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第617話

作者: 木憐青
芽衣は床に崩れ落ち、涙が止めどなく頬を伝った。

指輪は確かに静雄のオフィスにあった。

しかも、はめた瞬間にぴたりと合った。

それなのに、なぜ静雄は「あれは深雪に贈るものだ」と言ったのか。

「......深雪よ。絶対に深雪の仕業だわ。私を陥れたに違いない!」

芽衣は歯を食いしばり、瞳に濃い怨毒を宿していた。

よろめきながら立ち上がると、ふらふらと社長室を飛び出していった。

静雄はそのみじめな背中を一瞥しただけで、何の憐れみも抱かなかった。

胸にあるのは、底なしの苛立ちだけだった。

彼は乱暴にネクタイを緩め、大介に電話した。

「今すぐ来い」

低く押し殺した声には、抑えきれない怒りが滲んでいた。

ほどなく大介が社長室に駆け込んできた。

床に散らばる破片とスープの跡を見て、状況を察しつつも、表情は崩さない。

「社長、大丈夫でしょうか?」

静雄は空っぽの引き出しを指さし、怒鳴りつけた。

「指輪はどうした?なぜ芽衣の手にある?納得のいく説明をしろ」

大介は困惑した表情で首を振った。

「本当に分かりません。確かに引き出しに入れました。その後は一切触っていません。も
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