Chapter: 最終話 無限の終わりに辿り着くまで…。カタカタカタ…。キーボードを叩く音とマウスを動かす音。それに電話の音に人の話し声。色々な音が混ざり合っている。「……やっぱり年下組に美鈴の相手は荷が重過ぎる、か。手を貸さないと、都貴の転生体の内の一人ですら倒す事が出来ない…」はぁ、と溜息をついて、またキーボードを叩く。「四従士は、四聖と一緒にいた方が【美鈴】の人生では安定する。ここを崩すのは悪手だ」「………!」「となると…」「遼一っ!!」「うわぁっ!?」耳元で叫ばれて驚きのあまり椅子から転げ落ちた。一体誰だ、人の耳元で叫ぶのはと顔を上げるとそこにいたのは腰に手を当てておれを見降ろしている澪だった。「み、澪か。驚かせないでくれ」「後ろから刺さないだけマシだと思いなさいよ。それよりもほら、薫からお手製の」「えっ!?もしかしてお弁当っ!?」「うん、お弁当箱」「箱ーーーっ!?中身はーーーーっ!?」「薫が料理下手なのは知ってるでしょう?」「それでも手料理が食べたいってのが男心でしょうっ!?」「煩い、黙れ、そして消えて」「酷いなっ!?」相変わらずの岩塩+鬼対応。澪がこの態度なのは昔からだけど。「……それで?どうなの?」おれが必死に作っているゲームの作成途中の画面を澪は覗き込む。「正直苦戦してるよ。…マコトの記憶を弄るのもそろそろ限界だし」「だからさ。勝手に人の記憶を弄らなければいいでしょ」「仕方ないよ。そうでもしないと美鈴を守れない」椅子を起こして座りなおすと、隣から椅子を引っ張って来た澪も座り一緒に画面を覗き込む。「今はどの時点なの?」「…申護持空良のルートが終わった所だよ。途中嵯峨子奏輔が出て来て、ちょっと方向は変わったけれど」「奏輔くんが?……ふぅん。成程ね。彼も大概義理堅い子よね」「…おれとしては一番気に食わないけどね」「アンタの意見は聞いてないわよ」「ねぇ、さっきからおれに対する態度酷くない?」「まだレベル1なんだから感謝しなさいよ」「これでレベル1っ!?」「当り前でしょ」椅子のタイヤを蹴られ、おれは後ろへと流される。「アンタには私恨みしかないもの」「……そりゃそうか」「認められるのもムカつくんだけど?」「えー?じゃあどうすりゃいいのさ。土下座でもしようか?」鼻で笑って言ってやると、澪の目が吊り上がった。あ、やべっ、と思った時に
Last Updated: 2026-11-03
Chapter: 第三十二話⑬ ※※※遊園地に到着ー。 …カップルばっかりー。そりゃそうか。ナイトパレードなんて恋人と行かずに誰と行くって話だよね。 で、私はどうしたらいいのかな? ママが言う通り誰かしらチケットの片割れを持っててくれたら良いんだけど…。 ふむ…と一人考え込んでいると、コンコンと窓ガラスを軽くノックされた。 そちらをみると、葵お兄ちゃんが覗き込んで微笑んでくれている。 いたのが葵お兄ちゃんで、嬉しくてペタッと窓ガラスにくっつくと、何故か苦笑されて指を下に向けて何か指示している。 あ、ロックか。 鍵を開けるとそのままドアが開けられて、葵お兄ちゃんが手を差し伸べてくれた。 「えへへ」 ちょっと照れるけど素直にその手を握って車を降りる。 「葵お兄ちゃんも樹先輩にチケット渡されたの?」 「うん。正しくは買わされたんだけどね。ここの遊園地。樹財閥の傘下だから」 「なぬ?」 そう言えば高校の時に来た遊園地と違う場所だ。…ほほぅ?樹先輩、私に挑戦状を叩きつけたのかな?良かろう。全て無視して遊んでくれるわっ!どやっ! 「ほら。鈴ちゃん。ドヤ顔してないで遊びに行こうよ。折角買ったチケットなんだし」 「うんっ。行くっ」 真珠さんに後で迎えに来て貰う約束をして、私は葵お兄ちゃんの手をとって歩きだした。 「鈴ちゃん。そのワンピース初めて見るね。似合ってるよ、可愛い」 「えへへっ。本当?」 「うん。可愛い」 二回も言われて、ちょっと顔が熱くなる。だって葵お兄ちゃん、すっごく柔らかい笑顔くれるんだもん。 繋いだ手をぎゅっと握られて、これからデートだと思うと嬉しくて仕方ない。 仕方ない…んだけど。 ギロッとあからさまに葵お兄ちゃんに見惚れている女子達を睨みつけた。 貴女達、隣にいるの恋人だよね?どうして、葵お兄ちゃんと手を繋いでいる私を睨みつける様に見てるの?そんな風に見られたら私も睨み返すに決まってるよね? 「鈴ちゃん?」 「なぁに?葵お兄ちゃん?」 なになに? ニッコリ微笑んで答えると、何故か頭を撫でられた。嬉しいからもっとっ! 自分から手に頭をすりつけると、葵お兄ちゃんが何故か私から顔を逸らす。何で何でー? 葵お兄ちゃんは一体何を見て…私を睨んでいた女子達の横にいる男?しかもその男は何故か私を見てる? 条件反射的にぴったりと葵お兄ちゃんにくっつく
Last Updated: 2026-10-30
Chapter: 第三十二話⑫ ※※※「美鈴。次はこれな」 「ふみぃ~…書類が減らないよぅ…。あ、鴇お兄ちゃん。この書類、よろしく」 ドスンッと書類の束を鴇お兄ちゃんから受け取り、ドッスンッと書類の束を鴇お兄ちゃんに返す。 もうね。あの事件から一か月が経った今尚、私達は事後処理に追われているのですよ。 お兄ちゃん達に、誠パパ、更には旭達や円達にも手伝いをお願いしているというのに、まだ終わらないっ! ここ一ヶ月休日も返上して、ずっと働きっぱなしだよっ!?残業だらけだよっ!? 「ふみぃ~……決めたっ!今日はもう帰るっ!」 鴇お兄ちゃんに全部任せて帰るっ!!ゴーゴーっ!! 「美鈴?帰るのか?」 「うんっ。鴇お兄ちゃん、あとよろしくっ!!大丈夫。鴇お兄ちゃんが決裁しても大丈夫な書類だけ残して帰るからっ!」 グッと親指を上げて鴇お兄ちゃんに向けて、と。さーっ!帰るぞーっ!! 「……ったく、仕方ない奴だな」 と優しいふりをして鴇お兄ちゃんは見送ってくれた訳ですが、私の分はきっちりしっかりと残されていた事を私が知るのは翌々日の事である。 そんな未来の事は露知らず、私は急いで会社出て真珠さんの運転する車で帰宅した。 部屋に鞄を置いて、手洗いうがい、着替えを済ませて癒し空間であるリビングの奥、キッチンへと逃げ込んだ。 えへへ。今日は何作ろうかな~♪ 冷蔵庫には何が残ってるっけ~? 冷蔵庫を開けて中身を確認し、床にある保存庫を見て野菜を確認して…。 鼻歌を歌いつつ、野菜を取りだしていると、 「美鈴ちゃん?帰って来てるの?」 リビングのドアが開き、紫お姉ちゃんが入って来た。 ぴょこんと顔だけを出して、いることを伝えると紫お姉ちゃんはほっこりと微笑んでこちらへ歩いてきた。 「今日のご飯の準備?手伝おうか?」 「大丈夫っ!今日は仕事でストレス溜まりまくったので料理で発散するんですっ!」 「そうなの?じゃあ、その…」 紫お姉ちゃん? どうしたの?って聞く前に分かっちゃった。紫お姉ちゃんの手に大学の教材があったから。 紫お姉ちゃんは今私と同じ大学に通っている。 「美鈴ーっ!!濃いコーヒーっ!!」 ドアをぶち破りそうな勢いでリビングに駆けこんできた人が入れと言ったから、遠慮していた紫お姉ちゃんは入ってきたのだろう。 「ママ。ドアが壊れるよ」 「壊れたら直したらいいのよ。美
Last Updated: 2026-10-29
Chapter: 第三十二話⑪ ※※※泣きじゃくる紫さんを抱き上げて、私が奪い取って来た車に乗りこむ。 電気も動いてるし、家の中で話しても良かったんだけど。紫さんがこっちに寝返ったって事がバレると厄介だから。…正しくは紫さんが寝返った事がバレて、紫さんに攻撃が行ったらヤバいんだよね。 私達はこういう事態に正直慣れっこだし、人質に取られるような弱い人間はいないからいいとして。まぁ、私の場合男が来られるとあれだけど。 紫さんを後部座席の中央に乗せて、私は運転席に…。 「おい、美鈴。お前は後ろだ」 「ふみ?何で?」 「お前の運転は怖い。良いから葵と一緒に後ろに乗れ」 運転しようと思ったのに、樹先輩に後部座席に押し込まれた。ふみー…。 「もしかして、この車鈴ちゃんが運転して来たの?」 「うん。そだよー」 「鈴ちゃん、無免許、だよね?」 「うん。そだよー」 「そだよー、じゃないって。どうしてそんな無茶したの?」 あ、これ、葵お兄ちゃんの説教パターンだ。なんとかして話を逸らさねばっ。 「あ、あのねっ。葵お兄ちゃんっ。今はとにかく紫さんの話を聞かないとっ」 「話を逸らしても駄目だよ」 「え、えーっと…」 「鈴ちゃん」 「う、うぅっ…だって、だって、葵お兄ちゃんが…」 「僕の事が心配だったの?でも鈴ちゃん知ってるよね?僕が強い事。信じられなかったの?」 「ち、違うもんっ!だって、葵お兄ちゃんが紫さんに盗られるなんて許せなかったんだもんっ!」 ハッ!? しまったっ!私今すっごく恥ずかしい事言わなかったっ!? 「鈴ちゃん…それって…」 「ふみみみみっ!!」 間に座ってる紫さんを盾にして私は隠れた。 「……美鈴。葵。じゃれあってないで目的地言え」 ほっ…。樹先輩の言葉に助けられた。これ以上この場所で言葉の意味を問われたら私恥ずかしくて死んじゃう。さっきあれだけの事言って置いてとは言わないように。あれはあれでちゃんと本心ですのであしからず。 「目的地は、白鳥の実家」 「実家?でも実家って結構遠いよ?」 そう、遠い。しかも昔良子お祖母ちゃんが家に来てから一切立ち寄りもしていない場所。本来はもう誰もいない場所のはず。 「白鳥の実家は、順一朗が取り戻したいものの象徴でしょう?一番権威を奮っていた時だもの。そして、それは伯父伯母も同じはず」 「ふん。成程な。だが、いいの
Last Updated: 2026-10-28
Chapter: 第三十二話⑩ ※※※(葵視点)ここは…? 紫さんが乗りこんだ車を追い掛けて辿り着いたのは、お世辞にも綺麗とは言えないアパートだった。 どうしてこんな場所に? 車に走って追い付くのは流石に無理そうだったから、そこらにあったバイクを借りて追いかけたんだけど正解だった。 こんなアパートに逃げられたら絶対見失っていただろうから。 駆け込むように中へ消えた紫さんの後を僕も慌てて追いかける。 途中、紫さんを守っていた黒服スーツの男がいたけれど、遠慮なくぶん殴って気を失わせといた。 紫さんが入った家のドアを開くと、そこは家財道具など何もない、ただフローリングの部屋の中央に置かれたちゃぶ台とノートパソコンが一台。 これは、一体…? 「…何もない部屋でしょう?」 横から声がして、目を見開く。 風呂場から出て来たのか? 念の為に隠れていた? 何にしても驚いた。 「驚いたわ。まさかこんな所まで追ってくるなんて…」 「紫さん。話をさせて貰えませんか?」 「話?なんの?こんな馬鹿げた事はやめろとか。そう言う正論なら聞かないわ」 「そんな話は僕もしたくないですよ」 溜息混じりにそう言うと、紫さんが目を丸くした。 僕の反応が予想外だったのかな? でもね、紫さん。実際、僕はこの爆弾騒ぎを止めるつもりはないんだ。 「どう言う事?葵君はそんな事言う子じゃ…」 驚いて、僕の言葉を飲みこめなくて。紫さんはふるふると頭を振った。 「紫さん。僕は話がしたいと言ったんです。説得しに来た訳じゃないんですよ」 「…葵、君?」 紫さんの事でずっと思ってた事がある。 それは、僕の知っている紫さんと今の紫さんにぶれがあると言う事だ。 あの別邸に乗りこんだ時にそれを増々意識した。紫さんの態度が何度か違うと感じる瞬間があった。 その違和感を今も感じる。 話をしようと言うと、説得だと思って突っぱねてきた。なのにそうじゃないと、話がしたいと言うとこうして僕の心配をする。敵対している人間が過去の姿と違って心配する。そんな事は普通はありえない。 紫さんは何かを隠している。だけど、それを僕達にわざと気付かせようとしているんじゃないかな?って。そう、思うんだ。 「…僕はさっきも言った通り、鈴ちゃんが…僕の恩人でもある妹が大事なんです。妹が無傷であればそれで良い。だから…紫さんが鈴ちゃんに傷の一つでもつけ
Last Updated: 2026-10-27
Chapter: 第三十二話⑨ ※※※ガタンッ、バタンッ、ドサッ。玄関から凄い音がするんだけど…。一体何ごと? 恐る恐るリビングから顔を覗かせると、そこには逢坂くんが伸びていた。 慌てて華菜ちゃんを呼ぶと、華菜ちゃんが駆け寄った。 「恭くんっ、大丈夫っ!?」 ぜー…ぜー…。 あぁ、うん。全力疾走してきたのね。 お水お水…。 ペットボトルの水を冷蔵庫から取り出して…電気止まってるから温いのは勘弁して貰おう。 華菜ちゃんに水を渡し、華菜ちゃんは急いでペットボトルの蓋を開けて逢坂くんの口に突っ込んだ。 うん。華菜ちゃん。それ普通窒息するからね? けど逢坂くんも流石だよね。問題なく突っ込まれたペットボトルを器用に傾けて飲む水の量を調整している。変な技術のみ向上してるなぁ…。 「あー…少し落ち着いた。白鳥、お前の母親相変わらずだわ。シェルターのドアはしっかりと閉まってた筈なのにぶち破って、避難している人達をしっかりと誘導して安全な場所に移動させて、最後に俺の手を引いてここまで来るんだから」 「あ、うん。なんかごめん」 「いや。俺も華菜の事が心配だったから気にすんな。ただもう走る力残ってねぇわ。俺自分の足で走って車並にスピード出したの初めてだ」 「うん。なんか…ごめんねっ!」 謝るしか出来ない。今の私に他の行動はきっと許されていない。 「恭くんっ、無事で良かったっ」 抱き付く華菜ちゃんとそれを愛おしそうに抱きしめ返す逢坂くん。 「………華菜ちゃん可愛い。逢坂くん憎い」 「おい。白鳥。声が漏れてる」 「逢坂くんが憎いっ!」 「二度言わなくていいっ!」 うぅぅ…華菜ちゃ~ん…。 しょんぼりしながら私はリビングに戻ろうとして、ハッと思いだす。 「そうだ。逢坂くん。ママは?一緒じゃないの?」 「あぁ、白鳥の母親ならちょっと外を見回ってくるって言ってたぞ。多分もうそろそろ」 そう言って逢坂くんが玄関のドアを見た瞬間。バァンッ!!ドアが壊れるっ! 「すき焼きよっ!!」 いや、あのね、ママ。すき焼き作る暇ないから。 って言うか、私達だけですき焼き食べれないから。お兄ちゃん達まだ戦ってるから。 じとー…。 「っと、それは冗談だとして」 嘘だ。絶対に本気だった。だって狼狽えてるもん。 じとー…。 あ、視線逸らした。 「戻ってくるのにどのくらい時間かかったか
Last Updated: 2026-10-26
Chapter: 小話58 後日談その5(前世の自分へと思いを馳せる)「…報告は以上です」 「…分かった。ここにある内容が全てか?社員の総意って事で間違いないな?」 「は、はい…」 目の前の若い男は社長でも何でもない。なのに何故この場に、白鳥財閥の総帥代理の前にいるのか。 少し考えれば解ることだ。こいつが今持って来たのは報告書だ。多額の負債を出してしまった案件の。 「君は…これで良いのか?」 「…え?」 渡された報告書を机に投げて、椅子の背もたれにゆったりと背を預けた。 「会社の上司が失敗した事を、新人である菅原、君が全ての責任を負ってこれからの人生を棒に振っても良いのか?」 「そ、れは…」 じっと言葉の続きを待つ。だが、やはり新人で若い男は俯き言葉を発する事はなかった。 …当然と言えば当然だ。自分の所の上司より遥か上の上司に会ってる訳だしな。しかもその理由が謝罪と報告。だがこいつは仕事を辞めるではなくきちんと謝罪に来た。それだけ根性があるって事だ。失うには勿体ない新人だ。 俺は言葉を失ったそいつの代わりに言葉を繋ぐ。 「この事案は君の様な新人が請けもてる案件ではない。そんな事は上の人間が一目見れば解る。もし解らないとでも思われていたのなら、…随分舐めた真似をしてくれるな」 「ち、ちがっ」 「分かっている。これは君がやれる上司への復讐だったんだろう?」 「え…?」 ゆっくりとそいつは青褪めた顔を俺へ向けた。 「君の様な人間は貴重だ。失うのは惜しいからな。一つ、君に頼みがある」 「頼み?」 「そうだ。それが出来たなら君をうちで引き抜こう」 「やりますっ!!」 一も二もなく頷くそいつに頷き返す。 「私は一体何をすれば…」 「…君の所の上司を連れて来い。何を言って誤魔化しても俺の立場を利用してでも良い。ここへ連れて来い。…出来るな?」 コクリと頷き、直ぐに踵を返して勢いよく部屋を出て行った。 多分、やり遂げるだろう。自分に失敗の責任を全て押し付けた上司に恨みはあれど同情はないだろうからな。それに、部下に自分の失敗を全て押し付ける様な輩は部下を率いて上に立つ資格はない。 自分でやり返さないと、恨みだけ残り続けるしな。 …さて。菅原を配属させる場所を選んで置かないと、だな。 今、何時だ? …………………23時? ちょっと待て?ちょっと待てよ? 今日は何日だ…? ………カレンダー
Last Updated: 2026-04-29
Chapter: 小話57 後日談その4(男達の宴会with乙女)後編「次に貴方を見たのは、これまた私が学生の時よ」そう言って、男の視線は俺から、透馬達に流された。透馬、奏輔、大地の視線が冷えて行く。きっと俺も同じ目になっているだろう。※※※(乙女の独白そ・の・2はぁと)何事も、調査と言うのは必要不可欠な物。あの人の事を知りたければ、自分の足で動かなきゃっ☆そう。その為に私は今ここに、エイト学園にいるのだからっ!もうっ、聞いてよっ。ほんっとうに大変だったのよっ。ここの制服手に入れるのっ。何でも愛しの鴇様が入学してからエイト学園の制服を手に入れて不法侵入する輩が増えてんですってっ!だから、正規の生徒手帳がないと店では売ってくれないのらしいのっ!おかげでオークションで愛しの鴇様の制服を落札する為に30万も使っちゃったわっ!!こつこつと貯めてた手術代がパーよ、パーっ!ほんっとうに大変だったわぁ。不法侵入とかそう言う輩がいるから、最近の日本は犯罪者が増えて来てるのよっ!節度って大事よねっ!さ、てと。今は怒りを横に置いといて。愛しの鴇様には顔がわれてるから、バッチリ化粧と髪も染め上げて来たわ。これで絶対バレないは・ずっ☆まずは愛しの鴇様が登校してくるのを発見しないとっ☆待ってて、愛しの鴇様~☆校門の前で愛しの鴇様が来るのを待機。勿論、物陰から観察よっ。真正面からなんて恥ずかしくて出来ないわっ、きゃっ☆「なぁ、鴇。今日、姫に会いに行っていいか?」「あ、オレも行くー」「なら、俺も便乗させて貰うわ」「…お前らなぁ。そう言いながら毎日家にくるな、鬱陶しい」きゃあああああああっ!!!!なになになんなのっ!?あの神々しい集団はっ!!愛しの鴇様の周りにも神の御使いが三人もっ!!やだっ!!素敵ぃーっ!!校門側の大木の影に隠れていた私の所まで光を放つなんてっ!?目に焼き付けるのよっ!!この美しさを忘れないうちにっ!!ふー…ふー…。素敵…素敵よぉ…。愛しの鴇様が呆れながらも小さな笑みを浮かべてるわぁ。あぁ、愛しの鴇様の隣にいる紫髪の彼。彼もまたいいわぁ。着崩してる制服から見えるシルバーが溜まらないわ。その後ろを付いてくる、体育会系の彼。彼もいいっ。茶色の短髪も男臭くて堪らないけれど、それよりも体っ!体よっ!肉体美っ!美しい筋肉っ!あぁ、堪らないっ!更にその体育会系の彼の横にいる、繊細な美人もいいわっ!男の子な
Last Updated: 2026-04-28
Chapter: 小話57 後日談その4(男達の宴会with乙女)前編「それじゃ、皆揃ったな。乾杯!」『かんぱ~いっ!!』それぞれがグラスを片手に声を上げた。金山達が使っているバーを今日は貸切、今は二つのテーブルで二つのグループで盛り上がっていた。「やっと日本に帰って来れたよ。葵兄も棗兄も久しぶり!」「優兎。随分頑張っているみたいだね。どこぞのアホと違って」「おい、葵。そのどこぞのアホってのは俺の事か?」「龍也以外誰がいるって言うのさ。大体、何しれっと鈴ちゃんに会いに来てるんだよ、図々しい」「あの時は仕事にちょっと余裕が出来たからだなぁ!」「樹先輩!白鳥さん見ませんでしたかっ!?」「あ?今日は女の参加はなしだろ?だったよな?棗」「そうだね」「は、話が違うじゃないですかっ!棗先輩っ」「お前がいつまでも鈴を狙ってるから、その措置に決まってるだろっ!!」「……相変わらず、姦しいけど、帰って来た気がするなー…」優兎が遠い目をして、双子と御曹司たちに挟まれて呟いている。安心しろ、優兎。こっちはこっちで悲惨だぞ。「だから、こっちより海里にはこっちの指輪のが似合うだろ」「じゃあ、こっちにしようかな…透馬兄、これだよね?」「なんで今そっちを選んだっ!」「………奏輔様。新しいお酒です」「いつの間に空良は俺の舎弟化したんやろなぁ…。でも、ほんっと、あの姉貴たちを見た後だと心洗われるわー…」「っしゃあっ!!じゃあ、五番勝負っすよっ!師匠っ!!」「陸実ー、オレに勝とうなんて十年早いー」「腕相撲から勝負だーっ!!」ほらな、地獄だろ?ぐったりしている優兎の視線が俺とかち合った。抜け出そうと言っている。俺も素直に頷いて、そこからするりと抜けて優兎と二人、カウンター席に座った。目の前にグラスでウィスキーのロックが並ぶ。「あー…落ち着いたー…」「あいつら、何であの歳でなおあそこまで騒げるんだか…」優兎と二人まったりと会話をする。一時期、優兎は美鈴の件で怒鳴ってしまった俺に引け目を感じていたらしいが、俺は全く気にしていないからか優兎も割り切って普通に戻っていた。「真っ直ぐここに来たんだろう?美鈴には明日会うのか?」「美鈴ちゃん、今、里帰りしてるんでしょ?じゃあ、明日僕も帰るから今日中に会える、かな?」「この飲み会が今日中に終わるか?日付越えるだろ、どう考えても。会うのは明日の朝だな」「それは、確か
Last Updated: 2026-04-27
Chapter: 小話56 後日談その3(『輝け青春エイト学園高等部』と『無限』⑤)片手にどうにか双子の娘達を抱え込み、ペンでまず俺の名前を書いた。「今佳織母さんに説明したのは俺の意思が生まれた一番最古の前世だ」「ふむふむ」「で、俺はここからまた、この世界に転生した」矢印を下に引いて俺の次の前世の記憶と書く。「そして、ここからリョウイチさんの干渉が始まる。そこまでは干渉ではなく見守りの状態だった。そして、なんでここでリョウイチさんの干渉が入ったのか。それは恐らく佳織母さん達の前世が繋がったからだ」もっと言うなら、佳織母さんにリョウイチさんが惚れたから、って事だろう。「けど今はリョウイチさんの視点ではなく俺の視点で話す。その次に真っ先に修正されたのは佳織母さんの立ち位置だ。それまで横暴だった佳織母さんはその修正により、佳織母さんの魂修正が入った。要はさっき佳織母さんが言った子供を大事にする要素だな。勿論他にもこまごまとあるだろうが、リョウイチさんが一番直しやすかった所から入ったんだろう」俺の名前の下に佳織母さん修正済みと書いた。「で、ここでリョウイチさんのミスが一つある」「…都貴静流、かしら?」「その通り。アイツが違う体に転生して、美鈴を狙い始めたんだ。その時はもう佳織母さんの修正が済んだ後。もっと言うなら、暫く他の世界を経由して来た後なんだよ」都貴静流の名前を佳織母さんの横に書く。「予想外の動きにリョウイチさんは次から次へと修正を繰り返した。数えきれないくらい修正したんだろうな。修正は沢山あった。暫く双子が生まれない時もあったし、優兎が転校してこず親に愛される、それこそ、所謂攻略対象者達と美鈴がくっ付いた時もあった。面白いのがそのどの世界軸でも俺は死んでいたって事だな」「そうだったの?」「あぁ。何度も死んださ。美鈴を想いながらな。何度も何度も修正を見て来たし、その数の多さの証拠があの都貴静流の転生体の多さだ」何度も何度も転生を繰り返し、発生した出来事を最初は何かしらでまとめていたが、最終的に佳織母さんに知らせる意味も込めて乙女ゲームと言う形をとったのだろう。「俺達は前世の記憶と言う形で混じり合ったが、本来人間の生は、命が終わった時点でリセットされねばならない。けれど、前世で繋がってしまったために新たな芽として生まれていた命が一つの大木として育ってしまった」「生の本流が出来上がってしまったのね」「そうだ。そして
Last Updated: 2026-04-26
Chapter: 小話56 後日談その3(『輝け青春エイト学園高等部』と『無限』④)「ごほッ…」俺に届く筈の手は届かなく、美鈴はその場に崩れ落ちる。都貴静流の手には、赤く滴る血が流れるサバイバルナイフがあった…。「きゅ、救急車っ!!」優兎が兎の可愛い鞄から電話を取り出し、119番にかけている。「あ、あはは…白鳥さんッ、なんて、なんて美しいんだっ…」都貴静流がサバイバルナイフを空にかざして恍惚に呟く。「もう一度…もう一度その血を魅せてくれ…あぁ、堪らない…」「気持ち悪いんだよっ!!てめぇはっ!!」力の限りそいつの顔面を殴り付け、地面にそいつが座りこんだ隙に美鈴を抱き起す。口元から血を流す美鈴の顔はどんどん血の気を失って行く。「…ぉ…き…」「喋るなっ!今、病院に連れてってやるからっ!」「…さ、む、ぃ…」慌てて着ていたジャケットを脱いで美鈴の背中の刺し傷を塞ぐようにきつく巻きつける。「……ぉ…ぃ…どぉ、…こ…?」「美鈴っ!大丈夫だっ!俺はここにいるっ!」遠くから救急車のサイレンが聞こえて来た。俺は美鈴を乗せるべく抱き上げ立ち上がり、少しでも早く救急車に乗せれるようにと走った。目の前に救急車が止まり、隊員の人が出した担架に美鈴を乗せて、美鈴が救急車の中に運び込まれ、救急車はそのまま走り去っていく。救急車を見送っていた、その時。ドスッ―――。再び鈍い音が聞こえた。今度は俺の脇腹から。「邪魔…邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔なんだよぉぉぉぉぉぉっ!!」「それ、は、こっちのセリフだっ!!」痛みはあった。けど、今はそれすらも凌駕する怒りが俺を支配していた。殴り返して、争って、最終的に都貴静流の持っていたナイフが都貴静流の胸に突き刺さり、そいつは倒れた。見届けて、俺は血が流れる体を引きずって車に乗り込み、家へと帰った。ソファに座りこみ、止まらない血を手で抑えながらテレビを点ける。『先程速報が入りました。○○大学で起きた殺傷事件で男に刺された女子生徒白鳥美鈴さんが先程亡くなりました』…知っていた。あの状態から美鈴が息を吹き返す訳がないと。知っていたのに、まだ、何処かで…生きていてくれているんじゃないか、と。「………美鈴…。今、俺も逝く…」瞳から溢れる涙を拭う力すら消えた俺は、そのまま闇に落ちた…。※※※こうして俺が美鈴と恋仲になりホストを辞めて幸せになると誓ったその時に、都貴静流に美鈴は殺さ、そして俺もまた殺さ
Last Updated: 2026-04-25
Chapter: 小話56 後日談その3(『輝け青春エイト学園高等部』と『無限』③)美鈴に惚れた自覚を持って、それからまた一ヶ月後。「わ、私、鴇お兄ちゃんが好きっ」そろそろ来るだろうと思ってたが、予想外に早い美鈴から告白に俺は心の中でガッツポーズをした。俺らしくない?知るか。嬉しい時は喜ぶものだろう。「俺もだ、美鈴。愛してる」美鈴をきつく抱きしめると、美鈴はまた嬉しそうに笑った。この時の俺達は幸せの絶頂でいつまでもこの幸せは続くのだと、そう思っていた。ある日、俺は親父の勤めている会社へと美鈴とこれからも一緒に、あわよくば結婚する事を伝えに向かっていた。「…兄さん」「何故ここに?」声がして前を向くと、そこには双子の弟の葵と棗がいた。二人共俺と同じ血が流れているはずなのに、どちらも立派に大学へ通い、同時にアルバイトもこなしているようだった。「葵に棗?それはこっちのセリフだ。お前達は何故ここにいる?」「…白鳥の姓を抜けようと思いまして」「しがみつく価値のない家なので」「成程な」「兄さんは?」「似たようなもんだ」「そうですか。なら一緒に行きますか」葵の方から誘ってくるなんて珍しい事もあるものだ。俺はそうそうに白鳥家を出て行った。双子のこいつらがいることを知っていたのに。だから嫌われている筈なんだがな。何故こんな対応なのか解らずに。それでも断るのも気が引けて俺は双子の弟達と一緒に歩きだした。いや、歩き出そうとした。急に俺の携帯が着信を告げた。かけて来た相手を確認すると、そこには『美鈴』と表示されており、俺は慌てて電話に出た。「美鈴?どうした?」『鴇っ。どうしよっ。怖いっ』何時もの勝気な声ではなく、どこかに隠れでもしているのかか細く震えた声だった。即緊急事態だと理解する。「今、どこにいるっ?」『大学、の、空き教室の、ロッカー、の中…ッ』「解ったっ。いいかっ、電話、切るなよっ」『うん、…うんっ』俺が急ぎ来た道を引き返そうとした時、葵と棗が何故か引き止めた。「急いでるんだっ」「解っています。美鈴とは兄さんが保護した僕達の妹ですよね、義理の」「そうだっ」「オレ達も、妹に目を向ける余裕がなかったからね。少しばかり、手を貸させてよ」そう言って、双子は何処かに電話をかけている。「僕達の知り合いが義妹と同じ大学に通ってる。探して守って貰うよ」「…大丈夫なのか?」「それなりに強いよ。大丈夫」
Last Updated: 2026-04-24