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41. 計画

Penulis: Mr.Z
last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-03 20:50:05

 それから俺たちは場所を変えた。何で赤ビルに閉じ込められていたのか、紀野大臣は何をしようとしていたのか、どういう関係だったのか、聞きたい事が山ほどある。

「聞きたいって事ですよね。僕がなぜあんなところにいたのか」

 意外にも、その話を切り込んだのは裏部さんの方からだった。

「紀野さんとは仲が良かったんですか?」

「いえ、それが全く。一番UnRuleのモンスターに詳しいのが僕だと、どこからか情報を得たようで、拘束されてあの場所へ⋯⋯君たちも見たと思いますが、彼はただネルトになっただけではありません」

 一呼吸置くと、その口から衝撃の一言が放たれた。

「⋯⋯覇天鱗ローガハルト。三船君が倒したというあの三翼の天魔神と同じ立ち位置にいるモンスター、それを自分の表面にコーティングさせたんです」

「はぁ!? どうやってそんな事出来んだよ!?」

 シンヤが食い気味に裏部さんを問い詰める。

「大臣クラスには"特殊な金と黒のネルト"が用意されているようで、"最強クラスのUnRuleモンスター"を与えられてる人もいるみたいなんです。そのモンスターに対し、これを使ったんです」

 なんだこれ? 赤い注射器?

「これを当てると、あれらのモンスターを一定の確率で、皮膚の表面にコーティングさせる事ができるんです。でもそれはゲーム上の話であって、現実世界では何が起こるか不明。それを話したら、部下に実験させ始めたんです」

「⋯⋯どうなったんですか?」

 気になり、俺が聞くと、

「全て失敗し、逆にモンスターに食われました。非常に危険なアイテムと化しているんです、これは。なのになぜか自分なら出来ると、あの人だけは成功させたんです」

「⋯⋯そんな事が」

 隣の二人も、信じられないという顔をしている。

「強力なネルトと最強モンスターの2つの力の持ち主、もうどうしようも無かったです」

 紀野大臣は自信に満ち溢れた人だった。AIになってもその性格は受け継がれていた。

「そんな大臣クラスには23区エリアを任されているようで、紀野大臣は渋谷区エリアの原宿を管理していて、その管理場所が"あの赤ビル"なんですよ」

 赤ビルって、そういう場所だったのか。急に出来たと思えば、そんな事をしていたなんて⋯⋯これに気付いている人はいるんだろうか?

「特に都心5区は最近一気に変わって、原宿で"不自然な人通り"があったでしょう?」
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  • フォールン・イノベーション -2030-   49. 後悔

     何回歩いても夜の病院は気味悪く感じるな。こんな遅い時間になったけど、都心5区選別者会議に行ったのは、ユエさんの一押しもあってだった。 行く直前、ユエさんの病室にて。「ELECTIONNERが集まる場なら、絶対行っておいた方がいいわね。100人中何人来るか分からないけど、中には必ず同じ目的の人もいると思うの。今や三船君は一番注目の的、それを利用するのがいいわ」「なら、一人の方がいいですかね」「いや、みんなで行きなさい。それの方がより幅広く交流できるはずよ。裏部は留守番ね、モンスターやネルトの解析と、他の研究員の探索と、総理についてと、まだまだやる事あるわよ!」「ユエ先輩は妊婦ですよ!? さすがにちょっと休憩しておきましょうよ~」「いらないわそんなの、私もアンタもいつ殺されるか分かったもんじゃないだから。きっと赤ちゃんだって、私の事理解してくれてる。だって私とアオ君の赤ちゃんなんだから、ね~よちよち~」「アオ先輩という抑止剤がないと、この人は止められないのか⋯⋯」 裏部さんは終始、ユエさんの変わらなさに嘆いていた。でもどこか、嬉しそうにも見えた。昔からこんな感じのやり取りだったのが、二人から伝わってくる。「それに、私たちの功績もあって総理を倒したってなったら、メディア出演とか取材とか、さらに忙しくなっちゃうかもしれないわよ!? そのためとも思って踏ん張りなさい! あんたも大金持ちになれるじゃない!」「ってな事で、三船君。僕たちはここでお待ちしてますね」「あ、そうそう! 帰ってきたら、なるべく早めにここへ来て話して欲しいわ。どんな事があったのかを、新鮮なモノは新鮮なうちにってね」 ユエさんがこっちへウインクする。「分かりました。たぶん遅い時間になりそうですけど、大丈夫ですか?」「大丈夫大丈夫、私と裏部は夜型だから」 裏部さんと会ってから、ユエさんは少し楽しそうだった。やっぱりこんな状況で同僚に会えるってのは、嬉しいものなのだろう。あれだけ元気だと妊婦にも全く見えなかったな。メッセージを送っても返ってこないけど、たぶん今忙しくしているんだ、あまり邪魔しないようにしよう。 行ったらまず、この【イーリス・マザー構想の失敗作の捜索について】を聞かないと。これが本当なのかどうか。 先に予想をしておくと、たぶんユエさんはこの件を知らない。知ってい

  • フォールン・イノベーション -2030-   48. 疑惑

    「ドア、ちゃんと閉まってるな」「うん、何回も確認した。えらく慎重になるんだね」「まぁな」 病室に静寂が漂う。俺は"黒い資料"をテーブル上に広げた。 「なにこれ?」「さっきアスタから渡されたやつ。新東大の金庫にコレがあったらしい。ユキ、あったのは君野研究室だ」「え? どういう事?」「あの先生の部屋にこんなのが隠されてたらしい」「そこからアスタ君が取ってきたってこと?」「そうなるけど、これはコピー。本物はアスタが持ってる」 あいつを疑う訳じゃないが、まだ半信半疑なとこはある。でも嘘を吐くとも思えない。それをしてもメリット無いだろうから。 さっきのエレベーターから出る直前。「こっちはルイ君に渡しておくよ」「え、いいのか?」「うん、それコピーだから。そっちでも調べて欲しいって言っといて、渡さないのも変でしょ。でも僕と君だけだよ、それを今持っているのは」 そう言って慎重に管理するよう言われた。明日盗まれてもおかしくないってあいつは言ってたっけか、厳重に保管しないとだな。「【イーリス・マザー構想の失敗作の捜索について】って、なんなのこれ? 失敗作なんて聞いた事無いんだけど⋯⋯これ、君野先生は全部知ってたってことなの⋯⋯?」 ユキが目を見開き、手に取ってページをめくりながら言う。「分からない、どこまで知ってたのかは。ただ一つ分かるのは、先生はイーリス・マザー構想の一団ではあったけど、俺たちの味方で間違いないって事。俺の親とも関係が深かったみたいで、俺の事を匿ってくれていただろうし、たぶん」 この後、何も知らずポカンとした顔をしていたヒナに全てを説明しつつ、話し合いを続けた。ユエさんに聞きに行く前に、この資料から分かる事を簡単に整理しておこうと思う。 【イーリス・マザー構想の失敗作の特徴】 ・性別不明 ・年齢は俺たちに近い可能性が高い ・都心7区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区、品川区)のどこかの施設にいた ・記憶におかしな点がある ・両親がいない ・AIへの依存度が誰よりも強い ・質量無い物に質量を与えられる可能性がある 一旦こんなところだろうか? まだ情報が少ないな。質量付与症候群に関しては、まだ嘘だと思ってしまう。「こんなヤツ存在すんのか? ゲームやマンガじゃねんだぞ?」「私も信じられません⋯⋯」

  • フォールン・イノベーション -2030-   47. 証拠

     この黒い資料が「新東京大学にあった」と、突然アスタの口から放たれ、さらにその話は続いた。「しかも君野研究室の金庫。正しくは、君野教授研究分室の金庫だ」「なんで⋯⋯お前がそんなところに」「詳しくは帰り際に話す。とにかく今すぐそれを読んで。明日にもそれは盗まれるかもしれないんだ」 そんなにこれは重要なんだろうか。誰も見てない事を改めて確認すると、こっそりとコレを読んだ。そこには失敗作がどこへ逃げて行ったかの推測や、これから発するかもしれない副作用が事細かく書かれていた。 前者は、東京7区のどこかの施設に行ったのではないかと書いてあり、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区、品川区に絞られている。 後者の副作用については、人格崩壊、記憶障害、AI絶対依存病、質量付与症候群などが起こるのではないか、とされている。AI絶対依存病と質量付与症候群なんて聞いたことが無い。「最後にあったAI絶対依存病と質量付与症候群、今回の件と繋がると思わない?」「⋯⋯こんな症状初めて聞いたんだが、本当にあるのか⋯⋯?」「まだ何も。これからも調査を続けるよ。まずはこれを事実と仮定して、ルイ君たちの方でも調べて欲しい。君とも"大きく関係する話"だろうから」 イーリス・マザー構想の失敗作。そもそも失敗作なんてのを知らない。後始末されたとかじゃなかったのか⋯⋯? これをユエさんは知っているんだろうか。疑問に思いながら、資料をアスタへと返す。そして、皆のいる1階へとエレベーターで降りていく。「僕が昔からイーリス・マザー構想に興味を持ってたの覚えてる?」「よく覚えてる。執拗に調べてたからな」「あれって謎が多くて不可解で、引き付けられたんだよね。この二人もその謎をいつか解決したいって、思ってたみたいでさ」「へぇ、気が合ったのか」「それもあるけど、実はこの二人、探偵と刑事でね。18歳にして、多くの難事件を解決してきたみたいなんだ」 さっきからアスタの隣にいた二人が黒能面を取り、「初めまして」と軽くおじぎをしてきた。一人は女の子だった。「その力を借りて、最初は僕の父親が元国家研究員で、イーリス・マザー構想一団の一人だった事が分かった。そこから細い細い糸を辿って、やっと一つの繋がりを見つけた」「それがこれか」 俺が黒い資料を示すと、アスタは静かに頷く。「君野教授

  • フォールン・イノベーション -2030-   46. 宴会

    「肉⋯⋯肉が戻って来た⋯⋯!」 さっそく始まった2次会。帰る人が大勢いる中、俺は残って立食焼肉へ。まぁ隣にユキがいるんだけど。 貪るように肉を取り、すぐに焼く。迷う意味が分からないと言われた意味が今なら分かる気がする。こいつは食わなきゃ、後悔する⋯⋯!「七色蝶様。本マグロの大トロ寿司、取れたて黄トマトとバジルのサラダ、ノドグロの煮付けもどうぞ」「おぉ~、わざわざありがとうございます」「いっぱい食べてくださいね」 笑顔で持ってきてくれたレンナ、でも量が多いなこれ。「⋯⋯ねぇ、あの高槻って人とさっきより仲良くなってない?」「少し話しただけだ」「ふ~ん⋯⋯それより、さっきから"七色蝶"って呼ばれてるのね」「動画や配信で、俺たちの戦ってるところを撮ってたヤツがいたらしい。そこから勝手にあだ名が付けられてる」「私は"死神女"って言ってくる人いたんだけど」「ふっ」「なに笑ってんのよ」「わっ!? ちょっ!! 肉落ちるって!!」 2次会は23時頃まで続いた。ふ~、食いすぎて腹パンパンだ。 反対側では、シンヤ、ヒナ、レンナたちがスイーツと紅茶を楽しんでいる。レンナに関しては、"スクランブル守衛隊"というグループのリーダーらしく、さっき連絡先を交換した。つい数時間前まで謎の握手女っていうイメージだったのに、今や別人のように感じる。「ねぇねぇ、あっちにはお酒があんなに種類があるのね」「へぇ、酒って全然飲まないんだよな」「私も」 夜景を見ながら酒を楽しんでる連中もいる。この場所は今24時間開放されているようで、様々な用途で使われているらしい。「今日は来てくれてありがとう。一番に呼びたいと思っていたが、誰も繋がりが無くてな。それにしても弁が立つな、三船君は」 帰り際、主催者の人に話しかけられた。繋がりが無いってのは、やっぱりアスタの方から俺へもダメだったのか。「いえいえ。またこういった機会があれば、是非参加したいです」「なら、また次回を考えておかないとなぁ。と、言ったところで急で悪いんだが、一つ頼みたい事があるんだ」「⋯⋯なんでしょう?」「白石アスタ君のところや、他にもお願いしているんだが、私も都庁へと行くという話に乗ろうと思う。あの場所にはまだ都知事が残っているという噂が出ているからな。総理に繋がる何かがあると睨んでいるんだが、どうだろ

  • フォールン・イノベーション -2030-   45. 会議

    「ヒナとシンヤ君は、さっきからあっちで焼肉やってるわ、ほら」 ユキが指差す先に二人がいた。10人ぐらいの大人数で、楽しそうに話している。立食で各々が一人焼肉出来るようになっているようで、離れた場所にも同じのが何ヶ所も設置されている。でも見るからにどこも満員だ。「僕はちょっと向こうで話してくるから、また後で」「あ、ちょっと待ってくれ。一つだけ聞いときたいんだが、お前ってここの主催者か?」「いや、幹部ってところかな。主催はあの人だよ」 白い派手なスーツを着た目立つ人が視線の先にいた。「おい! こっち来て食っとけよ! めっちゃ美味いぜここの肉!!」「早くしないと無くなりますよ!」 肉を頬張りながら、皿にも溢れそうなほどの肉を乗せたシンヤとヒナが言ってくる。どんだけ食うんだよ、お前ら。「お腹減ってる?」 不意にユキが聞いてくる。「いや、そんなに」「いつも低燃費だもんね、羨ましい。でも軽く食べとこ」「⋯⋯そうだな、見た事無いA6ランクとか書いてあるし」 肉に釣られて参加する事にした。シンヤとヒナが共有する形で席を空け、俺たちを入れてくれた。なんかこの二人急に仲良くなってないか⋯⋯? 俺はユキと共有で立食焼肉へ。 自分の席からだけ見える非接触タッチパネルを操作し、肉を自由に選べるみたいだ。これが凄いのが、一人焼肉の形式にも関わらず、俺たち二人分の画面がそれぞれに出てきた事。そこまで対応されている事に密かに驚いた。 中央のガラス棚超しに肉が大量に置かれており、そこからAIが上手に配布してくれている。特上カルビ、特上ハラミ、特上ロース、どれも"A6ランクの高級和牛"ばかり。これ本当に食っていいのかと躊躇っていると⋯⋯。「明日には死んでるかもしれないんですよ。迷う意味が分かりませんね」 突然隣の女性に話しかけられた。そっちを向くと⋯⋯。「なにか?」「⋯⋯いえ」 めっちゃ怒るじゃん。無視しとくか。ポニーテールの可愛らしい見た目からは想像出来ない性格、もしかしてカップルだと思われてウザがられてるのかもしれない。まぁ気にせず牛タンいくか。仙台の赤毛和牛の希少品って、そんなの食べた事無い。 隣の女性の左奥の方から、こっちへと皿がやってくる。運ばれてくる様子を見ていると、「⋯⋯!? も、もしかして、な、七色蝶様!?」「はい?」「(こ、この可愛

  • フォールン・イノベーション -2030-   44. 再会

     瞬時、全身に強烈な振動が伝った。コイツの速さと威力の高さ、ただの口だけじゃない。そう感じた時、身体は自然と反撃していた。押し返すと、ヤツは元の位置へと戻る。「さすがだね、これを防ぐなんて。でも6年間、僕だってあっちで努力してきたんだ」「さっきから何なんだよお前、俺と会った事があるみたいに」「あるよ、何度も何度も。ちょっと前だって話したしね」 コイツ、俺の事をよく知ってる? 声が加工されていて、よく分からない。6年間って、6年前は俺が中学3年生の時だ。それに俺とこの前まで話してた? ⋯⋯そういうことな。昨日深夜のユキの言葉がフラッシュバックした。『ここに来る途中見かけたよ? アスタ君っぽい人』 確信に変わった瞬間、俺は自然と笑みが出た。「んだよ。帰って来てたなら、早く来いよ」「帰ってきたのはつい最近だからね。すぐこんなのに巻き込まれて、最悪だよ」 そう言いながら、黒能面が外される。「それに、こうした方が驚いてくれるかなって」 変わらない顔がそこにはあった。正直涙が出そうなほど嬉しくなったが、ぐっと堪えた。「何されても驚くに決まってんだろ、日本にいるなんて思わねぇんだから」「そっか、急にこんな事してごめんね。どうしても、久しぶりにルイ君と勝負したかったんだ」「言えばいつでもやってやるよ。別に、こんなタイミングじゃなくたって」「いや、今じゃなきゃダメなんだ。お互い培ってきたものを知らない、今じゃなきゃ。そうじゃないと、君に一つでも知られれば、勝てないだろ?」「んな極端な。俺はAIじゃねぇぞ」 アスタの顔もどこか嬉しそうだった。まさか、またこうやって対面で話せる日が来るなんて⋯⋯。変な事せず普通に会いに来てくれよ、この能面野郎が。「あれ、ルイ? まだ入ってこないの?」 数分アスタと話し合っていると、ユキがひょこっと顔を出してきた。「⋯⋯え!? もしかして⋯⋯アスタ君!?」「久しぶり、新崎さん。また美人になったね」「あなたこそ、さらに大人っぽくなったというか⋯⋯ねぇねぇ、2日前に渋谷駅地下にいた?」「あぁ、いたよ。もしかして見かけた?」「うん、見かけた! ルイにも話してたの、似た人いたよって」「そうだったんだね、話しかけてくれてよかったのに」「そうすれば良かったわ、でも急いでもいたしね」 3人で話していると、中学時代に

  • フォールン・イノベーション -2030-   43. 能面

     起きたばかりの俺は何も知らない。都心5区選別者会議なんてのがあるなんてな。「もし参加したいならどうすれば?」「おぉ、来る気になったか! こりゃ俺たちも気合い入れんとなぁ!」 病室から突如出てきた髭面の中年男は、腕をぐるぐる回している。「だったら私たちと一緒に来いよ! あんたらだったら絶対顔パス確定だから!」 いきなり顔パスはさすがに無理だろ。「まぁまだ行くか分かんないですけど⋯⋯」「いやいや来いよ!? B1の出入り口に集合! 時間は17時な!」「念のため、連絡先を交換しておきましょう~。こちら、私のを渡しておきますのでぇ~」 L.S.におっとり女性の【朝花ミオリ】が新しく追加された。「ちょ、私のも!」 続いてボーイッシュな【倉岩スエ】、さらには「⋯⋯ん!⋯⋯」と小学生くらいの女の子の見える【水切ハイン】、他二人の【保月ナン】と【保月ノン】が追加された。 あれ、この二人って姉妹? よく見るとそっくりな顔をしてるぞ。「おぉい、俺とも頼むぞ!」 最後に髭面男の【掛井キンジ】が加わり、一気に連絡先が増えた。前はLINEとかあったけど、今ではアプリ経由すらせずともL.S.自体でそれ以上の事が出来るから、ほんと簡単に繋がれるようになった。「あのー、二人って姉妹ですか?」 保月の性を持つ二人にちょっと聞いてみる。「え、ナンノンメイン知らないのか!?」 スエが仰天顔で俺を見てくる。「登録者500万人いって、テレビにもよく出てるんだけどね~」「まだ伸びしろあるって事だよ、ノン!」「いや、え、まだ伸びる必要ある?」 怒ったように返事するノン。全然知らなかった。ゲーム以外興味が無さ過ぎた。「なんか、すみません⋯⋯」「いやいや、私たちの頑張りが足りないって事なので!」「頑張ってるんだけどね~」 ノンの方キレてるだろ⋯⋯姉妹で性格が真逆だ。今後はもっといろんなジャンルを見るようにしとこう。こんな繋がり出来ると思ってなかったしな、ヒナといい、この姉妹といい。「それじゃ、俺はそろそろ戻るのでまた連絡します」「あぁ悪かったな止めて! ちゃんと寝ろよ!」 それこっちのセリフ。この後、戻ったらなぜかユキが俺のベッドで寝てたっていうのは、もう言う必要は無い気がする。「ここだ、ここ!」 俺たちほんとに来て良かったのだろうか。上に大きく【都心

  • フォールン・イノベーション -2030-   42. 勧誘

    「はい、聞いてました」「俺は明日からまた動こうと思う。ヒナは具合はどう?」「肋骨が4本ほどヒビがいってたみたいなんですけど、いけると思います!」「い、いやいや!? ゆっくり休まなきゃダメだろ!? ごめん、俺のせいで⋯⋯」「違いますって! あんなに強い槍貰ったのに、無力だったから⋯⋯でも、さらにコツは掴んだ気がしたので、次はもっと出来るはずです! なので明日私も連れて行ってください! 走る事だけ、まだダメみたいなんですけど」「まぁそんくらいだったらどうにかなるけど⋯⋯いいのか?」「いいリハビリにもなりますから!」「⋯⋯わかった、そしたら俺がずっと傍にいるから、やれる範囲でやろう」「はい!」 実はさっき裏部さんと話そうとする前、ちょうどメッセージが入っていた。「ルイさんが起きないと、私心配で眠れそうにないです」と。俺だけがずっと眠ったままだったようで、ヒナもずっと心配してくれていたらしい。メッセージ履歴や通話履歴を見返すと、ヒナだらけになっていた。 全部で200件以上あるか? もしかしてメンヘラじゃないよな⋯⋯? それでさっきの会話中、ずっとビデオ通話をこっそり付けていた。ヒナに喋らせなかったのは、呼吸器を付けており、あまり喋らせない方が良さそうに見えたからだ。 大声を出すと痛いみたいだし、正解だったな。ヒナにはゆっくり寝るように言い聞かせ、俺も寝る事にした。時間は〈2030.09.22 AM 03:36〉。こんなド深夜に付き合ってくれた裏部さんには感謝しかない。自室まで後もう少しというところまで歩いた時、目の前から5人ほどの集団が歩いてきた。この時間に誰かの見舞いか?「ん? あんた七色蝶か?」 なんだ? 俺に言ってる?「いや、この顔は合ってるよな?」 気の強そうな女性が話しかけて来たかと思えば、おっとりした様子の女性が急接近してきた。「合ってると思います~、この方ですね~」「おぉ、やっぱりか! 会ってみたかったわ!」「七色蝶って、僕ですか?」 なんか謎の女集団に絡まれてるんだが⋯⋯。「あんた以外いないだろ? あんな特徴的なの使ってるヤツは」「はぁ。それで、あなたたちは誰ですか?」「あぁ、すまんすまん。私は倉岩スエって言うんだ、スエでいいぞ! んで、私ら5人はクレセントステラっていうチームを組んでる」「よろしくお願いしま

  • フォールン・イノベーション -2030-   41. 計画

     それから俺たちは場所を変えた。何で赤ビルに閉じ込められていたのか、紀野大臣は何をしようとしていたのか、どういう関係だったのか、聞きたい事が山ほどある。「聞きたいって事ですよね。僕がなぜあんなところにいたのか」 意外にも、その話を切り込んだのは裏部さんの方からだった。「紀野さんとは仲が良かったんですか?」「いえ、それが全く。一番UnRuleのモンスターに詳しいのが僕だと、どこからか情報を得たようで、拘束されてあの場所へ⋯⋯君たちも見たと思いますが、彼はただネルトになっただけではありません」 一呼吸置くと、その口から衝撃の一言が放たれた。「⋯⋯覇天鱗ローガハルト。三船君が倒したというあの三翼の天魔神と同じ立ち位置にいるモンスター、それを自分の表面にコーティングさせたんです」「はぁ!? どうやってそんな事出来んだよ!?」 シンヤが食い気味に裏部さんを問い詰める。「大臣クラスには"特殊な金と黒のネルト"が用意されているようで、"最強クラスのUnRuleモンスター"を与えられてる人もいるみたいなんです。そのモンスターに対し、これを使ったんです」 なんだこれ? 赤い注射器?「これを当てると、あれらのモンスターを一定の確率で、皮膚の表面にコーティングさせる事ができるんです。でもそれはゲーム上の話であって、現実世界では何が起こるか不明。それを話したら、部下に実験させ始めたんです」「⋯⋯どうなったんですか?」 気になり、俺が聞くと、「全て失敗し、逆にモンスターに食われました。非常に危険なアイテムと化しているんです、これは。なのになぜか自分なら出来ると、あの人だけは成功させたんです」「⋯⋯そんな事が」 隣の二人も、信じられないという顔をしている。「強力なネルトと最強モンスターの2つの力の持ち主、もうどうしようも無かったです」 紀野大臣は自信に満ち溢れた人だった。AIになってもその性格は受け継がれていた。「そんな大臣クラスには23区エリアを任されているようで、紀野大臣は渋谷区エリアの原宿を管理していて、その管理場所が"あの赤ビル"なんですよ」 赤ビルって、そういう場所だったのか。急に出来たと思えば、そんな事をしていたなんて⋯⋯これに気付いている人はいるんだろうか?「特に都心5区は最近一気に変わって、原宿で"不自然な人通り"があったでしょう?」

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