乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも、私男性恐怖症なんですけど…。

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last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-12-22
โดย:  三木猫อัปเดตเมื่อครู่นี้
ภาษา: Japanese
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現代日本風乙女ゲーム『輝け青春☆エイト学園高等部』通称『エイト学園』の世界に転生してしまった佐藤美鈴。 これから沢山のイケメンとの出会いがあると美鈴は震えあがっていた。 それは嬉しいから、ではなく。 美鈴がとある理由から『男性恐怖症』を持っていたからだった。 美鈴は転生を理解した瞬間から、イケメン達との出会いを避けるべく奮闘する。だが、その結果は散々で…。 とは言え、美鈴だってただただ指を咥えている訳ではない。 まずは自分に出来る事からやっていこうっ! と自分の運命を変えるべく一歩を足を踏み出す。 これは様々な出会いと経験を経て、大きな愛を『思い出す』美鈴の成長ストーリーである。

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บทที่ 1

第一章 幼児編 第一話 前世との再会

「どうしてこうなった…」

机の上に置いた鏡と向かい合い、自分のやたら整った顔から零れた溜息混じりの呟きは宙に消えた。

この世に生を受けて5年目。でもって明日六歳の誕生日を迎える今、私は覚醒した。

いや、こんな言い方するとおかしいよね。

正しくは『思い出した』だ。

でもね、あのね。一つ言わせて欲しい。

私だってこんな状況思いもよらなかったよ。

だってさ?誰が思う?

生まれ変わったら、前世でプレイしていた乙女ゲームのヒロインになっているなんて。

はぁ…とまた溜息をついて、私はぼんやりと前世の事を思い出す。

前世の私は所謂隠れオタって奴だった。

外では普通に三十路に近い何処にでもいるであろうOLに擬態し、家ではネットサーフィンをおやつに乙女ゲームを主食として生きてきた本もゲームも美味しく頂ける活字中毒者。

二次創作や薄い本も嫌いじゃない。ううん、この言い方は卑怯だね。大好物です。常に美味しく摂取してきました。腐女子って言葉を正しい意味で私に与えられた称号として意識していた。

しかし、前世の私はすこぶる健康体だったし、まぁ脳内はある意味異常者かもしれないけどそれはそれなりに擬態してきた為、世間的にも悪い印象は与えていないはず。

そんな私は何故死んだのか。

これが、怖い話で家に押し入られたストーカーに刺されのだ。

刺された瞬間のあの男の顔は生まれ変わった今でも瞼の裏に焼き付いて忘れられない。さっきまで忘れてたじゃんって突っ込みはなしの方向で。

そして、何よりも気がかりがある。部屋に残った腐の産物、黒歴史を誰かが片したのかと思うと私は新しい今の人生を投げ出したくなるくらい恥ずかしい。羞恥で死ねる。

もう、どっちを後悔していいのやら…。

……。

いやいや。落ち着け私。

話が盛大にそれている。

前世の私の話は今は置いておくとして、問題なのは前世でプレイしたそこそこ気に入っていた乙女ゲームの世界に生まれ代わっていたって事だ。

こういうのってさ?普通はさ?

悪役令嬢、とか、学校一人気のクラスメート、とかさ?

そういうヒロインのライバル的な悪い立ち位置とか一切関係ない脇役とか、所謂ヒロイン以外の立場に生まれ変わってさ?運命なんて変えてやるっ!!とか言って盛り上がっていくのが常套句って奴じゃないの?

え?なんでヒロインなの?

ヒロインなんかに生まれ変わったら面倒臭い事この上ないじゃん。

だって男がわらわら寄ってくるんだよ?

いい?皆落ち着いて考えて?

乙女ゲームにいるような男子が普通にいたら、正直どん引きじゃない?

壁ドン、無理矢理チュー、お姫様抱っこを突然に、だよ?どっかの歌のタイトルみたいだけど、ホントこうだよ?

いやいや、あり得ないでしょ。

確かにそう言うのが好きな人はいると思う。

でも私は、前世の記憶が戻った私は、大の『男性恐怖症』である。と言うかならざる負えないよね。

前世の私は自慢じゃないけど結構モテた。世間では美人と言われる部類だったと思う。まぁ腐ってる内側を知らないからなんだろうけども。

小学生の頃は誘拐未遂が数回、誘拐されたのが数回、中学生の時はラブレターや呼び出しで休憩時間は全て消え失せ、高校生の時は帰り道に暗がりに連れ込まれた事数十回。大学に入って少しは何か変わるかと思ったら連れ込まれ回数が増加、電車通学になり毎日痴漢の嵐。流石に社会人になってもそれは嫌だったから電車通いしなくてもいい様に必死に自動車免許を取り車で通勤するようになって危険が減ったと思ったらストーカーの被害にあい、終いには殺されるという…。

これで男性を怖がるなって方が無理じゃない?

それに私の前世は父がいない母子家庭だったから尚更、男性のイメージは悪くなる一方だった。そんな私を女で一つで育ててくれたお母さんも私が大学に入った時に亡くなっちゃったから、私は一人で生きてきたんだけど。

こんな目に日常的に遭遇し、名誉挽回の機会もなければ男なんて必要ないと思っても仕方ないと思うの。

でも勘違いしないで欲しい。

男性にも良い人がいるってことは知ってるんだよ?

その証拠に遠くで見ている分には何の問題もないもの。

そう、鑑賞している分にはなーんにも問題ないっ!

二次元の世界の男はいいんだよっ!

私を見てる訳じゃないからっ!

三次元でも観賞用なら全然OKっ!

私を見てる訳じゃないからねっ!

でも、でもさっ!?

ここは乙女ゲームの中で私はヒロインな訳でっ!!

って事はさっ!?って言う事はさっ!?

男が問答無用でやってくる訳じゃんっ!?ああぁぁ…。

触られるだけでも、鳥肌ものなのに、あ、あ、あり得ないっ!!

想像するだけでも鳥肌が、あわわわわっ!!

私の人生既に詰んだかもしれない。

「どうしてこうなった…」

本日2度目。溜息を深くしてもう一度呟いた。

正直男なんて私の人生にはもういらない。

なのに私は乙女ゲームのヒロインになってしまった。

私の苦手な男がもれなく付いて回ってくる。例えイケメンであろうと男は男。

近寄ることなど考えられない。

となると、今現在考えられる手段は…

『攻略対象キャラと出会わなくする事っ!!』

これしかないっ!!

その目標の為にも今現在のゲーム情報を確認しなくてはっ!!

思い立ったが吉日。

私は、椅子からひょいっと飛び降りると、まだまだ低い身長ではやっと届く位置にあるドアノブを回して部屋を出た。

「えっと…ママは…居間かな?」

キョロキョロと辺りを見渡し、姿がない事を確認すると、そのまま部屋を出て右、廊下の奥へと向かう。因みに、私の部屋の右隣がママの部屋。迎えにお風呂、左へ行った奥が玄関だ。

隣のママの部屋からは仕事をしている音はしなかったから、多分、居間にいるはず。

てててっと早足で、廊下を進み背伸びしてドアノブを回し居間へ入ると、そこにはラグの上に直に座り、机の上にあるノートパソコンと睨めっこしているママの姿があった。

「ママー」

「あら?美鈴(みすず)どうしたの?」

呼びかけると、私に直ぐに気付いたママがにっこりと微笑んだ。

…ママ、目の下の隈さんが活性化してるよ?何徹目なんだろう…。綺麗な金髪もくすんでるし、碧い宝石のような瞳も曇っている。スタイル抜群で美しいママの背中は猫背。うぅ~ん…。

っと、いけないいけない。つい遠い目をしてしまった。ママの隈さんについては後でホットタオルでも作ってあげるとして今は当初の目的を果たさなくては。

「おえかきしてあそびたいから、みすずにノートちょうだい?」

「ノートが欲しいの?」

前世の記憶を取り戻したから、普通に喋れるものの、5歳児が急にシャキシャキ話し始めたら恐怖体験以外の何物でもないから敢えて舌っ足らずで話しかける。

すると、ママは優しく微笑み立ち上がるって居間にあるママ専用の棚からノートを一つ取り出してくれた。

「はい。これでいい?」

渡されたノートを満面の笑みで受け取り、その表紙を見て、私とママの時間は止まった。

『ヤンキー×優等生 ネタ帳』

黒のマジックペンでくっきりはっきりと書かれていた。ど、どうしよう…ママの黒歴史。

そっとばれないように、上目遣いでママの顔を窺うと、あ、…駄目だ。青ざめながら顔を赤くしてる。

ママって確か少女小説作家だったよね?

…もしかして、違う方面でも書いてるのかな?それとも二次?うぅん…悩み所だけど、今はそんな事より…。

「ママー?これなんてかいてるのー?」

ママの矜持を立て直すっ!

大丈夫だよ、ママっ!!私は理解がある娘だよっ!!

もう少し成長したら一緒に萌えトークしようねっ!!その為にも今は解らなかった事にするよ、ママっ!!

「こ、これはね。美鈴ちゃんがもう少し大人になったら分かる様になるから今は忘れていいのよー」

ママ、頑張ってっ!!遠い目から帰って来てっ!!

優しい笑顔カムバックっ!!

「こ、このノートはダメね。ちょ、ちょっと待ってねっ」

「うんっ」

バタバタと慌ててノートを本棚に突っ込み、妬けになったのか新品の五冊パックされたノートを取り出し、パックをバリバリ剥ぎ取ると、一冊私に向かって差し出した。

「こ、これなら大丈夫。これを使いなさい」

「うんっ。ありがとー、ママ」

両手でノートを受け取り、一緒に鉛筆も受け取った。まだ手が小さいからシャーペンだと使い辛いので有難い。

やっぱりママは優しい。ちょっとママの黒歴史覗いちゃったけど、私には何の問題もない。むしろこんなママが大好き。

それを全力で伝えようと思うっ!!

「ママ、ママっ」

「なぁに?」

「わたしね、ママのこと、だいすきっ」

えへへっ。

照れながらも伝えると、ママは泣きながら全力で私を抱きしめた。

骨がきしむ音がするけどそこはぐっと我慢するよ。理解ある娘だからねっ!!

でも流石に骨が砕ける前に「仕事の邪魔にならないように部屋に戻るね」とたどたどしく伝えて戦利品を持って部屋に帰還した。

さて、と。

椅子に座り机の上に置いておいた鏡を手繰り寄せるとノートを広げる。

誰かに見られるようなへまをするつもりは無いけれど、万一見られたら面倒だから態と3ページ目から書き始める。

何を書くかと言うと、乙女ゲーム転生ネタの定番のアレだ。

乙女ゲームのネタ帳だ。

記憶を元に、ここがどんな世界だったのか、攻略対象が何人いたのか。等々必要な記憶をここに書き残すのだ。

いざという時に焦らないように。

えーっと、まずは、このゲームの内容だ。

ここは前世で私がプレイしたゲーム『輝け青春☆エイト学園高等部』(世間では結構評価の低くやる人が限られているマイナーゲームだった)の世界だ。舞台は日本。ただし、前世の私が暮らしていた日本とは少し違う。地毛で私みたいな金髪で水色瞳の日本人がいてたまるか。いやいるかもしれないけど、こんなに光り輝かない。ってか周りを見れば、水色やら赤やら蛍光ピンクやらあり得ない髪色が歩いている。あり得ないよ。だからパラレルワールドと言った方がいいかもしれない。私の前世に生きた日本のようで日本ではないのだ。

その異なる日本にあるエイト学園と言う高校に主人公が入学する時から始まり、プレイヤーである主人公が三年間、己を磨き攻略対象キャラクターとデートやイベントを繰り返し、恋に落ちて卒業式に告白されエンディングを迎えると言う、普通の学園ものの乙女ゲームだ。

だが、このゲーム他の乙女ゲームと違う所がある。それはーーー。

【攻略対象キャラが半端なく多い】と言う事。

男性恐怖症の私にこのゲームの世界に、しかもヒロインに転生させるとか、神様どんだけ鬼畜なんだ。

普通の乙女ゲームなら数人のすり寄り回避で済んだはずなのに…。

このゲームの攻略対象キャラクターの人数は多すぎて正直ほとんど覚えてない。

そこまでやりこんでいなかったかな?とも思ったけれど、そんなはずはないと直ぐに否定した。

だって【ゲームをやるからにはフルコンプ】が私のモットーで例え好みじゃないキャラだとしても必ず一度は攻略していたはずなのだ。

要は必ずやり込んでいて、例え面白くないゲームでも記憶に残っているのに、何故か思い出せない。記憶力は良い方なんだけどなぁ。

となると、何か前世の記憶を思い出させるのに邪魔なフィルターがかかっているのかもしれない。

…念の為に攻略対象キャラクターを思い出せる限り書きだしてみよう。

思い出せる記憶の順に、私はペンを走らせた。

樹龍也(いつきたつや) 三年生。生徒会長。メインヒーロー。必要パラメータ、文系、理系、運動、雑学、芸術、優しさ、色気を全てMAX状態で攻略可能。メインヒーローにつき、出会いは強制的。入学式の当日に主人公が廊下の曲がり角でぶつかると言うテンプレ的な出会いを迎える。美貌、権力、知力、体力全てを兼ね備えたオールマイティ型キャラ。実際にそんな人物がいたら怖いよねって笑い話が今現実のモノに。兎に角ここは全力回避したい人物。

白鳥葵(しらとりあおい) 三年生。生徒会副会長。必要パラメータ、文系、運動、優しさをMAX状態で攻略可能。白鳥棗(しらとりなつめ)とは双子の兄弟で葵の方が兄。そして、主人公の義理の兄である。ここ重要。赤丸チェック。

白鳥棗(しらとりなつめ) 三年生。生徒会書記。必要パラメータ、理系、運動、雑学をMAX状態で攻略可能。双子の弟。やはり主人公の義理の兄である。はい、ここも重要。赤丸チェック。

白鳥鴇(しらとりとき) 担任教師。必要パラメータ、文系、理系、雑学をMAX状態で攻略可能。双子の兄であり白鳥家長男。そしてやっぱり主人公の義理の兄である。ここもかなり重要、テストに出ます。

猪塚要(いのづかかなめ) 二年生。生徒会役員だったはずだけど、会計だったか文化部長だったか全く思い出せない。ただ、…綺麗な顔で雑な言葉遣いだったのはやたら覚えている。ギャップキャラの最たるキャラじゃなかったかな?

花島優兎(はなじまゆうと) 一年生。必要パラメータ、雑学、優しさ、色気をMAX状態で攻略可能。…だったはず。色気の所が定かじゃない。もしかしたら色気の所だけMAXじゃなくて半分だったのかも…?あ、でも確か主人公の幼馴染だった気もする。

……ピタッ。

私の手が止まった。

「ふふふ…全っ然思い出せないわ~…」

前世の記憶が甦ってもさ、ほら。前世の時ですら思い出せなかった事を今思い出せるわけがないじゃない?…はい、言い訳です。ごめんなさい。

このゲーム確かに全員攻略したはずなんだけどなー…。

攻略対象が多すぎて今書いた六人は多分半数にもいってない…。

やっぱり私の人生詰んだんじゃ…?

メインヒーローは覚えてて当然だよね。ゲーム開始で強制イベントで必ず会されるからどのキャラ攻略するにしても見せられるシーンだし印象に強い。

白鳥家の三人は主人公と絶対関わるから記憶から消される事はない。同じ理由で優兎もだ。

猪塚は…多分私が一番好きだったキャラじゃないかなーと思う。だから思い出せた、んだと思う、が、攻略するためのパラメータが思い出せない。

やたら面倒だった気がするんだけど、それも微妙だ。残念過ぎる私の記憶力。何でだ…。

攻略キャラあと何人いたかなー…。

全然思い出せないけど、最低でも12人はいる筈だ。

何故断言できるかと言うと、攻略対象キャラの名前には、干支が含まれているからだ。

ゲーム製作者が分かりやすくするためにそう設定したんだろう。

色んな男が選べるのがこのゲームの売りだし、それは別にいいんだけど…12人でも多すぎない?

果たして本当に回避出来るのかな、これ…。

一抹の不安がよぎった気もするが、気の所為だと思い込む。

き、気を取り直して、思い出せるところは全てノートに書きだした。

これから記憶を取り戻す度にこのノートを更新していくとして。

次は自分の情報だ。一応これは書き留めずに脳内整理として、考えてみる。

まず、私の名前は美鈴。佐藤美鈴(さとうみすず)だ。これが今の人生の名前。前世は西園寺華(さいおんじはな)で、正直前世の方がよっぽど乙女ゲームヒロインっぽい名前である。

まぁ、それはいいや。

顔も髪色も瞳の色も全部母親似で瓜二つと言われている。ただ金髪ストレートのママと違って私の髪はふわふわのウェーブがかかってる。ここはどうやらパパに似たみたい。

パパは私が赤ちゃんの時に亡くなっていて、ママは女手一つで私を育ててくれている。

ママは少女小説作家で売れっ子。お蔭で生きて行く上で困ってはいない。…さっきの黒歴史の方が実は稼げているんではないか?って思わなくもないけれど、あえてそれには触れない。…ママのあの黒歴史。パパは知ってたのかな…?

…っと、いけないいけない。触れないと誓ったばかりよ、私。

えっとなんだっけ。

あ、そうそう。自分の事の確認だよね。

ゲームでは祖父母の存在は描かれていなかったけど、ママの方の祖父母はもう既に亡くなっていて、パパの方にはママと私を溺愛する祖父母がいる。

毎年、夏休みと冬休みには里帰りしている。田舎だけどのんびりしていい所だよ、うん。

本当に良い所で、むしろあっちで暮らしたい。

変な男もいないし、イケメンとか面倒なのもいないし、あるのは畑と田んぼとお爺ちゃんお婆ちゃんだけ。若い人がいない訳じゃないけど、ママの顔見知りが主だし。男性も大抵既婚者だし。なんてパラダイス。

でも、ママの仕事上電波の欠片もない所では暮らせないんだそうだ。

うぅ…お祖母ちゃんの作ったおはぎ食べたいなぁ…。

なんてお祖母ちゃんのおはぎの味が恋しくなった辺りで、私の身の上の確認は終わった気がする。

次は、これからの事を考えよう。

このゲームに出てくる中で真っ先に私と接触してくるのは幼馴染である【優兎】だろう。

確か私の通う小学校に転校してくるはずだ。

あれ?って事は私が学区内の学校へ行かなければ、優兎と出会う事はなくなる…?

そうだよっ、私が本来行く筈の学校に進学さえしなければ、シナリオが変わるよねっ!?

小学校は共学しかないけど、中学になれば近所って言うか同じ地区の山の中に一つ女子校がある。そこにいけばイケメンに会わずに済み、アルバイトをしつつママを養いながら隠れ蓑生活が出来るじゃないっ!!

確か白鳥家の父親にママが一目惚れされるのは、主人公が中学一年の時だから、出会いがなくなるママには悪いけど上手くいけばこっちもまたシナリオ回避が出来るかもしれない。

進む道が見えてきた気がした。

何としてでもイケメンとの出会いを回避し、ママと二人田舎暮らしもしくは隠れ蓑生活を手に入れる為。

私はイケメン回避作戦に打って出る事にした。

頑張れ私っ!!

しっかりとノートを胸に抱きしめ、私は勢いよく立ち上がった。

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第一章 幼児編 第一話 前世との再会
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last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-28
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第二話① 白鳥一家との出会い
「美鈴ーっ、出掛けるわよーっ」 玄関から名前を呼ばれ私は急いでお出かけの準備をする。 今日は日曜日。前々からこの日はママと二人で遊びに行くと約束していた。 その為にママは多少無理をして仕事を終わらせてくれた。 正直中身が現世の年齢を加算して三十オーバー女としては【そこまで無理しなくてもいいのに】と自分の母親に対して姉のような気持ちになってしまうのだが。 ママは26歳。前世の私の年齢より若いのだ。まだ遊ぼうと思えば遊べる年なのに…。 とは言え今日は私の六歳の誕生日。 ママがこうやって休みを取ってくれて、遊びに連れて行ってくれる事自体は素直にとても嬉しいのだ。 体が幼いと、心も幼くなるのかな? どこかうきうきと浮かれてる自分もいるのだから、どうしようもないなと思う。 「美鈴ーっ?」 ぼんやり考えていると、今度は少し心配そうな声で名を呼ばれて、私は慌てて返事をした。 白のワンピースに大きな麦わら帽子。それと愛用のピンク色の鞄にハンカチ、ティッシュ、もしもの時の絆創膏と水の入ったミニサイズのペットボトルを入れて私は部屋を出てママが待つ玄関へと走った。 そんな私をママは満面の笑みで迎えてくれて、頭を撫でてくれる。 ふわあ…ママ、綺麗…。 何時も締め切り間際のボロボロ姿を見慣れてしまったせいか、ママのちゃんとした姿は女の私でも眼福である。 ストレートの金髪に似合う白い大きな帽子。そして私とお揃いの白のワンピース。私のは膝丈だけど、ママのはロング丈。 「ママ、きれいだね」 私は素直にママに賛辞を送ると、 「美鈴も可愛いわ」 ぎゅっと抱きしめてくれた。 んふふ。幸せ。 「わたし、ママ、だいすきっ」 「ママも美鈴の事大好きよ」 二人顔を見合わせふふっと微笑み合う。 ママに手伝ってもらい靴を履くと、差し出された手をとり私達は家を出た。 仲良く歩道を歩く道すがら、私はママに幼稚園での出来事を話す。 それをママは優しくうんうんと頷いて聞いてくれる。それはそれは優しい笑顔で。 …ママは美人だ。 乙女ゲームの主人公の母親だから当然と言えば当然かもしれないけど、でも、この視線は酷い。 擦れ違う男と言う男、全員がママを見て、振り返り、厭らしい目でママを見てくる。 前世の所為
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-02
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この日、俺達白鳥一家は珍しく休暇をとれた父親と一緒に買い出しに来ていた。 高校生にもなって家族で買い物ってどうなんだ?と思いつつも何気にきちんと大黒柱をしている親父に逆らえず、仕方なく一緒に来た訳だが。 葵も棗も久しぶりに家族での一時にご満悦である。可愛い双子の弟達も嬉しそうだし、まぁ、いいか。 結局は荷物持ちだろうがな。男四人で暮らしていると、とにかく食うから我が家のエンゲル係数はやばい数値を叩きだしている。 親父がそこそこ高給取りで良かったと心の底から思う今日この頃だ。 車が駐車場に止まり、車を降りると、丁度隣に車が入って来た。 (なんだ、あいつ?キモイ) いかにもなオタク系デブが写真を見ながらハァハァ言っている。 何の写真か解らないが正直言ってキモイ。 着ている桃色のTシャツが汗で変色し、履いているデニムはそのデブい体ではち切れそうである。キャップを目深にかぶって眼鏡とキャップが一体化してる。顔は良く解らないが、何はともあれキモイ。 まぁ、ああやってる分には実害がないし、俺には関係ないからいいけどな。 「鴇?どうした?」 声をかけられて、俺は静かに頭を振った。 「いや、何でもない。それよりほら行こうぜ。今日の晩飯なんにする?」 「そうだなー…。たまにはうまいもんが食いたいな」 「人に料理させといて何だそれ。だったら親父が作れよ」 「そうだな。たまにはそれもいいかもな」 「やだーっ!!」 「鴇兄さんが作ったのがいいっ!!」 「そ、そんな…」 弟達の全力否定に親父がよろけた。それがおかしくて俺達は笑い合いスーパーへと入っていった。 買い物している最中。 俺はふと欲しかった参考書があったことを思い出した。 ここのスーパーは本屋も入っていたはず。 親父に本屋に行ってくると一言断りを入れて本屋へ向かう。 えっと参考書、参考書っと…。 目当ての棚に向かって歩くと、白いワンピースに麦わら帽子をかぶった、やたら可愛い子が踏み台の上で背伸びしながら本を取ろうとしていた。 (おいおい…。ありゃかなり危ないぞ。悪戯にしたって下手したら怪我する) 辺りを見渡し親の姿を探すが、それらしき人はいない。 こんなに可愛い子なんだから親もそれなりに美人だろう。 だがやはり本
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-06
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あの誘拐未遂から、一週間後。 私の名前は「佐藤美鈴」から「白鳥美鈴」になっていた。 …イケメン恐ろし過ぎる。なんなの、この手際の良さ。 誘拐事件の翌日、誠パパと鴇お兄ちゃんが家に訊ねてきた。その手に婚姻届をもって。 私は自室で鴇お兄ちゃんとお喋りしていたけど、大人組はずっとリビングでイチャイチャしつつこれからの事を色々話していた。 そして、更にその翌日には新居に引っ越し。どゆこと…? 新居は物凄くでかい、所謂豪邸ってやつで。 元々白鳥家で所有していて、売ろうかどうしようか悩んでいた物件だったらしい。 とは言え、こうして住む分には何の問題もない。って言うか全然人がいなかったとは思えない綺麗に保たれてるんだけど。 これだったら私達親子が暮らしていた新築マンションの方がボロいわ。 ふと、一緒に住むならパパの家かママの家でも良かったのでは?とも思ったけど、誠パパの家は誠パパの奥さんと白鳥一家の、ママと私が暮らすこの家には私達のパパの思い出が詰まっているからそこは大事にしたいんだって。 だから、この今まで暮らしてたマンションも私達は引っ越すけど解約はしないんだって言ってた。それぞれの家は今まで自分達で暮らして管理してた訳だから特に問題はない。金銭的な出費は変わらないから問題ない。 私達親子の家はママの仕事用の倉庫。誠パパの家は成人した息子、娘が誰かしら住むだろう的な考えらしい。どっちもマンションの一室だし、私に否はない。 それにしても、話は戻るが、イケメン恐ろしい。 誘拐事件あったの日の夜。 前世でも実は肉好きな私。でも一人で焼肉屋に行く根性もなく一度も行けなかった焼肉食べ放題で完全に浮かれていた。 おかげで鴇お兄ちゃんに抱っこやら手つなぎやらでずっと触られていた私は、白鳥一家の男性陣にすっかり慣らされてしまった。 いや流石にイケメンのあーんは恥ずかし過ぎたけど…そうか、もしかしてショック療法なのかも。 そのショック療法のおかげか何か解らないけど、急に触れられると驚くし色々フラッシュバックして怖くはなるものの、ちゃんと行動が予測できればある程度は震える事がなくなった。 あんなに怖かったのに、なにこれ。イケメン効果なの?それとも、お兄ちゃん達が無害だから、かな? それともあれか?巷で有名な【ヒロイン補正】って奴? ほら、そう言う小説で
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カタカタと隣の部屋から音がした。てっきり葵の部屋からかと思ったけど、葵の部屋とは逆隣り。「美鈴の部屋から…?」眠い目を擦って起き上がると、物音を立てないようにこっそりとドアが開く音がした。今何時だろう?時計を確認すると、…五時前っ?こんな時間に起きて、何処に行く気だろう?しかも一人で。この前誘拐されかかったのに、一人でなんて行かせられる訳ないっ。僕は慌ててパジャマを脱ぎ捨て手近にあったシャツとデニムパンツに着替えると、その後を追った。美鈴は上機嫌で鼻歌を歌いながら坂道を下っている。ちゃんと足元みて歩かないと危ないのに。あぁぁっ、石に蹴躓いてるっ。心配で見てられないよっ。僕が見るに見かねて、声をかけると、美鈴は驚いて、けれど直ぐにしゅんとして小さくなった。うん。悪戯がばれた時ってこうなるよね。僕もその気持ちは良く解る。でもダメな事はダメだからしっかりとその事は伝えてから、僕は美鈴の願いを叶えてやることにした。僕達の朝ご飯を作りたいんだ、ってそう言っていた美鈴。まだ一週間しか経っていないのに、僕達家族の為に朝食を作りたいんだって。そんな優しい妹の為に、僕も何かしたいと思ったんだ。昔から僕は、皆に守られる存在だったから。父さんをはじめ、鴇兄さん、双子である葵にですら、僕は末っ子ってだけで庇われて守られていた。父さんの実家に帰ったって、いつも僕は足を引っ張って。僕だって皆を守りたいのに。皆の支えになりたいのに。僕はそんなに頼りないの?家族なのに。家族を守りたいって思う気持ちは皆と同じ…ううん、皆以上にあるのに。心の奥底に常にもやもやしている思い。でも、美鈴が出来て、佳織母さんが出来て、環境が一変した。僕にも守る対象が出来たから。僕は素直にその事実が嬉しかった。二人で商店街の朝市へ行って、様々な店を回る。行く先々で、色んな表情を見せる美鈴はとても可愛らしかった。美鈴が満足するまで買い物に付き合い、帰ろうとしたその時。「あっ、ガキがこんな時間にこんな場所でデートか?」目の前にTシャツにジーパン。銀のアクセサリーをじゃらじゃらつけた紫髪の…高校生?なんか見覚えがある?どこで見た事があるんだろう?じっとその姿を見聞していると、その高校生は僕達を揶揄いながら美鈴の肩に触れた。その瞬間、「嫌ぁっ!!」美鈴が弾かれた様に叫
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-08
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小話① 鴇のプライド
「~~~で、あるからして~、ここの文章はー…」…教師の声が五月蠅い。と言うのは間違いなのかもしれないが、五月蠅いものは五月蠅い。現国の時間に、スワヒリ語を覚えようとしている俺も悪いとは思うが、仕方ない。正直、今授業で習っている程度の事、下手すれば小学の時にはもう出来ていた。まともに受けるだけ時間の無駄なのだ。だったら、新しく出来た妹、美鈴が既に覚えているというスワヒリ語を覚えた方が有意義だ。ふと、先日の美鈴の反応を思い出す。『ぶにゃああああっ!!』ぶにゃあってなんだよ。普通驚いたら「キャッ」とか「わっ」とかじゃないのか?思い出せば思い出すほど、美鈴の反応が面白くて笑みが浮かぶ。くすくすと思いだし笑いをしていると、隣に座っている大地が怪訝そうな顔をしてこっちを見た。なんだ?視線だけで問えば、なんでもないと頭を振った。なんなんだ?言いたい事があるなら言えば良いものを…。じっと睨み付けると、大地はペンを教卓へと向けた。釣られてそちらを見ると、教師が俺を睨んでいた。「なにか?」聞くと、現国の中年太りの教師が顔を真っ赤にして怒鳴った。「なにかじゃないっ!呼んだら返事をせんかっ!」あぁ、あてられてたのか。全然気付かなかった。「それは、申し訳ない。それで?何を答えたらいいんですか?先生」「ほーう。自信満々じゃないかっ!だったら前に出てこの問題を全て解いてみよっ」カッカッと黒板にチョークで問題を書いて行くのをぼんやりと眺める。……大学入試レベル、か。まぁ、何も問題はないな。立ち上がり教師からチョークを奪い取ると、教師が書いた問題の答えを書き、これから出すであろう問題文も書いて、更にその答えを書く。「………」ついでだから、その横に英訳でも書いてやろうか?いや、いっそ練習も兼ねてスワヒリ語で書いてやろう。一通り書いて満足した俺は手を叩いてチョークを払い落す。「これで良いですか?」「………良いと思うNA☆」思うってなんだよ。あんた教師だろうが。とは言わずに俺は真っ直ぐ自分の席に戻った。ちっ、余計な時間食ったな。よそ見した俺も悪いか。とりあえず、午前中は座学ばかりで移動教室もないから一日スワヒリ語の学習に時間を費やそう。視線を手元へと戻した。午前の授業が終わり、昼飯の時間になった。美鈴がつくってくれた弁当を片手に生徒会室へと向
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第四話① 白鳥葵
やばいです。昨日男性に触れた所為で部屋に一人でいるのも怖くて、怖くて、縋る様に棗お兄ちゃんの部屋に突撃したのですが。やっぱり棗お兄ちゃんの安心感半端ないです。棗お兄ちゃんに抱き着いて寝ると全然怖くなくて、すっかり熟睡してしまいました。昔の癖で六時には目を覚ましちゃうけどね。隣で私を抱きしめて眠る棗お兄ちゃんの頬をそっと撫でる。昨日、棗お兄ちゃんは変な事を言っていた。自分は頼りないとかなんとか…。そう言えば、乙女ゲーム内の棗お兄ちゃんも家族に劣等感を感じてたっけ?まぁ、あんな完璧な家族に囲まれたら嫌でもそうなるよねー。でも、棗お兄ちゃんも分かってないよなぁ。家の中ではそうかもしれないけど、普通に考えてこんな小学生滅多にいないからね?顔良くてスタイル良くて頭も良くて。こんな才色兼備、そういないから。いてたまるか。…家の中ではいまくるけどね。「家族にはきっと役割があるんだよ。棗お兄ちゃんには棗お兄ちゃんの役割がある。それは家族の誰にも出来ない事。だから、誰かと同じになる必要はないの」「……うん」ぱちりとその目が開かれ、棗お兄ちゃんの穏やかな緑の瞳が私を見つめた。流石にびっくり。寝てると思ったのに、いつ起きたんだろう。「ありがとう、美鈴」「う、うん」聞かれてたのは凄く恥ずかしい上に、幼稚園児では考え付かない内容だからちょっと焦る。そんな私を面白そうに見詰めながら、頭を撫でてくれる。「さ、てと。棗お兄ちゃん私そろそろ起きるね。ご飯の準備しなきゃっ」「え?早くない?」「早くないよ?寝心地が良過ぎていつもより寝過ぎちゃったくらいだよ」そうなのだ。六時前には目を覚ましていたのに、今は六時半。華として生きてきた頃から私は眠りが浅いんだよね。ほら、いつ危険があるから解らないから。「そうなの?」「うん。棗お兄ちゃん効果凄い」体を起こして、棗お兄ちゃんに向かって微笑むと、棗お兄ちゃんは嬉しそうに笑った。「そっか」「うん。あ、棗お兄ちゃんはまだ寝ててもいいよ?私がいて寝辛かったでしょ?」「ううん。全然。ぐっすり眠れたよ。もし美鈴が嫌じゃなかったら今日も来て良いんだよ?」「ホントにっ!?」つい食いついてしまった。あんなにぐっすり眠れたのは久しぶりで、あの安眠は捨てがたくて。ぐっと棗お兄ちゃんに迫ると、「勿論。ただ体が冷えたら駄目だか
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第四話②  ※※※(葵視点) 
父さんの実家。僕はここが苦手だった。いや、正しくは、父さんの実家にいる父さんの兄姉が苦手だった。白鳥財閥のお金が目的で、正式な跡取りである父さんと繋がりを持とうと父さんの兄妹は操りやすそうな僕に目を付けてきた。実家に帰る度に伯母達に操られて、僕達の家の内情を報告させられていた。その事に気付いた鴇兄さんは父さんに遺産相続権を放棄させた。優しさからくる行為。でも僕にはその事がずっとずっと気がかりだった。本来手に入る筈だったものを全て放棄させたんだ。僕の所為で。父さんの兄妹からの圧力、そして、家族の足を引っ張っている事。苦しくて苦しくて、でも逃げられなくて。父さんの実家に来ると僕は呼吸をするのも困難になっていた。逃げたくて仕方ないのに、父さん達の披露宴は避ける事が出来ない。僕は割り当てられた部屋で、いつまでも訪れない眠気に抗う事を諦め、持って来ていた本を開き読んでいた。すると、ドアがノックもなく突然開けられ、そこには一人のおばさんが立っていた。僕が一番苦手とする、父さんの兄妹で長女である園江伯母さんが遠慮もなくずかずかと中へ入ってきた。その取り巻きである次女である珠美伯母さんと三女の多恵伯母さんも一緒だ。多恵伯母さんが後ろ手でドアを閉める。無意識に僕は立ち上がっていた。「また、貴方に動いて貰う事が出来たわ。葵」無駄に長いロングスカートを靡かせて、扇子で口元を隠している。時代錯誤にも程がある。けれど、それをかっこいいと思っている伯母達に何を言っても無駄だろう。じっとその姿を睨んでいると、「なにかしら、その目は。全く汚らわしい。これだから庶民との間の子は嫌なのよ」苦々しく吐き捨てた。庶民庶民と言うけれど、金持ちだから何だと言うのだ。僕はお金がなくたって、今の生活は凄く幸せだ。美鈴ちゃんが来てから更に幸せ度は増している。毎日が楽しくて仕方ない。庶民だからって幸せになれない訳じゃない。「この私が使ってやると言ってるのよ。庶民は庶民らしく貴族の言う事を聞けばいいのよっ。いいこと?貴方は誠がこの家にいる間、鴇に私の娘と婚約するように説得しなさい」「なっ!?」「私はこの財閥の跡取り。でも、私は娘しかいないから跡を継がせるのも難しい。なら、賢く美麗で、跡を継ぐに相応しい立場の人間。総帥に気に入られてる孫を婿に来させるのが良案なのよ」何を言っ
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小話② 泣きたいほどに…。
『お母さんっ、お母さんっ…やだよぉっ…一人にしないでっ…私を一人にしないでよぉっ』華…。私の可愛い華…。私だって一人にしたくない。私だって貴女の側にいたいのよ。『お母さんっ』泣かないで。私だって泣きたくなるわ。でも、私の体はもう、動かないのよ。こんなに側にいる大事な大事な愛おしい娘の涙を拭う事すら出来ないのよ。何で、私の体はこんなにも役立たずなのかしら。『出来うる限りの事はしましたが…もう…』本当に出来うる限りの事をしてくれたの?私が知らないとでも思ったの?動かない視線で私は自分を診た医者を睨み付ける。華を犯した、私の体で投薬実験して、失敗して、死期を早めた癖に。抗えないのを良い事に、華を蹂躙して、私を殺そうとしている。あぁ、なんで私は病気になどなったのだろう。治療方法が確立していない病気になどかかったのだろう。華を守ると誓ったのに。あの人の前で誓ったのに。何でこんなにも…。悔しくて涙が伝う。『お母さんっ、苦しいのっ!?』苦しいわ。華の側にいられない事が、華の大人になった姿が見れないのが。苦しくて堪らないわ。悔しくて堪らないわっ!!せめて、せめてこの男だけでも…。今にも死にそうな私を見て嘲笑う視線を向けるこの医者だけでも道連れにしてやるっ!残りの力を振り絞り、ここで全ての力を使いきってでもっ!視線を巡らせる。華の後ろに一人の男性がいた。スーツ姿の男性。誰かは知らない。けれど、その瞳を見る限り、誠実そうな人な事は間違いない。なら、彼に託そう。華の事を託すんじゃない。この医者の行く末を託すのだ。決意して。私は酸素マスクを外し、医者を睨み付け力の限りで叫んだ。『許さないわっ!!私は絶対に貴方を許さないっ!!私の体で実験し、私をだしに娘を強姦した事も絶対に許さないっ!!』『な、なにを言ってるんですかっ!?私がそんな事を』『してないとでもっ!?現に貴方はマスクを取ったら死んでしまう私より自分の保身を考えて抗議しているじゃないっ!!騙されないし、許さないっ!!例え、この命がここで失われるとしても貴方だけは絶対に許さないわっ!!』病院中に響き渡る様に叫ぶ。息が、続かない。苦しい…。涙が零れる。あぁ、死ぬってのはこんなに苦しいものだったのか。『お母さんっ!?』私の剣幕に呆気にとられていた華が苦しむ私の手を
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-12
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小話③ 美鈴のおねだり(棗編)
パラ…パラパラ…。目の前で広告を広げて、じーっとそれを眺めて横に置いてまた次の広告を広げる。そんな鈴を膝の間に置いて僕は至福の時間を味わっていた。僕の妹は可愛い。本当に可愛い。こうしてソファに座ると最近は自分から膝の間に座ってくれる様になった。最初は僕の方からここに座ってとおねだりしていたんだけど…意外と気に入ってくれたのか学校から帰ってきてこうしてソファに座ると嬉しそうに抱き着いて来てちょこんと座る。可愛いよねっ!頭を撫でたら嬉しそうに微笑み、頭の上に顎を乗せるとキャッキャッと楽しそうに笑う。可愛すぎるよねっ!そんな可愛い鈴が今日僕の腕の中で広告を見ていた。何か欲しいものでもあるのかな?食料品?でもそれは商店街で安く美味しい物を買ってきてるから必要ないよね。衣料品?洋服も何だかんだで商店街で買えるよね?商店街の奥さん達やお姉さん達が寄ってたかって鈴を着せ替え人形にして大量にプレゼントされてたからいらないよね?手芸品?針や糸とか?それだったらお祖母さんに貰ったって言ってたよね?何が欲しいんだろう?背後から鈴が手を止めた広告を覗きみる。「…やっぱり、高いなぁ…。でも、欲しいなぁ…」鈴がぼそりとこの距離でも聞こえるか聞こえないかの大きさで呟いた。やっぱり何か欲しいんだ。鈴が見ている広告は家電量販店の広告だ。四つ折りサイズで入って来た広告を広げて見ているが、背後から見てるからどの商品を見ているのか分からない。聞くしか、ないかな?「鈴?何か欲しいものでもあるの?」問いかけると、鈴は一瞬ピクリと体を動かして。「うぅん。何もないよ。棗お兄ちゃん」振り返ってニコニコと笑った。……鈴。お兄ちゃん、そんな笑って誤魔化せる程、馬鹿じゃないよ?「そうなの?でも、さっきから家電量販店の広告を見て手を止めてるよね?」「ふみっ!?」何で分かるのっ!?って言いたいのかな?体中で跳ね上がって驚いてたら誰でも分かると思うけどね。「何が欲しいの?」「う、うぅんっ、いいのっ、ほんとにいいのっ」かぁーっと顔を赤くして俯いてしまった鈴にこれ以上追及できなくて。どうしようかと思案しながら、僕は鈴のほわほわの金髪を撫でた。鈴の作った美味しい夕飯を食べて、僕は父さんの部屋へ向かった。「棗か?どうした?」部屋のドアを開けて中をこっそり覗き込むと直
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-13
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