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89話

Author: 籘裏美馬
last update Last Updated: 2025-11-24 20:25:06

涼子は、じいっと見つめる御影の視線に気づき、きょとりと目を瞬かせた。

そして、すぐに愛らしい笑みを浮かべて御影に話しかける。

「直寛、どうしたの?さっきから難しい顔をして…?」

「いや……何でもない。そうだ、涼子。少し仕事の電話をしてくるから少し椅子で待っててくれ。帰りに会計をしてくる」

「本当?忙しいのに、病院まで来てくれてありがとう、直寛。待ってるね」

「ああ。ごめんな」

御影は、可愛らしく微笑む涼子につられて薄っすらと笑みを浮かべ、涼子の頭を撫でてから足早にその場を後にした。

涼子は、去っていく御影の背を見送り、御影の姿が完全に姿を消すと、すっと笑顔が消えて無表情になる。

そして、院内の電波が繋がる場所にまで移動すると、電話をかけた。

数コールで電話が繋がり、涼子は口を開く。

「藤堂茉莉花が中央病院に来てたわ。理由を調べて。本当に本人が体調不良でやって来たのか、それとも他に別の理由があるか。すぐに報告するのよ」

御影と一緒にいる時のような愛らしい表情も、高い声でもなく、表情は冷たいまま。

声も低く、冷たい。

涼子は電話を終えると、スマホを乱雑にバッグの中に放り込んだ。

そして、チッと舌打ちをする。

「藤堂茉莉花……こんな所で遭遇するなんて。さっさと消え失せろよ、あんな目障りな女」

涼子は吐き捨てるようにそれだけを呟き、くるりと踵を返す。

御影が待っていろ、と言っていた椅子の方へ足を進めた。

涼子がそんな電話をしているとは露知らず、御影は病院の駐車場に足早に向かっていた。

(涼子へ、お大事にと言った理由を茉莉花に問いたださなければ。……涼子の怪我の事を知ってて、わざと言ったのか?それとも、何も知らずに言ったのか……)

純粋に涼子を気遣うような気持ちで言ったのであれば。

(だが、茉莉花が涼子を純粋な気持ちで気遣っていたとして、それがどうした……。茉莉花は、涼子に対して数々の嫌がらせをした……それも、幼い頃から執拗に。性根の腐った、どうしようもない女なんだ…それが今、ちょっと涼子を気遣ったとしても……)

そこまで考えていた御影は、ふと足を止める。

「……俺は、馬鹿か。茉莉花の性悪さは変わらないだろ……何を聞こうとしてたんだ」

御影は馬鹿馬鹿しくなってしまい、駐車場から
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