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第238話

作者: 冷凍梨
なるほど、私と八雲が「お揃い」を着ていることを皮肉っていたわけね。

「スーパーコピーなんかじゃありませんよ」二人が掛け合いのように私をからかうのを見て、私は淡々と返した。「正規品です。それに、もしかしたら紀戸先生と同じ店で買ったのかもしれません」

そう言い残し、その場を離れた。

視界の端で葵を見ると、葵はどこか探るような眼差しを向けてきて、まるで事情を突き止めたいと言わんばかりだった。

去年のことなんて、別に調べられても困らない。

午後、院長室から電話がかかってきた。警察署の担当者と、「東市新聞」の記者が来ているから、すぐに来てほしいとのこと。

おそらく「正義賞」の件だろう。

予想通り、院長室に向かうと、警察側から賞状と四十万円の賞金をいただいた。

思いがけない臨時収入だ。

この知らせはすぐに麻酔科に広まり、看護師長が提案した。「優月ちゃん、今日は賞金をもらったんだし、みんなにごちそうしなきゃね」

貨物運送業者の事件ではみんなにも助けてもらったし、私は気持ちよく承諾した。

「藤原くんも呼ばないとね」看護師長は続けて言った。「それから紀戸先生も。あの人は厳しいけど、色々と助けてくれたんだから、礼を欠いちゃだめよ」

八雲が助けてくれたのは事実だ。

いまの私としては同じテーブルで食事したい気分ではないが、浩賢を呼んで八雲を呼ばない、というのも筋が通らない。

どうせ八雲も同じことを思っているだろう。私が礼儀として誘いに行き、彼は皆の前で適当に断る。そうすれば、私は礼を尽くせるし、会わずに済む。双方にとって丸く収まるはずだ。

退勤時間、私は再び神経外科のほうへ向かった。

扉に近づいたところで、葵の甘く柔らかい声が耳に入ってきた。「全部、親戚が田舎から送ってくれた有機野菜なの。八雲先輩、まだ私の料理、食べたことないでしょ?今夜……今夜、うちで試してみない?」

私は思わず足を止めた。少し胸が痛んだが、同時に「やっぱり」と納得もした。

八雲の葵へのあの甘さを思えば、きっと二人でロマンチックなディナーを選び、私の誘いなど断るだろう。

その方がいい。

そう思い、深呼吸をして落ち着いた顔でノックした。

中には八雲と葵の二人だけ。私の姿を見て、二人とも驚いた表情を浮かべた。

葵は眉を上げて、気遣うように言った。「水辺先輩、反省書のことで来たのよね
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コメント (1)
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カナリア
なんか気が晴れないわぁ 誘う必要なかったんじゃないかな? 2人でお部屋ディナーへどうぞって感じだけど… 未練が強過ぎて何がしたいのか分からん 諦めて早く捨てよ
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