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三木猫
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Novels by 三木猫

乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも、私男性恐怖症なんですけど…。

乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも、私男性恐怖症なんですけど…。

現代日本風乙女ゲーム『輝け青春☆エイト学園高等部』通称『エイト学園』の世界に転生してしまった佐藤美鈴。 これから沢山のイケメンとの出会いがあると美鈴は震えあがっていた。 それは嬉しいから、ではなく。 美鈴がとある理由から『男性恐怖症』を持っていたからだった。 美鈴は転生を理解した瞬間から、イケメン達との出会いを避けるべく奮闘する。だが、その結果は散々で…。 とは言え、美鈴だってただただ指を咥えている訳ではない。 まずは自分に出来る事からやっていこうっ! と自分の運命を変えるべく一歩を足を踏み出す。 これは様々な出会いと経験を経て、大きな愛を『思い出す』美鈴の成長ストーリーである。
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Chapter: 小話58 後日談その5(前世の自分へと思いを馳せる)
「…報告は以上です」 「…分かった。ここにある内容が全てか?社員の総意って事で間違いないな?」 「は、はい…」 目の前の若い男は社長でも何でもない。なのに何故この場に、白鳥財閥の総帥代理の前にいるのか。 少し考えれば解ることだ。こいつが今持って来たのは報告書だ。多額の負債を出してしまった案件の。 「君は…これで良いのか?」 「…え?」 渡された報告書を机に投げて、椅子の背もたれにゆったりと背を預けた。 「会社の上司が失敗した事を、新人である菅原、君が全ての責任を負ってこれからの人生を棒に振っても良いのか?」 「そ、れは…」 じっと言葉の続きを待つ。だが、やはり新人で若い男は俯き言葉を発する事はなかった。 …当然と言えば当然だ。自分の所の上司より遥か上の上司に会ってる訳だしな。しかもその理由が謝罪と報告。だがこいつは仕事を辞めるではなくきちんと謝罪に来た。それだけ根性があるって事だ。失うには勿体ない新人だ。 俺は言葉を失ったそいつの代わりに言葉を繋ぐ。 「この事案は君の様な新人が請けもてる案件ではない。そんな事は上の人間が一目見れば解る。もし解らないとでも思われていたのなら、…随分舐めた真似をしてくれるな」 「ち、ちがっ」 「分かっている。これは君がやれる上司への復讐だったんだろう?」 「え…?」 ゆっくりとそいつは青褪めた顔を俺へ向けた。 「君の様な人間は貴重だ。失うのは惜しいからな。一つ、君に頼みがある」 「頼み?」 「そうだ。それが出来たなら君をうちで引き抜こう」 「やりますっ!!」 一も二もなく頷くそいつに頷き返す。 「私は一体何をすれば…」 「…君の所の上司を連れて来い。何を言って誤魔化しても俺の立場を利用してでも良い。ここへ連れて来い。…出来るな?」 コクリと頷き、直ぐに踵を返して勢いよく部屋を出て行った。 多分、やり遂げるだろう。自分に失敗の責任を全て押し付けた上司に恨みはあれど同情はないだろうからな。それに、部下に自分の失敗を全て押し付ける様な輩は部下を率いて上に立つ資格はない。 自分でやり返さないと、恨みだけ残り続けるしな。 …さて。菅原を配属させる場所を選んで置かないと、だな。 今、何時だ? …………………23時? ちょっと待て?ちょっと待てよ? 今日は何日だ…? ………カレンダー
Last Updated: 2026-04-29
Chapter: 小話57 後日談その4(男達の宴会with乙女)後編
「次に貴方を見たのは、これまた私が学生の時よ」そう言って、男の視線は俺から、透馬達に流された。透馬、奏輔、大地の視線が冷えて行く。きっと俺も同じ目になっているだろう。※※※(乙女の独白そ・の・2はぁと)何事も、調査と言うのは必要不可欠な物。あの人の事を知りたければ、自分の足で動かなきゃっ☆そう。その為に私は今ここに、エイト学園にいるのだからっ!もうっ、聞いてよっ。ほんっとうに大変だったのよっ。ここの制服手に入れるのっ。何でも愛しの鴇様が入学してからエイト学園の制服を手に入れて不法侵入する輩が増えてんですってっ!だから、正規の生徒手帳がないと店では売ってくれないのらしいのっ!おかげでオークションで愛しの鴇様の制服を落札する為に30万も使っちゃったわっ!!こつこつと貯めてた手術代がパーよ、パーっ!ほんっとうに大変だったわぁ。不法侵入とかそう言う輩がいるから、最近の日本は犯罪者が増えて来てるのよっ!節度って大事よねっ!さ、てと。今は怒りを横に置いといて。愛しの鴇様には顔がわれてるから、バッチリ化粧と髪も染め上げて来たわ。これで絶対バレないは・ずっ☆まずは愛しの鴇様が登校してくるのを発見しないとっ☆待ってて、愛しの鴇様~☆校門の前で愛しの鴇様が来るのを待機。勿論、物陰から観察よっ。真正面からなんて恥ずかしくて出来ないわっ、きゃっ☆「なぁ、鴇。今日、姫に会いに行っていいか?」「あ、オレも行くー」「なら、俺も便乗させて貰うわ」「…お前らなぁ。そう言いながら毎日家にくるな、鬱陶しい」きゃあああああああっ!!!!なになになんなのっ!?あの神々しい集団はっ!!愛しの鴇様の周りにも神の御使いが三人もっ!!やだっ!!素敵ぃーっ!!校門側の大木の影に隠れていた私の所まで光を放つなんてっ!?目に焼き付けるのよっ!!この美しさを忘れないうちにっ!!ふー…ふー…。素敵…素敵よぉ…。愛しの鴇様が呆れながらも小さな笑みを浮かべてるわぁ。あぁ、愛しの鴇様の隣にいる紫髪の彼。彼もまたいいわぁ。着崩してる制服から見えるシルバーが溜まらないわ。その後ろを付いてくる、体育会系の彼。彼もいいっ。茶色の短髪も男臭くて堪らないけれど、それよりも体っ!体よっ!肉体美っ!美しい筋肉っ!あぁ、堪らないっ!更にその体育会系の彼の横にいる、繊細な美人もいいわっ!男の子な
Last Updated: 2026-04-28
Chapter: 小話57 後日談その4(男達の宴会with乙女)前編
「それじゃ、皆揃ったな。乾杯!」『かんぱ~いっ!!』それぞれがグラスを片手に声を上げた。金山達が使っているバーを今日は貸切、今は二つのテーブルで二つのグループで盛り上がっていた。「やっと日本に帰って来れたよ。葵兄も棗兄も久しぶり!」「優兎。随分頑張っているみたいだね。どこぞのアホと違って」「おい、葵。そのどこぞのアホってのは俺の事か?」「龍也以外誰がいるって言うのさ。大体、何しれっと鈴ちゃんに会いに来てるんだよ、図々しい」「あの時は仕事にちょっと余裕が出来たからだなぁ!」「樹先輩!白鳥さん見ませんでしたかっ!?」「あ?今日は女の参加はなしだろ?だったよな?棗」「そうだね」「は、話が違うじゃないですかっ!棗先輩っ」「お前がいつまでも鈴を狙ってるから、その措置に決まってるだろっ!!」「……相変わらず、姦しいけど、帰って来た気がするなー…」優兎が遠い目をして、双子と御曹司たちに挟まれて呟いている。安心しろ、優兎。こっちはこっちで悲惨だぞ。「だから、こっちより海里にはこっちの指輪のが似合うだろ」「じゃあ、こっちにしようかな…透馬兄、これだよね?」「なんで今そっちを選んだっ!」「………奏輔様。新しいお酒です」「いつの間に空良は俺の舎弟化したんやろなぁ…。でも、ほんっと、あの姉貴たちを見た後だと心洗われるわー…」「っしゃあっ!!じゃあ、五番勝負っすよっ!師匠っ!!」「陸実ー、オレに勝とうなんて十年早いー」「腕相撲から勝負だーっ!!」ほらな、地獄だろ?ぐったりしている優兎の視線が俺とかち合った。抜け出そうと言っている。俺も素直に頷いて、そこからするりと抜けて優兎と二人、カウンター席に座った。目の前にグラスでウィスキーのロックが並ぶ。「あー…落ち着いたー…」「あいつら、何であの歳でなおあそこまで騒げるんだか…」優兎と二人まったりと会話をする。一時期、優兎は美鈴の件で怒鳴ってしまった俺に引け目を感じていたらしいが、俺は全く気にしていないからか優兎も割り切って普通に戻っていた。「真っ直ぐここに来たんだろう?美鈴には明日会うのか?」「美鈴ちゃん、今、里帰りしてるんでしょ?じゃあ、明日僕も帰るから今日中に会える、かな?」「この飲み会が今日中に終わるか?日付越えるだろ、どう考えても。会うのは明日の朝だな」「それは、確か
Last Updated: 2026-04-27
Chapter: 小話56 後日談その3(『輝け青春エイト学園高等部』と『無限』⑤)
片手にどうにか双子の娘達を抱え込み、ペンでまず俺の名前を書いた。「今佳織母さんに説明したのは俺の意思が生まれた一番最古の前世だ」「ふむふむ」「で、俺はここからまた、この世界に転生した」矢印を下に引いて俺の次の前世の記憶と書く。「そして、ここからリョウイチさんの干渉が始まる。そこまでは干渉ではなく見守りの状態だった。そして、なんでここでリョウイチさんの干渉が入ったのか。それは恐らく佳織母さん達の前世が繋がったからだ」もっと言うなら、佳織母さんにリョウイチさんが惚れたから、って事だろう。「けど今はリョウイチさんの視点ではなく俺の視点で話す。その次に真っ先に修正されたのは佳織母さんの立ち位置だ。それまで横暴だった佳織母さんはその修正により、佳織母さんの魂修正が入った。要はさっき佳織母さんが言った子供を大事にする要素だな。勿論他にもこまごまとあるだろうが、リョウイチさんが一番直しやすかった所から入ったんだろう」俺の名前の下に佳織母さん修正済みと書いた。「で、ここでリョウイチさんのミスが一つある」「…都貴静流、かしら?」「その通り。アイツが違う体に転生して、美鈴を狙い始めたんだ。その時はもう佳織母さんの修正が済んだ後。もっと言うなら、暫く他の世界を経由して来た後なんだよ」都貴静流の名前を佳織母さんの横に書く。「予想外の動きにリョウイチさんは次から次へと修正を繰り返した。数えきれないくらい修正したんだろうな。修正は沢山あった。暫く双子が生まれない時もあったし、優兎が転校してこず親に愛される、それこそ、所謂攻略対象者達と美鈴がくっ付いた時もあった。面白いのがそのどの世界軸でも俺は死んでいたって事だな」「そうだったの?」「あぁ。何度も死んださ。美鈴を想いながらな。何度も何度も修正を見て来たし、その数の多さの証拠があの都貴静流の転生体の多さだ」何度も何度も転生を繰り返し、発生した出来事を最初は何かしらでまとめていたが、最終的に佳織母さんに知らせる意味も込めて乙女ゲームと言う形をとったのだろう。「俺達は前世の記憶と言う形で混じり合ったが、本来人間の生は、命が終わった時点でリセットされねばならない。けれど、前世で繋がってしまったために新たな芽として生まれていた命が一つの大木として育ってしまった」「生の本流が出来上がってしまったのね」「そうだ。そして
Last Updated: 2026-04-26
Chapter: 小話56 後日談その3(『輝け青春エイト学園高等部』と『無限』④)
「ごほッ…」俺に届く筈の手は届かなく、美鈴はその場に崩れ落ちる。都貴静流の手には、赤く滴る血が流れるサバイバルナイフがあった…。「きゅ、救急車っ!!」優兎が兎の可愛い鞄から電話を取り出し、119番にかけている。「あ、あはは…白鳥さんッ、なんて、なんて美しいんだっ…」都貴静流がサバイバルナイフを空にかざして恍惚に呟く。「もう一度…もう一度その血を魅せてくれ…あぁ、堪らない…」「気持ち悪いんだよっ!!てめぇはっ!!」力の限りそいつの顔面を殴り付け、地面にそいつが座りこんだ隙に美鈴を抱き起す。口元から血を流す美鈴の顔はどんどん血の気を失って行く。「…ぉ…き…」「喋るなっ!今、病院に連れてってやるからっ!」「…さ、む、ぃ…」慌てて着ていたジャケットを脱いで美鈴の背中の刺し傷を塞ぐようにきつく巻きつける。「……ぉ…ぃ…どぉ、…こ…?」「美鈴っ!大丈夫だっ!俺はここにいるっ!」遠くから救急車のサイレンが聞こえて来た。俺は美鈴を乗せるべく抱き上げ立ち上がり、少しでも早く救急車に乗せれるようにと走った。目の前に救急車が止まり、隊員の人が出した担架に美鈴を乗せて、美鈴が救急車の中に運び込まれ、救急車はそのまま走り去っていく。救急車を見送っていた、その時。ドスッ―――。再び鈍い音が聞こえた。今度は俺の脇腹から。「邪魔…邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔なんだよぉぉぉぉぉぉっ!!」「それ、は、こっちのセリフだっ!!」痛みはあった。けど、今はそれすらも凌駕する怒りが俺を支配していた。殴り返して、争って、最終的に都貴静流の持っていたナイフが都貴静流の胸に突き刺さり、そいつは倒れた。見届けて、俺は血が流れる体を引きずって車に乗り込み、家へと帰った。ソファに座りこみ、止まらない血を手で抑えながらテレビを点ける。『先程速報が入りました。○○大学で起きた殺傷事件で男に刺された女子生徒白鳥美鈴さんが先程亡くなりました』…知っていた。あの状態から美鈴が息を吹き返す訳がないと。知っていたのに、まだ、何処かで…生きていてくれているんじゃないか、と。「………美鈴…。今、俺も逝く…」瞳から溢れる涙を拭う力すら消えた俺は、そのまま闇に落ちた…。※※※こうして俺が美鈴と恋仲になりホストを辞めて幸せになると誓ったその時に、都貴静流に美鈴は殺さ、そして俺もまた殺さ
Last Updated: 2026-04-25
Chapter: 小話56 後日談その3(『輝け青春エイト学園高等部』と『無限』③)
美鈴に惚れた自覚を持って、それからまた一ヶ月後。「わ、私、鴇お兄ちゃんが好きっ」そろそろ来るだろうと思ってたが、予想外に早い美鈴から告白に俺は心の中でガッツポーズをした。俺らしくない?知るか。嬉しい時は喜ぶものだろう。「俺もだ、美鈴。愛してる」美鈴をきつく抱きしめると、美鈴はまた嬉しそうに笑った。この時の俺達は幸せの絶頂でいつまでもこの幸せは続くのだと、そう思っていた。ある日、俺は親父の勤めている会社へと美鈴とこれからも一緒に、あわよくば結婚する事を伝えに向かっていた。「…兄さん」「何故ここに?」声がして前を向くと、そこには双子の弟の葵と棗がいた。二人共俺と同じ血が流れているはずなのに、どちらも立派に大学へ通い、同時にアルバイトもこなしているようだった。「葵に棗?それはこっちのセリフだ。お前達は何故ここにいる?」「…白鳥の姓を抜けようと思いまして」「しがみつく価値のない家なので」「成程な」「兄さんは?」「似たようなもんだ」「そうですか。なら一緒に行きますか」葵の方から誘ってくるなんて珍しい事もあるものだ。俺はそうそうに白鳥家を出て行った。双子のこいつらがいることを知っていたのに。だから嫌われている筈なんだがな。何故こんな対応なのか解らずに。それでも断るのも気が引けて俺は双子の弟達と一緒に歩きだした。いや、歩き出そうとした。急に俺の携帯が着信を告げた。かけて来た相手を確認すると、そこには『美鈴』と表示されており、俺は慌てて電話に出た。「美鈴?どうした?」『鴇っ。どうしよっ。怖いっ』何時もの勝気な声ではなく、どこかに隠れでもしているのかか細く震えた声だった。即緊急事態だと理解する。「今、どこにいるっ?」『大学、の、空き教室の、ロッカー、の中…ッ』「解ったっ。いいかっ、電話、切るなよっ」『うん、…うんっ』俺が急ぎ来た道を引き返そうとした時、葵と棗が何故か引き止めた。「急いでるんだっ」「解っています。美鈴とは兄さんが保護した僕達の妹ですよね、義理の」「そうだっ」「オレ達も、妹に目を向ける余裕がなかったからね。少しばかり、手を貸させてよ」そう言って、双子は何処かに電話をかけている。「僕達の知り合いが義妹と同じ大学に通ってる。探して守って貰うよ」「…大丈夫なのか?」「それなりに強いよ。大丈夫」
Last Updated: 2026-04-24
乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…。外伝!

乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…。外伝!

現代日本風乙女ゲーム『輝け青春☆エイト学園高等部』通称『エイト学園』の世界に転生してしまった佐藤美鈴。男性恐怖症を持ちながらも何とか家族や友達、先生や後輩達に支えて貰いながら成長し高校もいざ卒業となり、乙女ゲームの時間が終わると思った、その時母親からある真実を知らされる。 美鈴は一つの道を選択した。けれど、もしその時の選択肢が違ったならば…。 この外伝は、美鈴が選ばなかったIF(もしも)のストーリーと結末である。 ※この物語は本編の最終章第三十話の続きから、他の攻略対象キャラクターを美鈴が選択した場合のifストーリーとなっております。
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Chapter: 第三十二話③ ※※※
それから、襲撃のある8日まで。私は、一日一回はあえて外出し、買い物をするようにした。と言うのも、お兄ちゃん達が、遭遇すると言う形を作りたいと言ったからだ。ゲームにより近づける為なんだって。私としてはお兄ちゃん達だけ危険な目に合わせるつもりは毛頭なかったから、即頷いた。むしろ一日一回で良いのかと聞き返してしまった位だ。けど余計なことをしてもまたお兄ちゃん達の計画を崩すだけだよねとちゃんと思い止まった。買い物をして、華菜ちゃんの家に帰って、華菜ちゃんのご家族の代わりにご飯を作って、パソコンを借りて一日分の仕事をして。これを数日繰り返した。…私、本当にこれでいいのかなぁ…?ちょっと不安になるよね。だって、お兄ちゃん達は忙しく動き回ってくれてるってのに、私はここで華菜ちゃんと楽しく会話しながら、仕事をしているだけなんて。いいのかな…?こんなんで…。お兄ちゃん達の仕事だって滞るよね…。お兄ちゃん達のお店にだって迷惑がかかるだろうし…。…お兄ちゃん達に何か他に出来る事ないかって聞きに行こうかな…。最悪何も出来なくても差し入れだけでも…。うん、そうしよう。開いていたパソコンを閉じて、お財布を持って。部屋で勉強していた華菜ちゃんに断りを入れて、買い物に出る。おー。いー天気ー。朝からこんなに晴天だとお昼頃には暑くなるかもなー。動きやすい恰好で出て来て正解だったかも。えっと今日は何を買おうかな。お昼ご飯はもう決まってるから、晩御飯の材料かな。今日の晩御飯は…華菜ちゃんパパのリクエストでもつ鍋ですっ!前回、華菜ちゃんママのリクエストを聞いたら華菜ちゃんパパが拗ねちゃったからね。今日は華菜ちゃんパパのリクエストっ。まずはもつ鍋の一番の目玉である『もつ』を買いに行かなきゃ。透馬お兄ちゃんのお店が肉屋さんだから丁度いい。お肉、お肉~。どんな時でもお買い物って楽しいよね~。あ、勿論警戒は怠ってませんよ?ふっみみみ~♪脳内でのみ鼻歌を歌いつつ、少し軽い足取りで透馬お兄ちゃんの実家のお店へ向かっていると、「きゃあああああっ!!」えっ!?何事っ!?突然の叫び声。…叫び声だけど、どっちかと言うと喜び系の叫び、所謂黄色い声だったような?女性が群れをなして走って行く。しかも皆三方向へ割れた。途中まで同じ方向に走ってたのにっ?直角に割れて行くよっ!?あーゆー時の女子の
Last Updated: 2026-05-07
Chapter: 第三十二話② ※※※
「…美鈴?」声が聞こえて目を開くと、ママのドアップ。「美鈴。何をぼんやりしているの?早くその本を持って廊下に出てみなさい」そしてまたこのセリフ。私の手にはセーブの本。流石に二度も同じ事があれば、夢でも幻でもないって理解出来る。いや、元々夢の可能性は大分低かったんだけどね。そしてもう一つ、夢を否定するに思い至る理由がある。ここに、いつもママのドアップがあるこの時に戻る理由。こんな事現実的じゃないと思って、つい思考から排除してたんだけど…。でも…もう、そうとしか考えられない。私はやはり『手に持っていた』本を開いた。そこに書いてある文字は、私の文字。『ハートの意味が解らない。でもこれはヒロインが持つべき本らしい』これは確かに私が書いた。それは間違いない。でも以前書いた時と違う箇所がある。私の書いた文字じゃない。それは以前と変わらない。違うのは勝手に浮かび上がった日付の後ろにあるハートの数だ。私が最初に見た時は三つあった。それが今は一つになっている。それを見て私は確信した。間違いない。これ、『残機』だ。残機って言うのも解り辛いかな?『ライフ』と表記するゲームもあるし。要は失敗できる回数って奴だ。RPG系のゲームには珍しいものでもある。これが良くあるのはそう、例えば土管工のおじさんが巨大亀を倒しに行くあのアクションゲームとかかな?今は土管工ゲームについての詳細は省くけれど、何故私がこのハートにその役割があると思ったのか。それは、私の記憶から解る事。恐らく、私は二回、『死んだ』のだ。一回目は、旭に化けた表門の女に刺された時。二回目は、旭を庇った時に投げられた、多分即死効果のある毒針を刺された時。初めて死んでゲームをやり直した時。私はこのセーブの本をちゃんと確認しなかった。今の状況が夢か何かだと思いたかったから。事実として受け入れ難くて、それに皆の安全を優先したかったのもある。だから本を確認しなかった。でもそれじゃ駄目なんだ。今になってママが以前言っていたこの世界はゲームの世界だって、油断するなって言った意味を痛感した。私は机に駆け寄りペンをとる。『何の因果かは解らない。だけど、今解る事を書き記そうと思う。いつどんな状況でまたやり直す事になるか解らないし、もしかしたらやり直せないかもしれない。でもこの本は役に立つ。使い方次第だか
Last Updated: 2026-05-06
Chapter: 第三十二話① 表裏の輪
私の視界は真っ暗闇の中。 ふっ。私を舐めないで貰いたいわねっ。 毎度毎度この真っ暗闇を見ていたら、もう分かるもんねっ! ズバリ、私は気を失っているっ!どやぁっ! ……。 ………。 ……………しくしくしく。全くもって威張れたことじゃないのよぅ…しくしくしく。 何で私はまた意識を失ってるのー…。 えっと…、私は何でこうなってるんだっけ?気を失う前は確か…。 確か私は旭と一緒に買い物した帰りに、旭に扮した表門の人に刺されてー…はて? そこから記憶がないと言う事は、私はあそこで気を失ったって事だよね? んで、今現在意識がない、と。そう言う事だよね? でもさ?私今意識あるよね?こうやって考えていられると言う事は意識が戻ってるって事だもの。 と言う事は、意識は戻ってるけど、目を閉じているだけ、って感じ? …じゃあ、目を開けば…。 閉じていた目を開くと。ででんっ!「ふみっ!?」 目の前に毎度恒例ママのドアップ。 これ、本当にびっくりするから勘弁して欲しい。 ばっくばっく言う心臓を抑えつつ、数歩後ろに引くとママはこれ見よがしに大きなため息をついて私に呆れた目線を向けた。 「美鈴。何をぼんやりしているの?早くその本を持って廊下に出てみなさい」 「へ?」 本?廊下? 何を言ってるのかな?ママは。 何をぼんやりしてるって私の方が聞きたいし。刺された娘に本を持って廊下に立ってろなんて、なんとゆー拷問。 大体刺されたお腹だって……あれ?お腹に包帯も何もない。痛みもない。 え?ちょっと待って。そもそもなんで私、本を持って立ってるの? 「美鈴?聞いてるの?本を持って廊下に出てみなさい?」 「ふみ?」 全く状況を理解出来なくて首を傾げる。 待って?これどういう状況?本を持って、廊下って、え?さっぱり解らないんだけど。 手に持っていた本を見てみる。RPGに出てきそうな…って、これも前に思ったけど、これってセーブの本だよね? この本は私の部屋からは持ち出す事は出来ないって、もう実証済みだよね?一回やったもんね?結果は解ってるんだし、何度もやらなくてもいいんじゃ…? と言うか…今気付いたけど、ここ私の部屋じゃない? 周りを見渡してみても…うん、間違いない。私の部屋。
Last Updated: 2026-05-05
Chapter: 外伝第一章 御三家ルート 第三十一話 無限ー御三家編ー
※ このお話は本編である『乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…』の三十話から続くお話です。まだ本編をお読みで無い方はまずは本編からお楽しみください。「姫。この鎖主体のデザインと、薔薇主体のデザイン、どっちが可愛いと思う?」「んー…、私としては薔薇の方が可愛いと思うんだけどー…、遠目から見てどっちが可愛いと思う?大地お兄ちゃん」「鎖デザインのネックレスと、薔薇デザインのブレスレットー。成程。姫ちゃんが一番可愛いー」「俺もそう思う。姫さんが一番可愛い」「確かに。姫が一番可愛いな」「ちょ、ちょっと三人共っ、デザインの話でしょーっ。私は関係ないでしょーっ。お世辞言っても何もでないんだからっ。今日の晩御飯は何が良いっ!?」全くもう、お兄ちゃん達は。何そのやれやれって顔はっ!?本当に、透馬お兄ちゃん達は相変わらずだ。リビングでお兄ちゃん達の作業を眺めつつ、私は笑った。あの後…。ママに選択を迫られたあの後、正直私は何処も誰も選べなかった。精神の年齢がもうだいぶ高くなってしまっているから、双子のお兄ちゃんや優兎くん達はもう弟みたいな感覚で。旭達に至っては最早息子の気分である。ぶっちゃけて言えばその括りに陸実くん達も入ってしまっている。となると残された選択肢は、鴇お兄ちゃんと御三家のお兄ちゃん達。鴇お兄ちゃん。鴇お兄ちゃんかぁ。なんでかな?鴇お兄ちゃんとは、今の距離を保っていた方が良い。そんな気がするんだよね。この感覚は今一良く解らないけど、従っていた方が良い気がするんだ。ってなると、残るは御三家のお兄ちゃん達しか残らない訳だけど…こんな消去法で相手を選ぶ、人生を選ぶってのはどうなんだろう?お兄ちゃん達に失礼極まりないよね。私としては御三家のお兄ちゃん達には自分が選んだ本当にとことん惚れ抜いている相手とくっついて欲しいと思ってるの。これは紛れもない私の心からの本音。そう、思ってはいたんだけどね…。私は今考えていた事をストレートにママにぶつけてみた。すると、ママは老いを感じない綺麗な顔の眉間に皺を寄せて、大きくため息をついた。「よりにもよって、このルートを選ぶなんて。…参ったわねぇ」「え?」「けど、そうね。選んでしまったのものは仕方ないわ。私は娘が大事ですもの」え?ちょっと待って。ママ一人で話し進めないで。説明
Last Updated: 2026-04-29
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