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第329話

Penulis: レイシ大好き
ある言葉だけは、紗雪も間違ってはいなかった。

自分は商人だ。

だからこそ、利益こそが最も重要なのだ。

この言葉は、どこに行っても通用する。

だからこそ、ジョンは価格を変えることを選んだ。

自分の利益をもっと増やすために。

それこそが商人の本質だ。

どこにいても、優先されるのは利益。

そして、誰かが彼に教えてくれたからこそ、ジョンは価格を引き上げることを考えたのだった。

もしそれがなければ、紗雪は本当にいいビジネスパートナーだったと言える。

これまでのやり取りの中で、彼女の能力は誰の目にも明らかだった。

だからこそ稼げると思ったから、ジョンは態度を変えたのだ。

彼の顔に浮かぶ笑みは、徐々に陰りを帯びていく。

「紗雪、私を恨むなよ。恨むとしても、海外マーケットを開拓するのに私を頼らざるを得なかった自分を恨むんだな」

「これは仕方ないことだよ?私に依存するなら、それ相応の代償を払ってもらうだけさ」

そう思うと、ジョンの口元は再び冷ややかな笑みを浮かべた。

......

紗雪がスタジオを出ると、外で待っていた秘書の姿が目に入った。

彼女の表情を見た秘書は、何とも言えない不安を覚えた。

まさか、話がまとまらなかったのか?

だがそれも、彼のただの憶測にすぎない。

彼は小さな声で問いかけた。

「会長、ジョンの方はどうでしたか?」

彼もまた、早くこの件が片付くことを願っていた。

しかし次の瞬間、紗雪はただ首を振った。

「やめておこう。ジョンのルートはもう捨てる。他の方法を探すしかない」

秘書の胸が「ドクン」と鳴った。

「社長、それってどういう......?」

紗雪はただ首を振り、ため息をついた。

「いや。ただ、彼はうちには合わないだけの話だ」

「今回は、私の判断ミスだったわ。彼は私たちに資金があまりないことを知っていて、今になってこのプロジェクトが儲かると見るや、急に値段を吊り上げてきた」

紗雪の美しい瞳が鋭くなった。

「そんな人間とは、組むべきではない」

その言葉に、秘書も思わず驚きの色を浮かべた。

「まさかあんな人だったなんて......」

紗雪はまたしても首を振った。

「私も初めて知ったよ」

彼女の瞳には明らかな失望の色が浮かび、体の横に垂れていた手が静かに握りしめられた。

今回ばかりは、完全に見誤っ
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