火葬の日にも来なかった夫、転生した私を追いかける

火葬の日にも来なかった夫、転生した私を追いかける

By:  一匹の金魚In-update ngayon lang
Language: Japanese
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六年間の結婚生活――あったのは夜の狂宴だけで、昼のぬくもりなど一度もなかった。 寺原真衣(てらばる まい)は彼を心から愛し、どんな苦しみも甘んじて受け入れていた。 実の娘は「パパ」と呼ぶことさえ許されず、代わりに彼のずっと憧れ続けている女性の息子は、彼の膝の上で「パパ」と呼ぶことを教えられていた。 一族は養子を宝物のように大切な後継者とし、血のつながった子は、人目にさらせない汚点として扱われていた。 彼女と娘が命を落とし、彼が自ら火葬許可証に署名して、息子を憧れの女性の帰国祝いの宴に出席する――そんな日が来るまで。 心からの想いは、決して同じ心で返ってはこない。冷酷な人間には、もともと心なんてものはないのだと、彼女はようやく悟ったのだ。 人生をやり直し、屈辱と冷たさだけのこの結婚を捨てると決意した。 前の人生では、愚かにも学業を諦め、専業主婦として家族のためにすべてを捧げた。 だが今世では、迷わず離婚届を突きつけ、娘を連れて泥沼から抜け出し、もう一度キャリアを掴み、頂点へと舞い戻る――そう心に誓った。 真衣が出て行って一週間、高瀬礼央(たかせ れお)はただの我がままだと思っていた。 真衣がいなくなって一ヶ月、礼央はまるで気にも留めず、好きにさせていた。 真衣が去って何日目か……彼は業界トップクラスのエリートが集まるパーティーで、彼女の姿を見つけてしまった。 真衣は仕事一筋、娘は新しいパパ探しに夢中だった。 気づけば、真衣と娘は本当に自分を必要としていなかったのだ。 礼央はとうとう理性を失った。 冷酷で高慢だった彼は、世間の視線も顧みず、母娘を目の前で引き止め、必死に懇願した。「お願いだ、ここに跪くから……もう一度、俺を愛してくれないか?」

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Kabanata 1

第1話

「申し訳ありません。娘さんは二月十五日、午前一時十三分に蘇生処置の甲斐なく、お亡くなりになりました」

寺原真衣(てらばる まい)はウサギのぬいぐるみを握りしめたまま、無表情で手術室をじっと見つめていた。

彼女は娘の最後の旅立ちを見送るため、静かに歩み寄った。

手術台の上、真衣は娘の枯れ枝のように細く乾いた小さな手をそっと握った。

その手は冷たく、すでにぬくもりは失われていた。

彼女は静かに娘の髪を整えた。

脳裏には、娘がまだ救急室へ運ばれる前、かすかに漏らした弱々しい声がよみがえる。

「ママ……おじさんは、まだ来ないの?」

娘が「おじさん」と呼んでいたのは、実の父親である高瀬礼央(たかせ れお)だった。彼は娘に「パパ」と呼ぶことを許さず、そのくせ忘れられない初恋相手の息子には「パパ」と呼ばせていた。

高瀬千咲(ちさき)のいちばんの誕生日の願いは、パパと一緒に過ごすこと、そして一度だけでも「パパ」と呼ばせてもらうことだった。

千咲は体が弱く、去年の冬、冷たい風の中で礼央が帰ってくるのを待ち続けたせいでインフルエンザにかかり、肺炎を患った。今年に入ってからは病状が急激に悪化し、ずっと入院していた。

今日もまた、寒い冬の日だった。千咲はこっそりと家の門の外で、礼央の帰りを待ち続けていた。

倒れていたところを真衣が見つけ、すぐに病院へと運ばれた。

医師からは、危篤状態だと宣告された。

真衣は礼央に、娘の誕生日くらいは一緒にいてほしいと、必死に懇願した。

彼はそれを承諾した。

だが、またしても約束は裏切られた。

彼女は枯れ枝のように痩せ細った娘の小さな体をそっと抱きしめ、優しくささやいた。「いい子ね……もう、つらいことは終わりよ」

もう、病の苦しみに耐える必要はない。

もう、毎日父親に嫌われ、決して届かない父の愛を求めて泣くこともない。

「ママ、どうしておじさんは私にパパって呼ばせてくれないの? でもお兄ちゃんはいいのに……

ママ、萌寧さんがお兄ちゃんのこと好きだから、パパもお兄ちゃんのこと好きなんだよね……」

娘の無邪気な問いかけが、今もなお彼女の耳元で何度も何度も響いているようだった。

幼い彼女には、なぜパパが自分を好きになってくれないのか、なぜ自分だけ「パパ」と呼べないのか、その理由がどうしてもわからなかった。ただ、きっと自分がお兄ちゃんよりも劣っているから、だからパパに嫌われているのだと、そう思い込んでいた……

六年前、彼女は礼央とふとしたことで関係を持ち、千咲を身ごもった。いわゆる授かり婚だった。

千咲を産んだ時、彼女は難産の末、大量出血したが、彼は一度も顔を見せることはなかった。

その頃、礼央は憧れの女性・外山萌寧(とやま もえ)の出産に付き添っていたのだ。どちらが大事か、それは一目でわかることだった。

萌寧は男の子を産んだ後、その子を礼央に預けて出国し、そのまま消息を絶った。

一方、真衣は長年、礼央を一途に想い続けてきた。彼の心を少しでも引き寄せたくて、萌寧が産んだ子供を受け入れ、我が子同然に心を込めて育て上げた。

彼は千咲に「パパ」と呼ばせることを決して許さなかった。だが、萌寧の息子にはまるで宝物のように接した。これが、決定的な違いだった。

難産の時、彼女は本当は気づくべきだったのだ。あの男の心は氷のように冷たく、どれほど手を尽くしても、決して温めることはできないということに。

本当は千咲のほうが午前中に先に生まれていた。それなのに、彼は萌寧の息子を「兄」にして、高瀬家の長男としての地位を与えた。

その結果――

誰もが、その子こそ礼央の本当の息子だと信じて疑わなかった。

そして、千咲はただの私生児だと蔑まれたのだ。

医師は彼女の震える背中を重苦しい面持ちで見つめながら、そっと声をかけた。「お父様は……まだお見えになっていないのですか?」

この子・高瀬千咲が入院してからというもの、父親の姿は一度たりとも見かけることはなかった。

真衣の瞳は冷たく光り、皮肉げにかすかに笑った。「父親なら、私生児を連れてその実の母親に会いに行き、誕生日パーティーを開いていますよ」

毎年、同じことの繰り返しだった。

それでも彼女は、馬鹿みたいに四年間も他人の子を育て続けてきた。

同じ誕生日の子供なのに、千咲には冷たい仕打ちしか与えられなかった。

医師は呆然とし、目の前の哀れな女性に、どんな言葉をかければいいのか分からずにいた。

-

千咲が亡くなって初日、真衣は全ての手続きを済ませた。

北城の火葬手続き確認書には、父母双方の署名が必要だった。

真衣は港湾の別荘へ戻り、千咲の遺品を静かに整理した。

その時、階下から車の音が聞こえてきた。

「パパ!いつママを捨てて萌寧さんと結婚するの?萌寧さんにママになってほしい!」

礼央はコートを腕にかけ、身をかがめて子供である高瀬翔太(たかせ しょうた)の頬を優しくつねった。「翔太、萌寧さんをママって呼んでいいんだよ」

真衣は階上で、その会話の一部始終をはっきりと耳にした。

胸の奥がきゅっと締めつけられる。彼女はそっと目を閉じ、深く息を吸い込んだ。

「ママにお風呂に入れてもらって、着替えたら萌寧さんを迎えに行きなさい」

翔太は嬉しそうに跳びはねた。「やった!」

けれど次の瞬間、翔太の小さな顔は曇り、しょんぼりとつぶやいた。「でも……ママが知ったら、行かせてくれないかも。ママ大嫌い、いつも外のもの食べさせてくれないんだもん」

礼央は翔太の頭を撫で、やさしく背中を押すように言った。「パパがいるから、ママは何も言えないよ」

礼央はふと目を上げ、ちょうど階段を下りてくる真衣と視線がぶつかった。

だが彼の顔は淡々としていて、何の感情も浮かばず、視線を逸らして見なかったことにした。

翔太は駆け寄り、真衣の手を握って言った。「ママ、お風呂入れて。あとでお出かけするんだ!」

真衣はその手を静かに振りほどき、顔を上げて礼央を真っすぐに見つめた。「何か……忘れてない?」

礼央は淡々と真衣を一瞥した。「何を?」

何年経っても、礼央はずっと冷たかった。彼女に対しても、千咲に対しても、冷たさは変わらなかった。

真衣は自嘲するように微笑んだ。

そうね。礼央が千咲と翔太の誕生日が同じ日だなんて、覚えているはずがない。

翔太の誕生日は毎年、萌寧と一緒に盛大に祝われる。

その一方で、千咲は毎年、毎年、冷たい冬の風の中で、決して帰ってこない父を待ち続けていたのだ。

「話がある」

礼央は嘲笑うように鼻で笑った。「今日は忙しい」

「長くはかからないわ。サインして」

真衣は静かに言い、手にしたファイルを開いて、署名する場所を指し示した。

礼央はひどく不機嫌そうで、まるで彼女と一秒でも一緒にいること自体が鬱陶しいとでも言いたげだった。

彼は眉をひそめ、勢いよく署名すると、書類を真衣に突き返した。

「今夜は翔太と外で泊まるから帰らない。明日の朝、千咲に学校で先生に翔太の半日休みを伝えさせろ」

真衣は奥歯を噛みしめ、書類を握る指先が真っ白になるほど力を込めた。

もし彼がほんの少しでも真剣に目を通していれば。

すぐに気づいたはずだ。文書の一枚は離婚届、もう一枚は千咲の火葬手続きの書類だということに。

それなのに、彼はどちらの書類にも無造作に、心を込めることなくサインしたのだった。

「それと、千咲に電話してくるなと伝えろ」

真衣は冷たく笑った。

千咲はもう電話なんてかけてこない。

彼女も――もう、しない。

礼央は、普段とは明らかに違う真衣の態度にも、まるで気にする様子はなかった。

時間が迫る中、萌寧の方から電話が入り、彼らがいつ到着するのか尋ねてきた。

翔太はお風呂にも入らず、着替えもしないまま、礼央のあとについて外へ出た。「今夜は新しいママにお風呂に入れてもらう~」

礼央は甘やかすようにその言葉に応えた。

「いいよ」

真衣はその場に立ち尽くし、彼らの去っていく背中を、ただ呆然と見つめ続けた。

彼女は家の中にある、自分と千咲に関係するすべてのものを整理し、燃やした。

そしてその足で火葬場へ向かい、千咲の遺体を火葬した。

遺骨を受け取った時――

真衣の涙は、こらえきれずに頬をつたって落ちた。

「千咲……ママを待ってて。すぐに会いに行くから……」

-

一方その頃。

礼央は翔太を連れ、萌寧の帰国歓迎パーティーに出席していた。

三人は和やかに語らい、まるで本当の家族のように親密だった。周囲の人々も皆、彼らの家庭の幸せを称賛し、真衣がいつまでも高瀬夫人の座に居座り、彼らの幸せを壊しているのだと噂していた。

その時、誰かが人混みをかき分けて礼央の前に駆け寄ってきた。

「高瀬社長、奥様とお嬢様が本日火葬されました。どうか葬儀場へ、遺骨を受け取りにいらしてください」

礼央は眉一つ動かさず、冷えきった声で言った。「いい歳して、そんな嫉妬じみた茶番をいつまで続けるつもりだ?」

「ですが……火葬許可書にはご自身で署名されましたし、離婚届にも……」

その言葉に、礼央の心臓は一瞬、脈打つのを忘れた。「……何だと?」

礼央はほとんどスピード違反のまま火葬場に辿り着き、妻と娘が火葬炉に送り込まれる光景を目の当たりにした。

それだけの光景で、彼の胸は何かに引き裂かれるような痛みに貫かれた。

火葬場の職員が聞いたのは、彼が「ドサッ」と倒れる音だけだった……

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第1話
「申し訳ありません。娘さんは二月十五日、午前一時十三分に蘇生処置の甲斐なく、お亡くなりになりました」寺原真衣(てらばる まい)はウサギのぬいぐるみを握りしめたまま、無表情で手術室をじっと見つめていた。彼女は娘の最後の旅立ちを見送るため、静かに歩み寄った。手術台の上、真衣は娘の枯れ枝のように細く乾いた小さな手をそっと握った。その手は冷たく、すでにぬくもりは失われていた。彼女は静かに娘の髪を整えた。脳裏には、娘がまだ救急室へ運ばれる前、かすかに漏らした弱々しい声がよみがえる。「ママ……おじさんは、まだ来ないの?」娘が「おじさん」と呼んでいたのは、実の父親である高瀬礼央(たかせ れお)だった。彼は娘に「パパ」と呼ぶことを許さず、そのくせ忘れられない初恋相手の息子には「パパ」と呼ばせていた。高瀬千咲(ちさき)のいちばんの誕生日の願いは、パパと一緒に過ごすこと、そして一度だけでも「パパ」と呼ばせてもらうことだった。千咲は体が弱く、去年の冬、冷たい風の中で礼央が帰ってくるのを待ち続けたせいでインフルエンザにかかり、肺炎を患った。今年に入ってからは病状が急激に悪化し、ずっと入院していた。今日もまた、寒い冬の日だった。千咲はこっそりと家の門の外で、礼央の帰りを待ち続けていた。倒れていたところを真衣が見つけ、すぐに病院へと運ばれた。医師からは、危篤状態だと宣告された。真衣は礼央に、娘の誕生日くらいは一緒にいてほしいと、必死に懇願した。彼はそれを承諾した。だが、またしても約束は裏切られた。彼女は枯れ枝のように痩せ細った娘の小さな体をそっと抱きしめ、優しくささやいた。「いい子ね……もう、つらいことは終わりよ」もう、病の苦しみに耐える必要はない。もう、毎日父親に嫌われ、決して届かない父の愛を求めて泣くこともない。「ママ、どうしておじさんは私にパパって呼ばせてくれないの? でもお兄ちゃんはいいのに……ママ、萌寧さんがお兄ちゃんのこと好きだから、パパもお兄ちゃんのこと好きなんだよね……」娘の無邪気な問いかけが、今もなお彼女の耳元で何度も何度も響いているようだった。幼い彼女には、なぜパパが自分を好きになってくれないのか、なぜ自分だけ「パパ」と呼べないのか、その理由がどうしてもわからなかった。ただ、きっと自
Magbasa pa
第2話
「パンッ——」足元にふわっと柔らかいものが落ち、ぼんやりしていた真衣の意識がはっと覚めた。呆然と目を落とすと、そこには青いフォンダンケーキが転がっていた。「ママ、誕生日ケーキは作らないでって言ったのに!」翔太の不満げな声が耳に刺さる。彼は真衣を見上げながら言った。「不細工でまずいんだよ。ママ、話聞いてるの?」これは……真衣は思わず息を呑んだ。戻ってきたのか?!本当に戻ってきた!一年前――翔太の誕生日パーティーに。翔太はまだ文句を言い続けていた。「萌寧さんの作ったケーキが食べたい!」「ママ、千咲はママのケーキ、美味しいって思うよ。お兄ちゃんが食べないなら、千咲が一人で食べる」娘の甘えるような柔らかい声が、再び耳に届く。真衣はその幼く痩せた頬を見下ろし、溢れる涙で視界が滲んだ。彼女はしゃがみ込み、娘の小さな顔をそっと両手で包み込んだ。その温かな感触が、確かに自分が本当に戻ってきたのだと、はっきりと教えてくれた。今世では――絶対に、もう二度と娘を傷つけさせない。千咲は翔太を見つめて言った。「ママにそんな言い方しちゃダメだよ。ママがもうケーキ作ってくれなくなったら、どうするの?」「自分で食べれば?僕はそんなのいらない」翔太は不機嫌そうに言いながら、萌寧の手をぎゅっと握った。「僕は萌寧さんをママにしたいんだ!萌寧さんは美味しいものいっぱい作ってくれるし、乗馬もロッククライミングも連れて行ってくれる。ママは乗馬のことも知らなくて、すっごく恥ずかしいんだ。パパも萌寧さんが好きだし、僕も好き!」礼央は眉をひそめた。「何を馬鹿なことを言ってるんだ?」萌寧はシャープなレザージャケット姿で、気さくに笑ってみせた。彼女は左手で礼央の肩を抱き、まるで男同士のように親しげな仕草を見せながら、もう一方の手で翔太の頭を軽く撫でる。「翔太のパパの奥さんになるのは、そんな簡単なもんじゃないよ。私と彼は兄弟のような親友だからね。それに翔太、前にも教えたでしょ?ママにそんな言い方しちゃダメだって。言うこと聞けないの?」翔太は口を尖らせ、さらに萌寧の方へと身を寄せた。そして、真衣が贈った誕生日プレゼントを再び地面に投げ捨て、不満げに言った。「だってママのプレゼントは、いつも安っぽい万年筆ばっかり。おもちゃなんてくれないし
Magbasa pa
第3話
夜、誕生日パーティーが終わった。翔太は車の中でもまだ手足をバタバタさせながら喜んでいた。というのも、今夜はめずらしく母親がいなかったため、誰にも干渉されず、パーティーで好きなものを好きなだけ食べることができたからだ。それに、萌寧が優しくしてくれて、まるで母親よりもずっと良かった。マイバッハが別荘の前に停まると――翔太は口をとがらせながら、不満そうに礼央の手を握って車を降りた。彼はいつも遊びに出かけた後、家に帰るのを嫌がる。母親が家にいるからだ。でも、萌寧は「お母さんのすべての努力を尊重しなきゃいけない」と言っていて、言うことを聞けば、次はもっと面白いことができると言っていた。父親も、「言うことを聞かないと、次は萌寧さんと一緒に遊べなくなるぞ」と言っていて、結局翔太はしぶしぶ帰宅することになった。「パパ、明日も萌寧さんと遊びたい。萌寧さんを海外に行かせないでよ、そしたらもうママに干渉されなくてすむのに」礼央は淡々とした口調で、感情のこもっていない声で答えた。「彼女はしばらく海外に行くけど、戻ってきたらもう出ていかない。翔太のそばにいるさ」礼央と真衣が結婚して六年。真衣はいつも彼にへりくだり、従順だったが、何を言っても、礼央はたいてい拒んでいた。だが、萌寧に対しては、ほとんどすべてを叶えていた。翔太は、父親と萌寧の関係が普通ではないことを知っていて、父親の言葉を聞いた途端、ようやく満足そうな笑みを浮かべた。家に入ると、翔太は嬉しそうに叫んだ。「ママ、お風呂の湯を入れて!香りのいいミルクバスに入りたい!」今日、萌寧が彼の体からするミルクの香りを褒めてくれた。パパが子供の頃の匂いにそっくりだと言っていたのだ。そのとき、使用人の大橋(おおはし)が迎えに出てきた。「坊ちゃん、奥様は今夜お留守です。私がお風呂を用意してあげましょうか?」礼央は淡々とした口調で問いかけた。「真衣はどこにいる?」「わかりません。今日は奥様もお嬢様も帰ってきていませんでした」大橋は包装された書類の封筒を取り出した。「これは奥様から旦那様に渡すようにと言われたものです」礼央は目を伏せながら書類を受け取り、それを無造作にテーブルの上に放ると、翔太の方を見た。「大橋さんにお風呂に入れてもらいなさい」翔太は嬉しそうに言った。「ママも千咲
Magbasa pa
第4話
礼央はその言葉を聞いても、眉一つ動かさずに答えた。「わかった」彼は真衣の感情や気まぐれなど、まるで意に介していないようだった。大橋もそれ以上何も言わなかった。以前にも似たような騒ぎはあったが、最終的には真衣のほうが折れて、ご機嫌を取りに戻ってきたのだった。翔太は思い通りのミルクバスに入れず、不満そうだったが、最終的には萌寧がやってきて、「週末に航空宇宙・国防科学技術展に連れて行ってあげる」となだめてようやく落ち着いた。以前、母親は彼を高い場所に行かせることは絶対に許さず、遊園地にすら連れて行ってくれなかった。翔太は、母親が貧乏で、萌寧のようにお金持ちではないと思っていた。でなければ、誕生日に安物の万年筆をくれたり、手作りの不格好なケーキを用意したりするはずがない。それに比べて、萌寧は一言で彼を本物の飛行機や戦闘機を見に連れて行ってくれるのだ。翌朝。翔太は目を覚ますと、跳ねるようにして朝食を食べ始めた。今朝の朝食は海老カツサンドで、翔太が前の晩に大橋に頼んで特別に作らせたものだった。母親がいるときは、絶対に海鮮を食べさせてくれず、いつも口うるさく制限してきた。でも今は、食べたいものを好きなだけ食べられる!一方その頃、真衣は早起きして千咲のために栄養食を用意し、彼女を学校まで送り届けていた。彼女が車で立ち去るとすぐに、翔太がマイバッハから飛び降りてきた。「萌寧さんが週末に本物の戦闘機を見せてくれるんだ!それに、おもちゃの粘土もたくさん買ってくれて、みんなに分けて一緒に遊べるようにしてくれた!」翔太は胸を張って得意げに言った。「お前がくれたあのボロい積み木より、ずっといいぞ!お前も遊びたかったら、僕にお願いしなよ。そしたら萌寧さんに頼んで、一緒に連れてってもらえるようにしてあげる!どう?萌寧さんとパパがいなかったら、ママじゃ、一生本物の戦闘機なんて見せてくれないよ!」千咲の目は真っ赤になり、鼻の奥がツンと痛んだ。あの積み木は、全部自分が一生懸命作ったものだった。おじさんは翔太のことばかり好きで、だから自分が翔太に気に入られれば、もしかしたら「パパ」と呼ぶことも許してくれるかもしれないと、そう思っていたのに……千咲は翔太をじっと睨みつけた。「お兄ちゃんが私のプレゼントを気に入らないのは別にいいけど……で
Magbasa pa
第5話
「今後翔太に関する連絡は父親の方へお願いします」真衣は冷静な口調で言った。「私は彼の母親ではありません」教師は眉をひそめ、夫婦喧嘩で感情的になり子供の面倒を見たくないのだろうと考えた。「お母様、今は子供が危険な状態です。意地を張っている場合ではありません。至急来園してください」「父親の連絡先をお送りします」そう言うと、真衣は電話を切った。すぐに、彼女は礼央の電話番号を教師に転送した。安浩は真衣が電話に出るのを見て、すでに席を外していた。真衣が視線を上げると、安浩は少し離れた窓際で階下の景色を見ていた。彼女は歩み寄った。「今日はありがとう」「電話終わった?」真衣はうなずいた。安浩は真剣な眼差しで彼女を見た。「寺原さん、おかえり」彼女は淡く微笑んだ。「じゃあ、私の履歴書が通るよう祈ってて」第五一一研究所の要求は非常に高く、真衣は長らくこの業界から離れていたため、履歴書が通るかどうかは不安だった。安浩は冗談めかして言った。「もし本当に通らなかったら、僕がアシスタントとして雇ってやるよ」-礼央が幼稚園に到着した時、空は激しい雨に覆われ、土砂降りの中だった。園内では翔太が全身に赤い発疹を出して、保健室で激しく泣いていた。朝から体が少し痒いとは感じていたが、昼にはすでに全身も顔も真っ赤な発疹で覆われていた。兄に発疹が出たと聞いた千咲は、胸がざわついた。母はかつてこう言っていた。翔太の体は特別で、毎晩薬湯に浸からないと、全身に発疹が出てしまうと。千咲は小さな傘を握りしめ、クラスから保健室へ向かった。だが風雨があまりにも激しく、傘はぐらぐらと揺れ、彼女の体は半分以上も雨に濡れてしまった。保健室に着くと、翔太は千咲の姿を見て、小さな顔を怒りで歪めた。「僕の惨めな姿を見に来たのか!」「ママが、お兄ちゃんは毎日薬湯に入らないと発疹が出るって言ってたの。ちゃんとお医者さんに――」「余計なお世話だ!」翔太は彼女の言葉を遮り、そばにあったコップを手に取り、千咲に向かって投げつけた。「でしゃばるな!お前なんかに会いたくない!」先生はその様子を見て慌てて止めに入った。「翔太、妹を叩いてはいけない!」「妹なんかじゃない!あいつは高瀬家と何の関係もないって、みんなが言ってる!私生児なんだ!」千咲はその言
Magbasa pa
第6話
萌寧はくすっと笑いながら言った。「それなら、パパの奥さんにならないと、ママにはなれないわよ?翔太、パパに私と結婚してほしいの?」翔太は何のためらいもなく答えた。「すぐにパパとママを離婚させて、萌寧さんを僕のママにする!」その言葉を聞きながら、真衣は心の中でひそかに冷笑した。翔太は知らない。萌寧こそが、彼の本当の母親であることを。ただ、過去に彼女自身がその子を礼央に預け、育児から手を引いただけの話。だが、萌寧という女は、本当に計算高く、そして手段を持っている女だった。学業もキャリアも、すべて自分の手でしっかり守り抜きながら、最終的に欲しい男まで手に入れてしまったのだから。「本当に病院に来ないと思っていた」背後から聞こえたのは、どこか嘲るような響きを含んだ、冷ややかな男の声だった。真衣が振り向くと、そこには黒いスーツを身にまとった礼央が立っていた。その姿は相変わらず上品で、気品のある雰囲気を纏っていた。もしこれが、かつての自分だったなら。きっとその姿を見て、嬉しくなって媚びるように声をかけていたかもしれない。けれど今は、彼女の眉はきつく寄せられ、視線も冷たくなっていた。もし礼央が長年、娘をあれほどまでに無視し続けていなければ、前世で千咲が吹雪の夜にずっと彼を待ち続け、高熱から肺炎を起こして命を落とすことなんてなかった。そして今日、幼稚園で彼はまた、高熱を出していた娘を置き去りにして翔太を連れて行った。千咲が熱を出していたかどうか、彼が本当に知らなかったとしても。もし少しでも千咲のことを気にかけていたなら、あの子の異変に気づけたはずだ。礼央は全身ずぶ濡れの真衣を見下ろすように眺め、皮肉っぽく言った。「高瀬家を離れて、そんな惨めな姿になるとはな。翔太は中にいる。会っていけばいいだろう」真衣は深く息を吸い込み、礼央を冷たく見据えて笑った。「翔太は私の子じゃないわ。なんで私が会いに行かなきゃいけないの?」そう言い放つと、真衣は礼央がどんな顔をしていようと一切気にせず、すぐに背を向け、その場を後にした。今世では、もう彼が娘の面倒を見ることを期待しない。彼がいつか自分たち母娘の存在を振り返ってくれるなどという幻想も、もう抱かない。前世、あの男の冷たさが娘を死に追いやった。真衣は、あの過ちを二度と繰り返さ
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第7話
男の冷ややかな声が耳に届き、その響きはひときわ耳障りだった。真衣が振り返ると、彼の漆黒の瞳と視線が合った。冷たく、感情のかけらもないその眼差し。彼は相変わらずだった。何の事情も理解しようとせず、彼女と娘が悪いと決めつけ、無条件で萌寧と翔太の側に立つ。礼央は彼女が何か言うよりも早く、視線を萌寧に移し、少しだけ声の調子を和らげて言った。「中に入って朝食を食べよう」彼は千咲に一瞥もくれず、そのままあの二人について病室へ入り、扉を閉めた。閉ざされた扉を見つめながら、真衣は拳を固く握り締めた。爪が食い込み、手のひらが痛むほどに。礼央の冷たい態度を前に、彼女の瞳はさらに深く、冷え切った色を帯びていく。どうして、あんな無関心な態度に耐えて、これまで何年も過ごしてこられたのか。思えば思うほど、笑ってしまうくらい滑稽だった。もし彼女が礼央の愛を執拗に求めず、もっと早く娘を連れて離れていたら。前世で、あんな悲劇は起きなかったかもしれない。「ママ、もうだいぶ良くなったから、今日退院しよう」真衣はその素直で従順な娘を見つめ、心の奥がきゅっと締めつけられるのを感じた。「これからは誰かにいじめられても、我慢しなくていいの。いい?」「わかった」千咲は素直に頷いた。-真衣は千咲の退院手続きを済ませると、その足で実母に会いに向かった。母は郊外の別荘に住んでいた。市内から少し離れていたが、空気もよく、景色も穏やかだった。両親は長い間、離婚問題で揉めていた。だが父親の方がなかなか同意せず、母はついに自ら家を出て、ここに移り住んでいたのだった。真衣はよく千咲を連れて、母のもとで心の内を語るのが好きだった。千咲は祖母の顔を見ると嬉しそうに駆け寄り、その腕の中で甘えた。寺原慧美(てらばら さとみ、旧姓青木(あおき))は笑みを浮かべながら、千咲を抱き上げた。「まあまあ、千咲、また背が伸びたんじゃない?今日はおばあちゃんのところへ来て、何が食べたいの?おばあちゃんが作ってあげるよ」「ステーキが食べたい!」「はいはい、作ってあげるよ」慧美はしばらく千咲をあやしてから、「テレビでも見てなさい」と2階へ行かせた。それから、真衣の方を見た。「今日は水曜よね?どうして来れたの?」真衣は椅子に腰を下ろしながら尋ねた。「最近、ビジネ
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第8話
萌寧はまだ反応できずにいた。その間に、真衣は何の未練も見せずエレベーターへと入り、そのまま去っていった。萌寧は何か言おうとしたが言葉にできず、礼央のほうを見て口を開いた。「礼央、あなたの奥さん、本当に気が強いのね。よく手に負えるわね。翔太が彼女を怖がるのも無理ないわ。ちょっと怒ってるみたいだけど、慰めに行かなくていいの?」礼央は淡々と視線を外し、平然とした口調で言った。「放っておけば、そのうち自分で落ち着くだろう」萌寧は口元を少しゆるめ、薄く笑った。「本当に、奥さんに逃げられても平気ってわけね」夜。礼央が家に帰ると、家の中は真っ暗で、明かりもついていなかった。翔太は家におらず、大橋もその世話をする必要がないため、すでに早くに寝ていた。明かりをつけると、広々とした部屋はひときわ空虚で、冷え冷えとした空気が漂っていた。彼はそのまま階段を上がり、主寝室へと向かったが、そこもがらんとしていた。彼はめったにこの家に帰らなかった。そして、真衣が戻ってきているかどうかさえ気にする様子もなく、バスルームへと向かう途中、彼女のドレッサーの前を通り過ぎても、一瞥すらしなかった。もし、ほんの少しでも目を向けていたら。そこに静かに置かれていた書類に気づいたはずだった。-週末。国防科学技術展は熱気に包まれていた。大勢の人々が見物に訪れ、チケットを手に入れられなかった人たちでさえ、外からでもひと目見ようと周囲に立ち並んでいた。多くの記者たちもカメラを担いで取材していた。真衣は早めに千咲を連れて、展示会場の入り口で安浩を待っていた。千咲はおとなしく真衣のそばに立ち、くるくると目を動かしながら、周囲の賑わいを興味深そうに見渡していた。外にはあちこちに飛行機のポスターや紹介パネルが掲示されている。以前は、ママがこうした場所に連れてきてくれることなどなく、遊園地でさえ滅多に行ったことがなかった。真衣は娘の様子に気づき、身をかがめて千咲の小さな頬をつまんだ。「こういう場所、好き?もし退屈だったら、おばあちゃんに迎えに来てもらって、おばあちゃんのところに行ってもいいのよ」「好き、とっても好き」千咲は甘えるような声で言った。「前はママ、ぜんぜんどこにも遊びに連れて行ってくれなかったから」娘のその一言に、真衣の胸は
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第9話
盛岡高史(もりおか たかし)は真衣をじっと見つめ、露骨に軽蔑の色を浮かべて吐き捨てた。「何しに来たんだか。存在感でもアピールしに来たつもりか?」礼央はその声を聞いても何も言わず、淡々と真衣の方へ視線を向けただけだった。衆人の注目を一身に浴びる萌寧に比べ、たとえ真衣が目を見張るような美貌を持っていたとしても、中身のないお飾りでは話にならなかった。そんな彼女が光り輝く萌寧の隣に立てば、その差はますます浮き彫りになるだけだった。「お前がどうして家に帰りたがらないか、よくわかったよ。俺だって、絶対に萌寧を選ぶね。学歴もあるし、能力もある。もともと優秀で向上心もある。何を取っても真衣よりはるかに上だ。真衣なんて、家でお前の金を使うだけで、何一つ役に立たないじゃないか」高史は礼央と同じ社交界に属する人間で、二人が結婚した当初から、真衣のことを心の底から軽蔑していた。男を罠にかけてベッドに転がり込んだ女なんて、どれほどの価値があるっていうんだ?今更になって、恥知らずにもこんなところまで追いかけてくるとは……高史は心の中で、ますます非常識だと呆れていた。「まだあそこに立ってインタビューなんて見てるのか?理解できるわけがないだろ。知らない人が見たら、あの女も航空業界にでも進出するつもりだと思うかもな」礼央は冷ややかな視線を高史に向け、一言だけ吐き捨てた。「うるさい」それでようやく、高史は口をつぐんだ。翔太は、もみくちゃにされながらも華やかに笑う萌寧を見つめ、自分までその光を浴びているような気分になっていた。萌寧さんが本当にママだったらいいのに。でも大丈夫。萌寧さんが自分のことを一番好きでいてくれれば、それでいい。真衣は、皆の前で生き生きと語る萌寧の姿を黙って見つめていた。たしかに、今の彼女は光り輝いていた。この業界に対する理解も、彼女は驚くほど深かった。真衣はそっと深呼吸し、視線をそらした。道理で、礼央が萌寧に惹かれるわけだ。何もできない専業主婦と、才色兼備のキャリアウーマン。比べれば、どちらを選ぶかなんて明白だった。そんな単純な理屈を、前世の彼女は理解できずにいた。千咲は、もみくちゃにされながらも注目を浴びている萌寧を、まん丸な大きな目でじっと見つめていた。周囲の会話にも、しっかり耳を傾けている。こ
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第10話
礼央の身からにじみ出た威圧感に、千咲はびくっと肩をすくめ、小さな口をきゅっと結んだまま、か細い声で言い直した。「ありがとう……おじさん……」目の奥がじんと熱くなり、胸が苦しくなる。とても、とても悔しかった。だけど彼女は唇をぎゅっと噛みしめて、意地でも涙はこぼさなかった。パパが、ようやく自分を受け入れてくれたのかもしれない――そう思って、少し嬉しかったのに。真衣はその場面に息をのんだ。千咲が倒れかけた方向が自分と逆で、手を伸ばしても届かなかった。幸いにも、娘は無事だった。真衣は礼央の腕の中から千咲をそっと引き取り、やわらかな声で優しく語りかけた。「びっくりしたでしょう?どこか痛いところはない?」千咲は黙って首を横に振った。返事をしたら、その瞬間に涙がこぼれそうだったから。翔太は少し離れたところでその様子を見つめていた。胸の奥が、ざらりとする。以前、ママもあんなふうに、自分をあたたかく抱きしめてくれた。そして、あんなふうにやさしく声をかけてくれたのだ。ママは、もうずっと家に帰ってきていなかった。そして、ずっと――自分を抱きしめてくれることもなかった。翔太は胸の奥で、ひっそりと母親を恋しく思っていた。さっき「あんたにはママがいない」と言われたときも、少し、悲しかった。だけど、もしママがいなくても、萌寧さんがそばにいてくれるなら……そう考えると、悪くない気もしてきた。どうせママは、本気で自分を捨てたりしないはずだ。さっきのは、怒った勢いで言っただけのはず。真衣は、礼央を完全に無視した。一瞥もくれず、千咲をしっかりと抱いたまま、静かに背を向けて立ち去った。礼央はわずかに眉をひそめた。以前の真衣の熱意を思えば、今の冷たさに気づかないはずがない。……また何か子供じみた意地を張ってるのか。「子供ですらありがとうって言えるのに、お前は言えないのか?」背後から飛んできたその言葉に、真衣は足を止めた。そして振り返り、冷ややかな笑みを浮かべながら言い放った。「あんたが千咲に負ってるもの、それだけじゃ済まないでしょう?」そう言い残すと、真衣は礼央の表情など一切気にせず、千咲を抱いたまま、ためらいもなくその場を離れた。彼女の口から出たその一言は、礼央にとってまるで意味がわからない、不可解なものだった。
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