SHE DEVIL

SHE DEVIL

last updateLast Updated : 2025-04-14
By:  Siobhan JKOngoing
Language: English
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They say she has the face of an angel, the body of a temptress and the soul of the devil. Hence the nickname La Diabla. She Devil. ------------- Catalina They're not wrong. I killed my father and my husband and I won't hesitate to kill anyone who crosses me. Kahlo I should have killed her the moment I set my eyes on her. She's the devil incarnate. Yet I find myself hesitating. Always hesitating...

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Chapter 1

1. Catalina

結婚式まで、きっかり3か月。

金曜日の夕方、一ノ瀬ホテルズの戦略企画室で決裁書類に目を通していた一ノ瀬紗奈のスマートフォンに、差出人不明のメッセージが届いた。

【婚約者が今、誰といるか知りたければ、黒瀬ホテルの3201号室へ。】

たった1行。

それなのに、紗奈はしばらく画面から目を離せなかった。

3201号室は、黒瀬ホテルの最上階にあるロイヤルスイートだ。

黒瀬隼人。

黒瀬グループの次男であり、6年間、紗奈の婚約者だった男。

恋愛から始まった関係ではない。両家のホテル・リゾート事業を結びつけるための婚約だった。紗奈もそれは承知していた。

それでも、守るべき一線はあると思っていた。

愛し合えなくても、人前で相手を侮辱しない。婚約している間は、ほかの誰かと関係を持たない。

その程度の礼儀は、隼人にもあると信じていたのに。

紗奈はコートをつかむと、まっすぐ黒瀬ホテルへ向かった。

車の中で、一度は隼人に電話しようかとも思った。けれど、画面に表示された名前を見つめた末、そのままスマートフォンを伏せた。

嘘なら、確かめてから謝ればいい。

本当なら、電話一本で逃げる時間を与えてやる理由などなかった。

32階の廊下は、ひどく静かだった。分厚い絨毯が、ヒールの音まで吸い込んでいく。

3201号室の前に着くと、ドアは内側のドアガードに引っかかり、指が1本入るほど開いていた。その隙間から、濃いマグノリアの香りと、聞き覚えのある笑い声が漏れている。

「隼人さん、本当に3か月後、あのつまんない女と結婚するんですか?」

甘える声に続いて、隼人が気だるげに答えた。

「紗奈との結婚はビジネスだよ。あいつは体裁が一番大事だから、絶対に婚約を破棄できない。俺が外で誰と会ってたって、結局は見て見ぬふりさ」

「私を捨てたりしないでくださいね」

「しないって」

シーツの擦れる音と、低い笑い声。

紗奈はスマートフォンの録音ボタンを押した。

不思議なほど、指先は落ち着いていた。

胸が張り裂けるような悲しみよりも先に込み上げたのは、6年という時間を丸ごと踏みにじられた屈辱だった。

ためらわず、ドアを押し開ける。

バンッ。

ベッドの上の2人が、同時に振り向いた。

シャツを脱いだ隼人と、薄いスリップ姿の三枝莉央。莉央は短く声を上げ、慌ててシーツを引き寄せた。隼人の顔が、一瞬だけこわばる。

「……紗奈?」

紗奈はベッドの足元まで歩み寄った。

涙は出なかった。

「続けたら? 廊下まで丸聞こえだったけど。邪魔しちゃったわね」

隼人は床のズボンを拾い上げ、急いで脚を通した。

動揺は、それで終わりだった。シャツのボタンを留める顔には、いつもの傲慢さが戻っている。

「ここまで来るとは思わなかったな。だからって、わざわざ騒ぎにすることないだろ」

「騒ぎ?」

「俺たち、愛し合って結婚するわけじゃないだろ。結婚前にちょっと遊んだくらいで、婚約破棄でもする気か?」

「その『ちょっと遊んだ相手』が、ベッドにいるんだけど」

「言い方に気をつけろよ」

隼人が顎を上げた。

「一ノ瀬の新しいリゾート、融資の保証を誰が引き受けるか忘れたのか? 黒瀬だぞ。おまえの父親が、この結婚を潰させると思うか?」

疑っていないのだ。

紗奈はいつものように、家と体裁のために我慢する。

そう、決めつけている。

その瞬間、かすかに残っていた未練まで、すっと冷えた。

紗奈は左手の薬指からダイヤモンドの指輪を抜き取り、隼人の足元へ投げた。プラチナのリングが大理石の床を跳ね、鋭い音を立てる。

「何を頼りにそんな態度を取ってたのか、ようやくわかった」

「紗奈」

「でも、見当違いよ。婚約は破棄します」

「おまえ、正気か?」

「少なくとも、あなたと結婚する気はないわ」

紗奈は背を向け、そのまま客室を出た。

後ろから名前を呼ばれても、足を止めなかった。

エレベーターホールには、隣のビジネスラウンジから出てきたばかりのような男が立っていた。

深いチャコールグレーのスーツ。少しの乱れもない立ち姿。静かなのに、人を圧倒するまなざし。

黒瀬怜司。

黒瀬ホールディングス副会長であり、隼人の異母兄。

隼人が生涯をかけても越えられない、黒瀬グループの実権を握る男だった。

遅れて廊下に飛び出してきた隼人が兄の姿を見て固まる。

「あ、兄さん。どうしてここに……」

怜司は弟に目もくれなかった。

見ているのは、紗奈だけだ。

驚きもせず、理由も聞かない。紗奈が次に何を言うのか、待っているように黙っている。

その落ち着きが、かえって危うく感じられた。

そのとき、紗奈の頭にひとつの方法が浮かんだ。

この上なく危険で、けれど確実な方法。

隼人には、絶対に受け止めきれない選択。

彼がずっと恐れてきた男の側に立つこと。

紗奈は怜司に歩み寄り、その右手を取った。

冷たい廊下で、触れ合った手のひらだけが熱かった。

隼人の顔から、血の気が引いていく。

「おまえ、何してるんだ?」

背後で怒鳴られても、紗奈は手を離さなかった。

ついさっきまで自分を縛っていた両家の利害も、6年という年月も、このたった一度の選択で崩れていく。

怜司の視線が、つながれた手へ落ちた。ゆっくりと、紗奈の顔へ戻ってくる。

「副会長」

「何でしょう」

紗奈は一度も目をそらさなかった。

「私と、結婚していただけませんか?」

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Denise
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