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九十九の願い事⑧

Auteur: 佐藤紗良
last update Date de publication: 2025-05-06 20:00:57

♢♢♢

佐加江を置いて祠へ逃げ込んだ青藍は屋敷まで走り、黒い大きな門を閉めた。そして、庭先にしゃがみ、真っ赤な顔を膝に埋めている。

「鬼殿、今日の逢い引きは楽しかったようだの」

こちらの世でも天狐と青藍はお隣同士だ。御殿の二階の縁で毛つくろいをしていた天狐が、笑いながら青藍の元へとふわっと飛び降りてくる。

「逢い引きなど、していません」

「生娘みたいにそんなに顔を赤くして、どうしたんだ」

「昨日は佐加江が私のことを覚えている事に驚いてしまって、あのような態度を」

「あれは酷かったぞ。佐加江も悲しそうな顔をしておった」

「佐加江にまた、求婚されました」

「およおよ。ずいぶんと情熱的だの、佐加江は」

佐加江の部屋から昨晩、持ち帰ってしまったノートを返そうと出かけたつもりだった。が、そんなことすっかり忘れていた。

懐からノート
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