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第3話

Penulis: ご飯ちょうだい
翔大が母にそんな態度を取るのを見て、私の中の怒りも限界を超えた。

スマホをひったくるようにして取り返し、電話を切った。

そして、翔大に食ってかかった。

「私の母親に向かって、なんて口の利き方なの!

母はあなたより年上の、敬うべき人なのよ。ただ電話で入籍のことを気にかけてくれただけじゃない。それの何がいけないの?」

翔大の顔色も険しくなった。

「だからって、咲子をあんな風に言うことないだろ!」

「お母さんの言ってることのどこが間違ってるの?そもそもあなたが咲子を連れてこなければ、とっくにふたりとも手続きを終わらせてたのよ!」

怒りのあまり、それ以上言葉を重ねる気にもなれず、私は単刀直入に告げた。

「この婚姻届、今日の午前中に絶対出す。

これ以上遅れるなら、別れましょう」

翔大は私の剣幕に一瞬呆気に取られた。

やがて怒りのあまり、かえって笑い出した。

「は?別れるって、それで俺を脅すつもりか?

ただの入籍だろ。今日ダメなら今度にすればいいだけの話だろ。それをいちいち、そんなにヒステリックに、みっともなく騒ぎ立てる必要があるのかよ」

よりによってそのタイミングで、咲子がまた、仲裁するふりをして火に油を注いだ。

翔大の腕を引きながら言った。

「翔大、そんな言い方しないで。依織だって、ただ頭に血が上って言ってるだけだから。

もう役所まで来てるのに、別れるなんてありえないよ。ふたりとも喧嘩しないで。私が悪いの。おばさまを怒らせちゃって……ひとまず座って、落ち着こう」

翔大は鼻で笑って、椅子に座り直した。

私もそれ以上何か言う気になれず、ただ番号札をきつく握りしめた。指の関節が白くなるほどに。

ロビーは人の出入りが絶えず、周りのカップルたちはみな楽しそうに言葉を交わしていた。

その中で、私たちのいる一角だけが、異様なほど静まり返っていた。

ようやく少し静かになったと思ったら、咲子がまた余計なことを言い出した。

肘で翔大を小突いた。

「翔大、もうお昼だよ。

ちょっとお腹すいちゃった。この近くにランチが美味しいお店があるんだけど、先に何か食べに行かない?」

翔大は少し迷ってから、ぎこちない手つきで私の手を取ろうとした。

「一緒に行くか?」

私は大きく身を引いて、その手を避けた。

「お腹空いてないから。それに今日は、手続きが終わったら実家でご飯を食べるって決めてたでしょう?

母、もう何回もご飯温め直してるのよ」

咲子が物分かりのいいふりをして口を挟んだ。

「依織、翔大さっきおばさまと気まずくなったばっかりでしょ。そんな状態で依織の実家にご飯を食べに行くなんて、翔大も気まずいよ。ちょっとは翔大の立場も考えてあげなよ。

それに今から依織の実家に戻っても、もうお昼には間に合わないし。だったら近くで食べちゃったほうがいいよ」

私は座ったまま動かなかった。

「今日の受付は、これが最後のチャンスなの。間に合わなかったら、また別の日に来るしかないよ」

翔大は困ったように言った。

「……今日じゅうじゃなきゃだめなのか?飯を食ってからでもいいだろ?」

「午後はもうドレスの試着の予約が入ってるし、明日はウェディングフォトの撮影、明後日は両家顔合わせの会場で料理の試食があるの。結婚準備でこんなに予定が詰まってるのに、入籍のためだけにもう1日なんて取れるわけないでしょう」

翔大は言葉に詰まり、一度は妥協して座り直そうとした。

しかし咲子がまた彼の腕を取って立ち上がらせた。

「どんなに忙しくても、翔大をお腹空かせたままにしておくわけにはいかないでしょ。じゃあこうしよう、依織はここで待ってて。私と翔大はこの近くで何か食べてくるから。

もうすぐ番号呼ばれそうだったら、少し前にメッセージちょうだい。それなら絶対に間に合うから」

翔大はうなずき、それなら問題ないと考えたようだった。

「それでいいか?」

私は首を横に振った。

「だめ。お腹空いてるならひとりで行けばいいでしょう。どうしてあなたまで付き添う必要があるの」

咲子がまた笑った。

「翔大だってお腹空いてるはずだよ?

依織、そんな言い方しないでよ。入籍っておめでたいことなのに、どうしてずっとそんな仏頂面なの」

翔大は、私が一歩も譲らない様子を見て、彼のほうも苛立ちが込み上げたようだった。

咲子の手を取って、そのまま外へ向かって歩き出した。

「いいも悪いもあるかよ。飯を食いに行くくらいで文句言われる筋合いはないだろ!

もうすぐ番号来るなら、先にメッセージくれればいい。咲子、行くぞ」

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