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第352話

Penulis: レイシ大好き
京弥は首を振り、低い声で言った。

「違うんだ。ただ、君を一人でここまで我慢させたことが、つらくて......」

その言葉を聞いて、紗雪は呆然と立ち尽くした。

どう返事をしていいかわからなかった。

てっきり、京弥はこの件を受け入れられないと思っていた。

でも今の様子を見る限り、完全に自分の勘違いだった。

京弥は心配してくれていたのだ。

紗雪も、この件で京弥に怒るつもりはなかった。

何しろ、伊澄がそんな人間だと、彼は知らなかったのだから。

彼の記憶の中では、きっと伊澄はまだ世間知らずの少女で、

自分の後ろについて「お兄ちゃん」と呼んでいた可愛い子供のままだったのだろう。

紗雪は手を伸ばして京弥の背中を軽く叩きながら、優しく慰めるように言った。

「京弥さんのせいじゃないわ」

紗雪はもともと人を慰めるのが得意ではなかった。

そんな彼女から見ても、今の京弥の姿は心が痛むものだった。

でも、少なくとも今回の件について、彼を責める気持ちは一切なかった。

もし本当に怒っていたのなら、今ここでこうして慰めたり、話しかけたりなんてしない。

京弥は元々、申し訳なさそうにしていた。

傷ついたのは紗雪の方なのに、今こうして彼女が逆に慰めてくれている。

そのことに思い至り、京弥はますます胸が苦しくなった。

「......ごめん」

その三文字を聞いた紗雪は、すぐには反応できなかった。

なにしろ彼女の中での京弥は、常に高慢で、

すべてを掌握しているような人間だったから。

こんなふうに弱い姿を見せ、素直に謝る彼を見るのは、これが初めてだった。

紗雪は、今のふたりの姿を見て、どこか不思議な気持ちになった。

もともと彼女は、京弥からの慰めを求めていたはずだった。

なのに、どうして今こうして男を抱きしめて泣いて、慰めているのは自分なんだろう?

でも、

本当に京弥を受け入れた今になって、彼も実は案外脆い一面を持っていたことに気づいた。

「明日には、彼女を出ていかせるよ」

突然の京弥の言葉に、紗雪は一瞬驚いた。

「もう決めたの?でも、私さっきあの子に、ここに残っていいって言っちゃったよ?」

京弥は首を横に振り、気にするなというように答えた。

「大丈夫。彼女の兄に連絡して、引き取りに来てもらう」

紗雪は少し迷った。

今の自分の立場でこれ以上
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U Tomi
これはないわ!理解できない。
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