ママを辞める時

ママを辞める時

last updateLast Updated : 2025-12-04
By:  東雲桃矢Completed
Language: Japanese
goodnovel16goodnovel
Not enough ratings
34Chapters
1.3Kviews
Read
Add to library

Share:  

Report
Overview
Catalog
SCAN CODE TO READ ON APP

男子高校生の敏貴は父親とうまくいってない。 育ててくれてることには感謝こそしているが、父親の容姿、声、そして「ママ」という1人称が気持ち悪くて仕方ない

View More

Chapter 1

1話

Hello people, I hope you guys are fine.

Thanks for taking time and reading my book.

Although I'm new here, i promise you'll enjoy this book. Please don't hesitate to read thinking that she's a new author here, how the book will be etc etc.... My books will never disappoint y'all, that i can say (That's what most of my readers have said too :-D )

I hope the love and encouragement will be doubled this time :^)

Please read my book and support me. Consider this as a request, please click on the start button, here y'all can vote per chapter too. Also there's a option to react per paragraph. And most importantly DO NOT forget to comment. Your likes and comments is where my motivation lies. So it's not fair to read to without liking and commenting.

So, Please read, like, comment, share and follow me.

__________________________

All rights are reserved. No part of this publication may be reproduced, stored in a retrieval system or transmitted in any form or by any means, electronic, mechanical methods without the permission of the copyright holder.

__________________________

This story is purely author's own imagination. Any Name, place, characters and incidents are the product of my imagination. Any resemblance to actual events or locales or persons, living or dead, is entirely coincidental.

___________________________

This story is a dark romance, so there will be many explicit scenes, so if you don't feel comfortable please don't proceed. Otherwise you're warmly welcomed.

This story contains inter religion marriage. It's a fictional story, so please don't take it to heart. There are names of the places which I've used, so if you are by any chance from that place, please don't find offensive. It's just a fiction.

Since it's a fantasy, please don't try to find logic. Just enjoy the story as it is.

Constructive criticism is accepted. Please don't post hate or harsh comments. (I will block hate comments)

Thank you guys for giving my book a chance to read. It means a lot to me. I'm sure you'll love it.

Thanks

Love you all.

SK Rose.

(•‿•)

Expand
Next Chapter
Download

Latest chapter

More Chapters
No Comments
34 Chapters
2話
「おはよー。なんか機嫌悪くね?」 敏貴が席に座り、教科書やノートを机に片付けていると、友人の涼真が来る。 「……はよ。今日もあのカマ野郎がウザくてさー」 敏貴がため息まじりに言うと、前の席のふたりが振り返る。 「えー、とっくんのお母さんキレイじゃん」 「そうだよ、料理も上手いし、優しいし」 「いけませんな、母親を大事にしないのは。しかも、男の娘……。デュフ……!」 前のふたりこと、夢香と光里。そして隣の席にいるオタクの和登《かずと》が口出しする。 「お前らもうぜーな。男のくせに髪伸ばして、ママとか言ってるだけでキモいのに、サイズの合わない、ピンクのエプロンなんか着やがってよ」 「えー……、でもあのエプロン、とっくんがプレゼントしたんでしょ?」 夢香が不思議そうに小首を傾げる。 「なんで知ってんだよ」 「この前おつかいに行った時、偶然あって、エプロン褒めたら言ってたよ。とっくんが小学生の頃に買ってくれた宝物だって」 「えー、いいママじゃん!」 「何が気に入らねーんだよ」 「いけませんぞ、母親を貶しては」 愚痴るつもりが、注意されてしまい、敏貴のイライラが募って行く。「あーあーあー! うぜーうぜーうぜー!なんでお前らもあんなカマ野郎の味方すんだよ!」「まぁ、父親がママ名乗ってるのはアレだけど、事情あるんじゃね?」「あーね。オネエとか?」(このまま悪口に進め) 敏貴は心の中でそうつぶやいた。ストレス発散には悪口が手っ取り早い。「そういや、アンタの母親、どうしてんの?」 光里が質問をすると、夢香が軽く叩きながら注意する。そのタイミングでホームルーム開始を知らせる予鈴が鳴り、涼真は席に戻り、まわりの席にいる3人は前を向く。担任の教師が連絡事項を伝えているが、敏貴はそれどころではない。 光里に聞かれるまで、どういうわけか母親がいないことについて、気にしたことなどなかった。雅紀は自称ママだが、れっきとした男だ。 雅紀が長髪で体も細く、声変わりしてないような、女性的な声だったため、しばらく女性だと思いこんでいた時期はあるが。(俺の母親って、誰なんだ……?) その問が、頭の中でぐるぐる回る。
last updateLast Updated : 2025-11-25
Read more
3話
「……ってことがあってね。もう嫌になっちゃう」 「マサは大変だなぁ」 ここはパティスリーブーシェの2階にある喫煙スペース。パティスリーブーシェは、雅紀の悪友である法明《のりあき》が経営している洋菓子店だ。火曜日が定休日なので、雅紀は火曜日に押しかけ、煙草を吸いながら愚痴を吐き出している。 「反抗期なんだろうけど、毎日毎日、カマ野郎ってさー……。普通に男だっての」 敏貴の前では絶対にしない、荒々しい口調で、ため息をつく。 「あはは、ピンクのエプロンなんかつけてたら、そう思われても仕方ないかもなー」 「大事なプレゼントなの、お前も知ってんだろ?」 「まーな。だからこそ、ボロいとか言われるの嫌だよな」 「ホントそう」 ため息をつきながら、何本目か分からない煙草に火をつけ。煙を肺にまで入れる。 「まったく、あーしの苦労も知らないでさぁ……。いや、こんな苦労は知ってほしくないんだけど……」 「敏貴くん、今何歳?」 「17。反抗期・思春期真っ盛り」 「あちゃー、難しい年頃ってわけね。てか、15年も経つのか。お前は本当に、よくやってるよ」 法明は雅紀の肩に手を置き、しみじみ言う。 「あんがと。お前にそう言われるだけで、ちょっと気持ちが楽になる」 「はは、そうかい」 「はぁ……ここ最近、あーし愚痴ばっかだね。なんかごめんよ」 「いいってことよ。このあと、また買ってってくれんだろ?」 「まーね」 雅紀は帰りにいつも焼き菓子を購入してから帰るのだ。いくら友人とはいえ、毎週愚痴に付き合うのはうんざりするだろう。だから、せめてもの罪滅ぼしに、焼き菓子を買っていく。それに、雅紀も敏貴も、パティスリーブーシェの焼き菓子が好きで、昔からよく食べている。 「にしてもさ、投げ出したくなんねーの? 敏貴くんだって、お前の……」 「やめな」 ドスの効いた雅紀の声に、法明は息を呑む。雅紀は滅多に怒らないからこそ、本気で怒った時の恐ろしさを知っている。 「ごめん、軽率過ぎた」 「……ううん、あーしこそ、ごめん。聞いてもらってるのに。けど、敏貴のこと言われるのは、ちょっとさ……」 「今のは完全に俺が悪い。どれ、そろそろカラオケにでも行きますか」 「その前に、焼き菓子買わせて」 雅紀は煙草の火を消すと、自分に消臭スプレーをかけ、ガムを口に
last updateLast Updated : 2025-11-25
Read more
4話
放課後、誰もいない教室で、敏貴はひとりで考え事をしていた。手には財布。財布の中には今朝もらった2000円が入ってる。 「あーね。オネエとか?」 今朝、夢香が言ってた言葉を思い出す。どことなくなよっとした喋り方ではあるが、雅紀の恋愛対象は女性のはずだ。というのも、彼の友人である法明が、口を滑らせ、元カノがどうとか、昔はモテてたとか言っていたから。 雅紀が法明を睨みつけたせいで、それ以上の情報はないが。 それに、授業参観の時に、他の母親や女子生徒から注目されていたため、未だにモテるのは分かる。 認めたくはないが、顔もととのっているし、若々しい。 「あれ、そういやアイツ、いくつだっけ?」 思えば、雅紀に年齢を聞いたことがない。親にも名前や誕生日があると認識する年頃にはもう、雅紀を避けていたから、聞こうと思わなかった。 雅紀のことを思い出そうとすればするほど、胸が苦しくなる。パティスリーブーシェのお菓子が好きなこと以外、父親についてよく知らないと気づいてしまう。ブーシェのお菓子以外の好物、好きな色、趣味……。他にも、雅紀について何も知らない。「って、なんであんなカマ野郎のことなんか考えてんだ、俺は。ばっかじゃねーの」 そう自分に言い聞かせ、立ち上がろうとして動きが止まる。 視界には財布。そして財布の中には今朝もらった2000円が入ってる。 雅紀は毎週火曜日、どこかに行き、帰りが遅くなる。在宅ワーカーの彼に、飲み会があるとは思えない。いつも、爽やかなラベンダーの香りを身にまとって帰ってくるのだ。「もしかして、女?」 声に出した途端、気持ち悪くなる。家で自分をママと呼んでる男が、女と会って、アレコレしてるのかと思うと、気持ち悪くて仕方ない。 男のくせに、なよっとして、困ったように笑うあの顔が、ますます気に食わない。「はぁ……クソ……!」 倒れない程度に机を蹴ると、カバンを持って教室を出た。
last updateLast Updated : 2025-11-25
Read more
5話
夜7時。敏貴はひとりでファミレスに行き、後悔した。近くの席には家族連ればかり。ひとりでいる自分が浮いてる気がして落ち着かない。何より、幸せそうな家族を見るのが辛かった。 特に、隣の席にいる、他校の男子高校生と父親が、楽しそうに車の話をしているのが辛い。 (アイツが普通に父親してたら、俺もあーやって、話せたりしたのかな……) 虚しくなり、ため息が出る。敏貴の食事が運ばれてくる前に、親子が店から出たのは、不幸中の幸いだった。 今の敏貴にとって、仲のいい父親と男子高校生の組み合わせは、毒でしかない。 敏貴は運ばれてきたステーキセットを押し込むように食べると、帰りにコンビニで非常食のおにぎりを買い、帰宅した。 いつものように風呂を沸かし、沸くまで適当にスマホをいじる。いつもならゲームや動画に夢中になり、入浴が遅くなってしまうのだが、今日はゲームも動画も、身に入らない。 風呂が沸いた合図の音声を待つ時間が、異様に長い。 「なんで俺が、カマ野郎のことなんかで、こんなに考え事しなきゃなんねーんだよ」 悪態をついたところで、答えなど返ってこない。 風呂が沸くと、着替えを取りに行くついでに、窓を開けてエアコンをつける。 都会の夏は暑い。こもった暑い空気を逃しながらでないと、涼しくならないのだ。 カバンと買ってきたおにぎりを、ベッドの上に乱雑に投げ、風呂に入る。 風呂から上がると、ちょうど帰宅した雅紀と鉢合わせた。汗とラベンダーの香りが混じったにおいが鼻につく。 「あ、敏貴帰ってたの。ただいま。今日はクッキーとリーフパイなんだけど……」 「香水くせーんだよ」 「……へ?」 少し遅れた間抜けな返事に、イライラする。 「あーうぜー!」 雅紀を押しのけ、階段を駆け上る。 「あ、ちょっと……!」 雅紀の静止も聞かず、大きな音を立ててドアを閉めた。 「香水って……。あの子、何を言って……」 小首を傾げていたが、何かに気づき、雅紀は肩を震わせた。
last updateLast Updated : 2025-11-25
Read more
6話
数日後、修学旅行こ班を決めることになった。というのも、敏貴が通う高校の修学旅行は9月上旬で、7月中に班や自由時間の行動を決めておかないと、間に合わないのだ。 「修学旅行はハワイなので、夏休み中にパスポート取得したり、最低限の英語を覚えたりしといてくださいね」 生徒たちは英語を覚えるというところで、「えー」と嫌そうな声を出す。 「パスポート持ってない人は、忘れないうちに市役所で住民票もらってきてね。あ、今はコンビニでも出来るんだっけ? 先生コンビニでのやり方知らないけど、市役所窓口だと300円かかるから、お財布持って市役所行ってね」 再び生徒たちのブーイングが教室内に溢れる。 「はいはい、社会人になる第一歩なんだから、文句言わない。親御さんにもらってきてもらえるけど、先生としては、自分で行ってきてほしいな。 さ、班を決めちゃいましょう。ホテルで同じ部屋になるし、自由時間も一緒に行動するからね。ひと班4人から5人で」 生徒たちは席を立ち、友達同士で集まる。いつものグループが少人数ならすんなり行くが、7、8人ほどの大きなグループは、どう分かれるかで揉めている。 敏貴は涼真、和登、英介の4人で班を作るときめていたので、すぐに先生に報告しに行った。 放課後、財布の中に300円以上あることを確認し、市役所に行った。クラスメイトがふたりと、別のクラスの生徒が数名いる。敏貴のように、忘れる前にと思ったのだろう。 必要な書類を書き、窓口に提出する。呼ばれるまでパスポート取得方法を調べ、時間を潰す。 「白川さん。白川敏貴さん」 受付に呼ばれ、お金を払い、住民票を受け取る。受付の好意で、住民票は大きな紙袋に入っていた。 さっきまで座っていた椅子に座り、初めての住民票をじっくり見る。「なんだよ、これ……。どういうことだよ……」 世帯主の続柄を見て、息を呑む。手の震えが止まらない。「続柄、その他って……なんだよ……!」
last updateLast Updated : 2025-11-25
Read more
7話
敏貴は無我夢中で走った。息が切れ、横腹が痛みで悲鳴を上げても、走らずにはいられなかった。 「何なんだよ、クソ、クソ……!」 家につくと、乱暴に玄関を開けて入る。靴を脱ぐ余裕などない。 「おかえり。……って、靴脱いで……」 「どういうことだよ!」 雅紀の言葉は敏貴の怒りにかき消された。 「え? 何が?」 「何がじゃねーよ、このクソ野郎!」 敏貴は封筒ごと丸めた住民票を雅紀に投げつけ、出ていく。 「ちょっと……!」 彼の制止など聞かず、家を飛び出していった。そして目的地もなく、ひたすら歩いた。立ち止まったら、全てが崩れる気がして怖かった。 「あれ、敏貴くん?」 「え?」 聞き覚えのある声に顔を上げると、コック服姿の法明がいた。 「法明さん……。なんでここに……」 「なんでって、うちの前だからね」 法明の言葉に辺りを見回すと、パティスリーブーシェの前だった。 「あ……ホントだ……」 店を見上げながら言う敏貴に、法明は吹き出す。 「無意識にここまで来たんだ? 君んち、そこそこ遠いのに」 「えぇ……まぁ……」 「マサと喧嘩でもした?」 「喧嘩っていうか……」 住民票に書かれていた”その他”という言葉が胸を締め付ける。 「話聞いてやるから泣くなって」 法明に言われ、初めて自分が泣いていたことに気づいた。 「さ、入んな」 「店は……」 「ちょうど閉店だよ。だから、敏貴くんの貸し切り」 貸し切りならと、敏貴はおずおずと店に入る。数年ぶりに入ったパティスリーブーシェは、あの頃と同じく、甘く優しい香りで満たされている。 「適当なとこ座んな。何飲む?」 「アイスティーで……」 「OK」 パティスリーブーシェには、小さなカフェスペースがある。敏貴は窓際の席に座る。無意識に選んで座った彼は気づかない。昔、よくこの席に座り、雅紀とお茶をしていたことに。 「はい、どーぞ。売れ残りだから、お代はいらないよ」 目の前に置かれたのは、アイスティーと白鳥の形をしたスワンシュー。幼い頃、よく食べていたものだ。 「ありがとうございます」 ストローを抜き、アイスティーを一気に飲み干す。飲み慣れたルイボスティーだった。 「いい飲みっぷりだこと」 法明は苦笑し、キッチンに戻る。どこの家庭にも
last updateLast Updated : 2025-11-26
Read more
8話
嵐のように去っていった敏貴に、雅紀はしばらく呆然として動けなかった。 「いったいなんだってんだ……」 ため息をつき、ぐしゃぐしゃになっていた紙を広げる。途中、市役所の封筒だと気づき、眉間にシワを寄せる。 高校生の彼が、市役所に何を取りに行ったのだろう? 「これは……!」 住民票を見て目を丸くする。世帯主には自分の名前。そして……。「続柄、その他……? あ……」 雅紀は15年前の自分の失態に気づき、頭を抱えた。「どうしよう……。なんて言えばいいんだろ……。てか、あーし、なんでこんなこと忘れてんの……」 住民票を再び見て、盛大なため息をつく。「はぁ……話しても、聞いてくれんのかな……。いや、ちゃんと向き合わなきゃ!」 ポケットからスマホを出して敏貴に電話をかけるが、出ない。どうやら電源を切っているようだ。「はぁ……どこ行ったんだか……」 雅紀はひとり、途方に暮れた。 その頃、パティスリーブーシェでは、敏貴と法明が向かい合って座っていた。「で、何があったわけ?」「修学旅行で、ハワイ行くんすけど……、パスポート取得に、住民票が必要だって、先生に言われて、取りに行ったんです。住民票なんて見たことないから、どんなもんかなって見たら、アイツとの関係が、その他って……。つまり、アイツは俺の父親じゃないってことですよね? 法明さんならなんか知ってんでしょ。教えてください……!」 話しているうちに涙が溢れ、視界がぼやける。だが、今の敏貴には、そんなことを気にしてる余裕なんてなかった。「あー、そっか……。そういや、そうだったわ……」 法明は何か思い出したような素振りで、ひとりで納得する。「なんなんすか……!」「ごめんごめん。昔のこと思い出してて。敏貴くん。君はマサに感謝しないといけないよ」「……他人の子を育てたから感謝しろって? どーせ他人に育てられるんなら、俺は法明さんのが良かったっす」「あははははっ! それは無理! だって俺、ガキ嫌いだもん」「え……?」 法明の軽い言い方と笑い声に、心が凍てつく。尊敬している法明にまで、拒絶された気分だ。「今の敏貴くんはさ、ある程度分別ついてるからいいけど、チビから育てるなんて、俺には無理。……って、話逸れちった】 法明は座り直し、敏貴を見る。
last updateLast Updated : 2025-11-26
Read more
9話
「確定ではないけど、十中八九、お前はマサの子だよ」 「確定ではないって……?」 「その感じだと、マサは自分のこと、なんも話してないんだろーな……。あいつ、自分語り好きじゃないし」 「えぇ、まぁ……」 「マサはさ、施設育ちなんだよ。親の顔なんか知らないって言ってた」 「え……?」 「産まれてすぐ、施設に置いてかれたんだよ。で、大抵の子は里親に引き取られるんだけど、あいつ女みたいな顔だし、華奢じゃん? それをすっげー気にしててさ。引き取ろうとした奴ら、皆その地雷踏むから、結局18まで、施設にいたんだ」 「それは初耳ですけど、俺らの親子関係とどう関係が?」 「焦んなって。マサがいた施設は、規模の割には職員が少なくて、中学生あたりから、チビ共の世話をすることが増えた。 忙しさと寂しさで、ストレスすごかったろうなぁ……」 法明はテーブルに煙草を置いたあと、はっとしてしまい、スワンシューの首を折ってかじった。 「アイツが高3になって、高校卒業と共に、施設出ていくって決まった頃、若い女の職員がマサに言い寄ったんだ。愛情不足とストレスで、正常な判断が出来なかったマサは、女の『危険日じゃないから』って言葉を鵜呑みにして、中出しセックスしたってわけ」 「……それで出来たのが、俺ってことですか」 法明のストレートな物言いに、敏貴は顔をしかめながら聞く。 「多分な」 「多分?」 「後から知ったけど、あの女は相当なビッチでさ。いろんな男と寝てた。けど、年齢的にもマサの子の可能性もあったから、引き取ったってわけ」 「え、引き取った? 俺の母親は、その施設の職員、なんすよね……? 俺が産まれた時、あいつはどこで何してたんすか?」 「時系列順で説明するか。俺も話してて混乱してきたし。まず、高3の夏だったかな……。その頃から何回かヤッた。んで、翌年に卒業。ハタチの頃に、マサの家の前に、2歳のお前が置かれてた」「それって……」「あの女、面倒見るのに疲れて、マサに押し付けたんだよ。『あなたの子です、面倒見てください』って手紙握らせてな」 当時のことを思い出しているのか、法明は露骨に嫌そうな顔をしている。
last updateLast Updated : 2025-11-26
Read more
10話
「じゃあ……アイツと、俺の血の繋がりは……」 「時期的に可能性はあるって程度。あのビッチが何人の男と寝てたのか知らねぇから、確率は知らん」 法明はスワンシューをかじると、自分と敏貴のグラスにルイボスティーを継ぎ足す。 「そういや、お前の家、よくルイボスティー出るだろ」 「え? あぁ、まぁ……。なんすか、いきなり……」 「マサなりの愛情だよ。ルイボスティーには、リラックス効果とか、アレルギー症状の緩和とかある。あと、美容系の効果もな。お前がよく眠れるようにって、ルイボスティーを出してるんだよ。他にも、慣れない料理に力入れて、栄養バランス考えたり、万年赤点だったくせに、テストの対策ノート作ったり……。パソコン苦手だったのに、在宅ワーカーになったり……。全部、お前のためなんだよ。なぁ、血の繋がりだけが親子の証明なのか?」 法明の言葉で、思い出が蘇る。眠れない夜、温かいルイボスティーを淹れて、敏貴が眠るまで寄り添ってくれた。 自分が夢中で食べていれば、「作ってよかった」と嬉しそうに微笑み、すべての学校行事にも来てくれた。 帰れば雅紀がいたから、寂しいと思ったことなどなかった。現に、クラスメイトに聞かれるまで、母親のことなど気にしていなかったのだ。 「どうしよう、俺……。色々ひどいことを……」 「とりあえずさ、一回マサと話し合いなよ。ここにいるって、マサに電話していい?」 「はい……」 敏貴が頷くと、法明は別室に行き、電話をする。 優しく温かい記憶のリフレインで、罪悪感がこみ上げる。 「俺からも、ラインしとくか……」 スマホを取り出し、敏貴は肩を落とした。 「こんな時に充電切れ……」 その頃、雅紀はスマホを充電しながら、敏貴からの連絡を待っていた。入れ違いになるのは避けたい。 本音を言えば今すぐ警察に電話したいが、家出して1時間程度じゃ、警察も相手にしてくれないだろう。 家事をするにも手につかないため、こうしてスマホの前で待ち構えている。 画面が光り、目を見開く。だが、法明の名前を見てため息をついた。 「んだよ、紛らわしい……。もしもし?」 「不機嫌だな」 からかうような法明の声にイライラする。 「あーし今余裕ないんだけど」 「敏貴くんならうちに来てる。迎えに来いよ」 「え……!?」 素っ
last updateLast Updated : 2025-11-27
Read more
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status