Short
ド近眼の私、ホラーゲームでは無敵らしい

ド近眼の私、ホラーゲームでは無敵らしい

Par:  南Complété
Langue: Japanese
goodnovel4goodnovel
17Chapitres
7.5KVues
Lire
Ajouter dans ma bibliothèque

Share:  

Report
Overview
Catalog
Scanner le code pour lire sur l'application

ホラーゲームに入り込んだ私は目がすごく悪くてよく見えなかった。 だから、血濡れの姫を本当の娘みたいに可愛がったり、ラスボスを夫みたいに扱ったり、年老いた化け物を実の親みたいに敬ったりしていた。 初めてラスボスに会ったときなんて、思わずその腹筋をわしづかみにしちゃって、こう言ったのだ。 「わあ、すごい体してるね。でも、ちょっと背が低いのがもったいないかな」 そう言われボスは言葉を失ったけど、手に持っていた自分の首を体にくっつけると、歯ぎしりしながら言った。 「俺は身長186センチだ。さあ、もう一度よく見てみろよ」

Voir plus

Chapitre 1

第1話

「ようこそ、『ハッピーホーム』へ。

このステージで7日間生き残れば、クリアとなります。

初期プレイヤー:30名。現在の生存者:30名。

それではプレイヤーの皆さん、ゲームをお楽しみください」

交通事故で死んだ後、私はまぶしい光に包まれた。気がつくと、大きな建物の前に来ていて、耳元では不気味な機械音が響いていた。

私は極度の近視で、3メートル先は人間も動物も見分けがつかないほどだ。

だから、建物の様子も、周りの人たちの顔もはっきり見えなくって、ただなんとなく人の形がわかるだけだ。

その時、か細い声で泣いている女の子・陣内彩花(じんない あやか)が言った。「うう……ここどこなの?家に帰りたい」

一方で、金髪の男・西村竜也(にしむら たつや)が荒々しく怒鳴っていた。「ふざけてやがって!とっとと俺を帰せ!」

そうこうしている、落ち着いた雰囲気の男女が現れた。ベテランプレイヤーの森田直美(もりた なおみ)と大野幸太(おおの こうた)と名乗り、親切に状況を説明してくれた。

ここは無限に続くデスゲームの世界で、連れてこられたのは、みんな一度死んだ人間らしい。

すべてのステージをクリアして、伝説の9999ポイントを貯めれば、生き返ることができるというのだ。

生き返れると聞いて、私はすかさず質問した。「じゃあ、ステージを1回クリアするごとに、どれくらいポイントがもらえるの?」

そう聞かれて直美の表情はどこか暗かった。彼女は低い声でこう言った。「それはね、クリアした時の恐怖値によるの。低ければ低い方がいいけど、恐怖値が99だったら、もらえるポイントはたったの1。もし恐怖値100になったら、その場で死ぬことになってしまうの」

恐怖値とは、その名の通り、恐怖を感じた度合いのことだ。

ベテランプレイヤーはゲームに慣れているから、だいたい恐怖値を60以内に抑えられるらしい。

でも、新米プレイヤーは、かなり悲惨なことになるそうだ。

それを聞いて私は顎に手を当てて、また質問した。「じゃあ、もし恐怖値0でクリアしたら、その時は100ポイントもらえるということ?」

その言葉を言った瞬間、私の知らないところで、私の行動のすべてが配信されているライブのコメント欄では、私をあざ笑う言葉であふれかえった。

【この新人、大口叩きすぎ!『ハッピーホーム』はS級だから難易度が最高ってわけじゃないけど、そのえげつなさで、いまだに誰も初回クリアできてないのに!】

【確か、この前の第一ギルドの亮太様もここでやられたんだっけ?6日間粘ったのに、結局死んだよな】

【最悪だ、今回マッチングしたベテランが直美さんと幸太さんだけか。彼らを合わせても亮太様に及ばないし、こりゃ今回も全滅だな】

……

すぐに、私たちは部屋を選択させられることになった。

直美の話では、このステージをクリアした人はまだいないけど、先に死んだプレイヤーたちが少しだけ攻略のヒントを残してくれたらしい。

この建物は全部で30階建てで、各階に住めるプレイヤーは1人だけだ。

しかも『ハッピーホーム』というゲームは、いわゆるコスプレ系のホラーステージなんだそうだ。

それぞれの部屋には化け物が住んでいて、そいつらがプレイヤーの家族や恋人など、親しい間柄の役を演じているらしい。

そんな相手と7日間も一緒に暮らすんだから、恐怖値が激しく上がるのも当然だ。

そこで、幸太は慌てて説明を続ける直美の言葉をさえぎると、彼女を引っ張って、それぞれ1階と2階の部屋を選んだ。

ベテランプレイヤーのその動きを見て、勘のいい人たちもそれに続いて、次々と低い階の部屋を選んでいった。
Déplier
Chapitre suivant
Télécharger

Latest chapter

Plus de chapitres

commentaires

モモ
モモ
このお話しの続きが、すごく読みたいです。
2026-03-20 12:35:07
1
0
美智代
美智代
読んで正解!面白かった! 殆どの短編小説が同じ様な内容だったので、正直飽きていました。 他の話しは無いかな?と思って探したところこの話を見つけて読んで見ました。 読んで良かった。他にもないか探してみます。
2025-12-16 11:32:21
3
0
あーきよいち
あーきよいち
タイトル通り、ハッピーホームでした! 感動しすぎて泣いています…… 主人公ちゃんの特性もあったけど、彼女の心根や、出てくる人たちの物語が切なくて…いつかこのハッピーホームの外でみんな幸せになって欲しいなと思いました。 作品の本筋もしっかりしていて、物語の全体の仕掛けも良かったです!
2025-12-05 03:02:14
3
0
蘇枋美郷
蘇枋美郷
ええええ!!!死んだ後に放り込まれたホラーゲームの世界で生き残るためのサバイバル。なのに、まさかの展開で感動だったよ!!!(泣) 4人と違う世界で出会って本当の家族になれますように!!
2025-12-04 22:20:32
3
0
松坂 美枝
松坂 美枝
まさかのほっこり純愛感動ホラーゲームモノ 死んだ人たちは気の毒だったが主人公の近眼ゆえのお人好しムーヴが化け物たちを救う! めっちゃいい話で泣きそう
2025-12-04 11:35:05
3
0
17
第1話
「ようこそ、『ハッピーホーム』へ。このステージで7日間生き残れば、クリアとなります。初期プレイヤー:30名。現在の生存者:30名。それではプレイヤーの皆さん、ゲームをお楽しみください」交通事故で死んだ後、私はまぶしい光に包まれた。気がつくと、大きな建物の前に来ていて、耳元では不気味な機械音が響いていた。私は極度の近視で、3メートル先は人間も動物も見分けがつかないほどだ。だから、建物の様子も、周りの人たちの顔もはっきり見えなくって、ただなんとなく人の形がわかるだけだ。その時、か細い声で泣いている女の子・陣内彩花(じんない あやか)が言った。「うう……ここどこなの?家に帰りたい」一方で、金髪の男・西村竜也(にしむら たつや)が荒々しく怒鳴っていた。「ふざけてやがって!とっとと俺を帰せ!」そうこうしている、落ち着いた雰囲気の男女が現れた。ベテランプレイヤーの森田直美(もりた なおみ)と大野幸太(おおの こうた)と名乗り、親切に状況を説明してくれた。ここは無限に続くデスゲームの世界で、連れてこられたのは、みんな一度死んだ人間らしい。すべてのステージをクリアして、伝説の9999ポイントを貯めれば、生き返ることができるというのだ。生き返れると聞いて、私はすかさず質問した。「じゃあ、ステージを1回クリアするごとに、どれくらいポイントがもらえるの?」そう聞かれて直美の表情はどこか暗かった。彼女は低い声でこう言った。「それはね、クリアした時の恐怖値によるの。低ければ低い方がいいけど、恐怖値が99だったら、もらえるポイントはたったの1。もし恐怖値100になったら、その場で死ぬことになってしまうの」恐怖値とは、その名の通り、恐怖を感じた度合いのことだ。ベテランプレイヤーはゲームに慣れているから、だいたい恐怖値を60以内に抑えられるらしい。でも、新米プレイヤーは、かなり悲惨なことになるそうだ。それを聞いて私は顎に手を当てて、また質問した。「じゃあ、もし恐怖値0でクリアしたら、その時は100ポイントもらえるということ?」その言葉を言った瞬間、私の知らないところで、私の行動のすべてが配信されているライブのコメント欄では、私をあざ笑う言葉であふれかえった。【この新人、大口叩きすぎ!『ハッピーホーム』はS級だから難易度が最
Read More
第2話
逆に私は目が悪いから、走るのが遅くって、だから、みんなが選び終わるのを待つしかなかった。結局、最後に残ったのは30階だけだった。私が見えないのをいいことに、コメント欄はまた騒がしくなった。【こいつ、絶対死ぬな。みんな知ってる通り、階が上なほどボスのレベルも高いんだよ】【特に30階はヤバいボスばっかで、『死の家』って呼ばれてるくらいだし】一方で、30階に着いた私はぐるっと見回してみたけど、現実の世界とあんまり変わらないように感じた。ただ、ちょっと血の匂いが強くて、壁が赤っぽくて、温度が低くて、照明が暗くて……だけじゃん。しかも、よく見るとここは広々としたワンフロアじゃない。それに、私がずっと夢見てた家族までいるなんて、感激。だって現実の私は、ド近眼の役立たずなだけじゃない。みなしごで、超ド貧乏なんだから。私はドアまで歩いていくと、ためらわずに手を伸ばして、力いっぱいドアを叩いた。そして大声で叫んだ。「ただいま!帰ってきたよ!もうお腹がすいて死んじゃいそうだよ!」するとコメント欄は一瞬にして唖然とするコメントで埋め尽くされた。【こいつ、ただ死にたいだけだろ?普通のプレイヤーなら、もっと丁寧にお願いするか、ドアの前で化け物の機嫌が良くなるまでおとなしく待つもんだ】【もうこんなバカみたいな女の配信なんて見たくない。他のライブルームに切り替えようよ。直美さんの方にしようよっと】【いや、見続けようぜ!こいつがどんな死に方するのか、逆に見届けたい!】でもそれは、リスナーが私の思考回路を理解してないだけなのだ。だって、これは仮想生活のゲームなんだから。化け物と家族になるには、できるだけ自然に振る舞うのが一番なのだ。自分の家に帰るときに、「こんにちは、どなたかいらっしゃいますか?ドアを開けてください」なんて、わざわざ丁寧に言わないよね?ほどなくして、「ギィ」って音を立ててドアが開いて、ひんやりとした空気が私の全身を包み込んだ。気持ちよくて、私は思わずため息が出ちゃった。ここは最高の避暑地だね。これなら夏もエアコンいらずだ。そして足元を見ると、小さな赤い「人影」がいた。目がぼやけてよく見えないけど、2つのおさげが揺れているのはわかった。きっと、赤いワンピースを着た子供だろう。その子は不気味に笑うと、いき
Read More
第3話
それと同時に「ありがとう、ママ」というか細い声が聞こえてきた。は?ママ?まさかの、ママデビューしちゃった。やばい、これ最高じゃん。だって、私、出産中に命を落とす話をよく聞いてたから……家族は欲しかったけど、子供を産むのだけはすごく怖かったんだ。女の子をあやして、お昼寝させたところで、突然、機械的な声が聞こえてきた。「初期プレイヤー:30名。現在の生存者:20名」まさか、家を選ぶだけで、10人ものプレイヤーが死ぬなんて。私はスマホを開いて、目の前に近づけて、やっと画面の文字が読めた。どうやらプレイヤーのグループチャットで情報交換が始まったらしい。他のプレイヤーがどうやって死んだかとか、そういう内容だ。そして情報によると、さっきの竜也と他の男3人が、3階の部屋を奪い合って大喧嘩したそうだ。最終的に、竜也がなんとか勝って、3階に入居したらしい。でも竜也がドアをノックして開けた途端、犬の頭をした人型の化け物が出てきた。そして、大きな口を開けて、彼を丸呑みにしてしまったんだって。最後には、くちゃくちゃと口を動かして、肉片がついた骨を数本吐き出したらしい。そして、その半開きになったドアの向こうには、たくさんの白骨が見えたそうだ。あれは全部、昔のプレイヤーの遺骨だったのかもしれないって、みんな推測してるようだった。これを目の当たりにして、新米のプレイヤーはほとんどパニック状態になった。まだ初日なのに、今は、直美と幸太以外の全員の恐怖値が、50にまで跳ね上がっている状態だ。他にも、ある中年の男が、10階のドアに入った瞬間に、恐怖値が100まで急上昇して、即死したそうだ。他のプレイヤーたちも、化け物に殺されるか、恐怖で死ぬかで様々な死に方をしてしまったようだ。まあ、どれも私には関係ないけど。私は立ち上がった。女の子が寝ている間に、バスルームからモップを見つけてきて、家全体を掃除することにした。赤い床のタイルは、私がゴシゴシ磨きすぎて、真っ白になった。それを見て、私は思わず自分の仕事ぶりに感心してしまった。壁にこびりついていた赤いシミは、どうしても落ちなかった。だから、とりあえずヘラで削り落とすことにした。掃除が終わった頃にはもう午後だった。腰が痛くなるほど疲れて、私は女の子の隣のソファでぐっす
Read More
第4話
「光希は私の可愛い娘で、あなたは私の大事な夫。私たち仲良し一家じゃない。っていうか、あなたはすっごくいい体してるけど……ちょっと背が低く見えるのは気のせい?まっ大丈夫、私が来たから。これからは毎日美味しいものを作ってあげるから、子供もあなたも、ぐんぐん背が伸びるはずよ」そんな状況に、コメント欄がひと際盛り上がった。【うそでしょ、こいつ何言ってんの?首切り将軍の前で、よくそんなこと言えるな!】【ついに来た、首切り将軍!『ハッピーホーム』で最強のボスだよね?確か亮太様もこいつにやられたんだよな】【てか、なんで首切り将軍の顔が赤くなってんの……もしかして、これでカップル誕生か?】【いやいや、考えすぎだろ】配信を見ている人たちは、みんな私が首をへし折られるのを待っていた。これまでのプレイヤーは、みんなそうやって死んでいったからだ。ところが次の瞬間、首切り将軍は手に持っていた自分の頭を、ひょいっと首の上に乗せた。そして、私にぐっと顔を近づけてきた。クールでミステリアスな雰囲気はどこへやら、なぜか少し不満そうな声で言った。「俺が低い?俺は正真正銘186センチだぞ。もう一度、よく見てみろよ?」最近は、化け物でも男である限り、身長を気にするのね。「さあ、ちゃんと見て見ろ」その首切り将軍の声があまりに素敵で、私は思わず胸がドキドキと高鳴った。そう感じた、私は彼のネクタイをぐいっと引っ張って、自分に覆いかぶさるようにさせると、わざとらしく甘い声でささやいた。「よく見えないな。もっと近くに来て」そして目の前でアップになったイケメンの顔を見つめながら、私は心の中でほくそ笑んだ。よかったぁ。このゲームは恐怖値しか見てなくて、ドキドキ値は判定しないみたい。じゃなかったら、とっくにゲームオーバーしてた。一方で首切り将軍が黙ったままなので、私は彼を怒らせたかと思って、すぐに目をキラキラさせて頷きながら媚びるように言った。「わぁ!あなたが186センチで、私が166センチ!これって理想の身長差じゃない?私たちって本当お似合いね!」すると、スーツ姿の首切り将軍は顔を真っ赤にして、何かを言おうとした。そうしていると、体のパーツを元に戻したばかりの血濡れの姫が飛んできた。そして、首切り将軍を天井まで蹴り上げて、め
Read More
第5話
結局、私と首切り将軍は「首分け」して行動することにした。私はキッチンで、彼の頭を洗いながら、鼻歌を歌っていた。この不気味な光景に、コメント欄はぞわぞわと鳥肌を立てていた。【これでこそ夫婦ってやつか。この女も、ヤバい変態だな】でも、みんなは知らない。極度の近視の私にとって、手の中にあるのは毛の生えた黒いボールを洗っているようなもの、ただそれだけだった。すると、突然手の中の「黒いボール」が喋り出した。「ご機嫌だね?」私は素直に答えた。「もちろんだよ。あなたたち親子とはすごく上手くいってると思うし、絶対クリアできるって信じてるもん」そしたら、その「黒いボール」は私をじっと見つめ、不意にニヤリと笑った。それは不気味だけど、整った顔立ちだった。「願いは叶うさ」そう言われて私は優しく彼を見つめた……まあ、よく見えないんだけど、私は細かいことを気にしないようにした。「そういえばまだ、あなたの名前も知らないんだけど」そう言われて、「黒いボール」、いや、首切り将軍の頭がふわりと飛んだ。そして、バスルームから出てきた体と完璧につながって、またあのイケメンな身長186センチの彼に戻った。首切り将軍は何か嫌なことでも思い出したのか、かすれた声で言った。「俺に名前はない。もしお前がよければ、つけてくれないか」そう言うと、首切り将軍はすぐにその場を去った。そして沈んだ声で、ゲストルームで寝ると私に告げた。ちぇっ、この男。腹筋を触りながら寝かせてくれてもいいのに。そう思って私は頭をかきながら考えた。だけど、すぐには良い名前が思いつかなかったので、部屋に戻って考えることにした。考え事をしていると、次の瞬間、布団の中から漆黒な瞳が現れた。その小さな顔は、ぼんやりと青白く光っていた。その光景はまるでホラー映画のワンシーンみたいだった。幸い、私にはよく見えなくて、ぼんやりとした白い影がそこにあるだけのように思えた。「ママ、あの化け物なんて放っておいて。今夜は、光希がママと一緒に寝るの」なんだ、血濡れの姫か。いつの間に私の布団にもぐりこんだんだろう。私は血濡れの姫の小さなほっぺをぷにぷにして、ぎゅっと抱きしめながら、優しく言い聞かせた。「パパのこと、化け物なんて言っちゃだめだよ。パパが悲しむでしょ」すると血濡れ
Read More
第6話
残りの2人に何があったのかは分からないけど、恐怖値が100になって、消えちゃった。そこで突然、直美からメッセージが届いた。【泉さん、大丈夫?きのうは2階の化け物とずっと戦ってて、なかなか連絡できなかったの。最初の3日間は、とにかく自分の『家族』を攻略することに集中して。前に亮太様の配信を見たことがあるから、これが私が知ってる情報。部屋選びのルールを先に言わなかったせいで、あなたに30階を選ばせてしまって……本当にごめん。そのお詫びに思って】それだけじゃなく、直美はグループチャットでたくさんの新人プレイヤーにアドバイスをしてあげていた。一方で幸太は時々出てきて悪態をつくだけだった。【なんで新人に教えるんだよ。あなたはお人好しすぎるんだって。あいつらを助けたって、こっちには何の得もないだろ】直美は、彼をなだめるように返信した。【これも何かの縁なんだから。そんな細かいこと、気にしないの】だから、生き残ったプレイヤーはみんな直美にすごく感謝していた。ふーん、この二人、見事なコンビネーション仕掛けね。ちょっと面白い。私はくすっと笑って、スマホの画面に顔を近づけて直美に返信した。【大丈夫よ。心配してくれてありがとう】その傍らで首切り将軍は、片手で自分の頭を、もう片方の手で白いワンピースを着た血濡れの姫を持って、「ダンベル」運動をしていた。私がスマホを抱えているのを見て、彼は何かを察したのか、少し眉間にしわを寄せた。「あまり信じ……」その言葉を言い終える前に、首切り将軍は突然胸を押さえて倒れてしまった。血濡れの姫は小さな顔をしかめて、心配そうに彼を支えた。私も急いで駆け寄って、自分の体で首切り将軍を受け止めた。ゲームのシステムで、NPCはプレイヤーに具体的な攻略情報を教えられないようになっていたのだった。その時ドアの外から「ドンドンドン」という重い足音が聞こえてきた。その一歩一歩が私の神経を踏みつけるみたいで、鼓膜に響いていた。すると血濡れの姫は慌てて私の腕の中に飛び込んできて、お尻で私に抱かれている首切り将軍を押し退けようとした。「ママ、おじいちゃんとおばあちゃんが田舎から帰ってきたんだよ。怖がらなくて大丈夫だからね」だが、首切り将軍も負けじと、ぴくりとも動かないでいた。そして少し迷った後、すぐ
Read More
第7話
私は慌てて手を伸ばし、夜叉婆の炭のように真っ黒な手を握って、心配そうに言った。「お母さん、お肌がどうしてこんなにカサカサなんですか?昨日の夜、お手製のパックを作ったので、よかったら持ってきましょうか?」悪態をついていた夜叉婆だったが、それを聞いて急にきょとんとして、それからどもりながら言った。「あ、あぁ……頼もうかしら……」やっぱり、綺麗になりたいと思わない女はいないものね。私が本当にパックを用意して夜叉婆にしてあげていると、臓鬼爺が不機嫌になった。「おい、新しく来た嫁をしっかり脅かしてやるんじゃなかったのか?」私は首切り将軍をじっと見つめて、口を曲げて言った。「なんだ、以前他の女がいたんだ」首切り将軍はたちまち顔をこわばらせ、体からどす黒いオーラを放つと、そのまま夜叉婆の頭をねじり取ってしまった。本当、それほど大それた親孝行はあったのだろうか。しかし、首切り将軍は全く夜叉婆に構うことなく逆に私に向かって口の端を歪め、少し気まずそうな笑顔で言った。「違うよ。あいつらは全員家に入る前に、光希に殺されたんだ」夜叉婆も気まずそうに自分の頭を元に戻すと、顔のパックを軽く叩いてから、臓鬼爺を不気味に睨みつけた。「口が軽すぎるんだよ。さっさとご飯の準備をしな!」臓鬼爺はすぐに黙り込み、荷物と、お腹から飛び出たはらわたを引きずりながら​キッチンへと向かった。彼が通った後の床は、また真っ赤な血の色に染まっていった。この時、血濡れの姫は床から起き上がり、とても丁寧に拒否の言葉を口にした。「おばあちゃん、ごめんね。正直、おじいちゃんの料理、まずすぎるから、やめたほうが……」彼女が言い終わらないうちに、​キッチンから飛び出したはらわたの一部が、あっという間に血濡れの姫に巻き付いた。臓鬼爺はケケケと不気味に笑った。「いい子だから、俺と一緒にご飯を作ろうねぇ」床一面に散らばるはらわたを見ながら、私は裁縫道具を探しに部屋に戻った。「あら、お父さんのセーター、糸がほつれちゃってるじゃない。なんで放っておくのかしら」臓鬼爺がご飯を作り終えた頃、私も裁縫道具を見つけ出せたので、かいがいしく配膳を手伝ったあと、臓鬼爺の腕を掴んで言った。「お父さん、セーターを直しましょうか?そんなふうに糸を引きずって歩くのは不便でしょう
Read More
第8話
階下?階下なんて、死んだプレイヤー以外に何がいるっていうのよ?私はすぐにお箸を置いて、わざとらしくお腹を押さえてえづくと、首切り将軍の体に寄りかかった。「うっ!だめ、こんな脂っこいものは食べられないわ。たぶん、昨日の夜が激しかったから……できちゃったみたい」一方で血濡れの姫は、おもしろそうにその一連の成り行きを見守っていた。すると臓鬼爺と夜叉婆は顔を輝かせ、急いで息子に私を部屋に連れてって休ませるように言った。すると、首切り将軍は顔を真っ赤にして、慌てて私を抱きかかえて立ち上がると、耳元で低く囁いた。「何を言ってるんだ。俺たち、まだ何も……」うぶすぎる。まさか「そういうことした」とも言えないなんて。それを見て、私は彼の腕の中でぐったりする振りをしながら、どさくさに紛れて腹筋を触り、同じように声を潜めて言った。「大丈夫よ。もしその気があるなら、今からしたっていいんだから」それを見て、コメント欄は一瞬にして炎上した。【この女、痴女か!】【これ、無料で見ていいやつ?】【スゥ……ハー……すごく似合わない?片や見た目はいかついけど中身はうぶで、片や見た目はか弱いけど中身は肉食系。今日から私、このカップルの推しになるわ!】でも結局、私は首切り将軍と一線を越えることはできなかった。部屋に入るなり、彼は顔を赤らめるのをこらえながら、私に真剣な顔で打ち明けてくれたから。「泉、お前が俺に寄せてくれる気持ちは嬉しい。まだ日は浅いが、俺もお前に特別な感情を抱いているのは確かだ。だが、光希は俺の子だ。たとえこれがお前たちの言う『ゲーム』で、偽りの世界だとしても、2人目の子をもうけるなら、あの子に賛成してもらわないと。それが父親としての俺の責任だ」この時、私は首切り将軍の首筋にある生々しい傷跡を見つめた。そこは、彼の首が繋ぎ合わされた痕だった。もっと近くに寄ると、さらにはっきりと見えた。それは傷跡ではなく、無数の傷が重なり合ったものだった。まるで、切れ味の悪い刃物で何度も斬りつけられて、ようやく断ち切られたかのようだった。この2日間、首切り将軍はずっとネクタイでそこを隠していた。私はネクタイを緩めると、衝動を抑えきれずにその傷跡にキスをした。「やめろ、醜いだろう」彼は慌てて私を突き放そうとした。
Read More
第9話
見かねた私は慌ててベッドから飛び起きて叫んだ。「やめて!もう喧嘩しないでったら!お願いだから!わかったから!みんなで一緒に寝ればいいんでしょ!」こうして最初の3日間は、無事に過ぎていった。システムからのアナウンスによると、現在生き残っているプレイヤーは、わずか12名となった。そして、3日目の夜、直美から個人チャットにメッセージが届いた。【泉さん、明日から住人への挨拶回りが始まるわ。噂によると、このマンション30階までの全化け物への挨拶を終えると、すべての階層をクリアすることができるらしい。そうすれば、最終的なクリア条件がわかるかもしれないわ】【あなたは最も難しい30階にいるから、みんなが30階の化け物を訪問できるよう、力を貸してほしい。もちろん、死んだプレイヤーを除いて、生き残った人たちもあなたの味方になって、それぞれの家族を説得してくれるはずよ】【残念だけど、亮太様は6日目に首切り将軍を訪ねた時に殺されてしまったから、7日目に何が起こるかは分からないんだけどね】直美からの心配そうなメッセージと情報を見て、私は体を伸ばしてから、落ち着いて返信した。【ありがとう。もちろん、協力し合うことに異論はないわ】7日目に何が起こるか分からないなら、とりあえずこれからの3日間の任務をしっかりこなせばいいだけだから。そして出かける前、血濡れの姫はわざわざ首切り将軍の前に歩み寄り、顔を上げて言った。「ねえ、私を怒らせて。赤いワンピースに変身したいの。白いワンピースじゃ迫力がないから、彼らを怖がらせられないでしょ」首切り将軍は彼女の頭をこつんと叩いて言った。「君は何もしなくていいさ。パパがいるんだ、ママに手出しをさせるわけがないだろ?」一方で臓鬼爺も、自分の縫い合わされたお腹を愛おしそうに撫でながら、会話に加わった。「そうじゃそうじゃ。いざとなったら俺が奥の手を出そう。はらわたをもう一度引きずり出して、奴らの家の前で脅してやればいい」それを聞いて夜叉婆はパックをしながら骸骨の顔をのぞかせ、冷たく言った。「ちょっと、『ハッピーホームでの暮らしのルール』を読んでないのかい?私たち原住民は、この3日間、彼女と一緒に階下へは行けないんだよ。彼女が自分で何とかするしかないのさ」すると、他の化け物たちは、一瞬で意気消沈した
Read More
第10話
何かに怯えたせいか、血濡れの姫が着ていた白いワンピースも、手に持っていたワンピースも、一瞬で血のように赤く染まった。血濡れの姫は手にしていた赤いワンピースを私に向かって放り投げた。すると、ワンピースは自動的に私の体に付着し、サイズもぴったりと合っていた。彼女は私の腰に抱きついて甘えるように体をすり寄せ、愛おしそうな顔で言った。「ママ、これは私が殺された時に着ていたワンピースだよ。これを着ていれば、ママの身を守ってくれるからね」その時、再び機械的な音声が響き渡った。「おめでとうございます。SSSS級アイテム『天使のワンピース』を獲得しました」私が感動に浸る間もなく、臓鬼爺はせっかく縫い合わせてやった「セーター」をびりっと引き裂いた。そして、自分のお腹の中から「毛糸玉」をごそごそと取り出し、護身用にしろと私に手渡した。するとまたもや機械的な音声が響いた。「おめでとうございます。SSS級アイテム『爺ちゃんの腹わた』を獲得しました」夜叉婆もすぐに後に続き、潔く黒焦げになった自分の腕を一本引きちぎると、いざという時に役に立つと言ってくれた。機械的な音声が再び響く。「おめでとうございます。SS級アイテム『骸骨の芽吹き』を獲得しました」ここまで来ると、コメント欄も完全に呆然としてしまったようだった。【もう何がなんだか……】それから4体のボスは勢ぞろいで、名残を惜しむように、私を30階から下の階へと続く階段の入り口まで見送ってくれた。たくさんのアイテムを手に、真っ赤なワンピースをまとった自分の姿を見て、私は感動のあまり涙がぼろぼろとこぼれた。これがホラーゲームの化け物だって?とんでもない。私にとっては、誰よりも愛おしくて大切な家族だ。それを見て、コメント欄には、妬みを含んだコメントが流れた。【あんなにアイテムをもらえたら、そりゃあいつらのことも可愛く見えるだろうよ】【でも、泉様が只者じゃないことは認めざるを得ないな。30階で生き延びただけじゃなく、ボスたちからあれだけ好かれるなんて】【たしかにそうだな。これまでのプレイヤーは30階の扉を開けることすらできずに、入口まで来たところで血濡れの姫に殺されていたからな】【俺が思うに、4体のボスが後ろ盾になって、これだけ強力なアイテムもあるんだから、泉様は今回、間違いなく初クリア
Read More
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status