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第410話

Penulis: レイシ大好き
紗雪は困惑した様子で言った。

「何が言いたい」

美月もベッドに寄りかかりながら、戸惑った顔で緒莉を見つめた。

今日の彼女はまるで別人のようだ。

それとも。

本来の姿がこうだったのか?

美月はその目に浮かんだ感情を覆い隠したが、疑念という種は一度心に植えられれば、静かに根を張っていくものだった。

「母さんが入院したのはあなたのせいでしょ?それなのに、よくも見舞いに来たわね」

その一言で、場の空気が一気に静まり返った。

緒莉は誰に対しても容赦なかった。

大きく目を見開き、悔しそうな顔で美月を見つめる。

「お母さん、どうして......?ねぇ、なんでよ?」

「私の方が最初からずっとお母さんのそばにいたのに......でも何度呼んでも目を覚まさなかった。なのに紗雪がちょっと来ただけで、すぐに目を覚ますなんて......」

「ふん」

緒莉は冷笑を漏らす。

「この世に嘘つきなんていくらでもいるけど、私みたいなバカも珍しいでしょ?」

美月はその錯乱した姿に胸を痛めた。

結局、二人の娘をこんなふうにしてしまったのは、自分だった。

「私は......」

美月の口元に苦い笑みが浮かぶ。

どう返していいのか、分からなかった。

日向も少し居心地悪そうな顔をしていた。

最初は緒莉の精神状態がおかしいと思っていたが、話を聞いてみれば、そこには理由があるのだと分かる。

そんな中、紗雪は冷静に言った。

「そうね、母さんを怒らせたのは私よ。私が悪かった。後でちゃんと謝るつもり。だからこの件について心配無用よ」

「笑わせないで!」

緒莉は皮肉たっぷりに言い、紗雪の言葉をまったく信じていなかった。

それでも紗雪は落ち着いたまま続けた。

「母さんを責めるのは間違ってる」

「そんなこと言っても意味ないじゃない。母さんがいつ目を覚ますかなんて、誰にも分からないでしょ?それを母さんのせいにするなんて、おかしいよ」

緒莉は紗雪の冷たい視線を受けて、しばし言葉を失った。

一方で、京弥は大きな体で紗雪を庇い、明らかに緒莉に敵意を向けていた。

態度ははっきりしている。緒莉と相対する気だ。

「そう、分かったわ」

緒莉は指を一本ずつ立てながら、部屋の中の人々を順に指していく。

「いいよもう。どうせあなたたちはみんな立派で清廉潔白で、私だけが最低ってわけ」
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