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第494話

Auteur: 北野 艾
病院。

処置室で柊也の傷を縫合するのは、前回と同じ医師だった。

傷口を見るなり、医師は渋い顔をした。「また同じ場所ですか?前は浅かったから傷跡も目立ちませんでしたが、今回は深くまでいってますね。これは確実に跡が残りますよ」

詩織の脳裏に、彼が以前怪我をした時の記憶が蘇る。

確か、志帆とのデート中に事故に遭ったと聞いていたが、軽傷だったはずだ。

後遺症もなく、よく見なければ気づかない程度の傷跡しかなかった。

もっとも、ここ数ヶ月、詩織はまじまじと彼の顔を見たことなどなかったのだが。

医師に言われなければ、そんな事実は記憶の彼方に葬り去られていただろう。

詩織は小首を傾げ、彼の額の傷を見つめていた。整った眉がわずかに歪んでいる。

その表情は複雑で、心配の色が滲んでいるようにも見えるが――

それ以上に、どこか憂鬱そうだった。

柊也は彼女の心中を察したのか、ゆったりとした口調で言った。「今の傷跡除去技術は進んでるからな。心配いらない」

詩織は言葉を詰まらせた。

――心配しているわけではない。ただ、また彼に借りができてしまったことが、煩わしくて仕方がないだけだ。

傷口
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