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第19章 餌と報酬

Author: Noona Aurora
last update publish date: 2026-09-13 20:10:47

エレノアはアビゲイルの数メートル手前で足を止めた。

喉を鳴らして生唾を飲み込み、今朝の主任の醸し出す威圧感に気おされそうになりながらも、できる限り平静を装う。

「おはようございます、アビゲイル主任」

エレノアは職場の礼儀を守り、声を低く抑えて挨拶した。

アビゲイルは応じなかった。

組み合わされていた腕を解くと、ゆっくりと歩み寄る。

「結構ね。今朝は1分の遅刻もないわ、エレノア。昨日みたいな致命的なミスは二度と繰り返さないことね」

「はい。二度といたしません」エレノアは素直に答えた。

「ちょうどいいわ。今日、内部監査チームが過去2クォーター分の企画部の予算報告書を全件チェックすることになったの。システム上のデジタルデータと、すべての紙資料を再照合してもらうわ」

アビゲイルは淡々と言い放つと、書類のコード番号がズラリと並んだ1枚のリストを突きつけた。

「どんなに些細な数値のズレでも、すべて手書きで記録すること。作業が完了するまで、デスクを離れることは一切許可しないわ。分かったわね?」

エレノアは紙に記載されたリストに目を落とした。

膨大な量であり、極めて高い集中力と精密さが求められる作業
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