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第401話

Author: 星柚子
――奈穂の姿を目にするまで。

その瞬間、まるで一本の命綱を見つけたような気がした。

奈穂の家柄が立派だから、というわけではない。ただ、栞には分かるのだ。奈穂は自分よりも強くて、そしてずっと勇敢な人だと。

もしかしたら――この人から、少し勇気をもらえるかもしれない。あの年の出来事を、すべて打ち明ける勇気を。

栞がその話をしたがっていることを、奈穂はすぐに察した。

もし自分が栞だったら、きっと同じように、当時の真実を世に明らかにしたいと思うはずだから。

「分かった」奈穂はうなずいた。「怖がらなくていい。この件は、私が森下さんを助ける」

水紀の悪行は、必ず暴かれるべきだ。

「ありがとうございます、水戸さん……本当に、ありがとうございます……」

栞は何度も頭を下げた。泣き腫らした目はひどく赤く腫れていたが、それでも口元にはかすかな笑みが浮かんでいる。

何年も積み重なった傷が、そう簡単に癒えるはずもない。

それでも今、栞の胸はこれまでにないほど軽くなっていた。

奈穂はしばらく栞と話し、部下に家まで送らせた。そして自分は一人、カフェに残ってぼんやりと座ったまま動けずにいた。
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