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さぶれ
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さぶれの小説

婚活アプリで始まる危険な恋 ~シンデレラは謎深き王に溺愛される~

婚活アプリで始まる危険な恋 ~シンデレラは謎深き王に溺愛される~

29歳の幼稚園教諭・眞子は、出会いのない毎日に焦りを感じていた。最後の独身友人も婚活アプリで結婚が決まり、眞子も半ば強引にアプリに登録されてしまう。やり取りを始めた4人の男性の中で、眞子の心を動かしたのは、どこか謎めいた魅力を持つ彼。モンスターペアレントに心が折れそうな中、優しく寄り添う彼に眞子は惹かれていく。しかし、彼には思いもよらぬ秘密が隠されていて――。 婚活アプリから、危険な恋が始まる予感。
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Chapter: 第5話・付き合うまでのお試しデート その7
「幼稚園のメニューには牡蠣の入ったものは全然出ないし、プライベートでも食べないようにしていたから、つい忘れてた。牡蠣を食べて気持ち悪くなっちゃうって、どちらかと言えばアレルギーに近いような気がする」 この前ゆうた君とお好み焼きを食べた時、久々にしんどくなった事を思い出した。「先生にも苦手があるって言うのは、園児に言えない秘密だな」「そうそう。バレないようにしなきゃ。威厳が崩れちゃう」「眞子の話を聞いていると、幼稚園は毎日楽しそうだな」「うん。楽しいよ。子供たちは可愛いし、もうすぐお泊り保育なの」「どんなことするの?」「宿泊施設に一泊するんだけれど、ついたらまず宝探しをするの。いっぱい遊んで、カレー作ってみんなで食べて、夜はキャンプファイヤーとか。次の日は想い出の写真を入れるフォトスタンドを手作りするんだよ」「へえ。どれも楽しそうだ」 男の人はこういう話に興味はないと思っていたのに玄さんは違うみたい。興味ある感じで私の話を聞いてくれる。嬉しいな。「園外だったら、モンペの攻撃も心配しなくていいな」「まあね」「どうした。なにかあった?」 思わず浮かない顔をしてしまった私を心配して玄さんが聞いてくれた。丁度いいから手紙の件を相談してみよう。「あのね、玄さん。実は園に嫌がらせの手紙を毎日入れられているの」「えっ」 予想外の言葉に彼は切れ長の瞳を開き、驚いた。「誰宛てとか特に無いけれど、多分私に向けてだと思うの」「どうして眞子だって解るんだ?」「犯人に心当たりがあるから」「心当たりって…まさか、モンペが?」「ううん、違うよ。直接の知り合いじゃないけれど、うっすら知っている感じの人につけ狙われている感じ」「複雑そうだな」「相談に乗ってくれる?」「いいよ。アドバイスできることがあるかもしれない」 そう言ってくれたので、友人男性の別れた彼女に勘違いされて攻撃された翌日から、その嫌がらせ手紙が入るようになった詳しい経緯を語った。玄さんは私の話を真剣に聞いてくれた。犯人があおいさんという女性であると思うという自分の考えも。「その彼女に眞子の自宅は知られているのか?」「わからない。でも、知られてないと思う。家に手紙は届かないの。幼稚園だけ」「心配だな」 玄さんは長い指を顎に当て唸っている。私の相談ごとを真剣に考えてくれているんだ。
最終更新日: 2025-04-30
Chapter: 第5話・付き合うまでのお試しデート その6
 週明けの月曜日に、私はそのことを別の職員から聞かされた。  ブスが二股かけている、ビッチを辞めさせろ、等、手紙には誹謗中傷に当たる記載があったらしい。それを聞いて、思い当たるのはつり目の彼女。  あおいさん――ゆうた君とはもう関係なくなった私に、ここまでするの?  でも、おかしいな。どうして私がこの幼稚園で働いているって知っていたんだろ…。  もしかして、何らかの方法で職場を突き止めたのかな。本当に怖い。 SNSの通知はもう既に切ってあるけれど、恐らくとんでもない数のダイレクトメールが彼女から届いているだろう。内容は誹謗中傷だろうな。  SNSは怖くてもうログインしていない。折角時々友達と繋がったり、リアルでない仮想の世界の友人とも仲良くなれたりして、楽しかったのに。 考えるのに疲れてしまった。今年はクラス担任としても辛いし、プライベートまで辛くなってしまうなんて。 もう、全部やめたいなぁ。  私、何も悪い事していないのに・・・・。 でも幼稚園にまでやって来て、わざわざ手紙入れるなんて酷い事をするかなぁ、と考えてみるけれど、ゆうた君に粘着しているあおいさんなら、迷惑を省みずやってしまうのかも?  誰に相談したらいいのかと思っていたら、明日は玄さんと約束している日だ。ちょっと相談してみようかな?  翌日。待ち合わせした駅で玄さんと再会。通行人も振り返る程のイケメンぶりは相変わらず。  本当にこんな人と知り合いになれたのか。なんかすごいな、マッチングアプリって。普段だったら絶対に知り合いにならない人だもん。「眞子」 名前を呼ばれ、爽やかに笑う玄さんに心はトキめいてしまう。  ああ…嫌な気分とかそういうの、全部吹っ飛んじゃうなぁ。「玄さん、会えて嬉しい」「そっか。俺も嬉しい」 危うく本気にしそうになるが、こんなのぜったい社交辞令。イケメンが庶民に会いたいとか、そんなわけ無い。真に受けないようにしなきゃ。「で? 眞子は俺と付き合う気になった?」「まだだよ。何度かデート
最終更新日: 2025-04-30
Chapter: 第5話・付き合うまでのお試しデート その5
 彼女が差し出した画面には私がホテルのバイキングで食事をしているシーンがバッチリ顔出しで映っている。相手はわからないけれど、このホテルは確かTakaさんと行った蓮見リゾートホテルだ。  この写真はどうやらSNSの投稿記事の一部のようで、ハッシュタグには『#Mさん』『#僕の彼女』『#運命の女性』『#探しています』『#早く会いたい』等と書いてあった。 なにこれ、気持ち悪っ…。  これを投稿したのは、きっとTakaさんだ。しかも私の写真隠し撮りして勝手にSNSに上げてるの?  信じられない!「Mさんって貴女のことよね。それにこの投稿者は、貴女のことを『運命の女性』って探し回っているのよ。勇太に付きまとっているウザい女だから何とかして、って言っておいたから」「言ったって…無断で私のSNSの情報をこの人に教えたの!?」「付き合っているんでしょ?」「そんなわけないよ。勝手なことしないで!」「勝手はどっち? 勇太とムーミンカフェに行って、スカイツリーでデートまでして、どこまで男をたぶらかせば気が済むワケ? もう彼氏いるんだから、勇太にちょっかい出さないで!」 つり目の彼女は私を物凄く睨んでくる。  どうしてこんな展開になっているの?「私、ゆうた君とも、この人とも付き合ってない。誤解しないで」「とぼけてもムダ。同じ日の同じテーブルで写真アップしてるじゃない。位置情報も同じだし。ムーミンカフェの時もそう。貴女のSNSはずっとチェックしているからわかるもの。たーくさん書き込みもしたし、ね?」 待って。ずっとチェックしてるって…。  しかも書き込みまで…。まさかこの人―― 「その顔、私が誰だか気付いたようね?」  彼女は――あおいさんだ!  だから私が羽鳥さんの事で疲弊していた時、やたら攻撃的だったんだ。  あおいさんがゆうた君の彼女だったなんて。だからゆうた君と出かける私が面白くなくて、チェックしていたんだ。「私はゆうた君から、女生徒は誰とも付き合っていないと聞いたわ。あおいさんのような
最終更新日: 2025-04-30
Chapter: 第5話・付き合うまでのお試しデート その4
  ――そうか。聞いておいてよかった。あと、苦手なものや食べられないものはあるか?(玄) えっ。そんなの聞いてくれるんだ。  有難すぎる気遣い。この人絶対モテるよ。一体何者なんだろう?――牡蠣だけが食べられないけど、あとは何でも食べるよ!(M)――牡蠣ね。オーケー。それは外すようにする。じゃ、来週の都合のいい日にしよう。眞子のスケジュール教えて。(玄) 私は玄さんに空いている日を送り、次の約束が決まった。今週の金曜日は残念と思ったけれど、別の日に決まって嬉しくなる。また、会いたい。  でも、玄さんは謎だらけだ。  お互いなにも知らない者同士。だからこそ食事の前に苦手なものや食べられないものを聞くのはマナーのように思えた。  ゆうた君は決して悪気があったわけじゃない。美味しいものを食べさせたい、喜んで欲しいっていう気持ちは嬉しかったし、牡蠣がちゃんと食べれるなら、なんの問題もなかった話。私もきちんと伝えなきゃいけなかった。遠慮しちゃったから結果こうなっただけ。 次、ゆうた君に会ったらちゃんと言おう。  理世ちゃんは同時進行でもいいって言ったけれど、やっぱり私はそんな器用な事は出来ないし、玄さんと約束が被って残念と思ってしまうのは、ゆうた君に失礼だ。 それで気付いた。私、玄さんが気になっている。 まだ、好きとかそういうのじゃないけれど、もっと話をいっぱいして、どんな人なのか知りたいって思う。  玄さんのことを考えていると、ピロンピロンと通知が入ってきた。  最近SNSの方に大量のメッセージが届くのだ。あおいさんに心ない事を言われてから嫌になってあれ以来触っていないけれど、ダイレクトメッセージが鬼のように届く。見るのもいやだけれど、初期登録した時にメッセージが入ると通知メールが届くようになっていて、それが次々と入ってくるのだ。  更に幼稚園でも、私宛の無言電話や真っ白の手紙が投函されるようになった。些細なことだけれど、嫌だなと思っていたら、ゆうた君と約束していた金曜日、事件が起こる。  &n
最終更新日: 2025-04-29
Chapter: 第5話・付き合うまでのお試しデート その2
  ――眞子ちゃん、明日時間ある?(ゆうた) 明日の予定かぁ…。園で会議も無いし、定時で上がれそう。大丈夫とメッセージを送った。――デートしない? 映画でも見に行こうよ(ゆうた) 映画かぁ。遅くなるから週末がいいかな。――じゃあ、仕事の差しさわりが無い金曜日がいいな! その代わり、明日はご飯でも行かない?(M)――オーケー。美味しいもの食べにいこう! という経緯があり指定の駅で待ち合わせ。今日はゆうた君オススメの美味しいお好み焼きやさんに連れて行ってくれるって。嬉しいな。  彼を待っていると、カジュアルルックなゆうた君が現れた。待ち合わせの駅からすぐのお店に連れて行ってくれた。狭くて昭和感のあるレトロなお好み焼き屋さんだった。ソースの香ばしい匂いが漂っている。食欲増進の匂いだぁ。  小さなテーブルに鉄板が敷かれた席に案内され、ゆうた君と向かい合って座った。彼イチオシの海鮮ミックスを二枚オーダーしてくれた。「ゆうた君は仕事帰り?」「ううん。今日は休みだったんだ。久々にジム行って楽しかったよ」 あ、だからカジュアルルックなんだ。仕事帰りの服装には見えなかったので納得した。「ゆうた君は、どんなお仕事しているのか聞いてもいい?」「ああ。なんかITの雑用みたいな仕事してるよ。エンジニアって聞こえがいいように言いたいけれど、仲間内でわいわいするような、なんかそんな仕事。社風も自由だし、結構ゆるい会社なんだ」「へえ、すごいね。私はパソコン苦手」「こっちからすれば幼稚園の先生の方が大変そうだって思うよー。よく聞くけどさ、やっぱ実際モンペとかいるの?」 い ま す よ ぉ!  「私の担当クラスにとんでもないモンスターがいるよ」「わ。それはご愁傷様。ちなみにどんな人?」「一言では言えないなぁ。とにかくモンスター! この前なんか、幼稚園のイベントで自分が担当している当番をサボっちゃって。無茶苦茶だったの」「それは酷いねー。あ、お好みきたよ」 ゆうた君の興味が反れてお好み焼きに集中してしまった。自分で話を振っておいて…と思ったけれど、そんなに長く続ける話でもないし、仕方ないか。  でもきっと、玄さんだったら続きの話も聞いてくれそうだ。あの人いつも短い文章だけれど、私を気遣うメッセージをくれるから――なんて…比べちゃいけないよね。彼には彼のよ
最終更新日: 2025-04-29
Chapter: 第5話・付き合うまでのお試しデート その1
 「それでっ。どうしたんですか!?」  さくら幼稚園で理世ちゃんに会った際、玄さんから『付き合おう』と言われたことを報告した。そうしたら歓喜の大声+詰め寄られ攻撃を受けた。「お付き合いされるんですかっ。そのブラックカード王と!」 ホルモン焼き屋でブラックカードを出す男をどう思うかと聞いたら、断然アリです、という彼女らしい回答だった。「とりあえず、お付き合いする前のお試し期間が欲しいってお願いしたよ」「ええー、そこいっちゃっていいのにー。もう眞子先輩、シンデレラガールじゃないですか! ブラックカード王と恋に落ちる! いいですねー!」「でもね、理世ちゃん」私は玄さんに対する懸念材料を述べた。「彼の本名や職業も知らないんだよ? 付き合おうって言われたのに名乗ってくれなかったもん」「そんなのなんとでもなりますよ」 や、それはならないよ、理世ちゃん。「向こうだって私のこと全然知らないのに、突然付き合おうってなるかな?」「それがなるんです! いいじゃないですか。そういう出会いっ。イケメンでしかもブラックカード持ちなんて、どこかの御曹司だったりしてー」「で、でも年収五百万円以下って書いてあったよ」「そんなのデタラメに決まってます! だって考えてみてください。年収一千万円以上あります、って書いたら、どれだけの応募が来ると思います? 謎のカード王は、きっといいお肉ばっかり食べ過ぎて、サンマみたいな魚も食べたいと思っている――つまり、庶民と付き合いたいってことですよ!」「まあ、庶民だけど…」 サンマなんて、なかなかの言われようだ。彼女が別に私をディスっているわけではないのはわかるけど…。   「お試し期間なんて設けないで、とりあえずお付き合いを考えてもいいんじゃないでしょうか」「うーん…」 私の考えが古いのかな。マッチングしてフィーリングが合えば、そのまま付き合うっていうのもアリな世の中なんだよね。今はきっと。「とりあえず次回は玄さんがエスコートしてくれるって。デート
最終更新日: 2025-04-29
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