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第996話

Penulis: レイシ大好き
こんな相手と理屈をこねたところで、そもそも話なんて通じない。

それに、心の中で何を考えているのかも分からない。

「はいはい、分かったよ。別の話をしよう?」

石橋は引こうとせず、初芽のデスクまで数歩の距離しかないのに、ずっとその「遠すぎず近すぎず」の距離を保っていた。

その間合いが、かえって初芽を不安にさせる。

普段どこで石橋を怒らせたのか、それとも変な期待を持たせてしまったのか、見当もつかない。

石橋は初芽の怯えなどまるで気にせず、勝手に話を続けた。

「初芽がオフィスで奮闘してる姿、業者とやり取りする時の真剣さ、生地を選んだりデザイン画を描いたりする時の集中した顔......

どれも俺を惹きつけてしまいました。色々一緒に乗り越えてきたのに、初芽はあのヒモ男のことばかり。俺は納得できません!」

石橋の頭の中では、二人が最後まで一緒に行く未来がまだ描かれている。

あるいは、このまま鳴り城で服飾デザイン会社でも立ち上げて、一生ここでやっていくのも悪くないと思っているのだろう。

でも明らかに、初芽の野心はそんなところに収まるものではない。

自分が何を求めているかをよく分かっているからこそ、こんな所で終わるつもりなんてさらさらない。

石橋に関しても、初芽はすでに心の中で答えを出していた。

今日うまくオフィスを出られたら、今後この男はもう使わない、と。

初芽はやわらかな笑みを浮かべ、最大限の忍耐で石橋に向き合った。

「石橋がずっと私についてきてくれたこと、ちゃんと分かってる。一緒に頑張ってきた時間も、息の合い方も気持ちの通じ方も、他の誰にも比べられないものよ」

懐かしむような笑みを浮かべて続ける。

「あの頃のことは、今でも忘れられないよ」

その様子を見て、石橋も昔を思い出し始めた。

あの時期は、彼にとっても一番幸せだった時間だった。

苦しくて大変だったけど、それでも確かに楽しかった。

初芽と一緒に成長できていたから。

今みたいに、初芽が邪道に走って、仕事への熱も前ほどじゃないように見えるのとは違っていた。

石橋は思い出話を始め、初芽の言葉に合わせて語り出す。

けれどその後の話は、初芽はほとんど聞いていなかった。

今の自分がしていることは、ただ時間稼ぎに過ぎないと分かっていたからだ。

視線は常に石橋の動きを追いながら、適当に相
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