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第2話

Author: チュチュ
「いつからそんなに計算高くなった。目的のためなら手段を選ばないって言うのか!」

両手を強く握り締める。爪が食い込み、手のひらから血が滲む。

溢れそうになる涙を必死に堪える。

「五年よ。もうすぐ、中央病院に帰任できる年齢制限を超えてしまう……私にはもう時間がないの!」

年齢上限を迎え、中央への帰任資格を失う日まで待ってなどいられない。

彼の心が戻ってくる日など、もう待てない。

自分のために、戦わなければならない。

クロードはじっと私を見つめ、見慣れない感情を瞳に浮かべると、ふっと声を和らげた。

「この五年間、お前がひどく苦労してきたことは分かっている。

だが、今年はどうしても駄目なんだ。

エレナ、俺を信じて、もう少しだけ待ってくれないか」

彼は背後から私を抱き寄せ、その指先で涙を拭おうとする。

私は身をよじってその手をかわし、皮肉たっぷりに問い返した。

「なぜ駄目なの?誰か他の人に枠を譲ったから?

セリアに、でしょう?」

先ほどまでの柔らかな態度は嘘のように消え失せ、クロードの顔色は瞬時に曇った。

「そこまでして戻りたがるのは、俺とセリアの関係を疑っているからか?

いいだろう!ならお前の望み通りにしてやる!

たとえ離婚したところで、今年お前が中央へ戻れることはない。それでも俺に署名しろと言うんだな?」

私は彼の目を真っ直ぐに見据え、迷いなく頷いた。

クロードは苛立たしげにペンを走らせる。紙を突き破らんばかりの筆圧で署名すると、婚姻解消の申請用紙を私に叩きつけた。

「中央にも戻れず、行く当てもなくなった時に後悔するなよ!」

*

離婚申請が軍籍管理局で審査されている、この一ヶ月の間。

少しでもチャンスを掴むため、私は半月もの間、野戦病院での過酷な激務を休みなくこなした。

そしてついに、中央帰任の候補者リストに名を連ねた。

すべては私の思い描いた通りに進んでいた。

ただ一つ、予期せぬ事態が起きたこと以外は。

私は妊娠が発覚した。

すでに三ヶ月。

前線の環境は過酷で、生理不順など日常茶飯事だった。

だからこそ、お腹に宿った命の存在に気づくのが遅れた。

時期を逆算すると、三ヶ月前、クロードからの通信一本で帝都に呼び出されたあの時のことだ。

その夜、彼は酒に酔い、異常なほど激しかった。

ふと思い出す。あの時期、セリアはある上官と親密にしていたはずだ。

この子は、彼の八つ当たりの産物。

本来なら、存在してはならない命。

結果が出て間もなく、クロードが病院にやって来た。

彼には私のカルテを閲覧する権限がある。妊娠を知っていても不思議はない。

私のお腹を一瞥するなり、冷徹に言い放った。

「子供のことは、セリアもすでに知っている。

セリアは前線での怪我が原因で、子供が産めない体だ。お前の妊娠を聞いて、一晩中泣き明かしていた。

上官の妻として、彼女の気持ちを察してやるべきだ。堕ろせ」

お腹に当てていた指先が、一瞬硬直する。足元から心臓に向かって、強烈な悪寒が駆け上がった。

結婚したばかりの頃、私たちは子供のいる未来を一緒に思い描いていた。

彼は言った。

「お前に似た娘が欲しいな。

そうすれば、お前の子供時代がどんなだったか見られるから」

しかし今や、セリアが泣いたという、そのひと言だけで。

クロードはこの子を殺そうとしている。

かつて確かに存在した、ささやかで温かな思い出さえも、自らの手で葬り去ろうと。

胸の奥に突き刺さった棘が、疼き出す。

絶対に、あいつの思い通りになどさせてたまるか。

「これは私の子よ。どうしようと私の勝手。あなたには関係ない」

クロードに纏う空気が氷点下にまで凍りつく。彼は私の手首を掴み、骨が砕けそうなほどの力で締め上げた。

「離婚の手続きはもう進んでいるんだ。お前がこの子を産めば、セリアを苦しめるだけだ!

俺には、軍医長としてお前に中絶を強要する権限がある。分かっているだろう!」

私は彼を真っ向から睨みつけ、目を赤くしながらも、決して屈することなく言い放った。

「セリアの涙一滴でそこまで心を痛めるなんて。一体彼女を部下として見ているの?それとも愛人として?」

彼の瞳に激しい怒りが燃え上がる。私の言葉に逆上し、勢いよく手を振り上げて怒鳴った。

「エレナ!言い過ぎだぞ!」

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