登入婚約した彼に裏切られた主人公の舞美絵。舞美絵がそんな時に出会ったのは、麻薬取締官である四之宮だった。 婚約者に裏切られたことを四之宮に話した舞美絵に、四之宮は「俺と結婚しませんか?」と提案をする。そんな四之宮に心惹かれた舞美絵は、四之宮との結婚を受け入れる。 四之宮と結婚したその日、舞美絵は四之宮と身体を重ね合い、二人の仲は急接近することに……。 そんな舞美絵の前に、元婚約者である雪輝が現れ復縁を迫ろうとするが、四之宮が間一髪助け出す。 そんな四之宮に惹かれていく舞美絵は、四之宮との幸せを日々感じていくのだった。
查看更多「ごめん。俺、お前とは結婚出来なくなった」
「えっ……?」
その一言を告げられたのは、彼と婚約してから一ヶ月後のことだった。
「ちょっと、待って……それどういう意味?」
頭の中の理解が追いつかない。
「本当にごめん。 俺……お前とは結婚、出来ないんだ」
「え、結婚出来ない? どうして……?」
今目の前にいる彼は、私の婚約者だ。
「俺、別の結婚相手が出来たんだ」
「……は?」
でももう、婚約者だった人に゙なりそゔな予感がする。
「え、別の結婚相手ってなに?
そう問いかけると、彼は申し訳なさそうな顔を見せ「……彼女が、妊娠したんだ」と私に告げた。
「妊娠……? 雪輝、それ、どういうこと?相手は誰?」
彼は、私の知らない相手を妊娠させたんだとわかった。 私という婚約者がいながら、別の女と関係を持って、挙げ句の果てに妊娠までさせた最低の男だった。
「答えて。妊娠させた相手は誰?」
「……高校の、同級生なんだ」
「高校の同級生?」
高校の同級生と聞いて、すぐにピンときた。 彼は数ヶ月前、同窓会がありそれに参加していた。
「まさか、あの同窓会の日?」
「本当に……ごめん。許してほしい」
なるほど。彼はその同級生の誰かと関係を持ち、妊娠させてしまったんだ。
「……そのごめんって、なんのごめん?」「え?」
「ごめんって言われても、許せるわけないでしょ? 私との結婚が決まっているのに同窓会にうつつを抜かして、他の女とセックスして妊娠したことを、許してほしいと?」
何ふざけたことを言ってるのだろうか、彼は。 許してほしいとか、本気で言ってるの?
「同窓会で再会した女と浮気したことを隠した挙句、妊娠したからその女と結婚するって? 何それ、なんの冗談?全然笑えない」
「……本当に、悪いと思ってる」
雪輝のことを、私は本当に愛していた。 こんなに人を愛したことは初めてで、雪輝とならずっと幸せに暮らしていけると、そう思っていたのに。
私は彼に裏切られた。 何も知らずに彼を信じきって、彼のプロポーズまで受け入れて。「雪輝、あなたって……最低ね」
「俺だって、まさかそんなことになるなんて、思ってなかったんだよ。 あの日しか関係を持ってなかったし、まさか妊娠するなんて……」
え、なに? 今さら言い訳?
「言い訳するとか……見苦しいよ、雪輝」
「
なんで私は、こんな男のことを信じたんだろう。
「雪輝、あなたとは婚約破棄します。 そんな最低野郎、こっちから願い下げだから!」
私は雪輝からもらった婚約指輪を左手の薬指から外し、雪輝に向かって投げつけた。
「あの最低野郎っ!」
腹立つっ! 私がいながら、浮気とか信じられない!
雪輝と出会って三年、付き合って二年でプロポーズされて、幸せの絶頂にいた。 まさにこれから幸せを掴むところだった。 雪輝と二人で幸せになって、いつかは子供を持って幸せな家庭を築いていけると、そう信じていた。まさか、婚約して一ヶ月でこうなるなんて思わなかった。
両親にも結婚するって報告しちゃったし、両親に今さら婚約破棄したとか、言えない……。「どうしよう……」
両親には結婚することは伝えていたけど、雪輝をまだ紹介してなかったから、雪輝の顔はまだ知らないけれど。
挨拶は改めてすると伝えていたけど、破棄になった今報告のしようがない。でも……。
「正直に言うしか、ないよね……」
両親への報告の日にちをすでに決めている今、今さら白紙になったと言ったら両親はきっと悲しむだろうな……。
「雪輝があんなことさえ、しなければ……」何も知らないままいれば、私は普通に幸せな人生を迎えていたかもしれないのに。
雪輝のせいで、全部が台無しになった。 雪輝の過ちのせいで、私たち二人の幸せが砕け散った。あの時、私が同窓会に行くことを許可しなければ、こうはきっとならなかった。
同窓会になんて行かないでと、そう言えば良かった。 そしたら、あんなことになることもなかったのに……。「はあ……」
途方に暮れた私は、近くにあった公園のベンチへと座り込む。
「結婚……白紙になっちゃった」
私は今年で三十歳になる。三十までに結婚することが、私の目標だった。
その目標を叶えることが出来る寸前だった。「あの、大丈夫ですか?」
ため息をつきながらベンチに座っている私に、一人の男性が声を掛けてくれる。
「え……?」
「どこか体調でも、悪いですか?」
「あ、いえっ……」
目の前の男性には、私が体調が悪そうに見えていたようだ。 体調より、心のメンタルがやられているのだが……。
「でも、顔色が悪いですよ?」
「……本当に、大丈夫ですから」
その場を立ち去ろうとベンチから立ち上がった、その時……。「きゃっ!」
急に立ち眩みのような症状が現れ、躓きそうになってしまう。
「おっと……!」
男性が私の身体を支えてくれる。
「大丈夫ですか?」
「はい……すみません」「今何か飲み物を買ってきますから、もう少し座って待っていてください」
男性は私を再びベンチに座らせると、飲み物を買うため走っていく。
「俺が離婚する時は、舞美絵さんから離婚を切り出された時だけです」「……四之宮、さん」四之宮さんはこんなに私に優しくて、そんな不安も取り除いてくれた。「夫婦になっても、俺は舞美絵さんが嫌がることはしない。 舞美絵さんが子供を望まないなら、子供は作らないし、寝室が別がいいならもちろん別にします」そう言ってくれた四之宮さんの優しさが、私は嬉しかった。「いえ!あの、そこまで言ってないので……安心してください。 私は四之宮さんに何かされても嫌だとは思いませんし、寝室も一緒で構いません。 四之宮さんと夫婦になるので、寝室は一緒の方がいいと思います」寝室を別にした夫婦は離婚率が上がると言われているようだし、それに対して嫌なわけもない。「本当?」「はい」ここまで言ってくれる人、きっといないと思う。「……ちなみにですけど」「ん?」「私も、離婚するつもりであなたと結婚しませんので安心してください。 四之宮さんと幸せになるために、結婚すると決めたので」「舞美絵さん……」私たちは夫婦になって幸せになる。そして必ず、雪輝に後悔させてやるの。 私を捨てたことを後悔させてあげるんだ。「私は、あなたを信じます。 あなたの言葉を、あなたの温もりを、あなたの笑顔を信じます」私は四之宮さんに微笑みかける。「ん、俺を信じて。 俺は絶対に、あなたのことを悲しませないし、絶対に裏切らない」そんな真剣な言葉をくれる四之宮さんに、私は心が惹かれていることに気付く。 「……もちろん、信じます。 四之宮さんは、私の旦那さんになる人、ですから」「ありがとう、舞美絵さん」私は四之宮さんと幸せになるために、結婚する。 決して中途半端な気持ちなんかじゃない。「あの、四之宮さんの家と私の家……結婚したら、どっちに住みますか?」いや、でもな……私の家1LDKなんだけど、ちょっと寝室が三畳でちょっと狭いんだよね。「ちなみに私の今住んでる家、1LDKなんですけど、寝室が三畳とちょっと狭いので、二人で寝るには狭いかもしれません。 一応ロフトはあるんですけど、ロフトは今物置みたいになってまして」「なら、俺の家で一緒に暮らしますか? 俺の住んでるマンション、2LDKなので寝室も広いですし」 2LDKのマンションに住んでるんだ、四之宮さん。 一人で……住んでるんだ、よね?
「改めまして、早瀬舞美絵です。よろしくお願いします」 「四之宮賢哉です。こちらこそ、末永くよろしくお願いします」 す、末永く……。なんだか改めて言われると、少しばかり照れる。「私、もうすぐ三十歳になります。一週間後が、三十歳の誕生日です」「え、本当に三十歳? 見えませんね。もっと若く見えます」「えっ、本当ですか?」もっと若く見えますと言われ、ちょっとばかし浮かれてしまいそうになる。「ちなみに俺も、三十です。今年三十一になります」「そうなんですね。 年齢近いんですね」「本当ですね」でも四之宮さんも三十一になるようには、どうも見えない。 年齢の割に大人びて見えるし、落ち着いているように見える。「ちなみに俺の好きな食べ物は、うどんにちくわの磯辺揚げとかしわ天乗せね」「いい組み合わせですね。美味しい組み合わせですもんね」うどんにちくわの磯辺揚げとかしわ天乗せて食べるというのは、ちょっと贅沢で美味しい。「舞美絵さんの好きな食べ物は?」「私の好きな食べ物は……わかめご飯と鶏の照り焼きですね」「わかめご飯好きなんだ」四之宮さんからそう聞かれたので、「はい。わかめご飯のおにぎりとかよく食べてます」と答える。「わかめご飯好きな女の子って、結構多いよね」「確かに。 あの塩気がたまらないんですよね」 特にお弁当用に売ってる混ぜ込みのヤツが好き。「俺も好きだよ」「……え?」「わかめご飯」な、なんだ、そっちか……。急に好きだと言われたので、びっくりしてしまった。「あと、照り焼きとかも好きかな。 照り焼きバーガーとかよく食べるし」「そ、そうなんですか?」四之宮さんはアイスコーヒーを口にしながら「照り焼きバーガー美味しくない? バーガーだと、あれが一番好きなんだよね」と言ってくる。「確かに、美味しいですね。 甘辛い照り焼きソースが最高ですね」「そうそう。あれをポテトに付けて食べるとなお美味しいしね」「確かに、あれは美味しいですね」「舞美絵さんもやったことある?」「はい。あります」まさか、照り焼きバーガーでこんなに盛り上がるとは思ってなかった。 「俺たち、意外と食の好み似てるのかもね。好きな食べ物の好み、近いし」「……確かに、そうですね」私もちくわの磯辺揚げ好きだし、かしわ天も好きだし、照り焼きも好きだし
「俺は至って本気ですよ」「でも……私たちまだ出会って数十分とかですよ? そんな私にプロポーズだなんて……四之宮さん、どうして?」私が四之宮さんにそう聞くと、四之宮さんは私の手を握る。そして「俺は、泣いているあなたの涙を見て、美しいと思ってしまったんです」と言ってくれた。「……え?」「そんなあなたの涙を、俺は守りたいと思ったんです。 あなたのことを俺が幸せにしたいと、そう思ったんです」こんなことを言われるとは、思ってなかった。 まだ出会って数十分の四之宮さんに、私は少し心が揺れてしまっている。「……四之宮さん」「俺は、結婚するならあなたがいい。舞美絵さん」そんな真剣な眼差しで、四之宮さんから見つめられる。「俺は浮気なんて絶対にしないし、ずっと舞美絵さんのことを守ると約束する。 悲しい思いもさせないし、裏切らないと約束する」「……どうして?」四之宮さんから受けたそのプロポーズは、正直に言うと嬉しかったんだと思う。だけど、素直に喜べない自分もいた。こんな風に結婚してしまって、いいのかな……?「さっき言いましたよね? 婚約破棄した彼を後悔させてあげるというのはどうですか?って」「そ、それは……」 確かにさっき、四之宮さんからそんな言葉を言われた。 確かに私を捨てたことを後悔させてやりたいし、自分だけ幸せになることは許せない。それなりに腹立つし、理不尽だなと思う。「彼に後悔させてあげられる方法は、一つしかないと思いませんか?」四之宮さんからそれを言われてピンときた。「それが……結婚って、ことですか?」「そうです。俺とあなたが結婚して幸せになればいいんです。 そうすれば、彼はきっとあなたを選ばなかったことを後悔するはずです」相手を後悔させることを思いつくことなんて、今までなかった。 後悔させられるなら、後悔させてやりたい。「私……幸せになりたいです。 雪輝との幸せをずっと考えてました。結婚して子供が出来て、そんな普通の幸せを望んでました」 どうして、こんなことになっちゃったのかな。神様は意地悪だ。普通の幸せを、私には与えてくれなかった。「舞美絵さん、だったらその普通の幸せ……俺と作りませんか?」そんな私に、四之宮さんは「俺と結婚して、そんな最低野郎を見返してやりましょう」と私の手を握りしめる。 「……そうですね。
「優しいんだな、あの人……」あの一瞬で、彼がすごく紳士的な人だと感じた。「お待たせしました。お水、飲んでください」すぐに戻ってきた男性は、私にお水を渡してくれる。「ありがとう、ございます」私はお水を身体の中に流し込む。「少し落ち着きましたか?」「はい。……ご迷惑をおかけして、すみません」その男性は「いえ、お気になさらず」と優しく微笑む。 少しの間沈黙が続くが、男性の方から「……あの、何かありましたか?」と声を掛けてくれる。「もちろん、答えたくないなら、答えなくて大丈夫です」そう言ってくれたその男性に、気付いたら私は「……実は、ついさっき婚約してた人と別れたんです」と伝えていた。「え……?」 「ついさっきまで、婚約者だったんですけど……彼が浮気した女性との間に子供が出来たから、結婚出来ないって言われたんです」そうやって愛想笑いしていると、急になんだか涙で視界が滲みだす。「あれっ……」私、泣いてる……?涙が溢れていると知った瞬間にはもう遅くて、両眼からボタボタと涙がこぼれ落ちてくる。「すみません……私、泣くつもりじゃっ……」その瞬間、隣の彼は私の身体をそっと抱き寄せる。「こういう時は、泣いていいんです。 むしろ、泣くべきです」私はそんなことを言われたせいか、涙が止まらなくて声を押し殺して泣いてしまった。「あなたは自分の人生をその彼に壊されたんです。 むしろ、もっと怒ってもいいくらいです」どうしてこの人は、初対面の私にこんなに優しくしてくれるのだろうか。妙にその優しさが、心にじんわりと染みていく。「でも……両親は私の結婚をすごく喜んでくれてるんです。 だから、余計に心苦しくてっ……」「……そうですよね。ご両親は、やっぱり嬉しいですよね」彼は私の話を真剣に聞いてくれた。「彼、雪輝って言うんですけど……彼の顔とかはまだ両親は知らなくて、婚約者を紹介したいとだけ言ってたんです。 彼を両親に紹介する日も、もう決めてたのに……まさか、こんなことになるなんて」本当に情けないし、もう両親に合わせる顔もない。「これから、幸せになるはずだったのにな……」そんな私の言葉に、彼は「あなたなら、幸せになれますよ、きっと」と言葉をくれる。「……私、男の見る目、なかったですね」「そんなこと、ないと思いますよ」「えっ……?」そ