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第32話

Author: ラクオン
車に乗り込んだ後、梨花は一言も口を開かなかった。

彼女は静かにシートに身を預け、まばたきすらせず、窓の外の街の景色をじっと見つめていた。

和也はもう四年以上、彼女を見てきた。

賢くて理解もある。けど、彼女には他の人にはない、強い芯があった。

風に吹かれ、雨に打たれても咲き誇る月見草のようだった。

でも今は少し様子が違う気がした。

何も言わなくても、彼には彼女の心の中でたまっている悲しみがなんとなく伝わってきた。

赤信号でブレーキを踏みながら、ふと声をかけた。

「大丈夫?」

正直、全然大丈夫じゃない。

竜也はあまりに淡々としていた。まるで過去のすべてがなかったかのように振る舞っていた。

記憶にとらわれているのは彼女の方で、未練がましくて、まるで器が小さいかのように感じられた。

梨花は自分の心を他人に見せるのが得意ではない。

口角を少し上げて、軽く笑った。

「大丈夫だよ」

和也は深く追及しなかった。

「何かあったら、いつでも話してね」

彼の言葉は、優しく、そして少し強く響いた。

「梨花、竜也に正面からぶつかっても、きっと損するだけだ」

その言葉に、梨花
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