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第67話

Author: 木憐青
彼女は今や松原グループ最大の株主だ。静雄を除けば、最も地位が高い存在だ。だからその席は当然、彼女のものだ。

その男は静雄を強く支持する一派で、この言葉を聞くとすぐに鼻で笑った。

「お前、何様のつもり?どうせただの専業主婦だろう。株をちょっと多く持ってるからって、好き勝手できると思うなよ」

この言葉は、まわりの皆に聞かせるためのものだった。

確かに株は重要だが、明らかに能力の方がもっと重要だ。

松原グループが今日までやってこられたのは、静雄の優れた経営手腕があったからだ。だから、彼らの心は少なからず静雄に傾いていた。

一方で、深雪は彼らにとってただの専業主婦で、家事と育児だけをする存在にすぎなかった。だから家で安らかに暮らしていればいいと、彼らはそう思っていた。

だが深雪は一切遠慮せず、横にあったコップをその男の頭に向かって勢いよく投げつけた。

「少しは目が覚めたかしら?」

男は、普段おとなしい印象だった深雪が、こんな大勢の前で自分に手を出してくるなんて思いもよらなかった!

彼は信じられないという顔で頭を押さえながら、目の前の深雪を見て言った。

「不敵者!よくもこんなことを……」

「それがどうしたの?」

深雪は残った半分のコップをしっかりと握りしめた。

「なに?もう一回やられてみたいの?」

男は内心では納得していなかったが、さすがにこれ以上太刀打ちできないので、奥歯を噛みしめながら立ち上がるしかなかった。

深雪はまったく意に介さず、当然のように自分の席に座り、足を組みながら、冷たい視線を静雄に向けた。

「松原社長、私たちを呼び出したのは、何か用件でもあるの?

確か、今日は株主総会の日じゃなかったよね?」

この一言で、静雄は一気に窮地に追い込まれた。

深雪の一連の行動は、誰にとっても予想外だった。皆が驚きの表情で彼女を見つめ、次に静雄を見た。

なぜか分からないが、なんとなく静雄はこれからひどい目に遭う気がする。

静雄は突然の質問攻めに対応できず、少しうろたえた。

今日の雰囲気なら、彼女の勢いを抑え込めると思っていたが、まさか逆に勢いづかせることになるとは思ってもみなかった。

「深雪……お前を甘く見てたな。

お爺様が亡くなって、子供も死んだから。

もう演技する必要ないってことか?」

静雄は冷笑を浮かべ、じっと深雪を睨み
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Comments (1)
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石橋智子
静雄さんは出来るだけ後悔してね
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