LOGIN現代日本風乙女ゲーム『輝け青春☆エイト学園高等部』通称『エイト学園』の世界に転生してしまった佐藤美鈴。 これから沢山のイケメンとの出会いがあると美鈴は震えあがっていた。 それは嬉しいから、ではなく。 美鈴がとある理由から『男性恐怖症』を持っていたからだった。 美鈴は転生を理解した瞬間から、イケメン達との出会いを避けるべく奮闘する。だが、その結果は散々で…。 とは言え、美鈴だってただただ指を咥えている訳ではない。 まずは自分に出来る事からやっていこうっ! と自分の運命を変えるべく一歩を足を踏み出す。 これは様々な出会いと経験を経て、大きな愛を『思い出す』美鈴の成長ストーリーである。
View More「…報告は以上です」 「…分かった。ここにある内容が全てか?社員の総意って事で間違いないな?」 「は、はい…」 目の前の若い男は社長でも何でもない。なのに何故この場に、白鳥財閥の総帥代理の前にいるのか。 少し考えれば解ることだ。こいつが今持って来たのは報告書だ。多額の負債を出してしまった案件の。 「君は…これで良いのか?」 「…え?」 渡された報告書を机に投げて、椅子の背もたれにゆったりと背を預けた。 「会社の上司が失敗した事を、新人である菅原、君が全ての責任を負ってこれからの人生を棒に振っても良いのか?」 「そ、れは…」 じっと言葉の続きを待つ。だが、やはり新人で若い男は俯き言葉を発する事はなかった。 …当然と言えば当然だ。自分の所の上司より遥か上の上司に会ってる訳だしな。しかもその理由が謝罪と報告。だがこいつは仕事を辞めるではなくきちんと謝罪に来た。それだけ根性があるって事だ。失うには勿体ない新人だ。 俺は言葉を失ったそいつの代わりに言葉を繋ぐ。 「この事案は君の様な新人が請けもてる案件ではない。そんな事は上の人間が一目見れば解る。もし解らないとでも思われていたのなら、…随分舐めた真似をしてくれるな」 「ち、ちがっ」 「分かっている。これは君がやれる上司への復讐だったんだろう?」 「え…?」 ゆっくりとそいつは青褪めた顔を俺へ向けた。 「君の様な人間は貴重だ。失うのは惜しいからな。一つ、君に頼みがある」 「頼み?」 「そうだ。それが出来たなら君をうちで引き抜こう」 「やりますっ!!」 一も二もなく頷くそいつに頷き返す。 「私は一体何をすれば…」 「…君の所の上司を連れて来い。何を言って誤魔化しても俺の立場を利用してでも良い。ここへ連れて来い。…出来るな?」 コクリと頷き、直ぐに踵を返して勢いよく部屋を出て行った。 多分、やり遂げるだろう。自分に失敗の責任を全て押し付けた上司に恨みはあれど同情はないだろうからな。それに、部下に自分の失敗を全て押し付ける様な輩は部下を率いて上に立つ資格はない。 自分でやり返さないと、恨みだけ残り続けるしな。 …さて。菅原を配属させる場所を選んで置かないと、だな。 今、何時だ? …………………23時? ちょっと待て?ちょっと待てよ? 今日は何日だ…? ………カレンダー
「次に貴方を見たのは、これまた私が学生の時よ」そう言って、男の視線は俺から、透馬達に流された。透馬、奏輔、大地の視線が冷えて行く。きっと俺も同じ目になっているだろう。※※※(乙女の独白そ・の・2はぁと)何事も、調査と言うのは必要不可欠な物。あの人の事を知りたければ、自分の足で動かなきゃっ☆そう。その為に私は今ここに、エイト学園にいるのだからっ!もうっ、聞いてよっ。ほんっとうに大変だったのよっ。ここの制服手に入れるのっ。何でも愛しの鴇様が入学してからエイト学園の制服を手に入れて不法侵入する輩が増えてんですってっ!だから、正規の生徒手帳がないと店では売ってくれないのらしいのっ!おかげでオークションで愛しの鴇様の制服を落札する為に30万も使っちゃったわっ!!こつこつと貯めてた手術代がパーよ、パーっ!ほんっとうに大変だったわぁ。不法侵入とかそう言う輩がいるから、最近の日本は犯罪者が増えて来てるのよっ!節度って大事よねっ!さ、てと。今は怒りを横に置いといて。愛しの鴇様には顔がわれてるから、バッチリ化粧と髪も染め上げて来たわ。これで絶対バレないは・ずっ☆まずは愛しの鴇様が登校してくるのを発見しないとっ☆待ってて、愛しの鴇様~☆校門の前で愛しの鴇様が来るのを待機。勿論、物陰から観察よっ。真正面からなんて恥ずかしくて出来ないわっ、きゃっ☆「なぁ、鴇。今日、姫に会いに行っていいか?」「あ、オレも行くー」「なら、俺も便乗させて貰うわ」「…お前らなぁ。そう言いながら毎日家にくるな、鬱陶しい」きゃあああああああっ!!!!なになになんなのっ!?あの神々しい集団はっ!!愛しの鴇様の周りにも神の御使いが三人もっ!!やだっ!!素敵ぃーっ!!校門側の大木の影に隠れていた私の所まで光を放つなんてっ!?目に焼き付けるのよっ!!この美しさを忘れないうちにっ!!ふー…ふー…。素敵…素敵よぉ…。愛しの鴇様が呆れながらも小さな笑みを浮かべてるわぁ。あぁ、愛しの鴇様の隣にいる紫髪の彼。彼もまたいいわぁ。着崩してる制服から見えるシルバーが溜まらないわ。その後ろを付いてくる、体育会系の彼。彼もいいっ。茶色の短髪も男臭くて堪らないけれど、それよりも体っ!体よっ!肉体美っ!美しい筋肉っ!あぁ、堪らないっ!更にその体育会系の彼の横にいる、繊細な美人もいいわっ!男の子な
「それじゃ、皆揃ったな。乾杯!」『かんぱ~いっ!!』それぞれがグラスを片手に声を上げた。金山達が使っているバーを今日は貸切、今は二つのテーブルで二つのグループで盛り上がっていた。「やっと日本に帰って来れたよ。葵兄も棗兄も久しぶり!」「優兎。随分頑張っているみたいだね。どこぞのアホと違って」「おい、葵。そのどこぞのアホってのは俺の事か?」「龍也以外誰がいるって言うのさ。大体、何しれっと鈴ちゃんに会いに来てるんだよ、図々しい」「あの時は仕事にちょっと余裕が出来たからだなぁ!」「樹先輩!白鳥さん見ませんでしたかっ!?」「あ?今日は女の参加はなしだろ?だったよな?棗」「そうだね」「は、話が違うじゃないですかっ!棗先輩っ」「お前がいつまでも鈴を狙ってるから、その措置に決まってるだろっ!!」「……相変わらず、姦しいけど、帰って来た気がするなー…」優兎が遠い目をして、双子と御曹司たちに挟まれて呟いている。安心しろ、優兎。こっちはこっちで悲惨だぞ。「だから、こっちより海里にはこっちの指輪のが似合うだろ」「じゃあ、こっちにしようかな…透馬兄、これだよね?」「なんで今そっちを選んだっ!」「………奏輔様。新しいお酒です」「いつの間に空良は俺の舎弟化したんやろなぁ…。でも、ほんっと、あの姉貴たちを見た後だと心洗われるわー…」「っしゃあっ!!じゃあ、五番勝負っすよっ!師匠っ!!」「陸実ー、オレに勝とうなんて十年早いー」「腕相撲から勝負だーっ!!」ほらな、地獄だろ?ぐったりしている優兎の視線が俺とかち合った。抜け出そうと言っている。俺も素直に頷いて、そこからするりと抜けて優兎と二人、カウンター席に座った。目の前にグラスでウィスキーのロックが並ぶ。「あー…落ち着いたー…」「あいつら、何であの歳でなおあそこまで騒げるんだか…」優兎と二人まったりと会話をする。一時期、優兎は美鈴の件で怒鳴ってしまった俺に引け目を感じていたらしいが、俺は全く気にしていないからか優兎も割り切って普通に戻っていた。「真っ直ぐここに来たんだろう?美鈴には明日会うのか?」「美鈴ちゃん、今、里帰りしてるんでしょ?じゃあ、明日僕も帰るから今日中に会える、かな?」「この飲み会が今日中に終わるか?日付越えるだろ、どう考えても。会うのは明日の朝だな」「それは、確か
片手にどうにか双子の娘達を抱え込み、ペンでまず俺の名前を書いた。「今佳織母さんに説明したのは俺の意思が生まれた一番最古の前世だ」「ふむふむ」「で、俺はここからまた、この世界に転生した」矢印を下に引いて俺の次の前世の記憶と書く。「そして、ここからリョウイチさんの干渉が始まる。そこまでは干渉ではなく見守りの状態だった。そして、なんでここでリョウイチさんの干渉が入ったのか。それは恐らく佳織母さん達の前世が繋がったからだ」もっと言うなら、佳織母さんにリョウイチさんが惚れたから、って事だろう。「けど今はリョウイチさんの視点ではなく俺の視点で話す。その次に真っ先に修正されたのは佳織母さんの立ち位置だ。それまで横暴だった佳織母さんはその修正により、佳織母さんの魂修正が入った。要はさっき佳織母さんが言った子供を大事にする要素だな。勿論他にもこまごまとあるだろうが、リョウイチさんが一番直しやすかった所から入ったんだろう」俺の名前の下に佳織母さん修正済みと書いた。「で、ここでリョウイチさんのミスが一つある」「…都貴静流、かしら?」「その通り。アイツが違う体に転生して、美鈴を狙い始めたんだ。その時はもう佳織母さんの修正が済んだ後。もっと言うなら、暫く他の世界を経由して来た後なんだよ」都貴静流の名前を佳織母さんの横に書く。「予想外の動きにリョウイチさんは次から次へと修正を繰り返した。数えきれないくらい修正したんだろうな。修正は沢山あった。暫く双子が生まれない時もあったし、優兎が転校してこず親に愛される、それこそ、所謂攻略対象者達と美鈴がくっ付いた時もあった。面白いのがそのどの世界軸でも俺は死んでいたって事だな」「そうだったの?」「あぁ。何度も死んださ。美鈴を想いながらな。何度も何度も修正を見て来たし、その数の多さの証拠があの都貴静流の転生体の多さだ」何度も何度も転生を繰り返し、発生した出来事を最初は何かしらでまとめていたが、最終的に佳織母さんに知らせる意味も込めて乙女ゲームと言う形をとったのだろう。「俺達は前世の記憶と言う形で混じり合ったが、本来人間の生は、命が終わった時点でリセットされねばならない。けれど、前世で繋がってしまったために新たな芽として生まれていた命が一つの大木として育ってしまった」「生の本流が出来上がってしまったのね」「そうだ。そして
コンコン。 ……出て来ない。 コンコンコン。 もう一度ノックしてみたけれど、反応がない。 全く反応がないと逆に不安になるんだが…。 ……仕方ないな。 ここで遠慮して倒れられでもしてたらそれこそ問題だ。それに、美鈴の部屋に突然入るのも今更だろ。 俺は躊躇いもなくドアを開けると、そこにはベッドに寝転がってる美鈴がいて。 なんだ?何を読んでるんだ? ……前もこう言う事があったな。その時は確か…。 足音を立てずに美鈴に近寄り、そして背後から。「何読んでるんだ?」 「ぶにゃああああああああっ!?」そう。今と全く同じ反応があったんだったな。 全く変わってないようで。相変わらず
「反撃スキル『池になんでも落としてんじゃねーよっ!』が発動っ」 「えっと…回避スキル『舞踏会からの逃走』を発動っ!」 「シンデレラの舞踏会のカードから、回避スキル『舞踏会からの逃走』発動っ!池の女神の攻撃が回避されたっ!」 「ついげきーっ。こうげきスキル『まさかりアタック』発動っ!」 「追撃、金太郎のアイテムカードから攻撃スキル『マサカリアタック』発動っ!!池の女神に1900のダメージっ!!残り3042っ!」 「さらについげきーっ。こうげきスキル『おばあさんにあげるワイン』はつどうっ!きょうりょくたいしょう、マッチうりのしょうじょっ!」 「あかずきんときょうりょくっ!
「白鳥先輩~っ!」 名前を呼ばれて振り返る。 こんなに疲れて帰宅しようとしている私の足を止めるとは…良い度胸だよな。 爆弾テロとか起こしてくれやがった父の後始末。 事件当日は佳織や母がいたから何とか帰れたものの…後処理をしなければならない私はここ数日職場で寝泊まりしている。 それがようやっと目処が付きこうして家路につこうとしているというのに…。 「風間…。徹夜明けの頭に響く。でかい声だすな。喋るな。口を縫い止めてしまえ」 「え~、酷いっすよ~っ!こんなに先輩への愛で溢れてるのに~っ!」 「だから、うるせぇって…」 ガンガンと頭を叩かれてる。まずはその声を上げるのをやめてくれ
……。 …………おかしい。 何がおかしいのかと聞かれると、説明が難しいんだけど。それでもやっぱりおかしい。 僕の気の所為かな?とも思ったんだけど、でも…。 「ねぇ?鈴?」 「なに?棗お兄ちゃん」 にこにこ笑ってるはずの鈴ちゃん。それはいつも通り。 いつも通りなんだけど…。そう、いつもなら、僕達が鈴ちゃんの名を呼ぶと、「なぁに?葵お兄ちゃん」って優しく返してくれる。 それが、今は返事を返してくれはするけれど、どこか棘を感じると言うか…。 僕は優兎を手招きした。 気付いた優兎がテレビの前のソファから立ち、僕の側へ駆け寄ってくる。 「鈴ちゃん、何かあったの?」 こそっと聞く
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