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第410話

Author: 星柚子
栞は奈穂を食事に誘った。

向かい合って座ると、栞はどこか照れくさそうに、それでも真剣な表情で口を開く。

「水戸さん……本当にありがとうございます。ずっと励ましてくれて、慰めてくれて……あの時のことを話す勇気をくれました。

あの悪夢、何年もずっと私にまとわりついて離れなかったんです。でも今は……胸の重石がやっと取れたみたいで。すごく楽になりました」

もちろん、心の傷が完全に消えたわけではない。精神的な不調だって、まだ治りきっていない。

それでも栞は信じている。

――水紀は、いつか必ず報いを受ける。そして自分にも、きっともっと良い未来が待っている、と。

「私は何もしてないよ」奈穂は微笑んだ。「全部、森下さん自身の勇気」

栞は首を振る。「水戸さんがいなかったら、こんなに早く向き合えませんでした。……もう、これ以上は言いません。とにかく、一杯」

そう言ってグラスを持ち上げる。

奈穂もオレンジジュースの入ったグラスを掲げ、軽く合わせた。

栞は一気に飲み干す。

「これから、どうするの?」奈穂が尋ねる。

「引き続きアルバイトで稼ぎます」栞は微笑んだ。「昨日、新しい仕事が決ま
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