【R18・NTR】幼い日の告白と未来への種

【R18・NTR】幼い日の告白と未来への種

last update最終更新日 : 2025-10-20
作家:  みみっくたった今更新されました
言語: Japanese
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18禁です。(NTR要素あり) 長年想いを寄せていた幼馴染のカオルに告白するも、「美形で金持ちの男が良い」と振られたユウ。心を閉ざしていたユウだが、新しい彼氏と問題が起きてしまい、学校でひどい噂が広まるカオルを放っておけず、彼女の家へと向かう。 そこでユウは、カオルが抱えていた秘密と、ひどい仕打ちを受けていた事実を知る。過去に傷つき弱ったカオルと、彼女を裏切り者だと感じながらも、惹かれてしまうユウ。二人の関係は、過去の純粋な思い出と目の当たりにした残酷な現実が交錯する中、再び動き始める。 これは、一度壊れてしまった幼馴染との関係を、再び築き直そうとするが……

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第1話

1話 忘れられない君の言葉

『公園の約束』

 春のやわらかな風が、ブランコの鎖をきぃきぃと寂しげに鳴らしていた。夕暮れの公園には、もう誰の姿もない。遊具が地面に落とす影は長く伸び、空は少しずつ、茜色に染まり始めていた。まるで、今日という一日が終わってしまうことを惜しむかのように、淡く滲むグラデーションが広がっている。

「ねぇ、ユウマくん!」

 カオルの甲高い声が、広々とした芝生の上に響いた。ポニーテールにするにはまだ短い、真っ黒な髪を、細いピンで懸命に留めている彼女は、火照った赤い顔でユウマの背中を追いかけてくる。少し開いた口から漏れる白い息が、春の冷たい空気に溶けていった。

「んー? なにー?」

 ユウマは、滑り台のてっぺんに腰を下ろし、ぼんやりと空を見上げていた。茶色がかったくせ毛が、風にふわりと揺れる。その視線はどこか遠く、今目の前にある現実とは別の場所にいるかのようだった。

 カオルは彼の隣にちょこんと座ると、両手を膝の上に置いて、小さな指をぎこちなくもじもじと動かす。何度も胸の中で繰り返した言葉。何度も言おうとして、結局喉の奥に引っ込んでしまった言葉。でも、今日こそは、そう強く決心していた。

「ねぇ、ユウマくん……大きくなったらさ、あの……結婚してくれる?」

 その言葉は、風に乗ってふわりと滑り台の上を漂った。カオルの頬は夕焼けの色にも勝るほど真っ赤で、その瞳は、嘘偽りなく真っ直ぐにユウマを見つめている。彼女の心臓は、ドクドクと鼓動を速め、耳の奥で激しく鳴り響いていた。

 ユウマは、ぽかんと口を開けて彼女を見つめる。そして、少しだけ、くしゃりと笑った。

「えー? 結婚? それって、大人がするやつでしょ?」

「うん、でも、わたし、大人になったらユウマくんと結婚したいの!」

 カオルは、きらきらと目を輝かせて言った。その瞳には、ユウマの言葉を疑う気持ちも、自分の気持ちに迷う心もなかった。ただ、ユウマのことが好きだから。ただ、ずっと一緒にいたいから。それだけだった。

 ユウマは、少し考えるふりをして、再び空を見上げた。そして、子供特有の無邪気な残酷さで、ふいっと肩をすくめた。

「んー、わかんない。俺、サッカーのほうが楽しいし。」

 カオルの顔から、一瞬だけ笑顔が消え、影が差した。しかし、彼女はすぐに、太陽のような明るい笑顔を取り戻す。その笑顔の裏に隠された、ほんの少しの寂しさなど、ユウマには気づくはずもなかった。

「じゃあ、また明日も言うね! ユウマくんが“うん”って言うまで、ずーっと言うから!」

 ユウマは苦笑いを浮かべ、滑り台を滑り降りていく。カオルもそのあとを慌てて追いかけた。二人の小さな影が、夕焼けに照らされた地面に並んで伸びていく。

 カオルの声は、何度も何度も夕暮れの空に響いた。

「ねぇ、ユウマくん、結婚してくれる?」

「ねぇ、ユウマくん、大好きだよ!」

 その純粋な言葉は、幼い日の風景の中に、少しずつ溶けていった。そして、ユウマの心の奥底に、まだ気づかれることもないまま、いつか芽吹くことを夢見る小さな種として、そっと残されたのだった。

『すれ違いのはじまり』

 秋の冷たい風が、校庭の落ち葉をさらさらと揺らしていた。まるで、過ぎ去った夏を懐かしんでいるかのような、乾いた音だ。放課後の空は少しだけ赤く染まり、昇降口の前には、ようやく帰り支度を終えた子供たちの賑やかな声がまだ残っていた。

 ユウマは、少しだけ使い込まれたランドセルを背負ったまま、校舎の裏手にある小さなベンチに腰を下ろしていた。その隣にはカオル。夏を越して伸びた髪は肩にかかるほどになり、かつてピンで留めていた頃よりもずっと大人びて見える。だが、その表情はどこか不機嫌そうで、口元は固く結ばれていた。

「なあ、カオル」

 ユウマが、少しだけいたずらっぽく、ニヤリと笑いながら言った。

「お前さ、俺のこと好きなんだろ?」

 カオルは、ぴくりと肩を揺らす。彼女の心臓が、ドキンと大きく跳ねた。そして、すぐに顔をそむける。

「えっ? わっ、ちがうし。……あれ、小さい時の話でしょー! もう、恥ずかしいこと言わないでよねー!」

 声は強がっていたが、耳の先がほんのりと赤く染まっている。ユウマは、その反応を見て、さらに面白そうに笑った。

「でもさー、“結婚してくれる?”って、あれ、何回言ったっけ? 10回? 20回?」

「うるさいっ!」

 カオルは、ランドセルの肩紐をぎゅっと握りしめた。彼女の指先が、白く硬くなる。その仕草が、どこか子供っぽくて、でももう“子供”ではないような、そんな不思議な距離感を二人の間に感じさせた。

「……あれは、ほんとに小さい時の話だから。今は、そういうの、別に……興味ないし。」

 ユウマは、その言葉を聞いて、少しだけ黙り込んだ。そして、ゆっくりと顔を上げ、茜色に染まる空を見つめる。

「そっか。……でも、俺は、あの時のカオル、けっこう好きだったけどな。」

 カオルは、何も言い返さなかった。ただ、風に揺れる髪を手で押さえながら、遠くの校舎をぼんやりと見ていた。その横顔は、どこか寂しそうで、けれど、その表情は意地っ張りに固く閉ざされている。

 ユウマは、そんなカオルをじっと見つめて、心の中でそっと呟く。

(……今は言ってくれないけど、俺はずっと覚えてる。カオルが俺に言ってくれた“好き”も、“結婚してくれる?”も。)

 そして、いつかまた、あの無邪気で真っ直ぐな言葉を聞ける日が来るのなら――その時は、ちゃんと胸を張って、“はい”と答えよう。

 夕焼けの中、二人の影は、地面に並んで長く伸びていく。しかし、ほんのわずかだけ、その間には距離が空いていた。

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1話 忘れられない君の言葉
『公園の約束』 春のやわらかな風が、ブランコの鎖をきぃきぃと寂しげに鳴らしていた。夕暮れの公園には、もう誰の姿もない。遊具が地面に落とす影は長く伸び、空は少しずつ、茜色に染まり始めていた。まるで、今日という一日が終わってしまうことを惜しむかのように、淡く滲むグラデーションが広がっている。「ねぇ、ユウマくん!」 カオルの甲高い声が、広々とした芝生の上に響いた。ポニーテールにするにはまだ短い、真っ黒な髪を、細いピンで懸命に留めている彼女は、火照った赤い顔でユウマの背中を追いかけてくる。少し開いた口から漏れる白い息が、春の冷たい空気に溶けていった。「んー? なにー?」 ユウマは、滑り台のてっぺんに腰を下ろし、ぼんやりと空を見上げていた。茶色がかったくせ毛が、風にふわりと揺れる。その視線はどこか遠く、今目の前にある現実とは別の場所にいるかのようだった。 カオルは彼の隣にちょこんと座ると、両手を膝の上に置いて、小さな指をぎこちなくもじもじと動かす。何度も胸の中で繰り返した言葉。何度も言おうとして、結局喉の奥に引っ込んでしまった言葉。でも、今日こそは、そう強く決心していた。「ねぇ、ユウマくん……大きくなったらさ、あの……結婚してくれる?」 その言葉は、風に乗ってふわりと滑り台の上を漂った。カオルの頬は夕焼けの色にも勝るほど真っ赤で、その瞳は、嘘偽りなく真っ直ぐにユウマを見つめている。彼女の心臓は、ドクドクと鼓動を速め、耳の奥で激しく鳴り響いていた。 ユウマは、ぽかんと口を開けて彼女を見つめる。そして、少しだけ、くしゃりと笑った。「えー? 結婚? それって、大人がするやつでしょ?」「うん、でも、わたし、大人になったらユウマくんと結婚したいの!」 カオルは、きらきらと目を輝かせて言った。その瞳には、ユウマの言葉を疑う気持ちも、自分の気持ちに迷う心もなかった。ただ、ユウマのことが好きだから。ただ、ずっと一緒にいたいから。それだけだった。 ユウマは、少し考えるふりをして、再び空を見上げた。そして、子供特有の無邪気な残酷さで、ふいっと肩をすくめた。「んー、わかんない。俺、サッカーのほうが楽しいし。」 カオルの顔から、一瞬だけ笑顔が消え、影が差した。しかし、彼女はすぐに、太陽のような明るい笑顔を取り戻す。その笑顔の裏に隠された、ほんの少しの寂しさなど、ユウマ
last update最終更新日 : 2025-10-16
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2話 届かない言葉、届かない心
『告白の記録』 小学校高学年の春。校庭の桜が、風に吹かれてはらはらと舞っていた。薄紅色の花びらが、まるで雪のように二人の間を通り過ぎていく。 放課後、誰もいなくなった遊具の前で、ユウマはランドセルを背負ったまま、カオルの前に立っていた。カオルは、結び直したポニーテールのゴムを指先でいじりながら、少しだけ不思議そうな顔でユウマを見つめている。「……なに? 急に呼び出して。」 ユウマは、手のひらにじっとりとにじむ汗を、ズボンの裾でそっと拭いながら言葉を探していた。ふざけたり、馬鹿なことを言ったりするのは得意だ。だが、こんな風に真剣な感情を伝えるのは、生まれて初めての経験だった。「えっと……その……俺さ、カオルのこと、好きなんだ。」 カオルは、ユウマの言葉に目を見開いた。驚きと、ほんの少しの戸惑いがその瞳に浮かび、そしてすぐに、その視線を下へとそらす。「……そっか。ありがと。」 その言葉は、柔らかく優しい響きを持っていた。だが、ユウマにはどこか遠く、手が届かない場所にあるように感じられた。「でもね、ユウマ。私、もっと大人になってからじゃないと、そういうの考えられないかも。」 ユウマは、その言葉に、少しだけ自嘲気味に笑って「そっか」と短く答える。それが、ユウマにとっての初めての告白であり、初めての失恋だった。 中学に入ってからも、ユウマの気持ちは変わることがなかった。部活帰りの夕暮れ、蛍光灯の下でテスト勉強に励む合間、文化祭の準備で賑わう教室。ユウマは何度も、カオルに告白するタイミングを探し続けた。「カオル、俺さ、やっぱりお前のこと好きなんだよ。」「……また? ほんと、懲りないよね。」 カオルは、呆れたような表情を浮かべて、くすりと笑う。だが、その笑顔はどこか照れくさそうに、下を向いていた。「……ユウマのそういうところ、嫌いじゃないけど。……でも、私の理想って、もっと上なの。ごめんね。」 ユウマは、その度に「そっか」と笑いながら、その言葉を受け入れた。振られることには慣れていた。だが、カオルの言葉の端々に、決して冷たい拒絶ではない、ほんの少しの優しさが含まれていることも知っていた。 完全に拒絶されているわけじゃない。でも、一歩も前に進めない。届いているようで、届かない。それが、ユウマの中でずっと続いていた、もどかしい感情だった。(……俺
last update最終更新日 : 2025-10-16
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3話 初恋の残像
 カオルは、ポニーテールの毛先を指でくるくるといじりながら、少しだけ冷ややかに笑った。その笑みは、ユウマに向けた優しさではなく、諦めに近いものだった。「まあ……あんたのこと、嫌いじゃないよ? 昔から一緒にいたし、一緒にいて気楽だし。でも、“恋愛対象”にはならないの。だって、私の理想ってもっと上だからさ。」 その言葉は、あまりにも決定的だった。それは、これまでユウマが抱き続けてきた、淡い“可能性”の全てに、冷たい蓋をするようだった。 カオルはユウマに背を向けて歩き出す。夕暮れの風に、制服のスカートがひらひらと揺れ、彼女の背中がどんどん遠ざかっていく。そして、ほんの少しだけ、肩越しに振り返った。「……いつまでも夢見てないで、現実見たら? あんたには、もっと似合う相手がいると思うよ。それは、私じゃないよ……」 その一言は、優しさのようでいて、ユウマの心に深く傷を残す、残酷なものだった。ユウマは、ただその場に立ち尽くし、彼女の小さな背中が校門へと消えていくのを、見送ることしかできなかった。 夕陽が、彼の影を長く長く引き伸ばしていた。まるで、決して届くことのない、二人の間の距離をなぞるように。 何となく察してはいた。急に素っ気なくなり、俺と距離を置き始めたカオルの様子に、胸の奥がきゅうと締め付けられるような予感が芽生えた。周りの女子たちのひそひそ話も、その予感を裏付けるように俺の耳に届く。 どうやら、相手はひとつ上の先輩らしい。カオルが以前、嬉しそうに話していた「美形でお金持ちの先輩」という噂の人物だ。そして、しばらくして女子の友達経由で、二人が付き合い始めたという決定的な情報が耳に入ってきた。 その噂を聞かずとも、浮かれて上機嫌なカオルを見れば、すべてを悟ることができた。彼女は、周りの女子の友達に、少し得意げに、そしてはにかむような笑顔で、新しい彼氏のことを話しているのが聞こえてくる。彼がどれだけお金持ちで優しいか、どこへ連れて行ってもらったか、どんなプレゼントをもらったか。その幸せそうな声が、俺の心に小さな棘を刺していくようだった。 俺は、最後の告白以来、カオルとは一度も話をしていない。顔を合わせることも避けていた。あの冷たい視線が忘れられなかった。はっきりと、「あんたとはレベルが違うの。顔も、雰囲気も、将来性も。全部、比べるまでもない」と、まるで俺
last update最終更新日 : 2025-10-20
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4話 校舎裏の真実、砕け散る初恋
 しばらくすると、「ちゅ、ちゅ……」という、リップ音が微かに聞こえ始めた。そして、次第にそれは熱を帯びていき、「ん、んんっ……。 や、やぁ……。 はぁ、はぁ……。 んっ、ダメ……やっ……。 あ、あっ……」という、拒否しつつも甘く蕩けるような吐息が漏れ聞こえてくる。心臓がドキドキと早鐘のように打ち始めた。まさかこんな場所で……と、こっちまで妙に興奮してくるじゃないかよ。 俺は、そんな気分じゃ全然ねーのに……。自嘲気味にそう思い、また一つ、深く溜息をついた。 俺ことユウマは、壁に寄りかかったまま、視線を足元に落としていた。聞きたくない。見たくもない。そう心の中で繰り返すのに、耳は嫌でも二人の吐息や、甘く交わされる言葉を拾ってしまう。 「んっ……。 や、だめ、見つかっちゃう……。ここ、学校……だよ……んっ……」 女の人の、か細く震えた声が聞こえる。男の声は聞こえない。だが、女の人が小さく息を飲んだ後、控えめなリップ音が聞こえ始めた。ちゅ、ちゅ、と、まるで小さな魚が水面を啄むような、柔らかな音だ。そして、それが次第に粘つきを帯びて、じゅ、じゅ、と水音が響くようになる。それは、ただのキスではない。舌を絡め、お互いを求め合うような、湿った音だ。 やがて、キスをする音に混じって、愛撫が始まったのだろう、女の人の喘ぎ声が聞こえてきた。はぁ、はぁ、と熱のこもった甘い吐息が、風に乗って俺の元へと運ばれてくる。 「んんっ、あ……やだぁ、そこ……だめ……あぁ……」 喘ぎ声は、途切れ途切れで、甘く、そしてどこか切実さを帯びている。スカートの中に手が入れられたのか、生地が擦れるガサガ
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