はぁっ、全部入ったよ、セイ。…セイの中、熱い…」 「…うっ、んっ…、嬉し…、ずっと、こうなりたか…った…」 星は幸せを噛み締めるように微笑んで、涙を流した。 夕真はその涙を受け留めるように頬にキスをした。 少しずつ夕真が動き出すと、星はぎゅっと枕の端を掴んだ。夕真はその手を取って、指先を絡ませ強く握った。 夕真は昂《たかぶ》りのままに星に腰を打ち付ける。星の屈曲した膝下はそれに合わせて宙に揺れた。 「あっ、あっ、あんっっんっ、ユウッ、ユウッ…んっっ」 顔を歪ませ、うわ言のように何度も自分の名前を呼ぶ星が堪らなく愛おしかった。 夕真は抽挿を繰り返しながら、星のモノを握って扱い
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-06
Chapter: 第5話 天の川を越えて ③*** 「……セイ、好きだよ」 白いシーツの上に、白地に青い花の柄の浴衣がバサリと広がった。 その浴衣は星によく似合っていて、深い紺色の帯が星の身体の細さを強調していた。 昔から小柄で細身の星だった。それでも今はもう、夕真が思っていた守られるような小さきものではなかった。 夕真はその華奢な身体を抱きしめた。壊れてしまわないか不安だったのは、きっと自分の心だった。 夕真は何度も抱きしめては、深いキスをした。今までとは違う、男としての気持ちでだった。 星も応えるように甘く潤んだ瞳を夕真に向けた。 お互いの熱く上気した身体が、浴衣の生地を通しても感じられた。 「…セイ、僕のものに…、僕の人になって…」 「人?へへ、ユウらしいね」 「セイのこと、全部知りたい、全部欲しい…」 「…うん、全部ユウのものにして…」 星は夕真の首に腕を回した。 夕真は星の唇の端から舌を差し込み、優しく丹念に舌を絡め、星のはだけた浴衣の併せに手を忍ばせた。 星の肌の熱さと滑らかな感触が、緊張と期待に夕真の鼓動を速めた。 星は初めて自分に向けられる夕真の欲を孕んだ眼差しだけで、血が沸き立つような快感を覚えた。 そして、掌にツンと星の胸の尖りが触れた。指の腹で優しく転がすと星の身体が小刻みに震え、切なそうに目を細めた。 星の頬から首筋、鎖骨へと食《は》むように唇で辿りながら、薄く平らな胸の先端を指先で摘んでは弾く。 「…うう…んっ…」 星は堪えきれず吐息と共に声を漏らした。 夕真の優しい唇、指先から、星への愛おしさが溢れていた。 「…ユウ、熱い…」 その言葉に夕真は星の浴衣の併せを広げ、浴衣の袖から片腕ずつ出してやった。 カーテンの隙間から、星空の明るさが差し込み、星の身体を美しく晒《さら》した。 少し恥ずかしそうに肩を竦《すく》めて目を逸らした星が可愛かった。 そっと脇腹を撫で、熱を帯びたように綺麗に色付いた胸の飾りを口にした。 「…あ…、ああぁ…」 星は手の甲を唇に押し当て、身体を震わす。 小さな粒を舌で転がし、つぅと吸ってみる。それだけで、身体を跳ね上げ、可愛い甘い声が漏れる。 星は初めての感覚にもう溶けてしまいそうだった。 星が悶えるたびに、だんだんとはだけた浴衣の裾は広がり、たくし上が
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-05
Chapter: 第5話 天の川を越えて ② 静まった部屋には時々星がズズッと鼻を啜《すす》る音が聞こえた。 夕真は星の肩に、慰めるように手を掛けたが、きっとそれだって自分を支えるためだったのかもしれない。 そして夕真は今知ったばかりの、ありのままの自分を伝えた。 「…僕は、何よりも誰よりも星のことが大好き…。でも、これが恋愛感情だとかわからないままずっと過ごしてしまってた。きっと好きを『大切』『守りたい』そういう気持ちに置き換えてここまできてしまったんだ。僕が守らなきゃいけない存在なんだと思ってしまってた。それなのに、こんなにセイを傷つけてしまっていたのは僕だった…」 星は、俯いたまま聞いていた。 「…僕がいなくても、セイは全部自分で考えて、行動して来たんだよね。それなのに僕は、いつまでも守らなきゃいけない存在だと決めつけて…、それはセイをちゃんと信じきれていなかったのもしれない。いつの間にか、こんなに大きくなっていたのに…。僕に会いに来てくれたのも、好きと言ってくれたのも、一緒に住むと決めたのも全部セイだ。僕をずっと選んできてくれてた…」 星は泣いた後の鼻にかかった声で話し出した。 「…そうだよ。オレはユウがずっと好きで、ずっと一緒にいたいんだから…」 「…セイ…。セイ…、僕はさ、僕はただ…、セイを好きって気持ちだけで隣にいていいの?」 夕真は少し緊張した面持ちで訊《たず》ねた。 「…はは、ユウ。そんなの当たり前。オレはずっとその気持ちだけでユウの隣にいたよ」 「…そっか」 夕真は力が抜けたように、小さく笑った。 「それで、よかったんだね…。僕はきっと難しく考えすぎてた…」 「そうだよ、ユウのバカ」 星は泣きながら嬉しそうに微笑んだ。
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-04
Chapter: 第5話 天の川を越えて ①*** 「オレがユウに抱いて欲しいって、ユウとセックスしたいって、何回もどんな気持ちで言ってると思ってるんだよ。それこそ、オレは壊れてしまうよ!」 星の瞳からは、今にも涙が零れてしまいそうだった。 浴衣の袖が震えていた。 「…セイ」 夕真は震える星の指先に手を伸ばした。 触れた瞬間、星は指先を固く握って手を引っ込めた。 「オレと同じ気持ちなんじゃないの?オレはユウが好きだよ。男の身体が無理なんじゃないの?それならそう言いなよ。そしたらもう好きだとか言わないよ。オレはただの隣に住んでた子になるよ!」 ボロボロと涙を流した。 「セイ、違う、それは違う。本当に、僕にとってセイは1番大切なんだ。ずっとセイを守ってきたつもりだよ。それなのに、守る対象だと思ってきたのに、僕がセイを穢《けが》すみたいな…そんなこと…」 「何が『大切』だよ!オレの気持ちなんて考えてもないじゃん!オレは『大切にして欲しい』とか『守って欲しい』とか、そんな事頼んだことない。ユウが、夕真が勝手にやってるだけだろっ?オレは祀《まつ》られる神様とかそんなんじゃないし、守られるような子供でもない!ただの1人の男だよ…。分からないの?オレは全部自分で選んできたんだ。ユウはさ、ただオレを受け入れてきただけだろっ」 星は泣き崩れるように顔を手で覆った。 「…セイ…僕は…」 夕真は言葉が出てこなかった。 ずっと星のことは自分が大切にして、守ってきたと思っていた。そのはずだった。 しかし、今星は、泣き崩れてしまうくらいに夕真によって傷付いていた。 それを目の当たりにして、夕真は何を守ってきたのかと自問自答するしかなかった。 ──いや、そうじゃない…。 きっといつの頃からか、わかっていた。 わかっていながら、見ないふりをしていた自分がいた。 自分に星を守るという意味を与えることで、自分自身を支えていた…。 自分がここにいていい。星の隣に存在していい。 僕が僕であるためだったのかもしれない。 そう夕真は気付いてしまった。
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-03
Chapter: 第4話 恋人の距離 ②「きょ、今日はどうしたの?赤ちゃんみたいになっちゃって」 「ん〜っ、それは赤ちゃんじゃなくて…んーーっ」 今度はしかめっ面になった。 夕真は星のコロコロと変わる表情が可愛くて大好きだった。そう、可愛い弟みたいなんだと思い直した。 「ふふっ、いいよ脱がせてあげる」 夕真は星のショートパンツに手を掛け下ろした。派手な柄のボクサーパンツが露になる。星はドキドキしながら脱がされていたが、星から見たら夕真はドキリとした様子もなく、何食わぬ顔で星のショートパンツを脱がし、スウェットを履かせた。流れるようにパーカーもせっせと着せられ、ファスナーは首元まできっちり上げられた。 星は呆気にとられた。そして、全く靡《なび》かない夕真にイラッとした。 しかし、夕真の心は穏やかではなかった。星のショートパンツを脱がす時は指先に変な力が入っていたし、直視出来なかった。後は早く着せてやらないと、星に風邪を引かせてしまうと急いだ。 星はその後も自分なりにアピールをしてみた。 抱きついて寝てみたり、ちょっとエッチなBLマンガをリビングのテーブルの上に置いてみたり。 時には、風呂上がりに上半身裸でローライズのボクサーパンツ1枚でフラフラしたりもした。こんな事を色々してみたが夕真に効いてる様子は感じなかった。 ここでも星は気付いていなかったが、夕真は毎回のように胸のざわつきを感じていた。男同士なら上半身裸だとか、今までだってそんなシチュエーションは幾らでもあった。なんなら、星の裸だって小さい頃から何度も見たことだってある。 なのに今更──。 夕真は自分の中で変わっていく感情と感覚に戸惑っていた。 星からしたら、早く恋人らしくなりたいだけだった。心だけの繋がり、それは違うと思っていた。 『ユウは、鈍すぎる。いや、性欲を持ってないのか?聖人?いや、オレに魅力がないのか?忙しいから?いや、ロボットだったりする?』 そのうち待ってる事も出来ないと思った星はもっと大胆になった。 今までなら夕真に任せて、キスは唇が触れ合うだけのキスをしていた。けれど、待てないと思った星は、深いキスを求めた。最初、夕真は戸惑って、唇に力が入り、舌と舌が触れると逃げるみたいだった。 そのうちにやっと、絡めるようなキスにも応えてくれるようになった。 星からしたら、こん
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-02
Chapter: 第4話 恋人の距離 ①*** それから2人は、星の進学に合わせて、新しい生活の準備に追われた。 夕真のワンルームでは実質2人で住むことは叶わず、2人で住める部屋を探し回った。 最後は星の父親の知り合いのツテで何とか見つかったのだった。周囲から見たら、ただの幼馴染み同士のルームシェア。ただそれだけだった。 星が高校を卒業してすぐに、それぞれ引越しをして一緒に住み始めた。 2人は一緒に住み始めたからといって、急に恋人らしく振る舞えたわけではなかった。 部屋は親の手前もあって、それぞれ別に自分の部屋があった。ベッドは広い方が良いなんて言って、星はセミダブルで、星よりも身長が10cm以上大きい夕真はダブルベッドにした。 これは星に「付き合う前からだって一緒に寝てたし、ユウならオレがちゃんと寝れたか気になるでしょう?隣に寝てたらすぐわかるから便利だよ」なんて言われて「確かにそうか…」と夕真はこの無理のある星の言葉に素直に納得したからだった。 しかし星の下心は外れて、夕真は子供にするみたいにトントンと、星の呼吸に合わせて優しく身体を叩いて毎晩寝かし付けた。 星はそんな夕真を優しいと感じながらも、恋人らしい関係にならないことがもどかしかった。 キスだけは何とか星からすることで、夕真も少しづつ慣れて、星が目を瞑ってキスを欲しがると、夕真は優しくキスをした。 幼馴染みと親友と恋人と…、ずっと行ったり来たりなままだった。 *** 星なりに、恋人として関係が進まないかと、夕真に興味を持って欲しくて色々努力もしてみた。 まだちょっと肌寒い時期にも関わらず、部屋着としてショートパンツにゆるっとしたタンクトップを着て、夕真にベタベタしてみるお色気作戦に出た。 「ユウ、ちょっ
Zuletzt aktualisiert: 2026-08-01