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第10話・向き合う その4

Author: さぶれ
last update Last Updated: 2025-05-20 20:00:04

「きちんと礼を言うのが遅くなって悪かった。あの時は茉莉恵を助けてくれて本当にありがとう」

「そんな…迷子になって困っている子供を助けるのは、当然だよ」

「いいや、そんなことは無い。茉莉恵が心細くて泣いていても、暫く誰も声をかけてくれなかった、と言っていた。眞子が最初に声をかけてくれた優しいお姉さんだ、と。まあ、こんな世の中だ。男が泣いている女児に声をかけると、誤解されるからな。面倒ごとに巻き込まれたくないから、見て見ぬふりをしてしまう。ただ、その垣根を越えるヤツもいる。下手をすると誰かに誘拐されていたかもしれないと思うと、ゾッとしたよ。助けてくれたのが、眞子みたいな優しい人で良かったと」

「そうだね。それは私も思った。交番で一緒に待っていたら、お迎えが来てくれたみたいだから、そのまま立ち去ったの。豪華なお洋服を着ていたから、きっとお金持ちのお嬢さんなんだなって思ったし、沢山お礼したいって言われていたけれど、お金なんか受け取りたくなかったから。お礼が欲しくてマリエちゃんに声をかけたんじゃないもの」

「君が黙っていなくなったこと、茉莉恵がとても残念がっていたよ。シンデレラのお姉ちゃんに助けてもらったから、お礼したかった、って」

「ストラップ交換したから、茉莉恵ちゃんにはもうちゃんとお礼はもらったよ」

「ほんと…眞子らしいな」

 玄さんが私の頭をなでてくれた。

「茉莉恵が迷子になった日、兄夫婦が事故で亡くなったことをあまり理解していなくて、ママやパパに会いたい、探しに行くと家を飛び出した時だったから、あの子も相当辛い時期だったんだ。でも、優しいシンデレラのお姉さんに会えて、沢山楽しい手遊びや、幼稚園の事を聞かせてくれて、すぐにパパやママに会えるよ、って言われたことが、とても嬉しかったらしい。無事に家へ戻った時に、茉莉恵には酷だがしっかり向き合って話をしたんだ。両親を事故で失った事、幼いながらも受け入れてくれて、だったら玄介お兄ちゃんが茉莉恵のパパになってと言われて、承諾したんだ。彼らの忘れ形見を、俺が引き継いで命を懸けて守って行こうと誓ったんだ」

 そんな背景があったなんて。ただの迷子だとばかり思っていた。

 幼い
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