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第345話

Author: 木憐青
「静雄、どうしたの?どうしてこんなにきつくするの?」

「もう俺を煩わせるな」

芽衣の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。まさか静雄がこんなに冷酷になるとは思っていなかったのだ。

彼女は泣きながら病室を飛び出していった。

大介はその背中を見送り、深く息をついた。

ベッドに近づき、静雄に声をかけた。

「社長、どうか落ち着いてください。芽衣様もあなたを心配しているのです」

腹は少し空いていたが、何を口にしても味がしない。苛立ちのあまり静雄は怒鳴った。

「お前も出ていけ!」

大介は思わず目を白黒させた。

これまでずっと仕えてきて、功績がなくても苦労は山ほどしてきた。

それなのに、この仕打ち。心底冷え込む思いだった。

「......分かりました。どうぞごゆっくりお休みください」

そう言って病室を出ると、静かにドアを閉めた。

静雄はベッドに横たわり、閉じられるドアの音を聞きながら、胸に虚しさが広がっていった。

病気のとき、いつもそばで甲斐甲斐しく看病してくれた深雪を思い出した。

今の自分の周りには、本気で気にかけてくれる人間は誰一人いない。

大介を追い払ったことを少し後悔した。

だが、後悔したところで何になる。もう取り返しはつかないのだ。

その頃、延浩は静雄が入院したという噂を耳にし、胸に不安がよぎった。

心配しているのは静雄ではなく、深雪のことだ。

彼は深雪の住まいを訪ね、台所で忙しく立ち働く姿を目にした。

「深雪、何をしてる?」

「ご飯を作ってるの」深雪は振り返って笑った。「お腹空いたでしょ?すぐできるから」

「腹は減ってないよ」延浩は言った。「静雄が入院したって。君は......」

「私は大丈夫」深雪は彼の言葉を遮った。

「私には関係ないわ」

軽やかに笑ってみせると、まるで心にかけていないようだった。

「さあ、早く手を洗って。ご飯にしましょ」

「......ああ」延浩はうなずき、手を洗いに向かった。

二人は一緒に食事をし、その後ソファで寄り添いながらテレビを見た。

一方、芽衣はどうにも収まらない気持ちを抱え、ささやかな仕返しを思いついた。

会社に戻ると、静雄の体調について根も葉もない噂を広め始めたのだ。

「聞いた?社長、入院したらしいわよ」

「うん。胃から出血したんだって」

「実は前から身体はボロボロだったら
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