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皐桜ゆるり
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Novels by 皐桜ゆるり

 五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!

五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!

 辺境伯令嬢ミシェルは前世の知識を使い、エセ占い師として恋愛相談を行っていた。世界を滅ぼした五角関係の真実を解明するためだ。  転生した世界は魔王の復活により殆ど人類が滅ぶ運命だった。  運命を変えるべく、ミシェルは前世の情報から侯爵令嬢アウレリアの死を回避しようと考えた。彼女の死は五人の人間関係に起因するようだ。 しかし、ミシェルはトラウマで幼い頃の記憶を無くし、引きこもっていたため人間関係がゼロだった。苦肉の策で占いを始めたのである。  そこへ第二王子ライオネルが訪れ、兄であるフィリップの恋愛関係調査を依頼してきて……。  ミシェルはライオネルと協力し、あの手この手で五人の恋愛を解明していく。
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Chapter: 142話 呼んでくれないのか?
 私は握ったままだった手を引かれて、ライオネル殿下についていく。辿り着いたのはライオネル殿下の執務室だ。 ライオネル殿下は何も言わない。何かしたかしら? アウレリア様のこと怒ってる? 不安が擡げる。 扉が閉まったので、ライオネル殿下を見れば私の方をじっと見てくる。やっぱり何かしたかしら?「何のご用ですか? ライオネル殿下」 私の言葉に不満そうに眉根を寄せて、明らかに不機嫌な顔をされる。「レオだろ?」 はたっと二人きりだということを思い出させられて、かっと顔が熱くなる。思わず逃げたくなったけど、ドアがあって足は一歩も下がらない。 まだ心の準備ができてなくて、二人きりにならないようにしてたのに……! 二人きりなったら呼ぶとは言ったけどっ! 私が黙っていると、そっと間合いを詰められた。ドアに阻まれて動けなければ、額同士が触れ合う。間近に金糸と、赤く吸い込まれるような瞳が私を魅入る。「お前、二人きりになるの避けてただろ?」 心臓が跳ねた。どぎまぎする。やっぱり気づいていたらしい。「それは、その……」 赤い瞳にじっと見られて耐えきれなくなる。「だって、心の準備ができてなかったんです!」 心境を口にするしかなかった。誤魔化すように声が大きくなってしまったけど。 それでもライオネル殿下は離れてくれなくて、頭が沸騰しそうだった。熱を逃がすために、ふっと息を吐いた。「呼んでくれないのか?」 ダメ出しとばかりに、少し落ち込んだ声で言われて口をぱくぱくとさせる。落ち着け、私。呼べる。愛称くらい呼べる。だって、こ、婚約者なんだしっ。「…………レオ。これでいいですか?」 言えた。どっと力が抜けたけど、同時に言わされた感が強くて、頬を膨らませた。レオは、間近で表情を緩めて笑う。「ああ」 やっと離れてくれたので、少しほっとする。と同時に少し寂しかった。 だから、レオがソファに腰かけて隣に呼ぶのに素直に従った。隣に腰かけてから、改めてレオを見た。「……それで、何か用ですか?」「いや、しばらく会えなくなるだろうから」 私の言葉についっと視線を逸らすレオ。特に用事はないようだ。ついついいつもの流れで、何か用事があると思い込んでいたけど、婚約したのだから別に用事がなくても会ってもいいのでは? ってこと? 理解が追いついて、喉が詰まる。「だからミラと一
Last Updated: 2026-09-15
Chapter: 141話 取り乱すノクタリウス
 さらに迫るような勢いに、間にライオネル殿下が入ってくれた。ほっとする。まさか暴力は奮って来ないだろうけど、目が血走ってるし正直怖かった。「ノクタリウス、落ち着け。アウレリアは騎士のひとりと出て行ったと目撃証言がある。ひとりではない」 ライオネル殿下の言葉に、ノクタリウス様の動きが止まった。言ってしまった。騎士のひとりと言ったら、予測も可能だろう。「お前たちが、唆したからだっ!」 ライオネル殿下越しに私たちに大声を出される。ケイティがびくっと後ろで身じろぎする。「やはりあの騎士に依頼されてアウレリアを誘惑したんだなっ!」 彼の中では私たちが原因で二人が出て行ってしまったことになったらしい。アウレリア様の恋愛を探っていたし、諦めないでほしいと言ったし、あながち間違ってはいないけど。私は努めて冷静に言った。「友達としてお話をしただけですわ」「嘘だ! 貴様の恋愛の占いの噂は聞いている。魔女だ! 貴様はやはり魔女だ!」 どうやら今度は占いで二人をくっつけたと思ったらしい。デバガメはしましたが、あの二人は元々両想いです。とは言えず、困ってしまう。「この魔女が! 絶対に報復してやるっ」 興奮冷めやらぬノクタリウス様は、私にそう吐き捨てると、生徒会室を足取り荒く出て行ってしまう。 胸騒ぎがする。「……ノクスはその、傷心でね……?」 凍った空気をなんとか緩めようとフィリップ殿下がノクタリウス様のことをフォローする。「兄上、傷心だからと言って、女生徒へあんな風に言いがかるのはどうかと思います」 しかし、ライオネル殿下は怒っているようで、フィリップ殿下へ反論した。「そうだな……アウレリアのことになると手がつけられなくなる。もう少し冷静になってもらいたいね」「あの、アウレリア様を探すのですか?」 ケイティが心配そうにフィリップ殿下に訪ねる。私は探してほしい気持ちと、見逃してあげてほしい気持ちが矛盾していて、何も口を出せない。答えたのはフリィップ殿下だ。「幸せなら私は捜したくないんだけどね」「できない。の間違いでしょう。アウレリアがいなくなったことなどすぐに隣国に知られる。そうなれば人手不足だ。捜索に誰かを派遣する余裕などない」 ライオネル殿下の言葉に隣国との戦いが待っていると分かって、彼の袖をぎゅっと握る。不安だった。ライオネル殿下は戦で指揮
Last Updated: 2026-09-08
Chapter: 140話 アウレリアの失踪
 私は、ライオネル殿下にアウレリア様の結果報告と、しばらくアウレリア様が休むことを伝えた。気持ちの整理をしたいというアウレリア様の要望を伝えて、数日が過ぎた。 その日は朝の待ち合わせにライオネル殿下は来なかった。伝書だけ執事から預かり、放課後生徒会室へケイティと一緒に来てほしい旨が書かれていた。 なんだろう? 心の奥がざわつく。 放課後になり、生徒会へケイティと共に行けば、すでにフィリップ殿下、ライオネル殿下、ノクタリウス様が集まっていた。ノクタリウスは項垂れてソファに座っており、空気が非常に重い。何かよくないことが起こっているのかしら? 不安にかられながらも、ライオネル殿下に手招きされたので彼の元へと歩く。「どうしたのですか?」「アウレリアから、お前とケイティに手紙を預かっている」 渡された手紙を受け取る。個人の手紙であればひとりの時に見るべきだけど、三人の雰囲気はいますぐ見るべきだと語っている。 私はケイティと顔を見合わせた。頷きあって、手紙をそっと開く。三人は中身を見ようとはしてこないが、私たちの行動を見守っている。 手紙を開いて中身を確認する。 親愛なるミシェルへ  まず初めに謝らせてほしいの、ごめんなさい。  わたくし、ラルフと共に家を出ることにしたの。  貴女たちと別れるのは寂しいし、置いて行くのは無責任だと思っているわ。  けど、この恋を、愛を、諦められなくなってしまったの。  背中を押してくれてありがとう。  そして、すべてを残して押し付けてしまってごめんなさい。  でも、貴女なら解決できると信じてるわ。   アウレリアより 手紙を読み終えて顔を上げる。神妙な三人に、ケイティは隣で驚いたように目を見開いている。 私は複雑な気持ちだ。彼女が幸せになるなら祝福してあげたいと思う。けど、同時に腹の奥にどす黒いものがうずまく。隣国へ嫁ぐはずだった彼女がいなくなってしまう。って、この後どうなってしまうの……?「実はね、アウレリアが君たちと会った直後から行方不明なんだ」 フリィップ殿下が手紙から顔をあげた私たちに苦笑いしながら現状を伝えてくれる。ノクタリウス様が立ち上がって、私たちの前に立つ。「その手紙に手がかりがあるなら、お願いだ、教えてくれないかっ」 必死そのものと言った懇願に、たじろぐ。手がかりと言えばラル
Last Updated: 2026-09-07
Chapter: 139話 報告会―アウレリア
 ライオネル殿下と二人きりになることもなく、アウレリア様のデートの日はやってきた。私とケイティはアウレリア様の部屋で待たせてもらっている。 速足の音が近づいてきて、扉が開かれる。「二人とも!」 甲高い声とともに、体に衝撃を感じた。アウレリア様が私とケイティに抱き着いてきたのだ。「アウレリア様!?」 アウレリア様に半分抱き着かれたケイティが大きな声をあげる。アウレリア様は顔をあげた。目元が少し赤く、頬は紅潮していたけど、表情は満面の笑みだったから肩から力が抜ける。「ふふ、ふふ、二人のおかげよ! こんなに嬉しいことはないわ!」「成功したんですね」 舞い上がってるアウレリア様は私たちから離れると、くるりと一回りしてみせる。「デートも楽しかったし、あのね、あいつにね言わせてやったの」 令嬢とは思えない仁王立ちをして胸を張るアウレリア様。よほどうれしかったのか、興奮を隠さずに話しを続ける。「アウレリアを連れ去るって!」 ぱっと両手を広げて大げさに表現してみせる様子は、本当に嬉しかったのだろうことがわかる。よかったな。とほんわかした。「きゃー、かっこいい!」「ですわよねー!」 ケイティがノッテくれるとアウレリア様は嬉しそうに彼女の手を取った。これほど興奮したアウレリア様は見たことがない。「やっと、言ってくれたの!」 念願だったのだと言い募る。本当に今まで我慢していた分が噴き出たようだ。「それにね、愛してるって……言ってくれて……」 今度は顔を赤くして頬を抑えながら恥ずかしそうに話す。そうして表情をくるくると変えながら、アウレリア様は話をいくつもしてくれた。
Last Updated: 2026-09-06
Chapter: 138話 愛称
 あの日から、久しぶりにライオネル殿下にお会いする。というのも、しばらく学院をライオネル殿下が休んでいたからだ。今日から復学というわけ。 朝の待ち合わせに、いつも通りの顔で挨拶を交わす。平常心、平常心。と思ったのに、ライオネル殿下はごく自然な動作で私の手を握った。びくっとしたけど、顔を見るとダメか? と眉尻が下がってて、可愛かったので許してしまう。 そのまま登校して、席を隣に座る。大して他の人は気にしなかったみたいで内心ほっとしていた。「それで、アウレリアの方はどうだ?」「今度デートするそうです」「また尾行するのか?」 そっか、ライオネル殿下には私がしょっちゅう尾行してるように映ってるのね。でも、今回は別に大きな目的もないし、成功したか失敗したかはその日アウレリア様から報告を受けることになるから、尾行はしなくても良いのよね。「いいえ、今回はアウレリア様とデートの日の夜に報告会をするのでしません」「そうか」 ほっと息を吐くライオネル殿下。まあ、ことごとく覗き見をして見つかってるものね。やりたくないよね。「次の日にライオネル殿下にも報告しますね」「ああ」 話が終わったと思ったら、ライオネル殿下が顔を近づけてきた。何か言い忘れでもあったのかしら? 人に聞かれたらまずい? そう思って私も身を傾ける。「レオって呼んでもいいんだぞ」 小声で言われた言葉に、ささやかれた方の耳抑える。 何を言いたいのかと思えばっ! みんなの前で呼べるわけないじゃないっ。「そ、それはまだ、心の準備がっ」 慌てて小声で対応する。うーんと指を顎に当てながら考え込むライオネル殿下。まだ何か言うつもりかしら。次の衝撃に備えて手にぎゅっと力が入る。「俺はミラって呼んでいいか?」 おずおずと言った伺うような仕草に、ぐっと息を飲んだ。呼ぶのも呼ばれるのもまだ待ってほしい。でも、二度もお願いを断れるのは心苦しい。 二回目のお願いにぐらつきながらも、私はなんとか取り下げてもらえるように言葉を紡ぐ。「で、でもっ……いきなり愛称で呼び合った
Last Updated: 2026-09-05
Chapter: 137話 報告会―ミシェル
 私は、アウレリア様の部屋へと突撃した。相談した時に、失敗したら慰めてあげるとデート後は異国の文化と称したパジャマパーティーをすることになったのだ。だから、アウレリア様のメイドに寝間着に着替えさせられた後、アウレリア様の部屋へと赴いた。 部屋に入ると二人がベッド横にあるソファの方へ手招きしてくれる。「ミシェル! おかえりなさい、デートはどうだった?」 私が座ると、開口一番、アウレリア様から報告を要求された。何から話したらいいのかしら。でもちゃんと報告しなきゃいけないわよね。プロポーズ……受けたって。「うぅ……正式に婚約者になりました」 言葉にすると恥ずかしくて、顔を覆ってしまった。「きゃー、やるじゃないミシェル!」「ライオネル殿下が、その告白してくれて……」「やっぱりライオネル殿下もミシェル様のこと好きだったんですね」 アウレリア様とケイティが嬉しそうに笑ってくれる。それで、ほっとして肩の力が降りた。涙腺が緩む。「びっくりしたの」 私なんて眼中にないと思ってたのに。髪飾りをもらえただけで良かったのに。「ふふ、想いが通じ合って良かったわね」「……嬉しかったです」 自然と表情が緩んだ。二人も目元を緩めて笑ってくれる。「次は、アウレリア様の番ですからね?」「うっ……ミシェルが頑張ったんだもの、わたくしだって頑張るわよ」 アウレリア様はふんっと鼻を鳴らして胸を逸らした。目的も達成できて何よりだ。「あ、じゃあ今日行った場所についてお話しますね――」 その後、私たちは夜遅くまでたくさん話した。 次はアウレリア様の番。日程はさほど離れていないし、またアウレリア様の家でパジャマパーティという名の報告会をする予定だ。
Last Updated: 2026-09-04
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