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第4話

Author: 富永勉
私が両親の選んだ婚約者から「ガラクタ」呼ばわりされているのに、彼らは私をかばうどころか、気まずそうに瑞城へ視線を向ける。

「縁談を決めたときは、まだ生まれていなかったから、どんな顔なのかは分からなくてね……

瑞城くん、安心してちょうだい。上村家とは代々の付き合いだもの、一番優秀で美しい娘を嫁がせるに決まっているわ。

見た目の悪いほうは、たとえ一生家に置いて、嫁がせなくても、誰かに迷惑をかけるようなことだけはさせないから」

両手をきつく握りしめ、私は何も言わなかった。言い訳などするつもりもない。

こんな底意地の悪い婚約者など、こちらから願い下げだ。

しかし、瑞城は私を放っておくつもりはないらしく、さらに厚かましく距離を詰めてきた。

「おじさん、おばさん、それは言いすぎですよ。

お二人の優れた遺伝子なら、どんな子が生まれたって、そこまでひどくなるはずがないでしょう。

だから、俺も気になるんですよ。いったい、どんな顔をしているのか……

せっかくですから、マスクとサングラスを外して、みんなに見せてもらえませんか?

今日ここに集まっているのは、どこもそれなりの家柄ばかりです。もしこういう顔立ちでも気にしない人がいたら、いい縁談になるかもしれませんよ」

両親は気まずそうに顔を見合わせる。相槌を打つことも、はっきり断ることもできない。

実の親である二人でさえ、これまで私の顔をまともに見ようとしたことがなかった。

だからこそ、この瞬間、二人も内心穏やかではない。

私がマスクやサングラスを外して、自分たちが笑い者にされるのではないかと恐れているのだ。

瑞城の威圧感に押されまいと、後ろへ下がる。

「結婚するつもりがないのなら、私の顔など気にする必要はないはずです。

私は帝都大学に合格したばかりですし、これからは学業や自分の仕事がありますから、結婚を急ぐつもりもありません。

それに、これから誰と結婚するかを決めるのは私です。赤の他人に、お節介を焼かれる筋合いはありません」

瑞城は、これまで人前でこけにされたことなどなかったのだろう。不穏な気配を漂わせ、目を細めた。

周りの人たちも足を止め、ひそひそと話し始める。

「我々のような家柄は、教育や環境に恵まれているが、それでも帝都大学に受かる子などほんの一握りだぞ」

「聞いた話じゃ、あの子は小さい頃から田舎の祖母に育てられて、ご両親は何も手をかけていないんだろ?」

「見た目はともかく、頭はかなりいいんだろうな」

周囲からの称賛の声を耳にして、両親の表情が和らぎ、誇らしげに口角まで上がり始める。

だが、美玲と瑞城だけは、苦虫を噛み潰したような顔をしている。

美玲が近づき、私の手首を強く掴んだ。

「お姉ちゃん。女の子にとって、学歴や能力と同じくらい、見た目も重要なのよ。

もし本当に自分の顔を気にしてないなら、こんなに念入りに顔を隠したりしないはずだわ。

今日は腕のいい美容クリニックの先生たちも来てるから、マスクを外して、みんなに顔を見てもらったら?

せっかくだから、先生たちに見てもらえば、もっときれいになれるかもしれないよ。ね?」

口では優しく尋ねながら、美玲の手は素早く私の顔へと伸びてきた。

反射的に身をかわす。それが、かえって美玲の狙い通りだ。

「このブス。いい加減その醜い顔を隠すのをやめて、みんなの前に晒しなさいよ」

耳元でそう囁くと、美玲はそのまま私の体を勢いよく押した。次の瞬間、背後のプールへと体が投げ出される。

水面に叩きつけられ、激しい衝撃とともに、顔を覆っていたものがすべて外れた。

水の中で何度も体勢を崩し、必死に水面へ浮かび上がる。

ようやくプールサイドに手をかけ、立ち上がると、無意識に目や鼻に入った水を手で拭う。

その瞬間、会場は水を打ったように静まり返った。聞こえてくるのは、かすかな息を呑む音だけだ。

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