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第1072話

Penulis: 落流蛍
ほどなく、足音は入口で止まった。

華恋が振り返ると、扉をふさぐほど体格の大きな男が立っていた。体重は軽く百キロほどありそうだ。彼の巨体がそのままドアを塞いでいる。

華恋は時也の方を見た。

時也も入口に立つ男に気づき、顔色をわずかに変えた。

その男は時也の仮面を見て、すぐに電話で言われていた「その男」だと悟った。

しかも、時也のそばに女が一人だけでいるのを見て、さらに勇気づけられた。彼は時也を指し示して言った。

「じいさん、この人が港を貸す相手のやつなのか?」

「そうだ」

義雄は座ったまま動かず、ただ訊ねた。

「準備は整ったかね?」

「とうに終わっている」

孫の答えを聞いた義雄は顔の笑みを引っ込めた。

「さあ、では……」と言いかけて、時也を見据え、その顔には深い笑みが浮かんでいるが、目には笑いがなかった。代わりに強い殺意が宿っている。

「時也様、こちらは我が家の孫、成幸(なりゆき)だ。成幸はあなたに港を貸すことに反対している。申し訳ないがな」

直前で躊躇するケースは見たことがあるが、まさに署名直前で突如反故にするのは初めて見た。つまり――本心から港を借りられる
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