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第375話

Penulis: 木憐青
静雄の胸は大きく波打ち、呼吸は荒く、怒りと挫敗感に今にも呑み込まれそうだった。

彼は突然大股で会場の外へと歩き去った。芽衣はその場にひとり取り残されてしまった。

壇上の深雪は、簡単な挨拶を述べ、審査員とチームへの感謝を伝えると、人々に囲まれながら舞台を降りた。

彼女はスマホを取り出し、延浩へ電話をかけた。

すぐに電話が繋がり、延浩の穏やかな声がスマホから響いた。

「どうだ?結果は出たのか?」

深雪の声は、抑えきれない興奮と喜びを帯びていた。

「成功したわ!下瀬産業の入札を勝ち取った!」

スマホの向こうで、延浩の声も喜びと安堵に満ちていた。

「本当か?素晴らしい!やっぱり君ならできると信じていた。おめでとう、努力がついに報われたな!」

深雪の口元は幸福の弧を描き、心の中は潮のように溢れる喜びでいっぱいになった。

「先輩、ありがとう。この間、支えて励ましてくれたから、ここまで順調に来られたんだわ」

延浩は柔らかに言った。

「とんでもない。今夜はどうやって祝う?僕がレストランを予約しておこうか?」

深雪は笑って答えた。

「いいよ。今夜は私がご馳走する」

「よし、約束だ。会社で待っている」

延浩の声は優しく、力強く、その響きは深雪に無限の自信を与えた。

通話を切った深雪の心は、さらに軽やかになった。

彼女が顔を上げると、大介が少し離れたところで嬉しそうに笑みを浮かべ、親指を立てていた。

深雪は静かに微笑み返し、大介も心からの笑みで応えた。

彼は胸中で、あの時の自分の選択の正しさを改めて確信していた。

深雪様について行けば、未来は明るいものだ。

深雪はチームを率い、会場を後にしようとした。

廊下に出ると、静雄と鉢合わせた。

静雄は人混みを避け、廊下の隅にひとり佇んでいた。その背中はどこか寂しく、孤独に見えた。

深雪はそのまま通り過ぎるつもりだったが、無意識のうちに足が止まった。

彼女は静雄の背中を見つめ、胸の奥に複雑な感情が湧き上がった。

この男はかつて最愛の人であり、同時に自分を最も深く傷つけた人でもあった。

今や、二人は商戦のライバルとして向かい合っている。

深雪が声をかけるべきかどうか逡巡していると、静雄が不意に振り返り、彼女の姿を捉えた。

二人の視線が空中で交錯し、空気が一瞬で凍りついた。

静雄の目は陰鬱
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