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第62話

Penulis: 星柚子
後ろで鏡面仕上げのステンレス製のドアがゆっくりと閉まり、天井の照明が磨かれた大理石の床に冷たい光の帯を投げかけている。

その光の帯の先に、北斗のすらりとした姿が立っていた。

彼は車から降りたばかりのようで、黒いスーツの上着にはまだ夜風の冷たさが残っていた。ネクタイは少し緩み、普段はきちんと整えられている黒い髪も少し乱れている。どう見ても急いで来た様子だった。

北斗自身も、なぜこんなに焦っていたのかは分からなかった。

ただ、今日はずっと奈穂がオフィスを出ていく後ろ姿が頭から離れなかったのだ。

水紀と情事にふけっている時でさえ、彼の心は乱れていた。

先ほどまで近くで食事をしていたのだが、明志から奈穂がここにいると聞くと、他の人に説明する間もなく、すぐに車を運転して駆けつけたのだ。

「奈穂」

彼は数歩前へ進み、その目には複雑な感情が渦巻いていた。

「一緒に帰ろう」

奈穂は眉をひそめ、顔には明らかにうんざりした表情と不機嫌さが浮かんでいた。

「北斗、私たちはもう別れた」

奈穂は冷たく言った。

北斗は深く息を吸い込み、さらに数歩前へ進み、奈穂に近づこうとした。だが、奈穂
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